バラバラなデータをひとつに!データ統合で経営判断の精度を高める方法

本記事は2025/11/25に更新しております。
バラバラなデータをひとつに!データ統合で経営判断の精度を高める方法
企業や組織では、日々の業務で販売データや顧客情報、会計記録、Webサイトのアクセス解析など、さまざまな種類のデータを扱っています。これらのデータが異なるシステムやファイルに保管され、必要なときにすぐに使えず困った経験がある方も多いのではないでしょうか。

こうしたバラバラのデータをひとつにまとめて、経営判断の質を高めるのが「データ統合」です。中小企業においても、正確なデータに基づく迅速な意思決定が競争力の向上に直結します。

本記事では、データ統合の基本的な考え方や必要性、導入によるメリット、導入プロセス、具体的な活用事例をわかりやすく解説します。

01

「あのデータはExcel、こっちはシステム…」あなたの会社のデータ、散らばっていませんか?

多くの中小企業では、部門ごとに異なるツールや形式でデータを管理しています。例えば、販売管理はExcel、顧客情報はCRMツール、経理は会計ソフト、Webサイトや広告の効果はそれぞれ別の解析ツールで確認といったように、「データがバラバラの状態」は、実は多くの企業に共通する課題です。

どれだけデータを蓄積しても、それらが連携していなければ、会社全体の流れやデータ同士の関連性を把握することはできません。その結果、「勘や経験」に頼った経営から抜け出せず、正確な判断や改善策が打ち出せない状態に陥ってしまうでしょう。

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02

データ統合とは? なぜ今、中小企業にも必要なのか?

データ統合とは、会社に散らばるさまざまなデータを集約・整理し、分析や利用がしやすい状態に整えることです。これにより、誰でも必要な時に、同じ形式でデータを活用できるようになります。

ビジネス環境の変化が激しい今、勘や経験だけに頼った判断では限界があります。正確なデータに基づいて意思決定を行う「データドリブン経営」は、客観的なデータで素早く正確な判断を可能にし、会社の競争力を高めます。データ統合は、このデータドリブン経営の「土台」となるものです。

また、「資金やIT人材が少ない」という中小企業特有の課題に対しても、現在は、クラウド型のデータ統合ツールの普及など、低コストで導入しやすい環境が整っています。

これにより、中小企業でも現実的かつ効果的にデータ活用を進められるでしょう。

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データ統合がもたらす4つの経営インパクト

データ統合は、単にデータを集めるだけでなく、中小企業の経営や業務に具体的な変革をもたらします。ここでは、その中でも特に重要な4つのメリットをご紹介します。

メリット1:経営状況の「解像度」が上がり、全体像を正確に把握できる

各部門に散在していた情報を統合することで、個々のデータの関連性や傾向が明らかになります。

例えば、どの広告を見た顧客が、どの商品を買い、どれくらいリピートしているか、といった詳細な顧客の動きを把握することが可能です。これにより、売上や利益の本当の理由がわかり、確度の高い戦略を立てられます。

メリット2:データに基づいた「確かな」意思決定が可能になる

客観的なデータ分析の結果に基づき、マーケティング、営業、新商品開発、在庫管理など、より確実な意思決定ができるようになることも大きなメリットです。例えば、顧客の購買履歴とWebサイトの行動履歴を分析することで、次に求められる商品やサービスを予測し、効果的なキャンペーン施策を打ち出せます。また、問題の発見や改善もスピーディーに行えます。

メリット3:データ収集・レポート作成の手間が激減し、業務が効率化される

これまで手作業で行っていたデータ集計やレポート作成が自動化されることで、作業時間と人的コストを大幅に削減できます。その分、従業員はデータ分析や顧客対応といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。これは、人手不足の中小企業にとって、大きな業務効率化につながるメリットです。

メリット4:隠れた顧客ニーズや新たなビジネスチャンスを発見できる

異なる種類のデータを組み合わせて分析することで、これまで見過ごしていた顧客ニーズや、新たなビジネスチャンスを捉えることが可能です。

例えば、乳酸菌飲料を扱う企業が、購買データと気象データを掛け合わせて分析して販売戦略を変更したところ、売上を15~20%増やした事例もあります。このように、データの活用は競合より一歩先を行く製品開発やサービス改善のヒントにもつながるでしょう。

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データ統合ってどうやるの? 中小企業向け基本ステップとポイント

企業や組織がデータ統合を導入する際には、一度にすべてを完璧に行う必要はありません。まずは目的を明確にし、段階的に取り組むことが成功のポイントです。ここでは、中小企業が無理なく始められる5つの基本ステップを説明します。

ステップ1:目的の明確化

最初に行うべきことは、「データを統合し、何を実現したいのか」という目的を明確にすることです。

例えば、以下のような目的が想定されます。

・売上データと広告データを連携させて、広告の費用対効果を知りたい
・営業活動と受注状況を可視化し、パフォーマンスを把握したい
・顧客ごとの購入履歴を整理して、リピーター施策を強化したい

