「ワークフローとは」何か?基本から解説~業務効率化の第一歩!~

本記事は2025/09/16に更新しております。
「ワークフローとは」何か?基本から解説~業務効率化の第一歩!~
企業を取り巻く環境が変化する中、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が重要視されています。社内の業務には、「誰が・何を・どの順番で」行うのかといった一連の手順があり、これを「ワークフロー」と呼びます。現在の業務プロセスに潜む課題を把握し、ワークフローを見直すことで、業務の効率化や属人化の解消、内部統制の強化につなげることが可能です。

本記事では、ワークフローの基本的な考え方やよくある課題、見直すメリット、ワークフロー化に適した業務の例をわかりやすく解説します。また、業務効率化に貢献する「ワークフローシステム」についても、導入手順や選定のポイントをご紹介します。

01

「ワークフロー」とは? ~あなたの会社の日常業務に潜む”流れ”~

「ワークフロー」とは、業務を進める上での一連の流れのことを指します。企業内の業務には、「誰が」「何を」「どの順番で」行うかというプロセスが必ず存在し、この流れを明確にすることで、業務効率化、属人化の防止、さらには企業の信頼性を高める「内部統制」を強化することが可能です。

例えば、中小企業の管理部門におけるワークフローとして、以下のようなものが挙げられます。

・勤怠管理: 休暇申請や休日出勤届など、従業員の勤怠に関する申請・承認プロセス
・経費精算: 従業員が立て替えた経費の申請、上長承認、経理部門による決裁の流れ
・稟議申請: 物品購入や契約締結など、社内意思決定のための申請、複数部署・上長による承認、最終決裁のプロセス

これらの業務は、一見すると単純な手続きですが、関係者や承認フローが明確に定義されていなければ、手続きの遅れやミスの原因になり得ます。ワークフローの整備は、こうしたリスクの軽減にも有効です。

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02

そのワークフロー、非効率かも? ~中小企業にありがちな課題~

「いつも通りやっているから大丈夫」と思っている業務の流れが、実は大きなムダや非効率を抱えているかもしれません。中小企業の管理部門でよく見られる、紙や口頭でのやりとりを中心とした従来のワークフローには、以下のような課題が潜んでいる可能性があります。

紙ベースの書類管理:遅延や紛失のリスクが常に隣り合わせ

経費精算や稟議申請などを紙で行っている場合、書類の回覧が部署間で滞ることも少なくありません。特に、複数の承認者がいる場合、書類がどこで止まっているのか分からなくなりやすいです。

また、紙は紛失や破損のリスクもあり、重要な書類が見つからず再発行に手間がかかるケースもあります。

口頭での依頼・承認:記録が残らず、トラブルの火種に

「口頭で了承を得たつもりが、相手は覚えていない」、そのような曖昧なやりとりは、後々トラブルの火種になります。

口頭での依頼や承認は、記録が残らないため、承認の有無が不明確になり、後から「言った・言わない」の問題に発展しやすく、業務の透明性も損なわれてしまいます。

担当者不在による業務の停滞:出張・休暇で申請が止まる

ワークフローが特定の担当者に依存していると、その人が出張や休暇で不在になると申請や承認が進まず、業務が滞ってしまいます。

例えば、経理担当が外出中で経費精算が滞ることや、決裁権限者が休暇中で稟議が進まないといった問題が起こりやすいです。

承認ルートの形骸化・ブラックボックス化:誰に回せばいいのか分からない

会社の規模が大きくなると、「この申請は誰に承認をもらえばいいのか分からない」といった状況も増えてきます。部署や担当者ごとの慣習で処理され、正式な承認フローが共有されていない場合、承認ルートがブラックボックス化してしまうでしょう。

このような状況では、組織としての統一性を保つのは困難です。

過去の書類探しに時間がかかる:どのキャビネット?どのフォルダ?

「1年前の稟議書、どこだっけ?」「この申請、いつ承認されたの?」といった、過去資料の検索に時間を費やしてしまっている企業や組織も少なくないでしょう。紙ベースや担当者個人で管理しているデータやファイルでは、必要な情報にすぐにアクセスできず、確認や照会に多くの時間を割く必要があります。

これらの課題は、一つひとつは小さな問題に見えるかもしれませんが、積み重なることで大きな生産性の損失になりかねません。

日々の業務に追われる中で、非効率なワークフローが当たり前になってしまい、気付かぬうちに業務のスピードと正確性にブレーキをかけているのです。
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03

ワークフローを見直す・システム化するメリット~効率化だけじゃない価値~

ワークフローを見直しシステム導入することで、中小企業は多くのメリットを享受し、業務効率化を加速できます。ここでは、ワークフローの見直しやシステム化を行う6つのメリットをご紹介します。

メリット1:圧倒的な業務効率化(時間短縮・手間削減)

