経費精算の領収書、どこまで必要?正しい取り扱いと保存方法

本記事は2026/02/10に更新しております。
経費精算の領収書、どこまで必要?正しい取り扱いと保存方法
領収書に関する疑問はありますか。例えば、「この領収書は必要?」「レシートじゃだめ?」「宛名が『上様』でも問題ない?」「電子データで受け取った場合はどうする?」といったもの。領収書の取り扱い経理処理においては、重要な業務のひとつです。
本記事では、経費精算における領収書の正しい扱い方を、詳しく解説していきます。

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なぜ領収書が必要?経費精算における領収書の役割

経費精算において、なぜ領収書が必要なのでしょうか?
領収書には単なる支払いの記録としてだけでなく、証拠、税法上の要件、不正防止という3つの大きな役割があります。ここでは、それぞれの役割を掘り下げて説明しましょう。

役割1:経費の証拠となる(証憑書類)

経費として計上するためには、取引が実際に行われたことと、その支出が事業に必要なものであったことを証明する書類が必要です。領収書は、取引の正当性を証明するための最も基本的な書類であり、税法上も重要な証憑書類として位置づけられています。
言い換えれば、領収書に必要事項が記載されていなければ、経費が証拠として認められないこともあります。

従って、経費精算においては、領収書が支出の正当性を裏付ける役割といえます。

役割2:税法上の要件を満たす必要がある(法人税・消費税)

領収書は、法人税法において、会社の利益から差し引かれる損金として認められるための重要な証拠です。また、消費税法上における仕入税額控除を受けるためにも、原則として領収書などの証憑書類の保存が義務付けられています。
2023年10月から導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、仕入税額控除の手続きにおいて、一定の項目が記載された適格請求書(インボイス)の保存が必要となりました。領収書も、必要な記載事項を満たしていれば、簡易インボイスとして仕入税額控除の対象となります。

これまで3万円未満の仕入れについては、領収書がなくても仕入税額控除が認められる特例がありましたが、インボイス制度導入後は、原則として領収書の保存が必要となる点に注意が必要です。

役割3:不正行為を防止する(内部統制)

従業員に対して、領収書の提出をルール化することは、会社における不正行為を防止するための重要な内部統制のひとつです。個人的な支出を会社の経費として計上する私的流用や実際には存在しない請求を行う架空請求、また同じ経費を二度申請する二重請求のような行為は不正となります。不正行為は、会社の資産を損なうだけでなく、税務上の問題にも発展しかねません。

領収書の内容をきちんと確認することは、不正行為を未然に防ぎ、会社を守ることにつながります。

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これはOK?NG?正しい領収書の必須記載事項チェックリスト

正しい領収書には、税法上および経費精算の内部規定上、記載必須事項があります。ここでは、正しい領収書を書く上での主要なチェック項目について解説していきます。チェック項目を確認することで、領収書が有効な証拠書類となるため押さえておきましょう。

チェック1:発行者(支払先の氏名・名称)

領収書には、支払いを行った先の店名や会社名が正確に記載されている必要があります。店名や会社名が記載されていることで、誰に対してどのような目的で支払われたかを、明確に特定することが可能です。場合によっては、略称でも認められることがありますが、正式名称で記載することが望ましいです。発行者の名称が不明確な場合、その取引の信憑性が疑われる可能性があります。

チェック2:取引年月日

領収書には、取引が行われた正確な年月日が記載されていなければなりません。取引が行われた経費がいつ発生したのかを特定し、適切な会計期間に計上するために不可欠です。日付は、和暦・西暦どちらでも構いませんが、省略せずに記載してもらうようにしましょう。受領時には、支払いが行われた日付が正しく記載されているかを、確認することも重要です。

チェック3:取引内容(具体的な品名・サービス名)

領収書には、何に対して支払われたかを、具体的な記入が求められます。単にお品代や飲食代と記載されているだけでは、具体的な内容が不明確なため、税務調査などで経費として認められない場合があります。例えば、「文具代」や「会議費(〇〇様との打ち合わせ)」のように、具体的な品名やサービス名、利用目的が記載されていることが望ましいです。

