株式会社NTTデータビジネスブレインズ
[自社開発のSlopebaseで社内ワークフローをスモールスタート ── Excel+メール文化からの脱却事例]
株式会社NTTデータビジネスブレインズ
株式会社NTTデータと日本板硝子株式会社の共同出資により設立された株式会社NTTデータビジネスブレインズ。情報システムの企画・開発からハードウェア・ソフトウェアの販売、システムの運用保守まで、ITサービスを幅広く手がけています。大手顧客のシステム開発・運用保守を主力事業としつつ、電子帳簿保存法対応サービス「ClimberCloud」やノーコード・データベース「Slopebase」など、自社開発のクラウドサービスの提供にも注力しています。
- 設立:2003年9月1日
- 所在地:東京都港区芝公園2-4-1 芝パークビルA館14階
- 従業員数:290名(2025年4月1日現在)
- 事業内容:情報システムに関する企画・開発、ハードウェア・ソフトウェアの販売・保守、システムの運用保守
- オフィシャルサイト:https://www.NTTd-bb.com/
【お話を伺った方】
- 株式会社NTTデータビジネスブレインズ
- アセットソリューション事業部 アセットソリューショングループ 課長 山本 恒夫
- アセットソリューション事業部 アセットソリューショングループ 工藤 友椰
- 導入前の課題
- Notesの廃止に伴い、全社共通の旅費精算システムへ移行することになり、出張報告書提出のワークフローが失われ、出張報告に関しては、メールでの報告に後退していた
- 社内の各種申請(PC払い出し・アカウント管理・法務審査など)が、Excelとメールで運用され、過去履歴の検索・管理が困難だった
- 申請書のExcelテンプレートにバージョン違いが発生し、差し戻し・再申請の手間が頻繁に生じていた
- 全社ワークフロー基盤(kintone)は用途が限定されており、部門独自の細かなワークフローを追加できなかった
ソリューション導入の背景
変えられない「Excel+メール」文化
株式会社NTTデータビジネスブレインズのビジネスソリューション事業部では、長年にわたり Notesを基盤とした社内ワークフローを運用してきました。旅費精算から出張報告まで、すべてが一体化されたシステムは日常業務に深く根づいていました。しかし Notes廃止のタイミングで大きな転機が訪れます。旅費精算は、全社の共通基盤へ移行し、申請業務の一部はkintoneに切り替わりました。ところが、出張で「何をしてきたか」を報告するワークフローの受け皿がなくなり、報告はメールで済ませるだけの状態に後退してしまいました。
「報告がメールだけだと、宛先以外の人は内容を確認できません。上司への報告は届いても、事業部長が『あの研修どうだった?』と知りたいときに情報を参照する手段がなかった」(山本氏)
さらに、出張報告だけでなく、PC・アカウントの払い出し申請、法務審査依頼、名刺作成依頼、クラウドサービスの利用申請など、社内の細かな業務フローもすべてExcelとメールで運用されていました。kintoneは、基幹システムとして用途が厳格に限定されており、部門ごとにワークフローを追加できない方針が定まっていたため、現場が独自に業務を改善する手段がない状況でした。
「Slopebaseがなかったら、おそらくずっとExcelとメールの世界だったと思う」(山本氏)
自社で開発を進めていたSlopebaseの機能が充実してきたことを受け、まずは社内で活用し、実績を積み上げようという判断がなされました。
ソリューション導入に向けて
事業部長の号令のもとでスモールスタート
Slopebaseの社内導入は、ビジネスソリューション事業部の事業部長が直接号令をかける形でスタートしました。最初の要件はただひとつ、「社内導入事例として出張報告ワークフローを作ること」でした。大がかりなプロジェクトチームを組むのではなく、工藤氏がひとりで開発を担当する、まさにスモールスタートでした。
工藤氏はまず、以前、Notesで運用していた出張報告の業務フローを整理するところから着手。どのような項目を扱っていたか、承認フローはどのように回っていたかを洗い出し、表に起こして整理しました。既存の運用内容を参照できたため、この作業は1~2時間ほどで完了しました。
「既存のフローにできるだけ合わせることを意識しました。業務の流れ自体を変えるのではなく、そのまま Slopebaseに載せ替えるイメージです」(工藤氏)
フローを整理した後は、Slopebase上でワークフローを構築。ノーコードで画面や承認ルートを設定し、実質1~2日で開発が完了しました。あわせて操作マニュアルも作成しましたが、画面キャプチャを貼り付けて入力内容を説明する簡易なもので、数時間で仕上がっています。ユーザー登録もCSVアップロードで一括処理できるため、事業部全体への展開もスムーズに進みました。
