売上管理を成功させる最適な方法とは~エクセル、ツール、それとも?~

本記事は2025/10/21に更新しております。
売上管理を成功させる最適な方法とは~エクセル、ツール、それとも?~
売上データは蓄積されているものの、「集計に時間がかかる」「Excel管理が煩雑で限界を感じる」「データを分析して次の一手に活かせていない」といった悩みを抱えている中小メーカーは多いのではないでしょうか。また、「どんなツールを選べばよいのかわからない」「導入したものの、うまく活用できていない」といった課題も耳にします。
本記事では、「そもそも売上管理とは何のために行うのか」「どのような指標を見れば効果的なのか」そして「Excel、販売管理システム、SFA、BIツールなどの選択肢の中から、自社に最適な方法をどう見極めるか」といった点を解説します。

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なぜ売上管理が重要なのか?単なる記録に終わらせない5つの目的

売上管理は「売上を記録するだけの作業」と捉えられがちですが、実際には経営判断や営業活動に直結する非常に重要な業務です。ここでは、売上管理に重要な5つの目的を確認していきましょう。

目的1:【現状把握】自社の売上状況を正確かつ多角的に把握する

売上管理の基本的な目的は、自社の売上状況を正確に把握することにあります。売上データを時系列や部門別に蓄積・可視化することで、好調な商品・サービスや、販売が伸び悩んでいる要因を分析できます。

これにより、売上の調整や価格設定の見直しが可能となり、業績評価や競合分析、市場動向の把握など、マーケティング戦略の立案に欠かせない判断材料となります。

目的2:【目標管理】売上目標に対する進捗状況をリアルタイムで可視化する

売上管理は、設定した売上目標に対する進捗状況をリアルタイムで把握するためにも重要です。常に目標達成率を可視化することで、達成の遅れを早期に察知し、迅速に戦略を見直すことができます。

組織全体が目標に向かって一体となり、数値に基づくアクションをとることで、着実な売上向上が期待できます。

目的3:【課題発見】売上目標未達の原因や、売上低下の予兆を早期に発見する

適切な売上管理を行うことで、売上目標が未達成となる要因や、売上減少の兆候をいち早く発見することが可能です。例えば、特定の商品や顧客層の売上が落ちているといったデータには、本質的な要因が潜んでいるはずです。商品の魅力や価格が市場ニーズと合っていない、あるいは顧客の購買傾向が変化しているケースが考えられます。
また、販促活動の停滞、在庫不足や納期遅延といった、社内のオペレーションが原因かもしれません。こうした多角的な視点で原因を掘り下げながら、問題の本質を分析し、適切な対策を講じていきます。

そのうえで、仮説の構築と検証を繰り返しながら、継続的な改善につなげていくことが重要です。

目的4:【戦略立案】データに基づいた営業・マーケティング戦略を立案する

売上管理によって得られたデータは、営業やマーケティング施策を立案・実行する上での有力な根拠となります。顧客情報や購入履歴を一元的に管理することで、顧客ニーズの傾向を的確に捉え、最適な提案やプロモーション施策を展開できます。

収益性の高い顧客層を特定し、その層に特化したアプローチを行うことができれば、コストを抑えながら、効率的な売上拡大が可能になるでしょう。

目的5:【未来予測】将来の売上を予測し、経営計画や予算策定に活かす

過去の売上データを分析することで、今後の売上を予測し、経営計画や予算編成に役立てることができます。例えば、季節ごとの売上傾向から適切な在庫水準を見極めたり、材料費や人件費、広告費といったコストを売上と連動させて調整したりすることで、利益の最大化を図れます。

売上管理は、予算策定や営業ノルマの設定といった将来的な計画立案においても欠かせない役割を果たします。

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効果的な売上管理のために見るべき主要指標と分析の切り口

売上管理を正しく行うためには、「いくら売れたか」だけでなく、さまざまな視点からの分析が欠かせません。ここでは、売上を多角的に捉えるために重要な指標と、分析の切り口を紹介します。

押さえておきたい基本の売上指標

売上管理の第一歩は、基礎となる指標を正確に把握することです。

売上高(実績)