申請書の作成から承認までのプロセスが、デジタルで完結することで、決裁までの時間が大幅に短縮されます。

自動通知やリマインダー機能で承認の遅れを防ぎ、モバイル対応により、場所を問わず業務を進められるため、担当者はより重要な業務に集中できるようになるでしょう。

メリット2:ミスの削減と内部統制の強化(承認漏れ防止、証跡管理)

入力内容のチェック機能やあらかじめ設定された承認ルートにより、申請書類の記載ミスや入力漏れを防ぎ、手戻りの削減に貢献します。承認履歴はすべて自動で記録されるため、後から確認や監査がしやすくなり、不正防止や監査対応が容易になります。

これにより、企業のコンプライアンス強化が可能です。

メリット3:進捗状況のリアルタイム可視化と意思決定の迅速化

各業務プロセスの進捗状況が、リアルタイムで可視化されるため、申請が「今、誰のところで止まっているのか」といったボトルネックを一目で把握できます。

これにより、問題点を早期に特定し、業務プロセスの改善を促進し、組織全体の生産性向上も実現できるでしょう。

メリット4:ペーパーレス化によるコスト削減と情報共有の促進

紙の申請書が不要になることで、印刷代、用紙代、郵送費などの直接的なコストを削減できることもメリットのひとつです。

書類の保管スペースや管理にかかる人件費も削減でき、情報管理のセキュリティも向上します。  

メリット5:属人化の解消と業務標準化

ワークフローをシステムに落とし込むことで、特定の人にしかわからない属人業務を減らすことが可能です。

業務プロセスが標準化され、担当者が変わってもスムーズに引き継げるため、業務の安定性が向上します。

メリット6:テレワークなど多様な働き方への対応基盤

クラウド型のワークフローシステムは、インターネット環境があれば場所を問わず申請・承認が可能であり、リモートワークや出張時でも業務が滞りません。

これにより、押印のためだけに出社する必要がなくなり、従業員の柔軟な働き方を実現できます。
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04

管理部門の業務改善に直結!ワークフロー化すべき業務リスト

中小企業の管理部門では、多岐にわたる業務を担っています。ここでは、その中でも特にワークフロー化による改善効果が高い業務をピックアップし、ご紹介します。

経理・財務関連の業務

以下のような会社の経理や財務に関わる業務は、ワークフロー化によって業務の正確性を保ちつつ、手作業の負担を軽減できます。

・経費精算
・買掛金・売掛金管理
・給与計算・支払い
・領収書・請求書発行
・各種税金の計算・納付
・年末調整
・決算書作成 など

承認や確認のプロセスを自動化することで、スピードアップとミスの削減を図ることが可能です。

総務関連の業務

社内設備や書類に関する次のような業務も、ワークフロー化の対象として有効です。

・物品購入
・資産管理
・会議室利用申請
・備品貸与申請
・契約書管理・申請 など

申請から承認までの流れをワークフロー化することで、対応の遅延を防ぎ、文書や資産の管理状況を一元管理できるようになるでしょう。

人事・労務関連の業務

従業員に関わる多くの業務も、ワークフローの導入により大きな改善が見込めます。

・採用に関する手続き
・入退社手続き
・異動管理
・休暇申請
・残業申請
・各種証明書発行申請 など

特に、入社時には多くの書類が必要で手続きが煩雑になりがちですが、これらをワークフロー化することで、手続きの効率化や抜け漏れ防止が可能です。

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05

業務効率化の切り札「ワークフローシステム」とは?

ワークフローシステムとは、企業における申請・承認業務のプロセスを、IT技術によって電子化・自動化する仕組みです。これまで紙や口頭で行っていた業務をデジタル上で完結させることで、業務のスピードと正確性が飛躍的に向上します。

ワークフローシステムの主な機能は、以下の通りです。

・電子申請・電子決裁:稟議書や経費精算など、あらゆる申請をシステム上で作成し、電子的に承認できる機能
・承認ルートの自動生成:申請内容や条件に応じて、適切な承認ルートをシステムが自動で生成し、次の承認者へ自動で処理を引き継ぐ機能
・進捗状況の可視化:各業務プロセスの進捗状況をリアルタイムで把握し、滞留箇所を一目で確認するための機能
・自動通知・リマインダー:申請や承認が必要なタイミングで、関係者への自動通知や、承認が遅れている場合のリマインダーを送信する機能
・書類の自動保管と検索:決裁済み書類を自動でシステム上に保存し、過去の書類を簡単に検索・参照するための機能
・他システムとの連携:会計システムやビジネスチャットツールなどと連携し、データの一元管理や二重入力の削減、業務のさらなる効率化を叶える機能

ワークフローシステムは、業務プロセスを「自動化」「可視化」「標準化」することで、業務の質と速度を根本から変革するツールです。業務のスピードアップと品質向上を同時に実現できる、現代の業務改善に欠かせない存在といえるでしょう。

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06

中小企業向けワークフローシステムの選び方 ~失敗しないための5つのポイント~

自社に適したワークフローシステムを選定する際には、いくつかの重要な視点から比較・検討する必要があります。ここでは、ワークフローシステムの選び方を中小企業向けに解説します。

