購買管理システムの導入メリットと失敗しない選び方~コスト削減・不正防止を実現~

本記事は2025/10/07に更新しております。
購買管理システムの導入メリットと失敗しない選び方~コスト削減・不正防止を実現~

中小メーカーにとって、購買業務は重要な役割を担いますが、一方で、企業のリソースを多く消費し、ミスが発生した場合の影響が大きい業務でもあります。実際に、以下のような課題が存在するケースがあります。

・見積りの取得に手間と時間を要する
・発注ミスのリスクがある
・価格交渉が属人化しており、ノウハウが共有されない
・個人的なキックバックなど、不正が起こる可能性がある
・社内の承認プロセスが不明確になりやすい

購買管理が適切に行われていないと、原価率の上昇などを招き、結果として価格競争力や利益率の低下につながりかねません。こうした課題解決のために、「購買管理システム」は有用です。

本記事では、購買管理システムを導入するメリットや失敗しない選び方を解説しますので、今後のビジネス改善の参考にしてください。

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購買管理システムとは?~見積りから支払いまでを一元管理~

そもそも購買管理とは、企業が製品やサービスを提供するために必要な資材や部品を、適正な価格・数量・品質・納期で調達・仕入れるための管理業務です。購買管理システムは、これらの購買業務を一元管理・効率化するシステムです。

まずは、購買管理システムの主な機能や導入目的について詳しくみていきましょう。

購買管理システムの基本機能

購買管理システムには、購買業務を円滑に進めるためのさまざまな機能が搭載されています。代表的な機能は、以下の通りです。

機能名 機能の概要
購買計画機能 製品の生産計画に基づき、材料・部品・消耗品などの購買計画を立案する機能。調達時期や数量のほか、参考価格の設定も可能。
見積依頼機能 複数の仕入れ先に見積りを依頼し、提示された条件を比較・検討する機能。
カタログ購買機能 購入頻度の高い物品を登録し、自社オリジナルの購買カタログを作成する機能。価格確認や発注作業が迅速に行える。
仕入先管理機能 仕入先情報を一元管理する機能。取引履歴や評価情報を蓄積し適切な仕入先の選定に活用できる。
価格管理機能 調達品目の価格情報を管理し、相場比較やコスト削減に役立てられる。
発注管理機能 発注依頼書の作成や発注状況の進捗を管理する機能。
発注承認ワークフロー 購買業務の承認プロセスを自動化・可視化する機能。外出先からでも承認操作が可能になり、承認状況の可視化にも貢献する。
契約管理機能 サプライヤーとの契約内容をシステム上で管理する機能。
納期管理機能 納期に関する情報を管理する機能。
品質管理機能 納品された物品の品質をチェックし、基準を満たしているか確認する機能。
検収支払管理機能 検収後の支払処理を管理し、検収合格品のみの支払いを徹底するための機能。
会計システムとの連携 支払データを会計システムと連携し、仕訳処理や会計データの反映をスムーズに行う。

これらの機能は、購買業務の各工程と密接に連動しています。

購買プロセスの流れと対応するシステムの機能を、以下の図にまとめました。

購買管理システムでは、これらの機能を通じて購買プロセス全体を最適化し、効率化とリスク低減を同時に実現することが可能です。

主な導入目的はコストの適正化、業務効率化、内部統制強化

購買管理システムの導入によって、これまで人手で対応していた煩雑な購買業務が大幅に改善されます。主な導入目的は、以下の通りです

・直接材(製造用資材)や間接材(事務用品・消耗品・燃料など)の安定調達
・適正な数量・価格での調達による仕入コストの抑制発注・検収業務の効率化
・書類削減によるペーパーレス化の実現
・特定の担当者に依存しない体制構築(属人化の防止)
・内部統制やコンプライアンス(法令遵守)の強化
・調達プロセスの可視化
また、多くの企業では「コストや工数を抑えつつ、社内・社外のルールを守りながら迅速に調達を進めたい」というニーズもあり、導入を後押しする大きな要因となっています。

