クラウドのコスト削減はユーザー課金の見直しから|SaaSの固定費が膨らむ企業がとるべき対策

本記事は2026/07/03に更新しております。
クラウドのコスト削減はユーザー課金の見直しから|SaaSの固定費が膨らむ企業がとるべき対策

「導入したときは月額料金に関して無理のなかったクラウドサービスが、気づけば毎月の固定費をじわじわと圧迫している」——情報システム部門の担当者や、経理・購買・営業など各部門の責任者から、こうした声を耳にする機会が増えています。総務省の調査でも、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は83.5%に達しており(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)、クラウド活用はもはや一部の先進企業だけの取り組みではなく、多くの企業にとっての前提条件になっています。

 

その一方で急速に顕在化しているのが、ユーザー課金型のSaaSにまつわるコスト増の悩みです。

 

会社にもよりますが、従業員数が50名を超えるあたりから、1ユーザーあたりの月額料金に社員数を掛け合わせた費用が無視できない規模になります。複数の業務システムを併用している企業ほど、固定費の増加を実感しやすくなる傾向もあります。

 

私たちが日々の営業活動の中で企業の情報システム担当者や部門責任者と話す機会でも、直近で提案の機会をいただいた20社のうち8社が、SaaSのユーザー課金によるコスト増を課題として挙げていました。厳密な統計調査ではないものの、現場感覚として決して少なくない割合だと感じています。

 

この記事では、なぜクラウドサービスのコストが気づかないうちに膨らんでいくのかという構造的な理由から、ユーザー課金と従量課金の違いを具体的な金額で比較したシミュレーション、そして今日から着手できる削減策と、根本的な解決につながるシステム統合という選択肢まで、情報システム担当者・管理者と部門責任者の双方が実務で使える視点を整理していきます。

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まずは結論!棚卸しと「システム統合」の両輪でユーザー課金コストの膨張を止める

先に結論を言うと、クラウドサービスのコスト削減は「今すぐできる棚卸し」と「中期的なシステム統合」の二段構えで考えることが重要です。

第一に、ユーザー課金型のSaaSは社員数・利用者数の増加にほぼ比例して費用が積み上がります。加えて、上位プランへの誘導や機能追加のオプション課金によって構造的に膨らみやすい性質も持っています。

 

第二に、契約の棚卸しや未使用ライセンスの解消は即効性が高い一方で限界があります。部門ごとに個別契約が続く限り、解約してもまた別のSaaSが増えるといういたちごっこになりやすいためです。

 

第三に、根本的にコスト構造を変えるには、点在する業務システムをデータ統合基盤に集約する視点が欠かせません。個別のSaaSへの依存そのものを減らし、「利用者数×契約ツール数」という掛け算の構造自体を小さくすることが、中期的な解決策になります。

 

以下の章では、この3つのポイントを順番に掘り下げながら、300名規模の企業を例にした具体的なコスト試算も紹介します。

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02

なぜクラウドコストは「気づけば」膨らんでいくのか

ユーザー課金型のSaaSコストが構造的に膨らんでいく背景には、主に4つの要因があります。

1つ目は、社員数・利用者数の増加に比例したライセンス費用の自然増です。中途採用や組織拡大にあわせてアカウントを追加していくと、意識しないうちに契約ユーザー数が積み上がっていきます。

 

2つ目は、AI機能をはじめとする新機能が上位プランでしか使えない設計になっているケースが多く、利用者数の多い企業ほど上位プランへの移行を迫られやすいという構造です。

 

3つ目は、部門ごとに個別でSaaSを契約する「サイロ化」です。経費精算、見積作成、案件管理など、業務ごとに別々のツールを導入し続けると、契約数そのものが増加し、全体像を誰も把握できなくなります。

 

4つ目は、円安や物価上昇を背景としたライセンス単価の値上げです。

 

SaaS管理プラットフォームを提供するBetterCloud社の調査によると、1社あたりが利用するSaaSアプリケーションの数は平均106個にのぼるとされています(出典:BetterCloud「2025 State of SaaS Report」)。同社が同レポートをもとに公開した解説記事では、回答企業の33%が過去1年間でアプリやアカウントの統廃合を行い、21%がSaaS支出そのものを削減したと回答している一方、13%は「SaaSの大幅な値上げ」がツール統合を検討するきっかけになったと答えています(出典:BetterCloud「The comprehensive guide to SaaS spend optimization」)。

