人手不足解消に直結!業務プロセス自動化で効率と精度を同時にアップ

本記事は2025/07/31に更新しております。
人手不足解消に直結!業務プロセス自動化で効率と精度を同時にアップ
中小企業の管理部門では、慢性的な人手不足や業務品質の維持など、さまざまな課題を抱えています。こうした課題の解決策として注目されているのが業務プロセス自動化です。
本記事では、業務プロセスの自動化を導入する意義から具体的な進め方まで、実務に役立つポイントを解説します。業務効率化にとどまらず、 中小企業の管理部門では、慢性的な人手不足や品質向上や働き方改革にもつながる自動化の活用方法を通じて、生産性の高い組織へと変革するためのヒントをご紹介します。

01

業務プロセス自動化とは? ~定型業務をロボットにお任せ~

業務プロセス自動化とは、パソコン上で行われる定型作業を、ソフトウェアロボット(RPA=Robotic Process Automationなど)や各種ITツールで自動実行させることです。従来は、人が手作業で行っていたマウス操作やキーボード入力を、ロボットが代行します。

ここで重要なのは、「自動化」と「IT化」は異なるということです。IT化は、書類のデジタル化や業務のシステム化によって効率化を図るものですが、操作は基本的に人が行います。一方、自動化は、作業そのものをロボットやシステムに任せる点が特徴です。

そのため、自動化を進める際には、単にツールを導入するのではなく、業務全体の流れを見直し、最適化するアプローチが必要となります。

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02

なぜ中小企業の管理部門に「自動化」が必要なのか?

中小企業の管理部門が自動化を導入すべき背景には、次のような特有の課題があります。

深刻化する人手不足

少子高齢化や労働人口の減少により、求人を出しても応募がない、退職者の補充ができないといった人手不足が深刻化しています。特に、経理や総務などの管理部門は、利益を直接生まない部門として人員削減の対象になりやすく、限られた人員で業務を回すことが求められています。

働き方改革と残業時間削減

労働時間管理の厳格化が進む中、特に、月次決算や年末調整など、業務が集中しやすい時期の残業時間の削減が急務となっています。業務量が変わらない中で残業を削減するためには、業務効率化が不可欠です。

ミスが許されない重要業務

経理の数値管理や労務の法令遵守など、管理部門の業務は企業経営の根幹を担うため、ひとつのミスが企業の信頼を棄損しかねません。常に高い精度が求められるため、業務品質の維持・向上は必須です。

コア業務へ集中できない

本来、管理部門には、経営判断に資する情報提供や戦略的なリソース配分の提案など、企業価値向上につなげるコア業務があります。しかし、日々の定型業務に追われ、戦略的な業務に時間を割けないというジレンマを抱えています。
こうした課題を解決する有効な対策が、業務プロセスの自動化です。自動化は、リソース不足を補いながら、業務の質と効率を高める手段として注目されています。

次の章では、自動化がもたらす具体的な効果について詳しくみていきましょう。

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03

自動化がもたらす「効率アップ」と「精度向上」のダブル効果

自動化を取り入れることで、作業スピードの向上と業務の正確性を同時に高められるため、結果として組織全体の生産性向上につながります。

効率アップの効果

まずは、自動化によって得られる効率アップの具体的な効果をいくつかみていきましょう。

作業時間の大幅短縮

ソフトウェアロボットは24時間365日稼働できるため、夜間や休日にも作業を進められます。これまで手作業で5時間かけていた作業を数分で完了させることも可能です。 具体的には、月末月初に集中する請求書発行やレポート作成業務を夜間に自動実行することで、翌朝には必要な資料やデータが整っている状態にできます。

省人化・人手不足解消

定型業務の自動化により、少ない人員で業務を回せるようになります。主要業務を自動化することで、退職や異動による人員減で業務が滞留するリスクを大幅に軽減できるでしょう。
例えば、これまで3人で行っていたデータ入力を1台のロボットに任せることで、余剰人員を他業務にシフトすることが可能です。これは、人材確保に苦しむ中小企業にとって、人手の補完策として有効です。

単純作業からの解放

データ入力や転記といった単調な作業は、従業員のモチベーションや集中力の低下を招く要因のひとつです。これらの業務を自動化することで、従業員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
仮に、経理担当者が単純な入力作業から解放されれば、コスト分析や財務戦略の検討といった、企業価値向上につながる業務に時間を充てられるでしょう。

業務スピードの向上とリードタイム短縮

自動化は個々の作業を短縮するだけでなく、業務全体のリードタイムを短縮します。例えば、請求書処理を自動化することで、受領から支払いまでのサイクルが短縮され、結果としてキャッシュフローの管理精度の向上の期待できます。

精度向上の効果

続いて、精度向上によるメリットを解説します。

ヒューマンエラーの撲滅

人の手による作業では入力や転記ミスは避けられません。特に、疲労や集中力低下によるミスが発生しやすくなります。一方、自動化ツールは設定通りの処理を正確に行うため、ヒューマンエラーを排除できます。
重要情報を扱う経理や人事部門では、わずかなミスが大きな問題に発展
しかねません。その観点からも、自動化による精度向上の効果は大きいといえます。

