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データ統合ってどうやるの? 中小企業向け基本ステップとポイント
企業や組織がデータ統合を導入する際には、一度にすべてを完璧に行う必要はありません。まずは目的を明確にし、段階的に取り組むことが成功のポイントです。ここでは、中小企業が無理なく始められる5つの基本ステップを説明します。
ステップ1:目的の明確化
最初に行うべきことは、「データを統合し、何を実現したいのか」という目的を明確にすることです。
例えば、以下のような目的が想定されます。
・売上データと広告データを連携させて、広告の費用対効果を知りたい
・営業活動と受注状況を可視化し、パフォーマンスを把握したい
・顧客ごとの購入履歴を整理して、リピーター施策を強化したい
課題や目的を具体的にすることが、後の工程をスムーズに進める上で重要です。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、どのデータを使えばよいのかが不明瞭になり、結果的に活用できないという事態になりかねません。
ステップ2:必要なデータの特定と所在確認
目的が決まったら、それを実現するために必要なデータを洗い出しましょう。
例えば、広告効果を測定したい場合は、以下のような情報が必要です。
・Web広告のクリック数(Google広告など)
・自社サイトのアクセス状況(Googleアナリティクス)
・売上情報(販売管理ソフトやPOSレジ)
・顧客情報(ExcelやCRM)
これらのデータが「どのシステムやファイルに存在しているか」「誰が管理しているか」「どのような形式で保存されているか」などを一覧にしておくと、後の作業が効率的になります。
ステップ3:データの収集と前処理
データがあちこちに点在している場合、それらを一カ所に集めるだけでなく、形式や表記の違いを統一する必要があります。この工程は、「データの前処理」と呼ばれ、精度の高い分析を行うために欠かせません。
具体的な作業は、以下の通りです。
・表記のゆれを統一する(例:「ABC123」「ABC123」「abc123」を「ABC123」に統一)
・日付のフォーマットを揃える(例:2025/6/1とJune 1, 2025を統一)
・重複や誤入力を削除する(例:同じ顧客の2重登録など)
こうした前処理を丁寧に行うことで、統合後のデータの「精度」が保たれ、正確な分析ができるようになります。
ステップ4:統合データの保管場所の準備
整えたデータは、安全かつ扱いやすい場所に集約しましょう。中小企業では、以下のようなクラウドサービスが多く利用されています。
・クラウド型のデータベース(例:Google BigQuery、Amazon Redshiftなど)
・特定部門向けに絞った「データマート」
・あらゆるデータ形式をそのまま保存できる「データレイク」
近年は、クラウドサービスの進化により、初期費用を抑えてスモールスタートできる環境が整ってきました。
データの安全性や拡張性、操作性なども考慮し、最適な保管先を選定することが重要です。
ステップ5:データの分析と可視化
最後に、統合したデータをグラフや表、ダッシュボードなどの形式で見える化し、日々の意思決定や改善活動に活用します。
この際に役立つのが、BI (ビジネスインテリジェンス)ツールです。代表的なBIツールには、以下のようなものが挙げられます。
・Tableau:直感的な操作で美しいグラフが作れる
・Power BI:Excelと連携しやすく導入が容易
・Looker Studio:Googleサービスとの相性が良く無料で使える
例えば、「今月の売上目標に対する進捗」「広告ごとの反応率」「営業チームごとの受注率」などがリアルタイムで確認できるようになり、よりスピーディーな経営判断が可能なります。