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発注管理とは?

発注管理とは、必要な資材や商品の仕入れを計画・実行・管理する業務です。
特に製造業では、生産に必要な原材料や部品を適切なタイミング・数量で調達することが求められるため、在庫担当者・購買担当者・生産管理担当者など、複数部門が綿密に連携しながら進める必要があります。
発注管理の最終的な目的は、欠品による販売機会の損失を防ぎつつ、在庫の過多による保管コストや廃棄ロスを最小限に抑えること、つまり、「在庫の最適化」を目指すことです。

〈 トピックス 〉
中小メーカーの購買・在庫管理業務において、発注管理の適正化は企業の収益性と競争力に直結する課題です。発注管理のミスは販売機会の損失や納期遅延を招き、信頼関係の悪化やブランドイメージの毀損にもつながりかねません。
本記事では、発注管理の基本プロセスや注意すべき3つのリスク、業務効率を高めるポイント、中小メーカーによる改善成功事例について解説します。
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発注管理とは、必要な資材や商品の仕入れを計画・実行・管理する業務です。
特に製造業では、生産に必要な原材料や部品を適切なタイミング・数量で調達することが求められるため、在庫担当者・購買担当者・生産管理担当者など、複数部門が綿密に連携しながら進める必要があります。
発注管理の最終的な目的は、欠品による販売機会の損失を防ぎつつ、在庫の過多による保管コストや廃棄ロスを最小限に抑えること、つまり、「在庫の最適化」を目指すことです。

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発注管理は、以下のような流れで行われます。
これらのプロセスを丁寧に行うことで、在庫の過不足を防ぎ、スムーズな生産や販売体制を維持できます。発注管理は、単なる「注文作業」ではなく、企業の供給体制全体を支える重要なマネジメント業務です。

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発注管理は、企業の安定的な生産・販売に欠かせない重要な業務ですが、その運用にはさまざまなリスクが潜んでいます。注意を怠ると、在庫の過剰や不足、さらには業務の属人化によって、経営に深刻な影響を及ぼすこともあります。
ここでは、発注管理において特に気をつけるべき3つのリスクについて解説します。
在庫を過剰に抱えることは、一見すると「安全策」のように見えますが、実際には企業の収益性を圧迫する要因となります。
在庫過多によって発生する主なコストには、以下のようなものが挙げられます。
在庫が不足すると、販売機会や生産機会の損失に直結します。納品が遅延すれば、顧客の信頼を失う原因にもなるでしょう。
また、社内にも以下のような悪影響が及びます。
発注業務が特定の担当者の経験や勘に依存している場合や、紙帳票などのアナログな方式で処理されている場合、以下のような問題が起こりやすくなります。
こうした属人化非効率な運用は、結果として在庫の過不足や生産トラブル、無駄なコストの発生につながります。これらのリスクを回避するためには、発注業務のシステム化と標準化が必要です。

