会社の収支改善を成功させるためのロードマップ~赤字脱却・利益拡大を目指して~

本記事は2026/02/24に更新しております。
会社の収支改善を成功させるためのロードマップ~赤字脱却・利益拡大を目指して~
会社の収支状況が思わしくなく、行き詰まりを感じていませんか。危機的状況であっても、収支の改善は決して不可能ではありません。本記事では、赤字を脱却するとともに、さらなる利益の拡大を目指すロードマップを提示します。できることから一つひとつ取り組んでいきましょう。

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収支改善の第一歩:現状を「正しく」把握しなければ始まらない

収支を改善するためには、現状の把握を第一に考えましょう。

現状を正しく認識できなければ、問題点がわからず、効果的な対処ができません。「早く何かしないといけない」と焦らず、まずは落ち着いて現状をつかむことが大切です。以下では、その具体的な方法を紹介します。

損益計算書(P/L)から「儲けの構造」と「問題箇所」を読み解く

損益計算書(P/L)の構造

会社の「儲けの構造」は、損益計算書を読み解くことで分かります。まずは次の3つの利益の意味を押さえましょう。

・売上総利益(粗利益):売上高から売上原価を引いた利益
・営業利益:売上総利益から販管費(販売費および一般管理費)を引いた利益
・経常利益:営業利益に営業外収益を加えて営業外費用を引いた利益

それぞれの利益から、自社の問題を推測できます。
例えば、売上総利益が少ない場合には、次の問題が考えられます。

・売上原価がかかりすぎている
・売上が減っている

売上原価が膨らむ原因は、材料・商品の値上がりやロスの多さなどが考えられます。売上の減少は、商品やサービスの需要の変化や、時期や季節が関連している可能性があります。

営業利益が少ない場合は、販管費の使いすぎが考えられます。販管費を「人件費」「地代家賃」「減価償却費」といった科目ごとに細かく把握することで、何に余計なコストがかかっているのかを把握できます。

経常利益が少ない場合は、営業活動以外の費用が多過ぎることが考えられます。主に想定されるのは、支払利息などです。

過去の実績や同業他社の業績と比較することも有効です。損益計算書の数字から、自社の収支構造を正確に把握し、問題箇所を客観的に理解しましょう。

キャッシュフロー計算書で「お金の流れ」の詰まりを見つける

損益計算書上では利益が出ているはずなのに、キャッシュ(お金)が足りないケースも少なくありません。その場合には、キャッシュフロー計算書を確認しましょう。

キャッシュフロー計算書とは、企業活動におけるお金の出入りを示す書類です。キャッシュフロー計算書で読み取れるキャッシュの流れには、次の3つがあります。

・営業キャッシュフロー:営業活動によるもの(売上収入・仕入支出など)
・投資キャッシュフロー:会社の将来に備えた投資活動のためのもの(設備購入支出など)
・財務キャッシュフロー:営業活動や投資活動を維持するためのもの(借入金収入・借入金の返済支出、株式発行収入・配当金の支払いなど)

事業の中心となる営業キャッシュフローは、3つのうちで特に大切です。営業活動でどれだけのキャッシュを生み出しているか、そのためにどれだけのキャッシュが動いているかという点は、事業の安定性や収益性を図るうえで重要な情報です。

中小企業には作成の義務がないため、会社によっては作成していないこともあります。

キャッシュが減った原因がわかり、将来の見通しにも役立つため、資金繰りが苦しい場合はキャッシュフロー計算書を作成してみることをおすすめします。

収支悪化の根本原因を特定するための深掘り分析

損益計算書やキャッシュフロー計算書で自社の状態をつかんだら、効果的な対策を取るための分析をしましょう。主な分析対象には次のものがあります。

・商品・サービス
・事業部門
・固定費・変動費
・損益分岐点

利益を確保する方法は、「売上の増加」と「コストの削減」のいずれかです。

売上を増やすには、商品・サービスや事業部門を分析し、今後成長する可能性のあるものを把握することが大切です。

コストを削減するには、固定費・変動費分析が有効です。無駄な費用がないか分析しましょう。商品・サービスや事業部門について採算性の低いものを把握し、テコ入れや縮小といった対策を取ることも有効です。

損益分岐点とは、赤字にならない最低限の売上額を指します。売上をいくら増やせばよいか、コストをいくら削減すればよいかを考える際のヒントとなるでしょう。

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収支改善ロードマップ】赤字脱却から利益拡大へ!5つのフェーズで進める

収支改善は段階的かつ体系的に、一つひとつ進める必要があります。以下では、収支改善を進める具体的なロードマップを5つのフェーズに分けて紹介します。

フェーズ1:緊急止血(Immediate Action)- まずはキャッシュアウトを止める!

