営業DX成功のステップ~中小企業向けの売上最大化施策~

本記事は2025/09/16に更新しております。
営業DX成功のステップ~中小企業向けの売上最大化施策~
中小企業の営業部門で働く方の中には、「DXはまだわが社には関係ない」と思う方もいるかもしれません。ただ、DXの活用により、業務効率化、販路拡大、売上の最大化、経営の安定が期待できることから、中小企業の営業部門も含めてのDX推進の流れは、今後、ますます加速していくでしょう。

本記事では、中小企業を主な対象として、営業部門がDXに取り組む必要性に触れたのち、成功へのステップと活用できるツールを解説します。「デジタル技術を活用して、さらに大きく飛躍したい」「現状を打開したい」という方は、ぜひお読みください。

01

属人的、非効率、勘頼み… 中小企業の営業現場、こんな課題ありませんか?

日々の営業活動を進めるうえで、以下の課題にお悩みの方も多いのではないでしょうか?

・営業活動が属人化している。個々の営業担当者が持つスキルや経験、勘に多くを依存している状態である
・営業活動のノウハウが共有されず、組織全体のスキルアップにつながらない
・顧客情報や案件の状況が共有されていないため、営業担当者が不在の場合に適切な対応ができない
・日報や見積もり作成など、間接業務に忙殺されている
・類似する名称のファイルがたくさんあり、どれが最新のファイルかわからない
・成約しやすい見込み顧客にフォーカスした営業活動を行えていない
・日頃の付き合いを重視するあまり、利益率を度外視した営業活動が行われている

これらの課題を「仕方ない」で片づけてはいけません。貴社の飛躍を目指すなら、課題に対して真摯に対応する必要があります。

導入に関するお問合せ 資料請求

02

営業DXとは? 単なるツール導入ではなく「売上を最大化する仕組み」づくり

営業DXは、営業活動で発生する多くの課題を解決する手段のひとつですが、単なるツールの導入やデジタル化ではありません。デジタルツールの導入と合わせて、営業活動の改革まで行うのが営業DXです。

営業戦略の立案や営業プロセスの効率化・最適化には、これまでの経験だけでなく、データを活用することが必要不可欠です。業務の可視化や共有、属人化の解消も求められるでしょう。

営業DXは、IT技術やデータを活用して企業の価値を創出するとともに、売上や利益を最大化する仕組みを作り継続する変革活動です。
導入に関するお問合せ 資料請求

03

なぜ今、中小企業にこそ営業DXが必要なのか?

これからの時代は、中小企業にこそ営業部門でのDX導入が必要です。以下に挙げる、変化への対応が求められるためです。

・インターネットを用いて商品やサービスの情報を顧客自身で収集し、比較検討できる時代になった
・世界規模での競争に勝ち抜かなければならない
・少子高齢化や働き方改革により、営業活動に多くの人手を割けない状況でも成果を出す必要がある
・エリアを限定せずに顧客を獲得することが求められる
・大手企業でも倒産する時代、取引先を増やしてリスクを分散する必要がある

これからは、従来の営業スタイルでは、競争に勝ち抜き成長を続けることは難しくなるため、営業活動におけるDX化により、時代の要請に合った事業活動を行う必要があります。

導入に関するお問合せ 資料請求

04

【4ステップで実現】中小企業向け・失敗しない営業DXの進め方

営業活動におけるDX推進は、4つのステップを踏むことで、中小企業でも着実に進めることが可能です。具体的な進め方を確認していきましょう。

ステップ1:現状分析と課題特定、あるべき状態やゴールの明確化

営業DXを貴社の発展につなげるためには、現状の正確な分析が欠かせません。まずは、現状の営業プロセスと業務の課題、業務の遂行においてボトルネックになっている箇所を把握しましょう。成果を定量的に測るためには、商談数、成約率、顧客単価など、KPI(重要業績評価指標)となり得る数値のチェックも重要です。

