あなたの会社にERP導入は必要?メリット・デメリットと検討ポイント

本記事は2025/10/07に更新しております。
あなたの会社にERP導入は必要?メリット・デメリットと検討ポイント
近年、企業の業務効率化や経営状況の可視化を実現する手段として、「ERP(統合基幹業務システム)」が注目されています。以前は、大企業向けのシステムとされていたERPですが、現在は中小企業での導入も進んでいます。

本記事では、ERPの基本的な仕組みや、導入するメリット・デメリット、検討すべきポイントをわかりやすく解説します。

01

ERPとは? まずは基本を理解しよう

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称であり、日本語では「統合基幹業務システム」と呼ばれます。企業内の「人・モノ・お金・情報」といった経営資源を、部署ごとに分散管理するのではなく、システム上で一元的に統合管理し、業務効率化とセキュリティ強化を図る仕組みです。

ERPを活用すると、販売管理・在庫管理・財務会計・給与勤怠など、あらゆる業務プロセスを横断的に管理することができ、企業全体の状況をリアルタイムで把握することや、迅速な経営判断、生産性向上に貢献します。

従来は、大企業向けのソリューションとされていたERPですが、近年では中小企業でも導入されるケースが増えており 、「人材不足」や「システム老朽化」といった課題の解決策としても注目されています。ERPを導入することで、中小企業本来の「機動力」を最大限に引き出し、迅速な意思決定を行うための基盤を整えることが可能です。  

ERPの主な機能は、以下の通りです。

・財務会計: 決算書作成、経費精算など、経理業務を効率化する
・販売管理: 受注から売上までの販売プロセスを一元管理し、営業活動を支援する
・購買管理: 発注管理や仕入先情報管理など、購買業務の最適化を図る
・生産管理: 生産計画、工程管理、品質管理まで、製造現場の管理を効率化する
・在庫管理: 在庫状況をリアルタイムで把握し、適正な在庫運用を実現する
・人事・給与・勤怠管理: 従業員の勤務時間や給与計算を含む人事関連業務を統合管理する

これらの機能をひとつのシステムで連携することで、情報の重複や抜け漏れを防ぎ、迅速な意思決定が実現します。

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02

もしかしてウチも?中小企業がERP導入を検討すべきタイミングと兆候

ERP導入を検討すべきタイミングは、企業が具体的な経営課題や日々の業務で支障を感じ始めた時です。以下のような問題が現れている場合、ERP導入が有効な解決策となるかもしれません。

・部門間のシステム連携が不十分で、情報が分断されている
・Excel管理に限界を感じており、データ入力ミスや作業のムダが多い
・経営データの集計に時間がかかり、迅速な意思決定が難しい
・内部統制の強化やコンプライアンス対応が求められている
・事業拡大に対し、既存のシステムでは対応しきれていない
・業務が特定の担当者に依存(属人化)しており、不在時に業務が滞る

これらの兆候が複数当てはまる場合は、ERPを導入することで業務の効率化と経営の安定化が期待できるでしょう。中小企業の将来を見据えた柔軟な経営基盤として、ERPは有効な選択肢といえます。

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03

【導入判断チェックリスト】自社に本当にERPが必要か見極める10項目

自社に本当にERPが必要なのかを判断するには、現状の業務や経営環境を客観的に見つめ直すことが大切です。以下のチェックリストを活用し、導入の必要性を確認してみましょう。

No. チェック項目 はい
1 部門ごとにシステムが乱立し、情報連携がスムーズでないと感じる
2 Excelなどでのデータ管理に限界を感じ、入力ミスや非効率が多い
3 経営状況のリアルタイム把握に課題があり、意思決定が遅れることがある
4 内部統制の強化や、法規制・コンプライアンスへの対応が求められている
5 事業拡大(新規事業、多拠点展開など)に伴い、現行システムでは不安がある
6 現行システムが老朽化しており、保守費用が増大している、またはサポート終了が近い
7 業務プロセスが属人化しており、標準化・効率化の必要性を感じる
8 重複入力や手作業による転記が多く、ヒューマンエラーが発生しやすい
9 限られた人員で多くの業務をこなさなければならず、従業員の業務負担が大きい
10 経営層がIT投資の重要性を理解し、システム導入に前向きである

チェックが多く付いた企業ほど、ERP導入の必要性が高いといえます。特に、5項目以上該当する場合は、ERP導入を前向きに検討すべきタイミングかもしれません。

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04

中小企業がERPを導入するメリット:経営にもたらす効果とは?