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発注管理を効率化しミスを減らすためには、在庫状況の「見える化」と発注プロセスの最適化が欠かせません。ここでは、中小メーカーでも取り組みやすい効率的な発注管理のポイントをご紹介します。
効率的な発注管理の基本は、現在の在庫状況を正確に把握することです。在庫数や保管場所(ロケーション)が不明確では、適切な発注判断はできません。
バーコードやQRコードを用いた入出庫管理や、ハンディターミナルによる即時棚卸しなどを導入し、複数担当者がリアルタイムで在庫データを共有できる仕組みが望ましいでしょう。
また、適正在庫(必要最小限の在庫水準)を設定することも重要です。製造業では「安全在庫」という概念があります。需要やリードタイムには予測誤差が伴うため、欠品を防ぐために一定の予備在庫を持つ必要があります。安全在庫量は統計的手法で算出できますが(例えば「需要予測誤差の標準偏差×安全係数」といった計算式)、製品や業界によって適切な水準は異なります。
過大な安全在庫は在庫過多を招き、過小では欠品リスクが高まるため、自社の販売・生産データに基づき安全在庫を適切に計算・見直しすることが重要です。近年は、需要予測AIを活用し、最適な安全在庫を動的に算出する高度なシステムも登場しています。
商品の特性や需要パターンに応じて、最適な発注方式を選ぶことも効率化のポイントです。代表的な方式は以下の通りです。
決まったタイミングで在庫を確認し、目標在庫量まで発注する方式。発注のタイミングをスケジュール化できる反面、その都度在庫量を確認して発注量を調整する必要がある。需要変動に柔軟に対応でき、定期的に見直しにより欠品を防ぐメリットも。
在庫が一定量(発注点)を下回ったら、決まった量を発注する方式。毎回同じ量を補充するため計算が簡単で手間が少ない反面、急激な需要増加には対応しづらいという特徴がある。
主に重要度の低い部品に採用される方式で、「ダブルビン方式」や「補充方式」に代表される。ダブルビン方式は同じ部品を入れた2つの棚(箱)を用意し、片方が空になったら補充発注する仕組み。補充方式は発注点を厳密に定めず、ある程度減ったらまとめて補充する方法で、多少の在庫過多を許容して手間を省く考え方。
定量方式と定期方式を組み合わせた手法で、定期的なチェックの中で在庫が発注点を下回った場合に必要量を発注する方法。
サプライヤーと契約を結び、毎日または毎週など決められた頻度で決まった数量を継続的に納品してもらう方式。発注の手間を省くとともに在庫最小化を図ることが可能。但し、サプライヤー側の協力が必要。
過去の売上データ等から発注スケジュールを事前に計画し、小口に分けて発注する方式。需要がそれほど多くないが定期的に発生する製品などで活用され、在庫・キャッシュフローの負担を平準化できる。
適切な発注方式を選択するためには、自社の製品ごとに「どの発注方式が適しているか」を見極め、複数の方式を組み合わせて適用することが重要です。例えば、「売れ筋製品には欠品防止重視で定期発注+安全在庫方式」を採用し、「出荷頻度が低い部品は簡易発注方式」でコストを抑える、といったように、製品ごとに発注ルールを差別化すると良いでしょう。
より精度の高い発注を行うには、正確な需要予測が欠かせません。過去の売上データや生産実績を分析し、季節変動やトレンドを考慮した需要予測を立てることで、発注数量やタイミングの判断精度が向上します。
昨今の市場環境は変化が激しく、「昨日までの売れ筋が急に売れなくなる」「ニーズが突如高まる」といったケースも珍しくありません。そのため、社内データだけでなく業界動向や外部要因(例:景気動向、流行、他社の動き)も加味した需要予測を行い、発注計画に反映させる必要があります。
発注から納品までの期間(リードタイム)は、発注管理の重要な要素です。リードタイムが長い部材ほど早めの発注計画が必要となり、予測誤差も大きくなります。
例えば、在庫が1000個あった部品が1週間で500個まで減った段階で発注しても、納品に2週間かかる場合、製造で使用する部品が不足してしまいます。
このような事態を防ぐためにも、各部材のリードタイムを把握し、納入までのリードタイムを逆算して、余裕を持った発注時期を設定することが不可欠です。特に、海外から調達する原料などは、輸送期間に加えて通関手続きや現地休暇(日米欧の長期休暇など)も考慮しなければなりません。
中小メーカーの場合、取引先からの調達において自社の交渉力が大企業ほど強くないケースも多いため、日頃からサプライヤーとの連携強化に努めることが重要です。
発注側と納入側で在庫・需要情報を共有し、協力して在庫水準を最適化する取り組み(VMI:ベンダー在庫管理)や、Web-EDIシステムによる受発注データの自動連携などはその一例です。
また、複数のサプライヤーから調達可能な部材については、調達先の分散を行うこともリスクヘッジとして有効です。特定の仕入先に依存しすぎると、供給停止になった際に即ライン停止となってしまいます。平時から代替部品や代替仕入先の情報を収集し、いざというとき迅速に切り替えられる準備をしておくことも、発注管理の重要な側面といえるでしょう。
発注管理を効率化しミスを減らすためには、ITツールの活用もおすすめです。専用の発注管理システムを導入することで、リアルタイムで在庫数や発注状況を確認しながら処理できるため作業効率が工場し、担当者間の情報共有のタイムラグも解消されます。
中小企業では、「システム導入はコストが心配」という声もありますが、近年はクラウド型の安価なサービスも増えています。政府も中小企業のデジタル化を後押ししており、電子受発注システムの導入率は、令和3年度時点で発注側が40.9%に留まる中、約5割へ引き上げる目標を掲げて、補助金による支援策を講じています。(出典:中小企業庁「中小企業等の活力向上に関する現状・課題と今後の取組について」)
どのシステムを導入するかにあたっては、以下のポイントを抑えると良いでしょう。
長期的な運用を見据えた慎重な選択が、発注管理システム導入の成功につながります。