業務品質の安定・標準化

自動化されたプロセスは、一定のルールに基づいて常に同じ手順で実行されるため、担当者の経験や技術レベルに関わらず、一定の品質を維持することが可能です。属人化を防ぎ、標準化も実現できるため、引き継ぎやマニュアル作成の負担軽減にもつながるでしょう。

コンプライアンス強化・内部統制への貢献

業務プロセス自動化では、処理の記録である作業ログが自動的に残り、「誰が・いつ・何の」作業を行ったかが明確になります。これにより処理の透明性が担保され、不正防止にもつながります。
さらに、法改正や社内規定の変更があった際にも、処理ルールの設定を更新するだけでスムーズに適用できる点もメリットです。

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04

管理部門のどこから始める? 自動化しやすい業務の見つけ方

業務プロセスの自動化を成功させるには、どの業務から着手すべきかを見極めることが重要です。全ての業務が自動化に適しているわけでなく、業務の性質によって効果や難易度が変わります。

近年では、ノーコード・ローコードツールの普及により、IT部門に頼らず、業務担当者自身で導入できるケースも増えてきました。ここでは、自動化しやすい業務の特徴と具体例を解説します。

自動化に「向いている」業務の特徴

まずは、自動化しやすい業務の特徴を確認していきましょう。

ルールが決まっている(判断・解釈が不要)

一定のルールに基づいて処理できる業務は自動化に適しています。条件分岐が明確で、人の判断や解釈を必要としない業務は自動化しやすいといえます。

一方で、経験や状況に応じた柔軟な判断や、創造性を必要とする業務は、自動化にはあまり適していません。

繰り返しが多い

毎日・毎週など定期的に繰り返される作業は、自動化による効果が高くなります。例えば、毎日行う売上データの集計や、月次で実施している請求書処理などは、自動化による時間削減効果の累積により、投資対効果が高くなります。

パソコン上で完結する

自動化ツールの多くは、パソコン上での作業を想定して構築されています。紙や実物を扱う処理は自動化が難しいため、システム上で完結する業務の方が自動化には適しています。

大量のデータを扱う

扱うデータ量が多いほど自動化によるメリットも大きくなります。大量データを手作業で処理する場合はミスも発生しやすいため、自動化による精度向上の効果も顕著です。

具体例(管理部門)

上記の特徴を踏まえ、管理部門における自動化に適した業務の具体例をみていきましょう。

レポート作成・集計

日次・週次・月次の売上集計や、部門別・商品別の実績集計など、定型的なレポート業務は自動化しやすい分野です。例えば、基幹システムからデータを抽出し、Excelの定型フォーマットにレポートを自動生成する業務であれば、作業時間を大幅に削減できます。

勤怠データチェック・集計

勤怠システムからデータを出力し、異常値のチェックや、部門別の労働時間集計、給与計算システムへの連携といった処理も、自動化によって精度と効率を高めることが可能です。

Webサイトからの情報収集

競合他社の価格情報や業界ニュース、官公庁の発表など、特定のサイトから定期的に情報収集してリスト化する作業も自動化できます。

システム間のデータ連携

「ERPと販売管理システム」「CRMと顧客データベース」など、複数のシステム間でのデータ連携も自動化の対象です。手動でのデータ移行は時間がかかるだけでなく、転記ミスのリスクが高いため、自動化による効果が大きい領域です。

これらの業務は、多くの中小企業の管理部門に共通する定型業務です。自社の業務プロセスを見直す際は、まずこれらの業務が自動化可能かを検討してみましょう。

特に、時間と手間がかかっている業務や、ミスが発生しやすい業務から優先的に取り組むことで、自動化の効果を最大化できます。
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業務プロセス自動化を実現する主なツール ~RPAだけじゃない選択肢~

ツール 特徴 活用業務
RPA ・定型的なパソコン操作をソフトウェアロボットが代行
・プログラミングの知識がなくても導入しやすい製品が多い(ノーコード・ローコード)
・24時間稼働・人的ミスの削減が可能
・請求書データ転記処理
・在庫管理の更新
・Webサイトからの情報収集・更新作業
Excelマクロ・VBA ・Excel内の作業を自動化
・独自の業務に細かく対応可能
・比較的低コスト・導入が容易
・データ集計・分析
・請求書・報告書の作成
・複数ファイルのデータ統合
ワークフロー ・申請・承認業務をデジタル化
・可視化・進捗管理が容易
・権限管理や内部統制の強化にも有効
・ペーパーレス化を促進
・経費精算の申請・承認フロー
・稟議書の作成・決裁手続き
・休暇申請や勤怠申請の管理
AI-OCR ・手書きや印刷された文字を高精度でデジタルデータ化
・書類の種類やレイアウトが異なっても対応可能
・他ツールとの連携でデータ入力を自動化
・納品書・請求書のスキャンとデータ抽出
・申込書や契約書の情報入力
・アンケート用紙の集計
・名刺管理
iPaaS ・異なるクラウドサービスやシステムを統合
・API連携によりリアルタイムでデータ連携可能
・プログラミングの知識がなくても構築可能なツールが多い
・CRM(顧客関係管理)とMA(マーケティングオートメーション)のデータ連携
・ECサイトと在庫管理システムの同期
・会計システムと販売管理システムのデータ統合
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中小企業が自動化ツール導入で失敗しないための5ステップ