中小企業がERPを導入することで得られるメリットは、経営基盤の強化だけではなく、日々の業務の効率化や企業の競争力向上など多岐にわたります。ここでは、中小企業がERPを導入する5つのメリットをご紹介します。

経営の「見える化」と迅速な意思決定

ERP導入の最大のメリットは、企業全体の「人・モノ・お金・情報」といった経営資源を、システム上で一元管理できることです。これにより、販売状況や在庫数、会計情報などがリアルタイムで可視化され、経営者や管理者は常に最新の情報に基づいて判断を下せるようになります。その結果、変化の激しい市場でも迅速な意思決定が可能となるでしょう。

業務プロセスの標準化と効率化

これまで部署ごとに異なるやり方で進められていた業務を、ERP導入により統一・標準化することで、作業のムダや非効率が削減されます。結果として業務の流れがスムーズになり、従業員の作業時間や負担の軽減にもつながります。  

データの一元管理による整合性向上と二重入力削減

ERPを導入すると、各部門で発生するデータを一ヶ所に集約して管理できるようになるため、情報の整合性が保たれ、ミスや重複入力のリスクが大幅に軽減されます。例えば、販売情報を入力するだけで、在庫や会計の情報にも自動的に反映されるようなシステム連携が可能です。

内部統制の強化とコンプライアンス対応

操作履歴の自動記録やアクセス権限の管理など、ERPには内部統制を支援する機能が多数備わっています。
不正防止や監査対応も容易になるため、特に法令順守が求められる業界や取引においては、ERPの導入の効果が大きいでしょう。

部門間連携の促進と情報共有の円滑化

ERPを導入することで、全社共通のプラットフォームで情報共有できるようになるため、部門をまたいだ連携が強化されます。例えば、営業部門が最新の在庫情報をリアルタイムで確認することで納期回答のスピードが上がるなど、業務全体の連携性の向上や効率化が期待できます。

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05

メリットだけではない!中小企業が知っておくべきERP導入のデメリットとリスク

ERP導入は多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在します。ERPを導入することは、単なるシステム導入ではなく、企業全体の「変革」を伴うため、計画段階で十分に認識し対策を講じなければ、導入が失敗に終わるリスクがあります。

ここでは、中小企業が知っておくべきERP導入のデメリットとリスクをみていきましょう。

高額な導入・運用コスト

ERPを導入する際には、ソフトウェアのライセンス費用やインフラ整備費、コンサルティング・導入支援サービス、従業員への教育費など、比較的高額な初期費用が必要です。また、運用開始後も保守・サポート費用やアップデート費用など、継続的なコストが発生するため、導入前には長期的な費用計画を立て、十分な予算を確保しておく必要があります。

導入期間の長期化と業務への影響

ERP導入では、自社の業務内容に合わせた設計・設定が必要になることが多く、導入までに相応の時間を要します。中小企業の場合は3~9ヶ月程度、大規模なプロジェクトでは1年以上かかることも珍しくありません。自社の業務に合わせてカスタマイズする場合は、さらに時間がかかることも考えられます。導入期間が長くなると、その分、通常業務への影響や負担も大きくなる可能性があります。

従業員への負担増と変化への抵抗

ERPは、社内の多くの部門に影響を及ぼすため、全社員が新しいシステムに慣れるまでには、時間とコストがかかります。特に、ITに不慣れな従業員にとっては、操作方法の習得や業務フローの変更が大きなストレスとなり、抵抗感が生まれることもあるでしょう。十分な研修やフォローがないと、現場での混乱や導入失敗の原因になりかねません。

カスタマイズの複雑化とコスト増

組織全体の最適化を目指すために、自社固有の業務プロセスに合わせてERP製品をカスタマイズするケースがありますが、カスタマイズには高いコストと時間がかかることがあります。また、過度なカスタマイズは、保守性の低下や障害対応の複雑化を招く可能性もあるため、注意が必要です。必要最小限のカスタマイズにとどめることが、長期的な安定運用には不可欠です。

費用対効果(ROI)が見合わない可能性

ERP導入には多額の投資を伴うため、その費用対効果(ROI)について、事前に定量的に評価することが求められます。計画や実行を誤ると、期待する効果が得られず、投資に見合ったリターンが得られない可能性があります。リターンが得られないと、社内での導入評価が下がり、経営資源の浪費とみなされる恐れもあるでしょう。