事業部単位での意思決定で始められる点も、導入のハードルを大きく下げました。全社的な承認プロセスを経る必要がなく、事業部長の判断だけで進められたことで、検討から運用開始までを短期間で実現しています。
製品選定の理由
自社プロダクトだからこそ実現できた「部門で完結するワークフロー」
今回の導入は、自社が開発・提供するSlopebaseを社内で活用するという、通常の製品選定とは異なる経緯をたどっています。しかし、その選択には明確な理由がありました。
全社ワークフロー基盤であるkintoneは、すでに基幹システムとして用途が限定されており、部門ごとに細かなワークフローを追加する余地がありませんでした。かといって、新たな全社システムを導入するほどの規模でもありません。こうした「全社ワークフローに乗せるほどでもないが、Excelとメールでは非効率」という隙間を埋められるツールが求められていました。
Slopebaseは、まさにその要件に合致します。ノーコードでワークフローを構築でき、部門単位で導入・運用が完結します。担当者ひとりでも短期間でアプリケーションを作成でき、全社的な調整を必要としない柔軟さが強みです。
「自分たちで自由に使えるワークフローツールを手にしたことで、これまで手が付けられなかったスモールフローを次々と作れるようになりました」(山本氏)
さらに、自社プロダクトを実際の業務で使い込むことで、ユーザー視点のフィードバックを開発チームに還元できるという副次的なメリットもあります。社内で実績を積み、その知見をお客様への提案にも活かしていくという戦略的な判断が、導入の決め手となりました。
移行プロセスと移行後の効果
ノーコード開発で即日構築、情報共有の質が向上
移行プロセスは極めてシンプルでした。前述のとおり、工藤氏による業務フローの洗い出しに1~2時間、Slopebase 上でのワークフロー構築に1~2日、マニュアル作成に数時間。大規模なデータ移行も不要で、ユーザー登録はCSVアップロードで完了しました。
「Slopebase に落とし込む作業自体は、他の業務の合間でも1日2日あればできてしまいます」(工藤氏)
導入後、最も大きな変化は情報共有の質が向上したことです。メールベースの報告では、宛先に入った上司しか内容を確認できませんでした。Slopebaseのワークフローに移行したことで、直属の上司だけでなく、事業部長など間接的な上位者も必要に応じて報告内容を閲覧できるようになっています。
「以前は報告を送って終わりで、履歴も管理されていませんでした。今は誰がいつどこに出張して何をしてきたかが記録として残り、必要なときに参照できます」(山本氏)
また、今後展開予定のPC払い出しやアカウント管理のワークフローでは、過去の申請履歴をデータベースとして蓄積・検索できるようになります。これにより、前回の対応内容を調べるためにメールやフォルダを掘り返す手間がなくなり、Excelテンプレートのバージョン違いによる差し戻しも解消される見込みです。パートナーや社員の入れ替わりが頻繁に発生する同事業部にとって、繰り返し発生する払い出し業務の効率化は大きな効果が期待されています。
今後の展望
スモールフローの積み重ねから、基幹業務のリプレースへ
現在、ビジネスソリューション事業部では出張報告ワークフローの運用実績をもとに、PC・アカウントの払い出し申請や法務審査依頼のワークフロー構築を進めています。さらに、別部署である経営管理部への導入も始まっており、総務系の申請業務への展開が視野に入っています。
「経営管理部にSlopebaseを紹介したところ、さまざまな業務に使えそうだという反応がありました。まずは事業部内と経営管理部の二拠点で回せれば、十分な本数のワークフローになります」(山本氏)
加えて、より大きな展望として、現在、kintoneで運用している ClimberCloud、Slopebaseの契約情報管理を Slopebaseへリプレースする計画も進行中です。kintoneの年間利用コスト約150万円に対し、Slopebaseへの移行で年間約60万円まで削減できる見込みであり、コスト面でのメリットも明確です。
また、外注先からの作業実施報告書の回収など、Slopebaseのソリューション機能を活用した新たなユースケースにも取り組んでいく予定です。
「スモールなワークフローからスタートして実績を積み、次のステップとしてしっかりした業務システムも作っていきたい。自社で使いながらお客様にも展開する、使いつつ売りつつという形が理想です」(山本氏)
自社プロダクトのユーザーとして培った知見を、Slopebaseの機能強化とお客様への提案に活かしていく。株式会社NTTデータビジネスブレインズの挑戦は、まだ始まったばかりです。
※記載されている会社名、製品名「Notes」「kintone」「Excel」などは、各社の登録商標または商標です。



