時間短縮を実現するタイムマネジメント術~ムダな会議・メール・残業を撲滅しよう~

本記事は2025/07/31に更新しております。
時間短縮を実現するタイムマネジメント術~ムダな会議・メール・残業を撲滅しよう~
中小企業が抱える課題のひとつに、慢性的な時間不足があります。長時間労働、非効率な会議、膨大なメール対応といったムダな時間は、組織の生産性を低下させる要因です。
本記事では、管理職が実践すべきタイムマネジメント術を紹介します。限られたリソースで成果を最大化するため、組織全体の時間効率を高める具体的な方法をみていきます。

01

なぜあなたの会社はいつも時間に追われるのか?タイムマネジメント不足の深刻な影響

時間は、企業にとって最も貴重な経営資源のひとつです。しかし、時間管理は容易ではありません。多くの職場で、時間不足が深刻化し、タイムマネジメントの重要性が高まっています。時間に追われることで生じる影響を整理し、対策を検討していきましょう。

生産性の低下

時間に追われる職場では、業務の質より量が優先されがちです。事務的な処理が増え、重要な課題解決や創造的な業務が後回しになります。

結果として、付加価値の低い作業に時間を費やすことになり、全体の生産性が低下します。

残業コストの発生

タイムマネジメントが不十分な環境では、残業が常態化しやすくなります。人件費の増加だけでなく、疲労によるパフォーマンス低下や遅刻欠勤などの見えないコストも無視できません。
時間管理への意識が低下し、非効率な業務が悪循環を生む可能性があります。

残業による寝不足や健康管理の低下によりパフォーマンスが低下し、業務の非効率化などの悪循環を生む可能性があります。

従業員の疲弊・離職リスクの増大

長時間労働により、従業員の心身に負担がかかることで、モチベーションやエンゲージメントの低下につながります。

達成感が得られない状況が続くと離職を考える従業員が増え、より良い職場を求めて流出することが懸念されます。

イノベーションの停滞

目の前の業務に追われる環境では、新しいアイデアを生み出す余裕が失われます。

業務プロセスの改善や新規事業の検討など、中長期的な取り組みが後回しになり、組織の成長が鈍化する要因となります。

マネジメント機能の低下

管理職が時間に追われると、戦略立案や人材育成など、本来のマネジメント業務の時間を確保できません。

結果として、場当たり的な指示が増え、チームのパフォーマンスにも悪影響を及ぼしてしまいます。
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02

あなたの職場にも潜む!代表的なムダな時間とその原因

日々の業務の中で、気づかないうちに多くの時間が奪われてます。何に時間を取られているのか、チェックリスト形式で確認してみましょう。

【あなたの職場は大丈夫?ムダな時間チェックリスト】

種類 具体的な状況 チェック
会議・打合せ 目的が不明確な定例会議が週に3回以上ある
時間通りに終わる会議がほとんどない
結論や次のアクションが曖昧なまま終わることが多い
メール・チャット 1日50通以上のメールが来る
全員宛の連絡やFYIが多い
即レスが求められる文化がある
探し物・資料の重複 必要な情報がどこにあるかわからず、探すことが週に数回ある
似たような資料を何度も一から作っている
他部署が持っているはずのデータを自分たちでも集めている
手戻り作業 曖昧な指示や解釈の違いによるやり直しが頻発する
複数の人からの指示や修正依頼が矛盾することがある
上司のOKをもらった後でも修正が入ることが多い
割り込み業務 計画していた業務が突発的な依頼で中断されることが多い
緊急度の低い質問でも対面や電話で割り込まれる
断れない文化や慣習がある
承認プロセス 簡単な決裁でも3名以上の承認が必要なものがある
承認者が不在の場合の代理ルールが定まっていない
決裁書類や申請が承認者で滞留することがある
マルチタスク 複数の仕事を同時並行で進めることが日常的にある
一つの仕事に集中できる環境がない
その他 過去のやり方を継続したまま、新しい手法を取り入れない
社内報告資料の作成に時間がかかり過ぎている