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中小メーカーにとって、発注管理の見直しはコスト削減や生産効率向上に直結する重要なテーマです。実際に発注業務を改善し、在庫最適化やリードタイム短縮に成功した企業の事例からは、多くの示唆が得られるはずです。
ここでは、中小メーカーにおける発注管理改善の3つの成功事例について、取り組み内容と成果をご紹介します。
従業員50名の精密部品製造業A社では、長年にわたって購買担当のベテラン社員の勘と経験に依存した発注業務を行っていました。しかし、その社員の退職を機に、発注業務の属人化が深刻な問題化。月に2-3の生産停止と納期遅延が常態化し、一部の部品では3ヶ月分を超える過剰在庫が倉庫スペースを圧迫し、資金効率も悪化していました。
改善策として、同社は定量発注方式と在庫管理システムの導入を決定。過去2年間の部品別使用実績を詳細に分析し、各部品の需要パターンを把握しました。さらに、サプライヤー別のリードタイムを正確に測定し、部品ごとの発注点と在庫数を正確に算出しました。Excelでの管理表には、在庫アラート機能と推奨発注量の自動計算機能を組み込み、新人でも適切な発注判断ができる仕組みも構築しました。
導入から6ヶ月で、欠品率を8%から5%に削減し、生産停止による機会損失を大幅に減少させることができました。
従業員80名の食品製造業B社では、季節商品の原材料調達に課題を抱えていました。特に、夏季の冷菓用原材料と冬季の温菓用原材料について、需要予測の困難さから過剰在庫や欠品が頻発していました。
改善策として、商品特性に応じた発注方式の使い分けを導入。基本原材料については定期発注方式を採用し、安定的な調達を確保しました。一方、季節性の高い原材料については定量発注方式を採用し、需要の変動に柔軟に対応できる体制も構築しています。
さらに、過去5年間の気象データと販売実績の相関分析を行い、気温と売上の関係性を数値化した需要予測モデルを開発しました。
導入から1年後、在庫回転率が30%改善し、資金効率が大幅に向上しました。もっとも重要な成果として、廃棄ロスを半減させ、年間で売上高の1.5%に相当するコスト削減を実現できました。
従業員30名の化学品製造業C社では、小ロット多品種生産による複雑な原材料管理に課題を抱えていました。100種類を超える原材料のそれぞれについて、異なるサプライヤーから調達しており、発注業務の複雑さが企業の成長ボトルネックとなっていたといいます。
具体的には、原材料ごとに異なるリードタイムと最小発注量により、在庫管理が複雑化し、手作業による発注管理では限界があり、発注漏れや重複発注が月に数回発生していました。また、サプライヤーとの情報共有が不十分で、納期遅延の予見ができず、生産計画の変更を余儀なくされるケースが頻発していました。
改善策として、専用の在庫管理システムを導入し、全原材料の一元管理を実現。各原材料の特性に応じた発注点設定機能や、サプライヤー別の発注履歴管理機能、納期遅延アラート機能を搭載し、主要サプライヤーとはリアルタイムで生産計画・在庫情報を共有できる体制を整備しました。
導入から8ヶ月後でリードタイムを平均2週間短縮し、生産計画の柔軟性が大幅に向上。安全在庫を25%削減しつつ、欠品率は0.5%以下に維持され、在庫最適化を実現できました。

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発注管理の効率化は、中小メーカーが収益性を高め、競争力を維持するために欠かせない経営課題です。在庫過多や欠品といった問題は、以下の取り組みを通じて改善できます。
まずは、自社の現状と課題をしっかりと見極めることが重要です。その上で、自社の業務特性や規模に合った改善手法を選択し、無理のない計画で段階的に発注管理の最適化を進めていきましょう。

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バックオフィス業務の
支出管理を支援する、
支出管理クラウド

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

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この記事を書いた人

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。