ベンダーロックインのリスク

ERPを一度導入すると、その後のバージョンアップやサポートにおいて、特定ベンダーへの依存度が強まり、他社製品への乗り換えが難しくなる、いわゆるベンダーロックインの状態になる場合があります。特に、複雑なカスタマイズを施している場合、このリスクはさらに高まるでしょう。契約前に、ベンダーのサービス内容や保守体制、将来的な拡張性を十分に確認しておくことが重要です。

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06

失敗しないために!中小企業がERP導入を検討する際の5つの最重要ポイント

ERP導入プロジェクトを成功に導くためには、検討段階で以下の5つのポイントを理解し、対応しておくことが大切です。

ポイント1:導入目的の明確化と経営課題との紐づけ

ERP導入で失敗しないためには、「何のためにERPを導入するのか」「導入によって何を達成したいのか」という目的を明確にすることがもっとも重要です。目的が曖昧なまま進めると、システムに求められる「機能」「性能」「操作性」などを具体的に決める「要件定義」が不十分になり 、結果として過剰なカスタマイズにつながり、コスト増加や導入期間の長期化を招くリスクがあります。

導入目的が明確であれば、システム導入後の活用イメージも持ちやすく、ERPが現場にとって負担となることを避けられます。

ポイント2:現状業務の分析(As-Is)と要件定義(To-Be)

現状の業務プロセスを詳細に分析し、ERPに求める機能要件(必須・希望)を明確にする「要件定義」は、導入の成功に欠かせません。導入後の「この機能が足りない」といった問題を防ぐためにも、必要な機能を優先順位付きで洗い出しておくことが大切です。

要件定義をしっかり行うことで、自社の業務に最もフィットするERPを見極めることができます。

ポイント3:自社に合った製品・ベンダーの慎重な選定

ERPには、「クラウド型」「オンプレミス型」「業種特化型」「汎用型」など、さまざまな種類があります。

自社の規模や業種、ITリテラシーに合わせて、最適な製品や信頼できるベンダーを選定しましょう。

ポイント4:費用対効果(ROI)の現実的な試算

ERP導入・運用にかかる総コスト(TCO:Total Cost of Ownership)を正しく把握し、導入によって期待される効果(コスト削減額、売上向上額、業務効率化による人件費削減効果など)を可能な限り数値化して比較し、投資対効果を評価することが重要です。

また、導入前に具体的な成果指標(KPI)を定めておき、達成状況を継続的に測定することが望ましいでしょう。

ポイント5:導入体制の構築と従業員の巻き込み

ERP導入プロジェクトを成功に導くためには、経営層の強いコミットメントが必要不可欠といえます。経営層が導入の目的や意義を深く理解し、強力なリーダーシップを発揮してトップダウンで推進力を発揮することが、成功の鍵です。

また、ERPを日常的に使用するのは現場の社員であるため、導入検討段階から現場社員の声を取り入れ、運用に即した仕組みを構築する必要があります。

さらに、導入後もスムーズに活用できるよう、十分な教育やトレーニングの機会を設けるなど、現場に根付かせる取り組みも重要です。

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07

ERP導入以外の選択肢も検討する

業務課題の解決策は、必ずしもERP導入に限られるわけではありません。特定の業務だけを効率化したい場合は、業務特化型SaaSの活用や、既存システム同士の連携強化、あるいはRPA(業務自動化ツール)による業務自動化など、他の手段でも十分に効果を得られることがあります。

例えば、会計業務に課題が集中している場合は、クラウド会計ソフトで必要な機能をカバーできるケースもあります。また、業務フローの一部に人手がかかっている場合は、RPAの活用によって省力化できることも可能です。

ERPを導入・運用していくことは、企業全体の業務改革に直結する一大プロジェクトであるため、導入には時間・費用・人的リソースの投資が必要です。自社の課題の規模や緊急度に応じて、ERP導入以外の方法も選択肢に加え、総合的に判断することが重要です。

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まとめ

中小企業がERPを導入することで、経営の効率化や業務プロセスの最適化、企業競争力の向上といった多くのメリットが期待できます。ただし、導入には大きなコストや組織全体への影響が伴うことが想定されるため、慎重な判断と事前準備が不可欠です。

まずは、自社の課題や現状を正しく把握し、「なぜERPを導入するのか」「導入によって何を得たいのか」といった目的と成果のイメージを明確にすることが重要です。また、ERP導入だけではなく、必要に応じて他のITソリューションとの比較検討も行いましょう。

自社にとって本当に価値ある選択かどうかを見極めたうえで、将来を見据えたシステム選定・ベンダー選定と、運用体制を整えていくことが、導入の成功と継続的な成果につながります。

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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。 
北川 希
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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