業務プロセス自動化は、大きな効果をもたらしますが、導入しても活用されなかったり、期待した効果が得られなかったりと失敗事例も少なくありません。十分に計画したうえで導入することが重要です。
ここでは、中小企業が自動化ツール導入で失敗しないための5つのステップをご紹介します。

Step1:目的の明確化と対象業務の選定

まずは、自動化する目的を明確にすることです。人手不足の解消、残業時間の削減、人的ミスの撲滅など、具体的な目的を設定しましょう。目的が明確になることで、どの業務を自動化すべきか、どのツールを選ぶべきか、導入効果をどう測定するかの基準が定まります。

最初は、効果が見えやすく、かつ比較的簡単に自動化できる業務から始めるのがポイントです。

Step2:業務プロセスの可視化・標準化

自動化の対象業務が決まったら、次はプロセスの可視化と標準化です。標準化されていない、担当者の経験や勘に頼った作業は、誰でも同じ処理ができるようにルールを統一します。
具体的には、「誰が、いつ、何を、どのように行っているか」を、フローチャートなどを使って書き出しましょう。

この作業を通じて、無駄な手順や非効率な部分が洗い出され、自動化しなくても改善できる業務が見つかることもあります。

Step3:費用対効果の試算とツール選定(スモールスタート重視)

費用対効果を試算したうえで、最適なツールを選びましょう。期待できる効果としては、作業時間削減、ミス防止による戻り工数削減、残業削減などが挙げられます。 費用については、導入コストだけでなく、設定・開発費、教育コスト、保守費用まで含めた総コストを算出することが重要です。また、投入する費用の回収期間も事前に確認しておきましょう。
最初から大規模な自動化を目指すのではなく、小さな成功事例を積み上げていくアプローチが有効です。

一部の業務や部門に限定した試験的な導入から始め、効果を確認しながら展開することで、リスクを抑えつつ確実に自動化を進めていくことが可能です。

Step4:導入・開発と十分なテスト

自動化ツールの導入・開発段階では、目標とする自動化シナリオを実現するとともに、様々なケースを想定したテストを行うことが欠かせません。通常の運用パターンだけでなく、例外的な処理や異常値が入った挙動も含め、現場で発生しうるケースを網羅してテストを行いましょう。

また、実際に使用する担当部門やユーザーにも積極的に参加してもらい、現場のニーズや運用上の細かな課題を反映すること、実用的で効果的な自動化を実現するために不可欠です。

Step5:運用体制の構築と効果測定・改善

自動化ツールは導入して終わりではありません。運用体制を構築し、定期的に効果を測定・評価することで、継続的な改善につながります。

例えば、以下の点を明確に定めたルールを整備し、関係者間で共有しましょう。

・誰がロボットを起動・停止するのか
・エラーが発生した場合、誰がどのように対応するのか
・業務プロセスに変更があった場合、誰がロボットを修正するのか
・定期メンテナンスは誰が行うのか

こうしたルールをもとに、部門横断的な連携体制が構築できると理想です。

さらに、Step1で設定した目標に対する達成度を、定期的に測定・評価することも重要です。定量的な指標だけでなく、「残業が減った」「余裕ができて新しい業務に取り組めた」といった定性的な効果も把握しましょう。

業務環境の変化や自動化の運用実績を踏まえ、定期的に自動化シナリオの見直しや機能追加を行います。

また、成功事例を他の業務や部門にも展開していくことで、全社的な効率化を進められます。
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まとめ

本記事では、中小企業の管理部門における人手不足解消や業務効率化の解決策となる「業務プロセス自動化」について解説しました。
業務プロセス自動化は、効率と精度の向上を同時に実現し、課題解決に貢献する手段です。まずはスモールスタートで段階的に導入し、効果を検証しながら改善を重ねていくことが成功の鍵となるでしょう。
人手不足の環境下で、高い業務品質を維持しながら持続的成長を目指すために、自動化は欠かせない選択肢です。今回ご紹介したさまざまな自動化ツールや具体例を参考に、自社の業務プロセスを見直し、自動化による業務革新に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人

赤峯豪
BtoB専門ライター。通信事業会社・大手IT企業で16年間、BPR(業務プロセス改革)や予算管理業務に携わる。在職中に独学で簿記2級を取得。DX・RPAを含むオペレーション改善を幅広く企画・実行。その後、売上高1,300億円規模の経営企画・予算管理業務に従事。ライター転身後は、BtoB向け記事、ホワイトペーパー、LPの執筆・制作を中心に手がけている。
北川 希
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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