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【業種別】あの会社はこう変わった!業務効率化・ビフォーアフター事例6選
ここからは、特に参考となる事例を業種別にご紹介します。各社が直面していた課題構造を理解し、いかにしてそれを乗り越え、目覚ましい成果を上げたのか。そのプロセスを分析していきましょう。
【製造業】手書きと電話の受注業務をシステム化し、処理時間を80%削減
従業員50名規模のある部品メーカーは、製造業に根強く残る手書き書類や電話中心の受注業務に課題を抱えていました。
手書き伝票の読み間違いや基幹システムへの二重入力といったヒューマンエラーが頻発し、担当者2名が付加価値を生み出す業務に時間を割けない状況でした。
この状況を打開すべく、同社は安価なクラウド型受発注システムを導入しました。全取引先に一斉導入を求めるのではなく、まずは協力を得やすい数社から始める「スモールスタート」を徹底したそうです。自社担当者が取引先へ出向いて丁寧にシステムの操作説明を行う伴走支援も功を奏し、受注処理時間は1日5時間から1時間へと劇的に短縮し、転記ミスもゼロになりました。
捻出された時間で顧客フォローを強化し、満足度向上にも繋がった好循環の事例です。
【卸売業】Excel在庫管理から脱却し、欠品・過剰在庫を大幅削減
従業員30名規模の食品卸売業者では、Excelで在庫管理を行っていましたが、随時更新のタイムラグで在庫差異が常態化し、欠品による機会損失と過剰在庫による廃棄ロスがキャッシュフローを圧迫していました。
そこで同社は、ハンディターミナルで検品可能なクラウド型の在庫管理システム(WMS)を導入しました。現場スタッフが直感的に使えるシンプルなシステムを選定し、導入前に倉庫のロケーション管理ルールを整備したことが定着につながりました。
結果、欠品による機会損失は10%減、廃棄ロスは半減し、3日かかっていた棚卸作業も半日で完了しました。
経営者が「在庫の見える化」の重要性を理解し、導入を強力に推進したことが成功の要因といえるでしょう。
【建設業】情報共有アプリで現場と事務所を繋ぎ、報告書作成時間を半減
複数の現場を抱える従業員20名規模の工務店では、現場と事務所の物理的な距離が情報伝達のボトルネックとなっていました。
現場監督は、帰社後に日報作成や資料整理に追われ、電話連絡は「言った・言わない」のトラブルを招きがちでした。この課題に対し、スマートフォンで使える現場管理アプリを導入、写真や図面、日報をリアルタイムで共有できる仕組みを構築しました。ITに不慣れな職人も使えるよう操作性の高いアプリを選び、「メリットを職人でもわかるように伝えたことで、現場への周知が滞りなく進められました。
報告書作成時間は、1人あたり1時間から20分に短縮され、無駄な移動コストも削減されました。結果として、施工品質の向上にも繋がりました。
【サービス業(士業)】自社で案件管理アプリを開発し、生産性1.5倍
従業員15名の士業事務所では、担当者ごとに案件管理方法が異なり、業務が属人化・ブラックボックス化していました。担当者不在時に顧客対応が滞るなど、サービスの質にも影響が出ていました。
そこで、自社の業務に合わせてアプリを構築できるノーコードツールを導入し、顧客情報から案件進捗、タスクまでを一元管理する仕組みを構築しました。
最初から完璧を目指さず「案件管理」という最重要課題に絞ってスモールスタートし、所長自らが率先してツールを活用することで、その有効性を発信し続けました。
結果、情報検索の時間が激減し、事務所全体の生産性は1.5倍に向上しました。
【小売業】勤怠管理のクラウド化で、経理担当者の残業ゼロを実現
複数店舗を展開するアパレル販売店は、紙のタイムカードによる勤怠管理に多大な労力を費やしていました。月末になると各店舗から郵送されたタイムカードを経理担当者が手作業で集計・転記しており、締め日周辺の残業が常態化していました。
この非効率を解消するため、スマートフォンで打刻でき、労働時間が自動集計されるクラウド勤怠管理システムを導入。削減される人件費を試算して費用対効果を明確にし、経営陣の意思決定を後押ししました。
結果、勤怠締め作業は月間40時間から3時間へと90%以上削減され、経理担当者の残業はゼロになりました。
正確な勤怠管理が従業員の権利を守ることにも繋がると丁寧に説明し、現場の理解を得たことが円滑な導入に繋がりました。
【IT・Web制作】コミュニケーションをチャット中心に移行し、意思決定を迅速化
社内コミュニケーションが、旧態依然としたメールと会議に依存していたWeb制作会社の事例を紹介します。重要な情報がメールの渦に埋もれ、進捗確認のためだけの会議がエンジニアの集中力を削いでいました。
このボトルネックを解消すべく、ビジネスチャットツールを導入し、コミュニケーションの主軸に据えました。重要なことをツール導入だけでなく、チャットに重きをおき経営層が率先して醸成したことです。
明確な運用ルールを設定した上で、雑談チャンネルなどを設けて心理的安全性を確保しました。結果、社内メールは7割減、会議時間は半減し、ある調査と同様に業務効率の向上が見られました。
クライアントへのレスポンスも迅速化し、顧客満足度向上に貢献した事例です。