ムダな時間が発生する主な原因

優先順位や目標が不明確

何が重要で、どこに時間をかけるべきかの判断基準が定まっていないため、全ての業務が同列に扱われます。本来注力すべき業務に十分な時間を割けません。

前例踏襲主義と変化への抵抗

従来通りのやり方に固執し、非効率な作業や不要なプロセスを継続してしまう状況です。過去の慣習が正しいとされる文化が、業務改善を妨げる要因になります。

コミュニケーション不足

情報共有ルールが不明確で、コミュニケーションのムダが発生してしまう状態です。情報の検索や確認に必要以上の時間を費やしてしまいます。

他にも、デジタル化やツール導入の遅れによる手作業や重複したデータ入力作業の標準化ができていないことによる属人化 なども、日常業務に潜む時間のムダを生んでいる可能性があります。

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03

【ムダを撲滅 その1】形骸化したムダ会議を根絶する!生産性を高める会議運営術

会議は運営の仕方次第で、生産的な場にも時間のムダにもなります。特に管理職は、連日のように会議に拘束され、本質的な業務に十分な時間を割けないことも多いでしょう。
ルールを明確に定めることで、会議の質を向上させ、生産性を高めることが可能です。

会議前:開催判断と準備の徹底

まず、会議開催の必要性を慎重に見極めましょう。テキストのやり取りで済む内容であれば会議は不要です。情報共有が目的なら、資料配布など別の方法を検討しましょう。
また、参加者を最小限に絞ることも開催判断の1つです。聞いている時間が長い会議は、参加者の時間を奪うだけです。
開催前にアジェンダや資料を共有し、参加者が事前に目を通せるようにします。

目的や検討事項を明記し、準備を徹底しましょう。

会議中:時間管理と活発な議論

会議が時間通りに進まない、結論も曖昧なまま終わるといった問題はよく起こります。対策として、冒頭で会議が終了する条件を具体的に示し、会議中アジェンダを常に確認できる状態にしておくことが有効です。

会議の目的を決めることで、話が脱線することを防ぎ、進むべきゴールを意識して議論を進められます。

会議後:決定事項の実行とフォロー

会議終了後には、速やかに決定事項とタスクを議事録にまとめ共有します。

誰が何をいつまでに実行するのかを具体的に記載し、アクションアイテムをタスク管理ツールに登録するなど、定期的に進捗を確認しましょう。

参加者の準備と責任

参加者側のルールも定めましょう。資料は事前に目を通して、出席者として自分がどのような役割を果たすべきかを考えておくことが大切です。

もし、自分の参加が必要ないと判断した場合は、出席を見送る選択も検討するべきです。
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04

【ムダを撲滅 その2】膨大なメール・チャット対応から抜け出す!コミュニケーション効率化術

ビジネスにおいてメールやチャットは欠かせないツールですが、使い方を誤ると膨大な時間を奪われかねません。1日の受信メール数は平均50通にのぼると、そのメール内容の詳細把握や確認することも必要になり、その処理にかなりの時間を擁します。管理職ともなると、メール対応はさらに多いと考えられます。
メールとチャットの効率的な運用方法を解説します。

1.メール処理の基本ルール

メールを開封したら必ず完結させるルールを徹底しましょう。

2分以内で処理可能 → 即対応
他者へ委任 → 速やかに転送
対応不要なもの → アーカイブ
後で対応する必要があるもの → 予定に組み込む

このルールを守ることで、同じメールを何度も開く時間のムダを削減できます。
メールチェックの時間を決めておくことも重要です。受信する度に確認するのではなく、決まった時間にまとめて処理することを原則とします。集中作業時間はメールソフトを閉じることも効果的です。

2.メール作成の効率化

用件がスムーズに伝わるように、件名の書き方を工夫します。件名の最初に【見積り依頼】、【承認依頼】など、受信した相手が件名を見て何のメールかわかるように具体的かつ簡潔な内容を記載しておくとよいでしょう。
本文の書き方、構成も意識して作成します。「結論→理由→詳細」の順序で記述し、改行や段落を活用しながら視覚的にも読みやすいメールに仕上げましょう。頻繁に使う内容は、テンプレート化しておくと便利です。