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中小メーカーこそ実感できる!購買管理システム導入の5大メリット

購買管理システムは、中小規模のメーカーにとって、特に導入効果の高いツールです。ここでは、購買管理システムの導入によって得られる5つの代表的なメリットを詳しく解説します。

メリット1:購買業務の大幅な効率化

購買業務は多岐にわたりますが、購買管理システムを活用することで、作業を一括して管理・効率化できます。

各プロセスをシステム上で自動化することで、手書きや手入力による書類作成が不要になり、取引先からの問い合わせにも迅速に対応可能です。

さらに、販売担当者や現場担当者が事務作業にかける時間を大幅に削減でき、他のコア業務に専念できるようになるでしょう。

メリット2:購買コストの削減と適正化

購買管理システムには、過去の購買履歴や価格情報が蓄積されるため、データを分析して無駄なコストを可視化することが可能です。また、複数のサプライヤーに対して見積りの依頼を行うことや、オンラインの販売サイトと連携して価格比較することも容易になり、常に最適な価格で調達できる環境を整えられます。

さらに、これまで部署ごとに分散していた購買業務を購買部門に集約することで、サプライヤーの絞り込みや一括発注が可能になり、ボリュームディスカウントの交渉もしやすくなるでしょう。

これにより、全社的な仕入コストの削減が期待できます。

メリット3:発注ミス・請求ミス・不正の防止

購買管理システムの導入は、人的ミスの防止にも役立ちます。例えば、以下のようなヒューマンエラーによるミスを防ぐことが可能です。

・数量や金額の桁間違いによる誤発注
・商品名・商品コードの入力ミスや重複発注に
・単価入力ミスによる、購買コストの増加や注文内容の修正
・必要事項の入力漏れによる納品の遅延
・メールやFAXの誤送信による情報漏洩

これらのミスは、業務停滞や追加の対応コスト発生など、事業運営に悪影響を与えます。一方で、購買管理システムの自動チェックや入力制御機能を活用することで、ミスの発生を防ぎやすくなるでしょう。

さらに、承認ワークフローや購買履歴の可視化といった仕組みにより、不正の抑止にもつながります。

架空請求や水増し請求、特定の事業者との癒着などを防止し内部統制やコンプライアンス強化できる点もメリットのひとつです。

メリット4:ペーパーレス化による管理コスト削減

デジタル化が進む現在、紙の使用によるコスト増大も課題です。例えば、以下のような各工程でコストが発生しています。

・用紙の購入費用
・印刷や手書きによる記入作業
・書類の郵送費用
・保管スペースの確保や管理
・書類廃棄時の処理費用

購買管理システムの導入により、購買業務における書類をすべて電子データに置き換えられます。見積書・発注書・納品書・請求書といった各種書類もデジタルで管理できるため、これまで発生していた用紙関連のコスト、郵送費用、事務作業を大幅に削減することが可能です。

また、電子承認によって押印も不要となり、物理的に職場に印鑑を置く必要もなくなります。

テレワークやリモートワークの推進にもつながり、働き方改革を進めたい企業にとっても大きなメリットといえるでしょう。

メリット5:サプライヤーとの良好な関係構築

購買管理システムでは、サプライヤーごとの取引履歴や実績データを一元管理できます。調達時期や発注頻度や取引量、納品実績などの情報も可視化できるため、次回の発注計画も把握しやすくなります。

これにより、事前に発注予定をサプライヤーへ伝えることが可能となり、双方にとってスムーズな調達体制を整えられます。結果として、納期遅延などのトラブルも減少し、安定した取引関係の構築につながるでしょう。

さらに、定期的な取引実績や評価をもとに優良サプライヤーを選定・育成することで、長期的な信頼関係を築きやすくなることも大きな利点です。

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失敗しない!中小メーカーが選ぶ購買管理システム・7つのポイント

購買管理システムには様々な種類があり、すべてのシステムが自社に合うとは限りません。製品ごとの特徴を比較・検討し、自社に最適なシステムを選定・導入することが重要です。

