ムダをなくす!経費削減を成功させるためのステップとポイント

本記事は2025/09/24に更新しております。
ムダをなくす!経費削減を成功させるためのステップとポイント
企業の利益を高める上で、売上向上と並んで重要なのが経費削減です。外部環境が目まぐるしく変化している現代で、経営の安定化を図り、競争力を強化していくためには、常に、コスト面と業務のムダをなくすことが企業の課題です。経営を強化する取り組みの中心となるのが経理部門です。
本記事では、経費削減を成功させるために必要な具体的なステップと重要なポイントを解説していきます。

01

経費削減の基本的な考え方:何をムダと捉えるか?

経費削減とは、企業活動における支出を減らすための取り組み全般を指します。しかし、単に支出を減らすだけでなく、企業の価値創造がなされていないものは何かという視点を持つことが重要です。経費の種類と、削減に向けた基本的な考え方を確認しましょう。

経費の種類(固定費・変動費)と削減アプローチの違い

経費には大きく分けて固定費と変動費の2種類に分けられます。

・固定費:売上の有無にかかわらず毎月発生する費用(例:家賃、人件費、リース料など)
・変動費:売上に比例して変動する費用(例:仕入、外注費、消耗品費など)

固定費は毎月一定の金額がかかるため、抜本的な見直しで大きな削減効果が期待できます。例えば、家賃は簡単に削減できませんが、リース料などは見直しが利きます。一方、変動費は業務の効率化や購入条件の改善によって削減することが可能です。
固定費と変動費を適切に分類し、それぞれの特性に合わせた削減アプローチを実行することで、効果的な経費削減が可能になります。

本当に 削減すべきムダとは?

経費削減というと、単に支出を減らすことを考えがちですが、本当に削減すべきはムダなコストです。ここでいうムダとは、企業に付加価値を生み出さないコストや非効率な業務プロセスによって発生するコスト、過剰な支出などを指します。例えば、誰も見ない報告書の作成、重複した作業、過剰な在庫などはムダと判断できます。
このようなムダを削減するためには、業務プロセス全体を俯瞰的に見直し、各業務が何のために行われているのか、本当に必要なのかを問い直す視点が重要です。業務の流れを可視化し、ボトルネックとなっている部分や企業に価値を生んでいない工程を見つけることで、経費削減へつなげられます。  

【要注意】NG経費削減5選

短期的な経費削減効果だけを追求するあまり、長期的に企業の成長や競争力を損なうようなやってはいけない経費削減策もあります。次のような経費削減は企業にとってマイナスになりかねません。

・人件費を切り詰めて最少人数以下の人員で対応
・業務時間の削減
・業務時間を下げ、業務量を増やす
・安全性を軽視する
・教育や研究開発など将来への投資を過度に抑制する

削ってはいけないコストに注意しながら、継続可能な削減を目指しましょう。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

02

経費削減を成功に導く5つのステップ(PDCA)

経費削減を効果的に進め、成功に導くためには、「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」というPDCAサイクルを回すことが重要です。このサイクルを継続的に回すことで、一時的なコスト削減で終わらせず、持続的な効果を生み出すことができます。

ステップ1【Plan①】:現状把握と目標設定

最初のステップはPlan(計画)です。ここでは、自社の経費の現状を正確に把握し、削減の方向性を明確にします。計画段階での分析と目標設定が曖昧だと、実行段階で、軸がぶれて成果が出にくくなるため、きちんとした目標設定が大切です。

経費の見える化:何にいくら使っているか?

まずは何にいくら使っているかを明確にしましょう。会計データに基づき、過去の経費実績を勘定科目ごとにリストアップし、分析します。特に、金額の大きい項目や増加傾向にある項目を特定することが重要です。視覚的に分かりやすくするために、経費構成比を以下の例のように、グラフで示すのも有効です。

経費構成比
勘定科目 金額 構成比 (%)
人件費 ¥10,000,000 40%
地代家賃 ¥5,000,000 20%
消耗品費 ¥2,500,000 10%
旅費交通費 ¥2,000,000 8%
広告宣伝費 ¥1,500,000 6%
その他経費 ¥4,000,000 16%
合計 ¥25,000,000 100%

削減目標の設定:具体的かつ測定可能な設定になっているか?

