業務標準化を進める際、場当たり的な対応では、かえって現場の負担が増え、形骸化してしまうケースも少なくありません。重要なのは、業務全体を俯瞰したうえで、順序立てて進めることです。
ここでは、バックオフィス業務の標準化を確実に成果につなげるために、現場と管理職の双方が押さえておきたい実践的な5つの手順をご紹介します。
【Step 1】全業務の棚卸しと優先順位の決定
すべての業務を一度に標準化しようとすると、現場が対応しきれず、かえって混乱を招いてしまいます。まずは、自分たちの部署で行っている業務を書き出し、どの業務から着手するかを明らかにしましょう。
業務の優先順位を検討する際の基準は、以下の3つです。
- 属人度 : その担当者しかできない仕事になっているか
- 業務の重要度 : ミスが起きるとインパクトがある業務か
- ミスの発生頻度 : 毎日、あるいは毎週ミスが発生して困っているか
まずは、担当者がひとりしかおらず、かつ頻繁に行うルーチンワークから着手することが、標準化を成功させるコツです。
【Step 2】現在の業務フローの「可視化」
対象を決めたら、今の仕事の進め方をありのままに書き出します。担当者へのヒアリングを通じて、「誰が」「いつ」「何を」「どう判断しているか」を図にするとわかりやすいでしょう。
図(フローチャート)を作成する際は、以下の基本的な記号を使用します。
- 楕円形 : 業務の開始と終了を表す
- 長方形 : 具体的な作業内容を示す
- ひし形 : はい/いいえなどの判断や分岐を表す
この段階では理想を追わず、あくまで今の実態を正確に写し取ることが大切です。
【Step 3】最適なルールへの「再構築(BPR)」
現状を可視化した後は、手順に潜む無駄を取り除く必要があります。現状のフローをただ文書化するのではなく、無駄な工程を省き、最も効率的なルールへと再構築(BPR)を進めましょう。
BPRを進める際のフレームワークとして、「ECRS(イクルス)の4原則」が有用です。ECRSとは、以下の「Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(入れ替え)、Simplify(簡素化)」の頭文字をとった略称です。
Eliminate(排除)
その作業は本当に必要か?形骸化した承認や二重チェックをなくせないか?
Combine(結合)
似たような作業を一つにまとめられないか?複数の担当者を統合できないか?
Rearrange(入れ替え)
作業の順番を変えることで効率は上がらないか?前倒しできる工程はないか?
Simplify(簡素化)
作業をより単純化できないか?誰でも判断できる数値基準を設けられないか?
あわせて、デジタルツールの導入も検討すると良いでしょう。実際に、紙媒体で行っていた申請業務をワークフローシステムに移行したことで、年間数万枚の帳票削減に成功した企業の事例もあります。
ただし、あくまで最適なルールが先であり、ツールはそれを実現するための手段であることを意識して進めることが重要です。
【Step 4】マニュアル・ツールへの「文書化」
次に、改善した新しい手順を、現場の担当者が必要なときにすぐ確認できる形で、マニュアルやチェックリストとして整備します。作成のポイントは、「ひと目でわかる」ことです。そのためには、次のようなポイントを意識すると効果的です。
スイムレーン図を活用する
担当者ごとに作業スペースを分け、誰の責任範囲かを明確にする
色の使い方を制限する
色を使いすぎると逆に見づらくなるため、強調したい部分だけに絞り、全体で3〜4色程度に抑える
チェックリスト化する
複雑な手順の中でも、「ここだけは必ず守るべきポイント」を抜き出し、確認項目として整理する
【Step 5】組織への定着と継続的なブラッシュアップ
業務ルールは、作成した瞬間から少しずつ現場とのズレが生まれていきます。標準化した内容を形骸化させないためには、PDCAサイクルを日常の運用に組み込み、定期的に以下の見直し(Check)と改善(Action)を行うことが不可欠です。
見直し(Check)
標準化したことでミスが減ったか、時間は短縮されたかを定期的に確認する
改善(Action)
現場からマニュアル通りだとやりづらいという声が出たら、すぐにルールを書き換える
「マニュアルは完成形ではなく、常に更新され続けるもの」という意識を、部署全体で共有し、改善が当たり前の文化として根付かせることが、業務標準化を定着させるポイントです。
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