チェック4:金額

領収書には、実際に支払った金額が正確に記載されている必要があります。インボイス制度のもとでは、正しい消費税額となっているか、軽減税率の対象かどうかも、申請しなくてはなりません。領収書受領時に、消費税額などの確認が必要です。金額の記載に誤りがあると、経費精算や税額控除に影響が出る場合があります。

チェック5:宛名(支払いを受ける者=自社の名称)

原則として、領収書の宛名には、支払いを受ける側の正式な会社名が記載されている必要があります。宛名が上様と書かれる場合や空欄になっている場合は税務調査で経費として認められないケースがあります。但し、小売業、飲食業、旅客運送業、旅行業、駐車場業など、不特定多数を相手にする業種では、宛名の記載が省略されたり、「上様」と記載されたりすることもあります。正式名称が記載されていない領収書でも、他が正しく記載されていれば、認められることもあります。しかし、領収著は可能な限り正式名称で記載してもらうことをおすすめします。

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ケース別:領収書がない・不備がある場合の対処法

経費精算を行ううえで、領収書がどうしても入手できなかったり、記載内容に不備があったりするケースもあります。ここでは、様々な状況に応じた適切な対処法を解説します。

ケース1:領収書をもらい忘れた・紛失した

領収書をもらい忘れたり、紛失してしまったりした場合は、まず、支払いをしたお店や会社に再発行を依頼するのが基本です。但し、再発行は事業者の判断に委ねられており、必ずしも応じてもらえるとは限りません。再発行が難しい場合は、代わりに購入証明書や支払証明書を発行してもらえるか確認しましょう。どうしても入手できない場合は、出金伝票や経費精算書に、日付、支払先、金額、取引内容、領収書を紛失した理由などを詳細に記載し、上長の承認を得るなどの社内手続きが必要です。

レシートや会合の招待状など、他の証拠となる書類があれば添付するようにしましょう。

ケース2:レシートしかない

レシートは、発行者、取引年月日、取引内容、金額といった領収書の必須記載事項が記載されていれば、領収書の代わりとして経費精算に利用できることがほとんどです。

必ずレシートは保管しておきましょう。

ケース3:クレジットカードの利用明細

クレジットカードの利用明細だけでは、取引内容の詳細が不明な場合が多く、税法上も領収書の代わりにはなりません。経費精算には、原則として領収書やレシートの原本が必要です。ただし、電子帳簿保存法において特定の要件を満たす場合には、クレジットカードの利用明細を領収書の代わりとして、認められるケースがあります。もちろん、利用明細に必要な情報が記載されているかの確認が必須です。

また、インボイス制度における仕入税額控除の要件を満たすためには、別途領収書やレシートの保存が必要となる場合が多いことに注意しましょう。

ケース4:冠婚葬祭費(ご祝儀・香典)

ご祝儀や香典などの冠婚葬祭費は、慣例的に領収書が発行されないことがほとんどです。それでも、慶弔にかかった費用を経費として計上する際には、結婚式の招待状や葬儀の案内状、会葬礼状などを証拠書類として保管し、出金伝票に支払年月日、相手先の氏名、金額、目的などを詳細に記載して対応するのが一般的です。

会社によっては、社内規程が整備してあり、支給基準や手続きを明確に定めている場合もあるので、指示に従いましょう。

ケース5:公共交通機関の交通費

公共交通機関の交通費は、領収書の入手が困難なケースがあるため、利用した経路、日付、金額などを正確に申請することで、経費として認められることがほとんどです。SuicaやPASMOなどのICカードの利用履歴を券売機で印字したものや、ICカードリーダーで読み取ったデータも、証拠書類として有効です。

但し、高額な交通費(新幹線や航空券など)の場合は、領収書の提出が求められることがあるため注意しましょう。

ケース6:割り勘の場合

複数人で飲食した場合などの割り勘では、原則として自分が支払った金額分の領収書をそれぞれが受け取るのが適切です。もし、代表者がまとめて支払い、領収書を一枚しか受け取っていない場合は、参加者の名前、飲食の目的、一人当たりの負担金額などを明記した精算書を作成し、その領収書のコピーを添付するなどの対応が必要になります。