 

契約数の増加とコストの膨張は、決して一部の企業だけに起きている特殊な現象ではなく、業種・規模を問わず多くの企業が直面している構造的な課題だと捉えるべきでしょう。

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「20社中8社」が悩むSaaSコスト増の現場感覚

先ほど触れた「20社中8社」という数字について、もう少し具体的にお伝えします。営業の場でよく聞かれるのは、次のような声です。

「大人数向けのSaaSを導入したいが、ユーザー課金だと想定より高額になりすぎて稟議が通らない」という情報システム担当者の声。

 

「すでに業務でクラウドサービスを複数利用しているが、組織拡大にあわせてユーザー課金による費用が右肩上がりになっている」という部門責任者の声。

 

「クラウドサービスの利用自体は当たり前になっているが、サービスの数が増えるにつれて固定費全体が膨らみ、経営会議で毎回指摘される」という管理部門の声。

 

これらに共通しているのは、個々のSaaSの料金設定そのものに不満があるわけではなく、「利用者数」や「契約サービスの数」が増えるほど、当初の想定を超えて費用が積み上がっていく構造そのものに悩んでいるという点です。

 

1ユーザーあたりの料金は数百円から数千円程度に見えても、対象人数や契約ツールの数を掛け合わせると、年間で数百万円規模の固定費になっているケースも珍しくありません。この構造を正しく理解しないまま個別のSaaSの値下げ交渉だけを続けても、根本的な解決にはつながりにくいというのが実務上の実感です。

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ユーザー課金と従量課金でこれだけ違う|300名規模企業のコスト試算

ユーザー課金型と従量課金型では、同じ業務を実現する場合でも費用の出方が大きく異なります。ここでは具体的な条件を設定し、両者の違いを試算してみます。

試算条件

従業員数300名の物販商社が、営業活動における一般的な業務フロー(見積→受注→仕入発注→請求)と経費精算を1つの基盤で運用するケースを想定します。

 

1件の契約活動は見積・受注・仕入発注・請求という4つのフローを経由し(見積は複数回発生する場合もあります)、ここでは各フローを月間100件と仮定します。経費精算については公開されている統計がないため、1人あたり月1件程度の申請を行うと仮定し、月間300件とします。

 

Slopebaseのトランザクションは、各フローの処理件数と同数でカウントされます。承認者が複数段階にわたる場合でも、1件の申請につき1トランザクションとして扱われる点がポイントです。

 

見積・受注・仕入発注・請求の各フローを月間100件ずつと仮定すると、4フロー合計で400トランザクション。経費精算の300件とあわせると、合計で月間700件のトランザクションが発生する計算です。

 

比較する2つのモデルは次の通りです。

 

1つ目は、国内で広く利用されているユーザー課金型のノーコード業務改善SaaSの標準的な価格帯(外部サービス連携に対応したプランで、1ユーザーあたり月額1,800円程度)を想定したケース。

 

2つ目は、Slopebaseのように業務量(トランザクション数)に応じて課金される従量課金制のケースです。Slopebaseの料金体系は、月額30,000円(税抜)から利用でき、ユーザーアカウント1,000名分、月間トランザクション10,000件、ストレージ100GBまでが基本料金に含まれています(出典:Slopebase公式サイト「料金」)。

試算結果

ユーザー課金型の場合、1,800円×300名で月額54万円、年間では648万円という試算になります。組織の規模が大きくなるほど、この金額はそのまま比例して膨らんでいきます。

 

一方、Slopebaseのような従量課金制の場合、各フローの件数をそのまま積み上げた月間700件というトランザクション数も、基本料金に含まれる月間10,000件の範囲内に十分収まります。ユーザーアカウント数も基本料金に含まれる1,000名の範囲内であるため、追加費用は発生せず月額3万円(年間36万円)のままとなります。

 

単純計算では、月間で約51万円、年間で約612万円の差が生じる試算です。

 


ユーザー課金:月額54万円/年額648万円
従量課金:月額3万円/年額36万円

その差、月額約51万円、年間で612万円!!