3.チャットツールの活用

目的別にグループを分け、不要な通知はオフにしましょう。集中作業中はステータスを取込中とする、返信不要のメッセージについてはリアクションボタンだけで反応するなどして、対応のオンオフの切り替えを持つようにしましょう。ルールを明確に定めることが大切です。

チャットとメールの活用例
項目 メール チャット
情報の重要度 重要な決定事項、正式な承認 日常的な確認や相談
返信の緊急度 24時間以内の返信で十分 数時間以内の返信が必要
内容の複雑さ 複雑な説明、添付資料が多い 簡潔な質問や回答
関係者の数 多数の関係者へ一斉連絡 少人数でのやり取り
記録の必要性 正式な記録として残すべき内容 一時的な記録
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05

【ムダを撲滅 その3】慢性的な残業を撲滅!業務効率化と仕組み作り

残業はやむを得ないものと思われがちですが、業務の見直しと仕組み作りによって削減できます。単なるコスト削減ではなく、従業員のモチベーション向上、生産性アップ、優秀な人材の定着にもつながる重要な経営課題です。

1.タスクの優先順位づけ

全てのタスクを緊急度と重要度の2軸で分けて整理します。業務改善や戦略検討など、緊急ではないが重要な業務は、計画的に時間を確保することで大きな成果につながります。

アイゼンハワーマトリクス

2.集中時間の確保

1日のうち決まった時間を集中タイムとして、自分の予定を全体に共有します。集中タイムはチャットの通知をオフにし、集中できる環境を整えましょう。特に脳が活性化しやすい午前中に設定すると、より高いパフォーマンスが期待できます。

3.ツールの活用

RPAやAIツールを導入・活用することで、定型的・反復的な業務を自動化することで残業時間を削減できます。データ入力やレポート作成など、単調な定型業務からRPAやAIツール導入を始め、段階的に適用範囲を拡大することで、無理のないツールの活用が実現します。

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管理職自身の時間管理スキルをアップデートする

管理職は、部下やチームの時間管理に意識を向けがちですが、まずは自分自身の時間管理スキルを磨くことが重要です。管理職の行動や習慣は、組織全体に影響を与えるため、率先して効率的な時間の使い方を実践しましょう。

権限委譲の推進

自分でやった方が早いと感じても、長期的な視点で権限委譲を計画的に進めることが大切です。部下の成長に合わせて、次の5段階を意識して進めましょう。

1.指示・監督 詳細な指示と進捗の確認を行う
2.概要指示・報告 大枠を示し、定期的な報告を受ける
3.提案・承認 部下から提案を受け、承認する
4.事後報告 部下が自律的に実行し、結果報告を受ける
5.完全委任 特定の業務は完全に任せ、必要に応じて報告を受ける

部下の育成を通した時間創出

優秀な部下を育てることは、長期的にみて時間創出に直結します。上司は部下にOJTを中心に、業務の目的や背景を伝え、やり方だけでなく考え方も共有します。
部下のレベルや状況に合わせて、スキルや知識を教えるティーチングと、質問や対話を通じて相手の考えを引き出し、自律的な行動を促すコーチングを使い分けましょう。

自己研鑽と戦略思考のための時間確保術

管理職にとって、自らの学びや戦略を考える時間の確保は最優先事項です。しかし、日々の業務に追われ、後回しになってしまうことも多いでしょう。
意識的に時間を確保するためのテクニックを3つ紹介します。

1.学びの習慣化

出社前の30分を読書や動画学習に充てる朝活や、通勤時間を利用したオーディオブックやポッドキャストのリスニングなど、日々のルーティーンに学びを取り入れます。インプット3に対してアウトプット7のバランスを意識すると学びの理解が深まります。

2.戦略思考タイムの設定

週単位で振り返りを行い、次の計画を立て、月に1回は現場から完全に離れる日を作るなど、広い視野で組織をみる時間を確保しましょう。ワーケーションなど、普段と異なる環境で戦略を練る時間を設けることも有効です。