ここでは、中小メーカーが購買管理システムを選定する際に確認すべき7つのポイントを解説します。

ポイント1:導入目的と課題の明確化

購買管理システムを選ぶ際には、以下の項目を明確にしておく必要があります。

・購買管理システムを導入する目的や、達成したい目標・期待する効果
・現在の購買業務における課題や問題点

よく挙げられる課題として、「コスト削減」「業務効率化」「属人化の解消」「不正の防止」などが挙げられます。

目的や得たい成果をもとに、適切な購買管理システムを選びましょう。

ポイント2:必要な機能を過不足なく洗い出すこと

購買管理システムごとに、搭載されている機能は異なります。必要な機能が不足していると業務に支障をきたし、逆に、不要な機能が多過ぎても導入費用や運用コストが高くなるリスクがあります。

適切なシステムの選定には、自社が求める機能の洗い出しが重要です。業務の内容やプロセスを踏まえたうえで、「必須の機能」と「できれば欲しい付加機能」を整理し、リストアップしておきましょう。

また、既存の会計システムや生産管理システムなどとの連携が必要な場合は、その対応可否も事前に確認しておく必要があります。

尚、SaaS型やパッケージ型のソフトウェアを選ぶ場合は、必要な機能が漏れなく搭載され、不要な機能が少ないシステムを選ぶことが理想です。

一方、フルスクラッチでの開発を検討する場合は、開発会社と要件をよく確認し、過不足のない機能構成を目指しましょう。

ポイント3:クラウド型かオンプレミス型か

購買管理システムには、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つの提供形態があります。どちらを選ぶかによって、導入コストや運用負担、柔軟性に大きな違いが出てきます。

主な違いは、以下の通りです。

項目 クラウド型 オンプレミス型
特徴 運営会社が提供するサービスを利用する。自社にサーバは不要。 自社でサーバを用意し、運用・管理を行う。
初期費用 比較的安価。無料プランが用意されている場合もある。 サーバなどのハードウェアと、ソフトウェア(OS、ミドルウェア、購買管理システムなど)が必要なため高額になりやすい。
ランニングコスト 月額の利用料を支払う形が一般的。 ハード・ソフトの保守費用が継続的に発生する。
短期間での解約 利用期間分の支払いで済む場合が多い。 導入コストが回収できないケースもある。
機能の選択やカスタマイズ プランに応じた機能が提供される。 要件に合わせて柔軟にカスタマイズ可能(パッケージでもアドオン可能な場合がある)。
導入スピード 契約・初期設定が完了次第、すぐに利用開始できる。 構築・調整に長期間(数ヶ月から数年)を要することもある。
メンテナンスの手間 原則不要(ベンダー側が対応) 定期的なメンテナンスが必要
購買管理システムのトラブル対応 原基本的にベンダーが対応する。 社内で即時対応できる体制が必要。

このように、クラウド型とオンプレミス型では、企業にかかる負担が大きく変わります。

特に、中小メーカーでは、初期投資が少なく運用負担も軽減できる「クラウド型」を選ぶケースが多く見られます。

ポイント4:見やすさと操作のしやすさ

購買管理システムを選ぶ際には、機能面だけでなく操作性も重要です。購買担当者だけでなく、承認者や現場の担当者も操作する可能性があるため、誰でも迷わず操作できるシステムが望ましいでしょう。

たとえ高機能でも、複雑で扱いづらいシステムは現場に定着しにくく、期待する導入効果を得られない可能性があります。なるべく直感的な画面設計がされていて、ITに詳しくない人でも扱いやすいものを選びましょう。

無料トライアルや試用期間を活用、実際の操作感を事前に確認しておくこともおすすめです。

ポイント5:サポート体制の充実度

サポート体制は、購買管理システム導入後の安心感に直結する重要な要素です。特に、IT専任担当者が少ない中小企業の場合、導入から運用までしっかりサポートしてくれるベンダーを選ぶことが重要です。