資金繰りが逼迫している場合は、まずキャッシュの過剰な流出を止めましょう。これ以上の悪化を防ぐ応急処置が必要です。

交際費や広告宣伝費など、不要不急なコストの流出はすぐにストップしましょう。役員報酬の減額も検討する必要があります。

多くのキャッシュを確保するために、次の方法も検討しましょう。

・短期借入
・手形割引
・支払い猶予の交渉 など
出費を最小限に抑え、経営を維持するためのキャッシュを確保する必要があります。

フェーズ2:コスト構造改革(Cost Reduction)- 聖域なき無駄の排除

応急処置によって経営を維持できる状態を確保したら、コスト削減に向けて抜本的に取り組みましょう。安定した経営を継続できる体制を整えるためには、次の対策が有効です。

・固定費の見直し
・変動費の削減
・生産性向上 など

見直すべき固定費には、地代家賃や保険料、リース料などが考えられます。人員配置を最適化して人件費を削減したり、遊休資産を処分したりすることも有効です。

過剰な変動費を削減するためには、仕入単価や仕入先、外注費などを見直しましょう。既存の仕入先への単価交渉や、より安価な仕入ができる仕入先を探すことが有効です。小売店であれば、他社との共同仕入れも検討できます。製造業であれば、歩留まりの改善によって原価を圧縮することも可能です。消耗品費や残業代の削減も、有効な方法です。

業務プロセスの無駄をなくし、生産性を向上させることも有効です。同じ時間でより多くの業務が進むため、人件費の削減にもつながります。

少ないキャッシュで維持できる経営構造への転換を図りましょう。

フェーズ3:売上回復・向上施策(Sales Improvement)- トップラインを伸ばす攻めの手

コスト削減と並行して、売上を増やす取り組みも必要です。売上を増やしたうえで、利益をしっかり残すことを意識しましょう。具体的な方法としては、次のような施策が挙げられます。

・既存顧客への深耕(アップセル/クロスセル提案・単価見直し・優良顧客の維持/囲い込み)
・新規顧客獲得戦略の見直し(ターゲットの再設定・効果的な販促活動・Webマーケティングの強化)
・価格戦略の見直し(付加価値に見合った価格の再設定・値上げ)
・不採算事業・商品からの撤退・縮小(リソースの確保・再配分) など

一般的に、新規顧客を獲得するよりも既存顧客による売上を伸ばす方が、コストが抑えられるといわれています。既存顧客との信頼関係を深めて、LTV(顧客生涯価値)の拡大を目指しましょう。

とはいえ、新規顧客の獲得も並行して行う必要があります。自社の強みに合致したターゲットを再設定し、そのターゲットに有効な方法でのアプローチを検討しましょう。

提供できる価値に対して、価格が適切であるかどうかも再検討が必要です。値上げに際して新たな付加価値を提供することも戦略のひとつです。

採算性の低い事業や商品にかかっていたコストを採算性の高いものに回し、さらなる売上獲得を目指すという選択肢もあります。

フェーズ4:利益体質強化(Profitability Enhancement)- 儲かる仕組みを構築する

一時的な改善で終わらせることなく、持続的に利益を生み出す仕組みを作りましょう。具体的には、次のような取り組みが考えられます。

・付加価値の高い商品・サービスの開発・強化による粗利率改善
・損益分岐点比率の引き下げ努力(固定費削減・限界利益率向上)
・投資対効果(ROI)を意識した戦略的なリソース配分(人・モノ・カネ)
・新たな収益源の模索・構築 など
危機を脱した後もこうした取り組みを続けることで、市場の変化に柔軟な対応ができるでしょう。

フェーズ5:モニタリングと継続改善(Monitoring & Kaizen)- 改善活動を定着させる

上記の改善に向けた取り組みの効果測定を行い、PDCAサイクルを回して継続的に改善していく仕組みづくりも大切です。

効果測定を行うためには、収支改善計画や数値目標を設定して定期的なレビューを行う必要があります。予算管理体制を強化し、実績との差異分析やフィードバックを行うことも大切です。

こうした取り組み重ねることで、改善活動を評価・奨励する組織文化を醸成することも、良好な企業体質の維持に役立つでしょう。

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収支改善を成功に導くための重要ポイントと注意点

上記のロードマップを実践する上で注意すべきポイントを、以下で紹介します。

スピード感と優先順位付けの重要性

収支改善の鍵は、早めの着手にあります。余計な出費が重なる前に、止血をすることが大切です。

取り組むべきことには優先順位をつけて実施しましょう。的確な優先順位付けをするために、損益計算書やキャッシュフロー計算書から常に現状を把握しておかなければなりません。

従業員への丁寧な説明と協力体制の構築

収支改善には従業員の協力が不可欠です。従業員の負担が大きい取り組みであれば、より丁寧に説明し、理解を得る必要があります。

社内全体で目標を共有し、同じ方向へ進むことができれば、危機的状況から脱しやすくなるでしょう。一人ひとりのコスト意識を高める取り組みも重要です。

経営トップの強いリーダーシップとコミットメントの必要性

収支を改善するには、経営トップが熱意を持って率先して行動する必要があります。自らが主体的に対策に取り組み、的確な判断を下すことで、組織の士気向上につながるでしょう。