現状を把握したら、次は具体的な削減目標を設定します。「いつまでに」「どの経費を」「どれくらい削減するか」を数値で明確にすることが重要です。例えば、「来期末までに、消耗品費を15%削減する」といった数字を入れ定量的な目標を設定します。
達成の見込める目標に設定し、関係部署にも共有しましょう。

ステップ2【Plan②】:削減策の検討と計画立案

ステップ2もPlan(計画)です。ここでは、設定した目標を達成するための具体的な削減策を検討し、実行計画を立てます。

アイデア出し:全社で知恵を絞る

経費削減は経理部門だけでなく、現場の知恵を借りることも有効な手段です。部署ごとにアイデアを出し合い、ブレインストーミングなどで、自由な発想を促し多くの提案を集めましょう。他社の経費削減事例を参考にすることも有益な方法です。

実行計画の策定:優先順位付けと担当者を決定する

提案された削減策の効果や実行のしやすさを評価し、優先順位を決定します。併せて、具体的な手順やスケジュール、担当者も明確にしておくことが成功の鍵となります。

ステップ3【Do】:削減策の実行

ステップ3はDo(実行)です。策定した計画に沿って実行に移します。 担当者は責任を持って取り組み、進捗状況を関係者に定期的に報告することが重要です。

ステップ4【Check】:効果測定と進捗確認

ステップ4はCheck(評価)です。設定した目標に対して、実際にどれだけ経費が削減されたかを定期的に測定し、評価します。計画通りに進んでいるか、予期せぬ問題が発生していないかを確認しましょう。

ステップ5【Action】:改善と次の計画へ

ステップ5はAction(改善)です。効果測定の結果に基づき、計画を修正・改善します。効果のあった施策は継続・横展開し、効果のなかった施策は見直します。そして、次の削減目標を設定し、再度PDCAサイクルを回していくことで、継続的な経費削減につなげていきます。

経費削減のPDCAサイクル

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

03

【項目別】中小企業が取り組みやすい経費削減アイデア集

続いて、中小企業でもすぐに始めやすい、具体的な経費削減アイデアを項目別にご紹介します。

オフィス関連費(家賃、光熱費、通信費)

オフィスにかかる費用は、日常的に発生するため見直しによる効果が大きい領域です。まずは、使用していないスペースの解約や賃料の交渉などを行い、無駄な賃料を削減しましょう。また、光熱費については、LED照明への切り替えや空調温度の見直しといった省エネ対策が有効です。

さらに、通信費もプランの見直しや回線の統合によってコスト削減が可能です。

消耗品・事務用品費

消耗品や事務用品は、小さな出費の積み重ねが全体のコストを押し上げます。購入先を絞ってまとめて発注したり、複数の業者から見積もりを取ったりすることで、価格交渉がしやすくなります。また、発注の頻度や単位を見直し、在庫管理を徹底することで無駄な在庫を抑えることができます。

さらに、リサイクル品を有効活用するのもいいでしょう。

旅費交通費

出張や移動にかかるコストも見直しの余地があります。まずは出張規定を見直し、宿泊費や日当の上限を明確に定めることで過剰な出費を防げます。近年では、オンライン会議の導入が進み、移動そのものを減らすことも可能です。

また、移動が必要な場合は、早期割引や格安チケットの活用により、コストを抑える工夫も経費削減対策のひとつです。

広告宣伝費・交際費

広告費や交際費は、効果が見えにくいケースも多いため、定期的な見直しが欠かせません。広告については効果測定を行い、費用対効果の低いものは中止するか改善することを検討します。近年は、Web広告やSNSを活用することで、低予算で効果的な宣伝が可能になっています。