3.デジタルデトックスの実践

デジタルデトックスとは、情報過多による思考の偏りや停滞を防ぐために、パソコンやスマートフォンから距離を置く手法です。1日のうちの決めた時間だけ、全ての通信機器の通知をオフにして、心身のリラックス状態を作ります。リラックス状態で紙やペンを用いてアナログな手法で思考を整理することで、思いがけない新たなアイデアを引き出すヒントに気づくこともあります。

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07

チーム・組織全体の時間意識を高めるマネジメント

個人の時間管理スキルを磨くだけでは、組織全体の生産性向上にはつながりません。管理職として、チームの時間に対する意識と効率を高める仕組み作りが求められます。

チーム内コミュニケーションの最適化

情報共有の質により、チーム全体の時間効率は大きく変わります。以下のポイントを意識してムダのないコミュニケーションを促進しましょう。

①情報共有ルールの明確化

誰に・どのような情報を・いつ・どの手段で共有するかをルール化します。例えば、緊急事態の情報であれば、チーム全員に、即時、専用チャットで共有するといった方法です。

②報告の3分ルールの導入

口頭での報告は3分以内に完結させるルールを徹底します。このルールにより、報告者の思考の整理を促し、冗長な報告による時間のロスを防げます。3分を超える内容は、詳細資料を事前に共有したうえで報告するよう習慣化しましょう。

③質問・相談フォーマットの標準化

論点が明確に整理されていない質問・相談は、回答する側の時間を奪います。以下のポイントで整理するフォーマットを導入しましょう。

状況 現在の背景や経緯
課題 何に困っているのか、解決したいこと
自分の答え 考えられる対応策や仮説
質問 求めたいアドバイスや判断

業務進捗の可視化による時間管理

見えない仕事は適切に管理できません。チームの業務状況を可視化することで、ボトルネックの特定や効率的なリソース配分が可能になります。
例えば、ホワイトボードやタスク管理ツールを活用して、ステータス・担当者・優先度・期限・対応状況などをチーム全員が確認できる状態にしましょう。

個人タスクの開始時間と終了時間を記録し、各作業にかかる時間を把握することで、メンバーの時間管理意識が高まります。

時間管理の組織文化の構築

時間に対する意識は、チームの文化として根付かせることが重要です。処理時間や効率化の指標を各自の評価項目に加え、施策提案制度の仕組みを取り入れるなど、定期的に振り返りながら改善を積み重ねます。

また、時間管理に関する研修や勉強会の実施も有効です。タイムマネジメントの重要性や具体的なテクニックについて、全従業員の意識とスキル向上を図ります。
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08

まとめ

時間短縮を実現するタイムマネジメントは、中小企業の競争力を強化する経営戦略のひとつです。会議・メール・残業というムダな時間を削減するには、管理職が率先して時間管理スキルを磨き、権限委譲や部下育成を通じて組織全体の時間効率を高めることが大切です。
さらに、情報共有ルールの明確化や業務進捗の可視化、ツール導入を組み合わせることで、継続的に時間を創出し、全体のパフォーマンス向上につながります。
具体的な施策をひとつずつ実践し、時間に追われる組織から時間を生み出す組織への変革を目指しましょう。
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この記事を書いた人

赤峯豪
BtoB専門ライター。通信事業会社・大手IT企業で16年間、BPR(業務プロセス改革)や予算管理業務に携わる。在職中に独学で簿記2級を取得。DX・RPAを含むオペレーション改善を幅広く企画・実行。その後、売上高1,300億円規模の経営企画・予算管理業務に従事。ライター転身後は、BtoB向け記事、ホワイトペーパー、LPの執筆・制作を中心に手がけている。
佐藤大輔
監修
佐藤大輔

長年、経理業務に携わり、毎年の店舗の水道光熱費の使用料や過剰に使用している店舗への注意喚起などを促し赤字店舗の改革に努めた。また、企業のDX導入にも携わり、職員勤怠の電子化など、業務効率化を積極的に推進。現在は、企業コラム記事などを中心に年間100記事ほど執筆・監修を行っている。

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