金融機関との円滑なコミュニケーションと情報開示

資金調達では、金融機関との良好な関係性が不可欠です。情報開示が必要なときは誠実に対応し、信頼を積み上げることで、いざというときに協力してもらえる関係性を築きましょう。

必要に応じた外部専門家の早期活用

自社のみで解決が難しい場合は、手遅れになる前に専門家の手を借りましょう。

経営課題の把握や対策については、税理士や中小企業診断士が強い味方となります。経営が危機的状況に陥っている場合は、企業再生の専門家である再生コンサルタントへの依頼をおすすめします。

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【事例紹介】どん底からの復活劇!収支改善に成功した中小企業のリアル

以下では、危機的状況から脱出できた中小企業について、抱えていた課題と具体的な取り組み事例を紹介します。収支改善までの道筋のイメージをつかみましょう。

価格設定とターゲットの見直しで1.5倍の売上を達成

喫茶店Aは、近隣に競合が増えたことで売上が減少していました。収支管理を任せている税理士が収支の悪化に気付き、対策を始めます。緊急的な止血よりも売上の確保が重要なフェーズ3の状態でした。

まずは、感覚で設定していたメニュー金額の設定を、収益性の高い金額に見直します。店舗近くの団地に多く住む高齢者をターゲットに再設定し、モーニングの需要に合わせて開店時間を早めました。さらに、喫茶・軽食メニューの充実にも取り組みます。

半年後には前年比150%の売上を達成しました。

取り組みの中で発見した新たなターゲット層に合わせて、新メニューも開発しています。

体制の改善と収支の透明化で赤字改善・信用回復

電気工事を行うB社は、内部留保はあるものの赤字傾向にありました。受注した工事ごとの収支を精査したところ、採算が取れないものも見つかりました。コストが過剰なフェーズ2の状態であったといえます。

B社では営業と現場のコミュニケーションが少なく、目標やノウハウが共有できていませんでした。その結果、採算への意識の低さを招いていました。経営者も、試算表や資金繰り表を作成していない状態でした。

そこで、営業と現場の責任者が毎週会議を行うことにしました。両者の意識がそろったことで、採算性の高い受注の増加や、コスト削減の取り組みにつながっています。

経営者は月次資産表の作成やこまめな業況報告により、収支管理を徹底しました。その結果、財務状況が明確になり、経営の透明性も高まりました。

金融機関からの信頼も高まり、後継者への継承もスムーズに進んでいます。

価格交渉と綿密な計画で収支改善

自動車の部品メーカーであるC社もフェーズ2の状態で、赤字傾向にありました。取引開始時の価格交渉で、採算性の低い価格で契約していたことが原因の1つでした。売上のすべてを売上総利益とみなして計算していたこともあり、正確な収支状況を把握できていませんでした。

まずは大口の取引先に対して取引単価の見直しを交渉します。資金繰りや予実管理、アクションプランの達成状況などに関するミーティングも行い、現状確認を重ねながら取り組みました。

こうした努力の結果、採算性の高い単価で取引ができるようになり、好条件で取引できる新規顧客も獲得しました。収支状況は徐々に改善しています。

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まとめ

会社の収支改善には、迅速な現状把握が必須です。応急処置を行い、キャッシュの流出を減らしたら、利益の確保や売上の拡大を目指しましょう。
経営を継続するために、自社の経営方針や主力商品を大きく転換しなければならない場合もあります。冷静に現状を見つめ、利益を確保して事業活動を続けるために必要なことを一つずつ実践していきましょう。

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この記事を書いた人

福島彩香
地元中小企業において、経理・総務担当として2年間勤務し、在職中に独学で簿記2級を取得。一人の部署であり、日々の仕訳から決算業務、入退社管理や補助金申請書類作成など幅広い業務を経験。出産を機に退職し、ライター業を開始するかたわら、家族の経営する小さな会社の経理業務も行う。経理や数字に苦手意識のある方にも読みやすい記事の執筆を心掛けている。 
梶本卓哉(公認会計士、税理士)
監修
梶本卓哉(公認会計士、税理士)

早稲田大学卒業後、関東信越国税局採用。税務大学校を首席卒業(金時計)し、税務署法人課税部門にて法人税、消費税等の税務調査に従事。複雑困難事案の事績により署長顕彰。大手監査法人に転職後、製造業や不動産業をはじめ様々な業種の上場会社監査やIPO監査に従事。その後、中央官庁勤務を経て大手証券会社の引受審査部・公開引受部にてIPO業務に従事。現在は主に法人の税務顧問を務めており、スタートアップ支援に強みを有する。

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