課題や目的を具体的にすることが、後の工程をスムーズに進める上で重要です。

目的が曖昧なまま進めてしまうと、どのデータを使えばよいのかが不明瞭になり、結果的に活用できないという事態になりかねません。

ステップ2:必要なデータの特定と所在確認

目的が決まったら、それを実現するために必要なデータを洗い出しましょう。

例えば、広告効果を測定したい場合は、以下のような情報が必要です。

・Web広告のクリック数(Google広告など)
・自社サイトのアクセス状況(Googleアナリティクス)
・売上情報(販売管理ソフトやPOSレジ)
・顧客情報(ExcelやCRM)
これらのデータが「どのシステムやファイルに存在しているか」「誰が管理しているか」「どのような形式で保存されているか」などを一覧にしておくと、後の作業が効率的になります。

ステップ3:データの収集と前処理

データがあちこちに点在している場合、それらを一カ所に集めるだけでなく、形式や表記の違いを統一する必要があります。この工程は、「データの前処理」と呼ばれ、精度の高い分析を行うために欠かせません。

具体的な作業は、以下の通りです。

・表記のゆれを統一する(例:「ABC123」「ABC123」「abc123」を「ABC123」に統一)
・日付のフォーマットを揃える(例:2025/6/1とJune 1, 2025を統一)
・重複や誤入力を削除する(例:同じ顧客の2重登録など)
こうした前処理を丁寧に行うことで、統合後のデータの「精度」が保たれ、正確な分析ができるようになります。

ステップ4:統合データの保管場所の準備

整えたデータは、安全かつ扱いやすい場所に集約しましょう。中小企業では、以下のようなクラウドサービスが多く利用されています。

・クラウド型のデータベース(例:Google BigQuery、Amazon Redshiftなど)
・特定部門向けに絞った「データマート」
・あらゆるデータ形式をそのまま保存できる「データレイク」

近年は、クラウドサービスの進化により、初期費用を抑えてスモールスタートできる環境が整ってきました。

データの安全性や拡張性、操作性なども考慮し、最適な保管先を選定することが重要です。

ステップ5:データの分析と可視化

最後に、統合したデータをグラフや表、ダッシュボードなどの形式で見える化し、日々の意思決定や改善活動に活用します。

この際に役立つのが、BI (ビジネスインテリジェンス)ツールです。代表的なBIツールには、以下のようなものが挙げられます。

・Tableau:直感的な操作で美しいグラフが作れる
・Power BI:Excelと連携しやすく導入が容易
・Looker Studio:Googleサービスとの相性が良く無料で使える
例えば、「今月の売上目標に対する進捗」「広告ごとの反応率」「営業チームごとの受注率」などがリアルタイムで確認できるようになり、よりスピーディーな経営判断が可能なります。

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中小企業がデータ統合を成功させるための「始め方」

データ統合に取り組む際は、最初からすべてを同時進行するのではなく、小さな範囲から始める「スモールスタート」が成功のポイントです。例えば、「マーケティングの効果測定に必要なデータだけを連携させる」といった具体的な目標から始めましょう。

スモールスタートのメリットは、費用や時間を抑えつつ、早く成果を出せることです。特に、クラウドサービスを活用することで、高額な初期投資や専門的な運用管理が不要で、予算が限られる中小企業でも導入しやすくなります。

小さな成功を積み重ねることで、データ活用の文化が会社全体に広がっていくでしょう。

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データ統合に役立つツール紹介(中小企業向け)

データ統合を実現するためには、いくつかのツールを組み合わせて使用する必要がありまます。主なツールとして、ETLツール、DWHサービス、BIツールの3つがあり、それぞれ異なる役割を担います。各ツールの詳細をみていきましょう。

ETL (Extract, Transform, Load)ツール

ETLツールは、複数のシステムやファイルに散在する多様な形式のデータを「抽出(Extract)」し、分析しやすいように「変換(Transform)」、統合データの保管場所へ「格納(Load)」するという一連の役割を担います。データ統合の「前処理」を自動化し、データの品質と一貫性を保つ上で欠かせないツールです。

DWH (Data Warehouse)サービス

ETLツールで収集・前処理されたデータを、分析に特化した形で一元的に保管するのが、DWHサービスです。分析に特化したデータベースで、クラウド型のDWHサービスが主流です。自社でサーバを用意する必要がなく、初期費用を抑えられる上に、運用管理の負担も軽減できます。また、将来的にデータが増えた場合にも柔軟に容量を増やせるため、拡張性や柔軟性が高いことも特徴です。

BIツール

BIツールは、DWHに蓄積された統合データを分析し、グラフやダッシュボードなどで分かりやすく「可視化」するツールです。経営状況の把握や課題の早期発見、意思決定の迅速化を支援します。

同ツールでは、専門的なスキルがない場合でも、直感的な操作でリアルタイムに業績を確認できるため、経営層や現場の担当者が素早く的確な意思決定を行うのに役立ちます。

ツールカテゴリ 主な役割 特徴
ETLツール データの収集・変換・転送 複数のデータソースから情報を取り出し、使いやすい形に変換して保管先に送る
DWHサービス データの保管 大量のデータを整理して保管し、高速に検索・分析できる仕組み
BIツール データの分析・可視化 統合されたデータをグラフや表で表示し、経営判断を支援する