一定期間内に実際に販売された商品やサービスの金額の合計で、企業の収益力を示す最も基本的な指標です。

目標達成率

設定した売上目標に対し、どれだけ達成できているかを表す比率です。進捗状況を可視化し、課題の早期発見に役立ちます。

成長率(前年比・前月比・前年同月比など)

売上が過去と比べてどれだけ増減したかを示します。市場動向や季節要因、自社の施策の成果を把握するために重要です。

多角的な分析のための切り口

売上データは、さまざまな切り口から分析することで、具体的な改善策や戦略立案に活かせます。

期間別(日次・週次・月次・四半期・年次)

売上の推移や季節的な傾向を把握できます。例えば、特定の月に売上が集中する場合、その時期に合わせてキャンペーンを展開するなどの対策が可能です。

担当者別・チーム別

営業担当者や部門ごとの成果を把握し、業績の好不調の要因分析に役立ちます。成果を横展開し、営業力の底上げにつなげられます。

顧客別・顧客ランク別

顧客ごとの売上やLTV(顧客生涯価値)を分析し、優良顧客を抽出。リピートやアップセルを狙った施策の検討材料となります。

商品別・カテゴリ別

売れ筋商品と不振商品を把握し、在庫調整や商品開発、販売戦略の見直しに活用できます。ABC分析を組み合わせることで、経営資源の集中先を明確にできます。

地域別・エリア別

地域ごとの売上傾向を分析し、エリアマーケティングや営業方針の見直しに役立てられます。地域特性に応じた施策展開が可能です。

チャネル別(直販・代理店・ECなど)

各販売チャネルの効果や効率を比較・分析し、注力すべきチャネルの選定や改善策の立案に活用できます。

売上と合わせて見るべき関連指標

売上高だけでなく、関連する指標を総合的に分析することで、より的確な経営判断が可能になります。

受注高・受注残高

将来の売上を見通すための重要な先行指標です。受注残が多い場合、今後の売上安定性が見込まれます。

見込額(フォーキャスト)

現在進行中の商談の成約見込みを金額ベースで予測したものです。営業パイプラインの管理に有効です。

粗利(額・率)

売上から原価を差し引いた利益で、収益性を判断するうえで不可欠です。売上が高くても粗利が低ければ利益は伸びません。利益重視の視点も大切です。

顧客単価・購入頻度

アップセル・クロスセルの可能性やリピート施策の効果を測る指標です。顧客育成や販促戦略を考えるうえで欠かせません。

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売上管理の方法を徹底比較!Excel・ツール、メリット・デメリットと選び方

売上管理をどのように行えばよいのか、多くの中小メーカーにとって悩ましいテーマです。特に、事業の規模や業種、業務の特性によって、適した管理方法は異なります。ここでは、実際に中小企業でよく使われている4つの売上管理手法を取り上げ、それぞれの特徴や適性について解説します。

Excel

表計算ソフトとして広く普及しているExcelは、売上データの入力から集計、グラフ作成まで幅広く対応できます。ソフトの導入費用がかからず、操作に慣れている担当者が多いため、導入のハードルは非常に低いと言えます。自由度が高く、自社の運用に合わせたテンプレートを作成できる点も魅力です。 一方で、入力ミスや計算ミスといったヒューマンエラーが発生しやすく、ファイルが属人化しやすいというリスクもあります。また、複数人で同時にデータを扱うような環境では、バージョン管理や共有に課題が残ります。

こうした特性から、Excelは売上管理をこれから始める小規模な事業者や、担当者ひとりでデータを管理しているケースに適しています。

販売管理システム

より高度な売上管理を求める企業には、販売管理システムの導入がおすすめです。販売管理システムは、受注から出荷、請求、在庫までの一元的に管理できるため、売上情報をリアルタイムに把握しやすくなります。データの自動連携により、二重入力の手間が省けるほか、経理処理や帳票出力との親和性も高いため、業務全体の効率化が図れます。 但し、導入には一定の初期コストがかかり、自社の業務に合わせた設定や運用の見直しが必要となる場合があります。また、パッケージソフトの場合は、カスタマイズの自由度に限界があることも念頭に置くべきです。