ポイント1:クラウド型かオンプレミス型か(初期費用、運用負荷)

導入形態を選ぶことは、運用コストや管理体制に大きな影響を与える重要なポイントです。特に中小企業では、自社のITリソースや導入スピードに応じた選択が求められます。

ワークフローシステムの代表的な2つの形態の特徴は、それぞれ以下の通りです。

・クラウド型
インターネット経由で利用し、初期費用を抑えやすく、ベンダーが保守・運用を行うためIT担当者が不要です。費用面とスピード感を重視する中小企業に適しています。
・オンプレミス型
自社内にサーバを設置し、自社で運用します。セキュリティやカスタマイズ性に優れますが、導入・運用に手間と高額な初期コストがかかります。
いずれの方式にもメリット・デメリットがあるため、予算、社内のIT体制、セキュリティ要件などを総合的に検討し、自社に合った形態を見極めることが重要です。

ポイント2:機能の過不足と操作性

ワークフローシステムにはさまざまな機能があるため、自社の業務に合致したものが搭載されているかを確認しましょう。また、ITリテラシーに不安のある従業員でも直感的に操作できる「使いやすさ」も重要です。

高機能であっても、現場で使われなければコストが無駄になってしまいます。

ポイント3:料金体系

クラウド型の費用体系は様々ですが、1ユーザーあたり月額数百円程度ものが多いです。利用ユーザー数や機能範囲、契約期間によって費用は変動するため、利用規模と必要な機能を考慮して比較検討しましょう。

無料プランや無料トライアルの活用もおすすめです。

ポイント4:既存システムとの連携

現在使用しているExcelやWordなどの申請書フォーマットをインポートできるか、あるいは会計システムやビジネスチャットツールなど、他の社内システムとスムーズに連携できるかは重要なポイントです。

API連携やCSV出力機能の有無も確認し、データの一元管理や二重入力防止につなげましょう。

ポイント5:サポート体制と導入実績

導入後の運用において、システムの使い方やトラブル発生時に迅速なサポートを受けられるか、ベンダーのサポート体制を確認することは非常に重要です。

中小企業向けの導入実績が豊富なベンダーであれば、中小企業特有のニーズにも理解があり、スムーズな導入・運用が期待できます。
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07

ワークフローシステム導入を成功させるための進め方

ワークフローシステムの導入は単なるツールの導入ではなく、業務プロセスそのものを見直し、最適化するための「業務改革」の一環といえます。円滑な導入と定着のためには、以下のステップを順に踏むことが重要です。

対象業務の選定と現状プロセスの整理

まず、取り組むべきは、現状の業務フローを詳細に把握し、明確にすることです。現場でのヒアリングを通じて問題点を洗い出し、業務に関わる担当者や情報の流れを明確に定義しましょう。フローチャートなどで視覚化することで、非効率な点やボトルネックとなっている工程を特定できます。

導入目的の共有と関係部署との連携

次に、導入により解決したい課題と、その優先順位を明確にします。業務の中でも使用頻度が高く、改善効果が大きいプロセスから電子化を進めることで、早期に効果を実感しやすくなります。その際には、関係部門とも連携しながら、目的意識を共有することが重要です。

スモールスタートと効果測定

ワークフローシステムの導入時には、最初から全社一斉に導入するのではなく、まずは特定の部署や業務から試験的に導入する「スモールスタート」が推奨されます。これにより、限定的な環境でシステムを検証し、実践的なフィードバックを収集して、大規模展開前に課題を特定・修正できます。導入後も、設定した目標に対する効果を定量的に測定・評価し、継続的に改善を行うことが大切です。

社内説明会・マニュアル整備

導入を成功させるには、現場の理解と協力が不可欠です。システムを実際に利用する従業員に対し、導入目的やメリットを丁寧に説明し、使い方の説明会の開催や、分かりやすい操作マニュアルの整備を進めましょう。従業員のITリテラシーに合わせた研修・サポートを徹底し、システムのメリットを広めていくことで、積極的な利用を促進できます。

運用ルールの策定と継続的な見直し

業務標準化は、一度行って終わりではありません。運用を通じて見えてきた問題点や改善点を洗い出し、現場の意見を取り入れながら、ワークフローやマニュアルの継続的なブラッシュアップを行っていくことで、継続的な業務改善につながります。

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まとめ

ワークフローの見直しやシステム導入は、企業のあらゆる業務の流れを可視化し、生産性を高めるための第一歩です。これまで紙ベースや口頭で行っていた申請・承認作業も、ワークフロー化することで、迅速かつ正確に処理できるようになります。特に、人員や時間といったリソースが限られる中小企業にとっては、業務効率の向上が経営に直結する重要なテーマです。

現在はさまざまなワークフローシステムが提供されているため、自社の業務にマッチしたツールを選定・導入し、組織全体の業務改善と効率化を実現しましょう。
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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
北川 希
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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