交際費は、接待や贈答に関するルールを明文化し、事前承認制を取り入れることで、無駄な支出を防ぐことが可能です。

支払い手数料・諸経費

支払いに関する手数料も見直しポイントのひとつです。振込手数料が安い金融機関への切り替えやネットバンキングの活用により経費を抑えることができます。また、リース契約についても、料率を見直したり必要に応じて購入へ切り替えたりすることで、コスト削減が可能です。

併せて、使用していないサブスクリプションサービスを解約するなど細かな見直しも効果的です。

業務効率化による間接コスト削減

間接的にかかるコストも業務の効率化によって大きく削減できます。例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や経費精算システムを導入することで、作業時間を短縮できます。グループウェアを活用すれば、情報共有が円滑になり、業務全体のスピードも向上します。

さらに、業務内容を見直してアウトソーシングを検討したり、残業時間を削減したりするなど人的コストの見直しも重要です。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

04

経費削減を文化として定着させるために

経費削減を一時的な取り組みで終わらせず、組織に根付いた文化とするためには、経営層の強いリーダーシップと全従業員の意識改革、そして継続的な取り組みと情報共有が不可欠です。

経営層の強いリーダーシップとコミットメント

経費削減を成功させるためには、経営層がその重要性を深く理解し率先してコスト意識を持ち、組織全体に強く発信し続けることが大切です。リーダーは、従業員に対して、単なるコストカットではなく、経費削減が必要な理由と目的を明確に示す必要があります。リーダーが具体的な目標を設定し、自らもコスト意識を持って行動することで 、従業員の意識改革を促します。

もちろん、トップダウンの指示だけでなく、従業員の意見やアイデアを積極的に取り入れるボトムアップの仕組みも重要です。

従業員の意識改革とインセンティブ

経費削減の取り組みは、現場の従業員一人ひとりの行動によって支えられます。削減の目的や背景、期待される成果について従業員の理解と納得を得る説明をすることが重要です。
さらに、削減活動を促進するためのインセンティブ制度の導入も効果的です。例えば、コスト削減に貢献した部署や個人に対して、表彰や報奨金を与えることで、前向きな姿勢を引き出すことが見込めます。

そして、削減アイデアを募る仕組みとしてアイデアコンテストや社内提案制度などを設けることで、従業員の参加意識を高めえる効果も期待できます。

定期的なモニタリングと情報共有

経費削減は、定期的に進捗や成果をチェックする仕組みが必要です。KPI(重要業績評価指標)を設定し、どの項目がどれだけのコスト削減できたかを数値化することで、取り組みの成果を一目でわかるようになります。
また、社内の成功事例を積極的に共有することも大切です。他部署の工夫を自部門で取り入れることで、相乗効果が期待できるためです。

従業員が、経費削減の取り組みを他人事ではなく自分のこととして捉えるためには、情報の透明性とオープンな社内コミュニケーションが鍵といえます。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

05

まとめ

経費削減は、企業が経営を安定させ、競争力を強化していくための重要な取り組みです。固定費と変動費の中から不要な支出を特定し経費削減へ繋げましょう。品質や顧客満足度などを損なわないよう注意し、PDCAサイクルに沿って段階的に削減を進めていくことが成功に繋がります。
今回紹介した経費削減の内容を参考に、自社かかるムダな経費を見直し、持続可能な経営基盤の構築を目指しましょう。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

06

Slopebaseとは

バックオフィス業務の
支出管理を支援する、
支出管理クラウド

Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
佐藤大輔
監修
佐藤大輔

長年、経理業務に携わり、毎年の店舗の水道光熱費の使用料や過剰に使用している店舗への注意喚起などを促し赤字店舗の改革に努めた。また、企業のDX導入にも携わり、職員勤怠の電子化など、業務効率化を積極的に推進。現在は、企業コラム記事などを中心に年間100記事ほど執筆・監修を行っている。

人気記事

カテゴリ