そのうえで、業務のあるべき状態を可視化し、営業活動にDXを取り入れる目的や実現可能な目標を定めましょう。

何をいつまでに、どのような状態に改善するか、ゴールを具体的に記すことが重要です。KPIも設定しておくべきです。

ステップ2:DX戦略の策定と優先順位付け

目標の達成には、適切な戦略が必須です。どの手法を用いてどのように業務プロセスを変革するか、具体的な戦略や施策を立案しましょう。

戦略の策定には、企業の人的リソースや予算なども考慮する必要があります。費用対効果や実行の難易度などを考慮しながら、施策ごとに優先順位をつけましょう。

適切に優先順位を定めることで、中小企業でも経営資源を有効活用し、効果の高いDXを実現できます。

ステップ3:ツールの選定・導入と業務プロセスへの定着

営業DXでは、自社の戦略や要件に合うツールの選定や導入が効果的です。使い勝手のチェックを早期の段階で行うことは、現場で定着しやすいツール選びに役立ちます。コストやサポート内容もチェックしておきましょう。

ステップ1、ステップ2のあとは、以下の取り込みが重要になってきます。

・営業DXの必要性やメリットを従業員一人ひとりと共有
・導入するツールの選定・導入
・操作方法の教育
・運用ルールの整備
・問い合わせ窓口の整備

施策は、すべてを一気に進める必要はありません。

小規模の施策から始める「スモールスタート」で結果をチェックしつつ、発生した課題を解決しながら進めることが成功への近道です。

ステップ4:効果測定とデータに基づいた継続的な改善(PDCA)

営業DXは、ツールを導入して終わりではありません。設定したKPIに基づき、定期的に効果を測定し評価することが重要です。ツールを導入して得られたデータを分析し、課題が解決しているか、新たな課題が発生していないかチェックしてください。結果に応じて、新たな対策の策定や見直しを実施しましょう。

このサイクルを繰り返すことで、効果的・効率的な業務を継続できます。
導入に関するお問合せ 資料請求

05

営業DXを加速させる!中小企業が活用すべきデジタルツール5選

中小企業でも、さまざまなデジタルツールを活用して、営業DXを実現できます。ここからは営業DXの実現に中心的な役割を果たす、5種類のデジタルツールを紹介します。それぞれの特徴や役割などをご確認ください。

SFA(営業支援システム)

SFAは、営業の業務遂行に役立つITシステムです。日々の営業活動、商談の進捗状況と結果を可視化して、営業の生産性向上や業務改善を実現するためのツールです。
SFAには以下の情報が蓄積され、営業部門で一元的に管理・共有されます。

・顧客情報(会社名、担当者、連絡先、過去のやり取りなど)
・進行中の案件(商談内容、進捗状況、受注予定日、金額など)
・日々の営業活動の記録(訪問記録、日報作成など)

SFAの活用により組織での情報共有がスムーズになり、チーム全体で効率的・効果的な営業活動を行えます。営業担当者による属人化も防げます。

SFAは、より良い事業運営を行うための分析にも使われます。営業課題の発見や売上予測の精度向上は、その一例です。

業務効率化や売上アップを実現しやすくなることは、SFAを活用する代表的なメリットです。

CRM(顧客関係管理システム)

CRMは日本語で「顧客関係管理」と呼ばれる、顧客に関する情報を一元的に管理する仕組みです。顧客との関係性を維持し、顧客満足度の向上につなげることが目的です。CRMは営業部門だけでなく、カスタマーサポート部門など、社内で幅広く使われます。

CRMには以下の情報が蓄積され、社内で一元的に管理・共有されます。

・顧客の基本情報(会社名、住所、連絡先、担当者名など)
・過去の購入履歴
・契約中の製品やサービス
・問い合わせ内容や対応履歴

CRMの活用により、購入や契約後もシームレスな対応を行えます。適切なサポートを継続して実施でき、顧客満足度を向上できるでしょう。

また、顧客に関する情報をワンストップで蓄積することで、個々の顧客にメリットをもたらす製品・サービスを案内できることも、CRMならではのメリットです。

MA(マーケティングオートメーション)

