03
失敗しない!中小メーカーが選ぶ購買管理システム・7つのポイント
購買管理システムには様々な種類があり、すべてのシステムが自社に合うとは限りません。製品ごとの特徴を比較・検討し、自社に最適なシステムを選定・導入することが重要です。
ここでは、中小メーカーが購買管理システムを選定する際に確認すべき7つのポイントを解説します。
ポイント1:導入目的と課題の明確化
購買管理システムを選ぶ際には、以下の項目を明確にしておく必要があります。
・購買管理システムを導入する目的や、達成したい目標・期待する効果
・現在の購買業務における課題や問題点
よく挙げられる課題として、「コスト削減」「業務効率化」「属人化の解消」「不正の防止」などが挙げられます。
目的や得たい成果をもとに、適切な購買管理システムを選びましょう。
ポイント2:必要な機能を過不足なく洗い出すこと
購買管理システムごとに、搭載されている機能は異なります。必要な機能が不足していると業務に支障をきたし、逆に、不要な機能が多過ぎても導入費用や運用コストが高くなるリスクがあります。
適切なシステムの選定には、自社が求める機能の洗い出しが重要です。業務の内容やプロセスを踏まえたうえで、「必須の機能」と「できれば欲しい付加機能」を整理し、リストアップしておきましょう。
また、既存の会計システムや生産管理システムなどとの連携が必要な場合は、その対応可否も事前に確認しておく必要があります。
尚、SaaS型やパッケージ型のソフトウェアを選ぶ場合は、必要な機能が漏れなく搭載され、不要な機能が少ないシステムを選ぶことが理想です。
一方、フルスクラッチでの開発を検討する場合は、開発会社と要件をよく確認し、過不足のない機能構成を目指しましょう。
ポイント3:クラウド型かオンプレミス型か
購買管理システムには、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つの提供形態があります。どちらを選ぶかによって、導入コストや運用負担、柔軟性に大きな違いが出てきます。
主な違いは、以下の通りです。
項目 |
クラウド型 |
オンプレミス型 |
特徴 |
運営会社が提供するサービスを利用する。自社にサーバは不要。 |
自社でサーバを用意し、運用・管理を行う。 |
初期費用 |
比較的安価。無料プランが用意されている場合もある。 |
サーバなどのハードウェアと、ソフトウェア(OS、ミドルウェア、購買管理システムなど)が必要なため高額になりやすい。 |
ランニングコスト |
月額の利用料を支払う形が一般的。 |
ハード・ソフトの保守費用が継続的に発生する。 |
短期間での解約 |
利用期間分の支払いで済む場合が多い。 |
導入コストが回収できないケースもある。 |
機能の選択やカスタマイズ |
プランに応じた機能が提供される。 |
要件に合わせて柔軟にカスタマイズ可能(パッケージでもアドオン可能な場合がある)。 |
導入スピード |
契約・初期設定が完了次第、すぐに利用開始できる。 |
構築・調整に長期間(数ヶ月から数年)を要することもある。 |
メンテナンスの手間 |
原則不要(ベンダー側が対応) |
定期的なメンテナンスが必要 |
購買管理システムのトラブル対応 |
原基本的にベンダーが対応する。 |
社内で即時対応できる体制が必要。 |
このように、クラウド型とオンプレミス型では、企業にかかる負担が大きく変わります。
特に、中小メーカーでは、初期投資が少なく運用負担も軽減できる「クラウド型」を選ぶケースが多く見られます。
ポイント4:見やすさと操作のしやすさ
購買管理システムを選ぶ際には、機能面だけでなく操作性も重要です。購買担当者だけでなく、承認者や現場の担当者も操作する可能性があるため、誰でも迷わず操作できるシステムが望ましいでしょう。
たとえ高機能でも、複雑で扱いづらいシステムは現場に定着しにくく、期待する導入効果を得られない可能性があります。なるべく直感的な画面設計がされていて、ITに詳しくない人でも扱いやすいものを選びましょう。
無料トライアルや試用期間を活用、実際の操作感を事前に確認しておくこともおすすめです。
ポイント5:サポート体制の充実度
サポート体制は、購買管理システム導入後の安心感に直結する重要な要素です。特に、IT専任担当者が少ない中小企業の場合、導入から運用までしっかりサポートしてくれるベンダーを選ぶことが重要です。
具体的には、以下のサポート項目が用意されているかを確認すると良いでしょう。
・初期導入時の設定・導入支援
・従業員向けの操作トレーニング
・操作方法に関する問い合わせ対応
・トラブル発生時のサポート
・導入後の定期的なフォローアップや活用支援
また、サポートを受ける際の連絡手段も確認が必要です。電話のみのサポートでは、対応時間や曜日に制約があることも多く、解決に時間を要するケースも少なくありません。
チャットや問い合わせフォーム、SNSなど、多様な方法に対応しているかも選定時のポイントです。
ポイント6:セキュリティ対策
購買管理システムでは、購買履歴や仕入れ先情報といった機密性の高い情報を多く扱います。例えば、原材料の名称や仕入れ先が外部に漏れた場合は、模倣品の製造や価格競争に巻き込まれるリスクが生じかねません。
こうした事態を防ぐためにも、システム選定時にはセキュリティ対策が万全であるかを必ず確認しましょう。
主に、以下のポイントをチェックすることが重要です。
・データの通信・保存時に暗号化されているか
・ユーザーごとに異なるアクセス権の付与が可能か
・データのバックアップ体制
・クラウドで提供される場合、サーバの設置国・場所は適切か
情報漏洩のリスクは企業の信用問題にも直結するため、セキュリティ体制は必ず事前に詳細を確認し、十分な対策が講じられているシステムを選びましょう。
ポイント7:費用対効果と導入実績
システム導入にあたり、投資額に見合う成果が期待できるかを慎重に見極める必要があります。事前に費用対効果を検討し、導入の可否や導入するシステムを決めましょう。
導入コストと効果として、以下の項目が挙げられます。
コスト |
・初期費用・月額費用
・運用コスト(運用にかかる人件費、サーバの電気代など)
|
効果 |
・コストの削減額
・工数を削減できる時間
・収入や利益のアップ
|
また、同業種・同規模の企業が実際に導入して得られた成果や実績も参考になります。
できるだけ多くの事例を確認し、自社の状況に近いケースをもとに費用対効果を試算しておくことが、失敗しないシステム選びのポイントです。