ツール選定のポイント

ツールを選定する際は、以下のポイントを総合的に考慮することが重要です。

・目的適合性:自社のデータ統合の目的(ステップ1で明確化した内容)を達成できる機能が搭載されているか
・使いやすさ:IT専門家でなくても、現場の従業員が直感的に操作できるか
・連携性:現在利用しているシステムやファイル(販売管理、会計、CRM、Excelなど)とスムーズに連携できるか
・コスト:初期費用だけでなく、月額利用料やデータ量に応じた従量課金など、長期的な運用コストが予算に見合っているか
・サポート:導入後の技術的なトラブルや運用上の疑問に対し、ベンダーからの手厚いサポートが受けられるか

これらの観点から、自社に合ったツールを選定することで、データ統合の成功確率を高められるでしょう。必要に応じて、無料トライアルやデモを活用することも有効です。

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事例紹介:データ統合で経営判断が変わった中小企業3選

データ統合の取り組みは、具体的な経営成果に直結します。ここでは、実際にデータ統合を行うことで、売上増加やコスト削減、顧客満足度向上といった成果を得た中小企業の事例を、業種別にご紹介します。

製造業A社:付加価値の見える化で価格戦略を最適化

金属加工を手掛けるA社では、業務効率や価格設定の根拠の不明確さに課題を抱えていました。特に、取引先ごとの付加価値、すなわち「粗利を製造工数で割った金額」が不明確であったため、価格の決定は担当者の経験や勘に依存していたといいます。

そこでA社は、生産管理を可視化するシステムを導入し、各製造工程の作業データをリアルタイムで収集・一元管理できる体制を整備。これにより、製造工数と粗利を取引先別に紐付けて、付加価値を自動的に算出する仕組みが実現されました。

その結果、業務全体の効率が向上し、残業時間が約2割削減されただけでなく、各取引先の収益性が明確になったことで、価格設定の際に客観的な根拠をもとに判断できるようになりました。

さらに、付加価値の指標は経営上のKPIとしても活用されるようになり、企業全体が収益性の最大化を意識した経営へとシフトしています。

小売業B社:顧客行動の分析で販促効果を最大化

小売業を営むB社では、実店舗とオンラインストアを並行して運営していましたが、それぞれの顧客データが、別々に管理されており、顧客の全体像を把握できていませんでした。そのため、効果的な販促施策を打てず、見えない機会損失が発生している懸念がありました。

B社は、実店舗のPOSデータ、オンラインの購買履歴、Webサイトの閲覧履歴、さらには、問い合わせ内容などをひとつに統合管理できる基盤を構築。これにより、顧客一人ひとりの行動や興味・関心を多角的に分析できるようになりました。

導入後は、「どの広告を見た顧客が、どの販売チャネルで、どの商品を、どのくらいの頻度で購入しているのか」といった詳細な購買傾向が、可視化されるようになりました。具体的には、「ある顧客がオンラインで商品を閲覧した後、実店舗で関連商品を購入している」といった傾向が見えるように。これをもとに、オンラインとオフラインを連携させた販促キャンペーンを展開したところ、顧客のリピート率が向上し、売上にも良い影響が出ました。

感覚に頼っていた従来の施策から脱却し、データドリブンなマーケティングを実現した事例といえるでしょう。

サービス業C社:業務プロセスの見える化と効率化で生産性向上

サービス業を営むC社では、紙ベースの業務管理が中心で、業務の進捗や対応状況が把握しにくく、属人化が進んでいました。このため、業務の効率が上がらず、生産性にも悪影響を与えていました。

C社はまず、外部のIT専門家と連携しながら経営方針を整理。その上で、紙によって管理されていた業務プロセスをクラウドシステムへと移行し、顧客からの問い合わせ履歴、サービス提供履歴、作業員のスケジュールなどを統合して管理する体制を整備しました。

こうしたデータ統合の取り組みにより、業務の属人化が解消され、担当者でなくとも業務の進捗状況をリアルタイムで確認できる体制が実現。手作業によるデータ入力や転記作業も大幅に削減され、全体の業務効率が向上しました。

従業員は、繰り返しの単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになったことで、企業全体の生産性が上がり、運用コストの削減にもつながっています。

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まとめ

データ統合を実現することで、業務効率の向上や精度の高い意思決定が可能になります。単に情報を集約するだけではなく、中小企業の経営や日々の業務に、以下のようなメリットをもたらします。

・経営全体の状況を高精度で把握できる
・感覚に頼らず、信頼できる意思決定が可能に
・データ収集やレポート作成の工数を削減
・潜在的なニーズや新たな収益機会を見つけやすくなる

まずは、自社が抱えている課題を明確にし、それに対して必要なデータを整理することから始めましょう。ETLやBIツールの活用により、データの集約・分析が効率化されます。特にクラウドサービスを活用することで、専門的なIT人材が不足していても、小規模から手軽に導入できます。

企業のデータという資産を活かし、次の成長ステージへと踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。 
北川 希
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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