MAは、マーケティング活動を自動化するシステムです。見込み客(リード)を効率的に獲得し、成約しやすい「ホットリード」を見つけて営業部門につなぎます。リードに対して適切な情報を提供し、貴社の製品やサービスへの関心を高めることも重要な目的です。

MAには、以下に挙げる3つの機能が備わっています。

1. 見込み客の獲得(見込み客に関する情報、問い合わせフォームの作成、広告やSNSとの連携機能など)
2. 見込み客の育成(ステップメールの配信、シナリオ機能など)
3. 営業部門に引き渡す見込み客の選別(スコアリング、アクセス解析、レポーティング・分析機能など)

MAを用いることで、リード獲得から営業部門へ引き渡すまでの過程を効果的に進められます。

成約可能性の高いリードに対して集中的に施策を打つことで、成約率や業績のアップを実現できます。

オンライン商談ツール

オンライン商談ツールは、インターネットを活用し、離れた場所にいる者どうしが画面を通して商談できるシステムです。現地に出向かなくても、相手の表情を見ながら会話できることが特徴です。そのほか、より良いコミュニケーションに役立つ以下の機能も備わっています。

・チャット機能
・資料の共有
・録音・録画機能
・会話の内容を要約

すぐに、顧客と対面して商談を行えることは、オンライン商談ツールの代表的なメリットです。商談終了後、すぐに、次の顧客と商談を行うことも可能。タイトなスケジュールにも対応でき、商談機会の最大化を実現できます。

遠隔地や海外の顧客といつでも商談できることも、オンライン商談ツールの強みに挙げられます。

移動時間を待つことなく必要なタイミングで商談を実施でき、出張費を削減できることも見逃せないメリット。業績の向上に寄与します。

BIツール

BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)は、企業や組織が蓄積する情報を分析し、業務の効率化や意思決定に役立てるツールです。

BIツールはデータを抽出し、集計や分析を行って結果を可視化する機能を備えています。代表的な機能は、以下のとおりです。

・データウェアハウスとの連携
・ETL機能(データを抽出し、加工し、目的のシステムに書き込む)
・OLAP分析(エンドユーザーが自らデータを分析するための機能)
・データマイニング機能(データの法則性を見つけ、今後起こり得る事象の確立を算出する)
・データの可視化やアウトプット(ダッシュボード、レポーティングなど)

BIツールの活用により、さまざまなデータをもとに根拠ある意思決定を行えます。グラフなどを使ってデータを可視化することも可能。分析などを専門家に依頼する手間と費用をかけずに済むケースも多いでしょう。

Excelを使って、データを加工したり、手動でグラフを作ったりする手間を省けることもメリットに挙げられます。
導入に関するお問合せ 資料請求

06

ツール導入だけでは失敗する!営業DX成功の鍵を握る「組織」と「人材」

営業DXに取り組むうえで、ツールの導入だけで課題解決が実現するわけではありません。成功につなげるためには以下に挙げる、組織や人材に関する取り組みも欠かせません。

・データを積極的に活用するよう、営業担当者の意識改革を進める
・社内のデータ分析スキルを向上する
・マーケティング部門など、部門間の連携を強化する

なかでも、経営陣のコミットメントとリーダーシップは重要です。これがないと営業部門に限ったDXにとどまり、効果が限定的となってしまうためです。

もし、「営業DXを進める意欲はあるが、ツールを使いこなせる人材がいない」という場合は、有効な対処方法があります。

ツールのベンダーやITコンサルタント会社などの支援を適切に受けることで、営業DXを実現することが可能です。
導入に関するお問合せ 資料請求

07

事例紹介:営業DXで売上・生産性を劇的に向上させた中小企業3選

ここからは、中小企業が営業DXで売上や生産性を劇的に向上させた3つの事例を紹介します。

事例1:コンサルティング業A社

A社は鹿児島県で、医療機関向けの病院広報支援サービスを提供しています。契約数が伸び悩んでいること、提案業務が担当者の経験や知識に頼っていたこと、度重なる顧客訪問により、従業員ひとりあたりの負荷が高くなることが課題でした。