自分が負担した金額のみを、経費として計上するようにしましょう。

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領収書の正しい取り扱い:保管・管理のルールと効率化

領収書は、経費精算後も一定期間の保管が義務付けられています。ここでは、紙の領収書と電子データの領収書、それぞれの保管・管理のルールと、業務効率化のためのポイントを解説します。

経費精算書への添付方法(糊付けルール)

紙の領収書を経費精算書に添付する場合、一般的には、領収書を日付順に並べ、重ならないようにA4サイズの台紙に糊付けします。但し、会社によっては独自のルールを定めている場合があるので、事前に確認しておきましょう。

近年では、経費精算の電子化が進んでいる企業も多く、紙の領収書の糊付けは不要な場合もあります。

紙の領収書のファイリングと保存期間

法人税法に基づき、領収書を含む帳簿書類は、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存義務があります。繰越欠損金または災害損失金額が生じた事業年度では、10年間の保存が必要となります。
尚、領収書をファイリングする際は、後で検索しやすいように、月別や勘定科目別、取引先別などに分類して整理したうえで、日付順に並べて保管するとよいでしょう。領収書をノートや台紙に貼ってファイリングする方法や封筒やファイルケースにまとめて保管する方法などがあるので、自社の状況に合わせて適切な方法を選択してください。

感熱紙のレシートは文字が消えやすいので、注意して保管する必要があります。

【重要】電子帳簿保存法と領収書の電子化

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の電子データによる保存を認める法律です。2022年1月に改正され、電子取引でやり取りした領収書などの取引情報の電子データ保存が義務化されました。

スキャナ保存:紙を電子化する場合の要件

紙の領収書をスキャナで読み取り電子データとして保存する場合、以前は税務署へ申請・承認を受ける必要がありましたが、2022年1月の法改正により事前の申請が不要になりました。 とはいえ、一定の要件を満たす必要があることに変わりはありません。主な要件として、200dpi以上の解像度と赤・緑・青の階調がそれぞれ256階調の24ビットカラー以上のカラー画像で読み取ること、タイムスタンプの付与、および取引年月日、取引金額、取引先での検索機能の確保などが挙げられます。尚、タイムスタンプの付与期間は、受領後最長2か月とおおむね7営業日以内とされています。
近年、中小企業向けには、保存のための手続きや技術的要件が一部簡素化されているなど、緩和措置が設けられており、負担を抑えながら電子保存へ移行しやすくなっています。

電子取引:データで受け取った場合の保存義務

メールに添付されたPDF形式の領収書やWebサイトからダウンロードした請求書などは、原則として電子データのまま保存する義務があります。紙に印刷して保存することは、原則として認められません。
電子データを保存する際には、改ざんを防止するための措置としてタイムスタンプを付与したり、取引年月日、取引金額、取引先で検索できる機能を準備したりする必要があります。

電子化のメリットと注意点

領収書を電子化することは、ペーパーレス化による印刷コストや保管スペースの削減、検索性の向上による業務効率化など、多くのメリットがあります。
一方、領収書の電子化には、システムの導入コストや運用ルールの整備、従業員への周知と教育なども注意が必要です。導入に際しては、メリットとデメリットを見比べたうえで、自社の状況に合った方法を選択することが重要です。

電子帳簿保存法への対応や電子化については、以下の記事も併せてご確認ください。

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まとめ

経費精算における領収書は、経費の証拠や税法上の要件を満たす重要な書類であり、不正防止の役割もあります。
領収書には、発行者、取引年月日、内容、金額、宛名などの記載が必要です。領収書がない場合や不備がある場合は、状況に応じた適切に対処しましょう。保管方法は紙と電子データの取り扱いルールについて、正しい知識を持っていれば、経費処理は決して怖いものではありません。税務調査や法改正にも対応できるように、今のうちからきちんと準備しておきましょう。

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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
佐藤大輔
監修
佐藤大輔

長年、経理業務に携わり、毎年の店舗の水道光熱費の使用料や過剰に使用している店舗への注意喚起などを促し赤字店舗の改革に努めた。また、企業のDX導入にも携わり、職員勤怠の電子化など、業務効率化を積極的に推進。現在は、企業コラム記事などを中心に年間100記事ほど執筆・監修を行っている。

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