具体的には、以下のサポート項目が用意されているかを確認すると良いでしょう。

・初期導入時の設定・導入支援
・従業員向けの操作トレーニング
・操作方法に関する問い合わせ対応
・トラブル発生時のサポート
・導入後の定期的なフォローアップや活用支援

また、サポートを受ける際の連絡手段も確認が必要です。電話のみのサポートでは、対応時間や曜日に制約があることも多く、解決に時間を要するケースも少なくありません。

チャットや問い合わせフォーム、SNSなど、多様な方法に対応しているかも選定時のポイントです。

ポイント6:セキュリティ対策

購買管理システムでは、購買履歴や仕入れ先情報といった機密性の高い情報を多く扱います。例えば、原材料の名称や仕入れ先が外部に漏れた場合は、模倣品の製造や価格競争に巻き込まれるリスクが生じかねません。

こうした事態を防ぐためにも、システム選定時にはセキュリティ対策が万全であるかを必ず確認しましょう。

主に、以下のポイントをチェックすることが重要です。

・データの通信・保存時に暗号化されているか
・ユーザーごとに異なるアクセス権の付与が可能か
・データのバックアップ体制
・クラウドで提供される場合、サーバの設置国・場所は適切か
情報漏洩のリスクは企業の信用問題にも直結するため、セキュリティ体制は必ず事前に詳細を確認し、十分な対策が講じられているシステムを選びましょう。

ポイント7:費用対効果と導入実績

システム導入にあたり、投資額に見合う成果が期待できるかを慎重に見極める必要があります。事前に費用対効果を検討し、導入の可否や導入するシステムを決めましょう。

導入コストと効果として、以下の項目が挙げられます。

コスト ・初期費用・月額費用
・運用コスト(運用にかかる人件費、サーバの電気代など)
効果 ・コストの削減額
・工数を削減できる時間
・収入や利益のアップ

また、同業種・同規模の企業が実際に導入して得られた成果や実績も参考になります。

できるだけ多くの事例を確認し、自社の状況に近いケースをもとに費用対効果を試算しておくことが、失敗しないシステム選びのポイントです。

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【タイプ別】中小企業におすすめする購買管理システムの特徴

中小企業に適した購買管理システムには、いくつかのタイプがあります。自社のニーズに合ったタイプを選ぶためにも、それぞれの特徴を以下の表で確認してみてください。

購買管理システムのタイプ 特徴
コスト重視型 初期費用やランニングコストを抑えて導入可能。無料で利用できるプランが用意されている場合もある。
多機能・連携重視型 機能が豊富で、他の業務システムとの連携や拡張がしやすい。
業務特化型 製造業務など、特定の業務プロセスに特化した機能を備えている。
間接材購買特化型 工具・備品・消耗品などの間接材調達に特化している。

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まとめ

中小メーカーが、購買管理システムを導入することで、購買業務を正確かつスピーディーに進めながら、コスト面でも有利に進めることが可能です。導入によって得られる主なメリットは次の5つです。

・購買業務全体の効率向上
・購買コストの最適化・削減
・発注・請求におけるミスや不正の防止
・ペーパーレス化による管理コストの低減
・サプライヤーとの信頼関係の強化

尚、購買管理システムは製品ごとに特徴が異なります。自社の課題や導入する目的を明らかにしたうえで、複数の製品を比較検討し、自社にフィットする製品を選ぶことが重要です。適切な購買管理システムを導入し、企業の高い競争力と安定した調達体制を実現しましょう。

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この記事を書いた人

稗田恵一
大学ではAIの基盤となるニューラルネットワークについて学び、その後、IT業界14年、設備管理業務2年の経験を有する。うち10年間は会計・人事・給与業務のパッケージ企業において、企業向けのカスタマーサポートやシステム提案業務、自社のシステム管理業務に携わる。2017年より執筆業務を始め、BtoBの分野を中心に多数執筆。記事のわかりやすさには定評がある。 
田中雅人(ITコンサルタント
監修
田中雅人(ITコンサルタント

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM、等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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