これらの課題を解決する目的で、BIツールを導入しました。厚生労働省のオープンデータや国勢調査のデータなどをBIツールに投入し、町名単位での人口の分布や入院・外来患者数、診療圏などのデータ分析を行いました。

BIツールの活用により、以下の効果を得られました。

・顧客への提案品質の向上や契約数が増加した結果、売上が50%増加
・顧客訪問回数の減少や業務負荷の低減による、人件費の25%削減を実現

「DXは敷居が高い」と思い込まず、企業の基本である「業務の課題解決」「売上アップ」「人件費削減」にフォーカスしたことは、成功のポイントに挙げられます。

事例2:製造業B社

B社は岡山県で、金属加工やプラスチック製の部品などを設計・製造しています。2007年をピークに売り上げが減少し続けており、新規顧客もほとんど獲得できず、先行きが暗い状況でした。

業績向上につなげるため、2019年から自社のWebサイトを構築し、Google検索での上位表示を目指す取り組みを始めました。

・公的なサイトからの被リンク数を増やし、自社サイトの権威性を高める
・検索ユーザーが知りたい情報を得る(概算価格、納期、品質、自社の強みなど)
・製造業の経営者だからこそ語れる専門情報を、月1~2回掲載する

上記の取り組みを行った結果、以下の成果を得られました。

・問い合わせ数は1,000件超。約100社と商談し、13社と新規契約。既存顧客からの新規受注も実現
・売上が過去最高の水準に回復
・テレビ局からの取材により、知名度がアップ
・離職率の低下や採用に関する面接者数の増加

製造業は「Webで販促活動を行っても効果がない」と考えがちですが、この固定観念を打破しWebマーケティングに取り組んだことが成功につながりました。

事例3:小売業C社

営業DXは、個人経営に近い規模の企業でも実現できます。C社は福岡県の、印鑑を主な商材とする小売業です。店頭での営業活動を主体としていましたが、コロナ禍により業績への影響が避けられない状況となりました。加えてより多くの起業家との接点を作ることも課題でした。

C社はこの状況をMAツールの活用により打開するとともに、税理士や司法書士へのアプローチを重点的に実施しました。この結果、従業員2名の企業でありながら、17件もの問い合わせを獲得。3社からの受注を獲得しました。

「はんこ屋は対面での営業活動」という固定観念から転換して、積極的にオンラインでの営業を行ったこと、またニーズのある業種・職種にアプローチしたことは成功のポイントに挙げられます。

導入に関するお問合せ 資料請求

08

まとめ

これからの時代は、中小企業にこそ営業DXが求められます。販路の拡大や安定した売上の確保、売上や利益の最大化は、代表的なメリットに挙げられます。
まずは社内の課題を明確化し、目標を定めましょう。CRMやSFA、MA、オンライン商談ツールなどを活用し、DXに関する社内の意識づけや体制づくりを行うことで、貴社に合った営業DXを実現できます。同業他社との競争に勝ち抜き社業を発展させるためにも、できるところから営業DXに取り組んでみてはいかがでしょうか?
導入に関するお問合せ 資料請求

09

Slopebaseとは

バックオフィス業務の
支出管理を支援する、
支出管理クラウド

Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

導入に関するお問合せ 資料請求

この記事を書いた人

稗田恵一
大学ではAIの基盤となるニューラルネットワークについて学び、その後、IT業界14年、設備管理業務2年の経験を有する。うち10年間は会計・人事・給与業務のパッケージ企業において、企業向けのカスタマーサポートやシステム提案業務、自社のシステム管理業務に携わる。2017年より執筆業務を始め、BtoBの分野を中心に多数執筆。記事のわかりやすさには定評がある。 
田中雅人(ITコンサルタント
監修
田中雅人(ITコンサルタント

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM、等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

人気記事

カテゴリ