販売管理システムは、紙やExcelでの管理に限界を感じている企業や、在庫・請求も含めて一括管理したい中小メーカーにとって有効な選択肢といえます。

SFA(営業支援システム)/ CRM(顧客関係管理システム)

営業活動と売上の連動を強化したい場合には、SFAやCRMが役立ちます。これらのツールは、営業担当者の活動履歴や顧客とのやり取り、案件の進捗状況などを一元管理できるもので、売上予測や受注率の改善に活用できます。
営業現場の動きが可視化されることで、受注までの流れをより戦略的に管理できるようになります。ただ、現場の営業担当が入力作業に慣れるまでには時間がかかることがあり、運用が形骸化してしまうリスクもあります。
また、SFAやCRMは顧客対応や商談管理に特化しており、請求や在庫と合わせてを管理したい場合には、別システムと連携しなければ対応できません。

そのため、営業チームの情報共有を重視する企業や、顧客別の売上データを蓄積・分析したい企業にとって適したツールといえるでしょう。

BI(ビジネスインテリジェンス)ツール

データの可視化や経営判断の高度化を目指す企業には、BIツールの活用が効果的です。BIツールは、複数の業務システムからデータを収集・統合し、売上状況をリアルタイムに分析・表示することが可能です。ダッシュボードを用いて傾向分析や異常値の検出が容易になるため、改善対策のスピードと精度が大きく向上します。
但し、導入にあたってはデータの整備やシステム連携に一定の準備が必要であり、操作や設定には専門知識を要することもあります。また、BIツールは、分析に特化したツールであり、入力業務や日常的な売上管理には向いていません。

そのため、売上をはじめとする社内データをもとに経営分析を行いたい中堅企業以上に適しているといえるでしょう。

売上管理ツールの比較表

ツール種別 主な機能 コスト感(目安) メリット デメリット
Excel ・売上データの集計・管理
・グラフ作成
・簡単な関数分析
・初期:無料~(Office代のみ)
・運用:ほぼなし
・低コストで導入可能
・自由度が高い
・誰でも操作しやすい
・入力・集計ミスが起きやすい
・属人化しやすい
・複数人での同時編集に不向き
販売管理システム ・受発注・請求・在庫管理
・売上集計
・帳票出力
・初期:数十万~数百万円
・運用:月額1万~数十万円
・業務に特化した機能が豊富
・一元管理が可能
・内部統制にも有効
・導入にコストと時間がかかる ・カスタマイズに制限がある場合も
SFA/CRM ・顧客・案件管理
・営業活動の記録
・売上予測・レポート作成
・初期:無料~数十万円
・運用:月額5,000円~/人
・営業プロセスの可視化
・チーム共有がしやすい
・売上の先読みが可能
・導入・定着に時間がかかる
・現場の活用度に差が出やすい
BIツール ・データ可視化
・ダッシュボード作成
・高度な分析
・初期:無料~数十万円
・運用:月額1万円~/ユーザー
・リアルタイム分析が可能
・視覚的にわかりやすい
・経営判断に有効
・データ連携の整備が必要
・専門知識が必要な場合がある

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まとめ

売上管理は、単なる記録作業ではなく、現状の把握や課題発見、戦略立案、未来予測など、企業経営や営業活動の要ともいえる重要な業務です。中小メーカーにおいても、Excelから一歩進んだ管理手法を取り入れることで、売上データの活用が実現し、売上向上・業務効率化にもつながります。まずは自社の現状と課題を整理し、最適な方法を見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。段階的な改善でも、確実に成果が見える売上管理へと近づいていくはずです。

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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
佐藤大輔
監修
佐藤大輔

長年、経理業務に携わり、毎年の店舗の水道光熱費の使用料や過剰に使用している店舗への注意喚起などを促し赤字店舗の改革に努めた。また、企業のDX導入にも携わり、職員勤怠の電子化など、業務効率化を積極的に推進。現在は、企業コラム記事などを中心に年間100記事ほど執筆・監修を行っている。

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