 

もちろん、これは特定の条件を置いた一例であり、業務の種類や取り扱う件数、既存システムとの連携要件によって実際の費用は変動します。ただし、ユーザー課金型は「利用者数」に比例して費用が増えるのに対し、従量課金制は「業務量」に応じて課金される仕組みであるため、利用者数の多い企業ほど両者の差が開きやすい構造であることは、押さえておくべきポイントだと言えます。

 


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今すぐ着手できるSaaSコスト削減の実践ステップ

システム統合のような中期的な打ち手に取り組む前に、今すぐ着手できる棚卸しの実践ステップを整理します。SaaS管理の専門知見として、契約の可視化と利用実態の把握が最初の一歩になります。

まず、契約中のSaaSを台帳化し、契約プラン・月額料金・契約人数・更新月を一覧で管理できる状態を作ります。

 

次に、各SaaSの管理画面から直近30日程度のログイン状況を確認し、契約ライセンス数に対する実際の利用率を算出します。利用率が低いアカウントは、退職者IDの削除漏れであることも多く、まずここから見直すと即効性のある削減につながりやすい領域です。

 

続いて、類似機能を持つツールが複数契約されていないかを確認し、重複しているものは統廃合を検討します。あわせて、上位プランを契約しているものの実際には下位プランの機能で十分な場合や、月払いを年払いに切り替えることで割引が適用される場合もあるため、プランの見直しもあわせて行います。

棚卸しチェックリスト

契約台帳の整備、利用率の算出と不要ライセンスの解消、重複ツールの統廃合、プラン・支払いサイクルの見直し、契約更新日のリマインド設定という5つの項目を、半年に一度を目安に見直すサイクルとして定着させることが、実務上のポイントです。年に1回だけの見直しでは、更新のタイミングを逃して不要な契約が自動更新されてしまうことも少なくありません。

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棚卸しだけでは限界がある理由と、根本解決となる「データ統合」という発想

棚卸しによるコスト削減は即効性がある一方で、限界もあります。部門ごとに個別のSaaSを契約し続ける構造そのものが変わらない限り、一度整理してもまた別の部門が新しいツールを契約し、数年後には同じ課題を繰り返すことになりやすいためです。

そこで検討したいのが、予算管理、資産・リース管理、債権・債務管理、販売・購買管理、経費精算、営業顧客管理、在庫管理、生産管理といった、部門ごとに点在しやすい業務データを、1つのデータ統合基盤に集約するという発想です。Slopebaseは、ERPが持つ機能のうち財務・管理会計とHCM(人事・給与・勤怠・労務)を除いた領域を対象に、これらの業務データを統合管理できるノーコードのクラウドサービスです。

 

既存のシステムをすべて刷新するのではなく、点在する業務データをつなぎながら、個別にSaaSを契約する必要性そのものを減らしていくという選択肢になります。

 

このアプローチの利点は、ユーザー課金型のように「利用者数×契約ツール数」で費用が積み上がる構造から、業務量に応じた従量課金という別の費用構造に置き換えられる点にあります。もちろん、既存システムとの連携要件や移行にかかる工数は事前に見極める必要があり、すべての業務を一度に置き換える必要もありません。まずはコスト増が顕著な業務領域から段階的に統合を検討することが、現実的な進め方だと言えるでしょう。

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SaaS乱立とコスト増に向き合ったある企業の事例

従業員数が200名規模まで拡大したある卸売業の企業では、部門ごとに経費精算、見積作成、在庫管理のクラウドサービスを別々に契約していました。情報システム担当者は、四半期ごとに送られてくる複数の請求書を見ながら、「どのサービスに、何人分のライセンス料を払っているのか」を正確に把握できていない状態が続いていたといいます。

転機になったのは、経営会議でクラウド関連費用が前年から2割近く増加していることを指摘されたことでした。

 

担当者はまず、契約中の全SaaSを一覧化し、部門ごとのヒアリングを行いました。その結果、退職者のアカウントが解約されずに残っているケースや、利用率が低いまま契約を更新し続けているケースが複数見つかり、棚卸しだけで月あたりの費用を1割程度圧縮できたそうです。

 

しかし担当者が同時に感じたのは、「棚卸しをしても、半年後にはまた別の部門が新しいSaaSを契約している」という構造的な課題でした。そこで次の一手として、経費精算と在庫管理のデータを1つの基盤でつなぐ取り組みに着手し、部門ごとに個別契約していたツールの一部を統合しました。

 

結果として、契約ツールの数そのものを減らしながら、データが分断されていたことで発生していた月次集計の手作業も同時に削減できたといいます。担当者は「棚卸しは対症療法、データ統合は根本治療だと実感した」と振り返っています。

 

※本事例は実際のケースを基に、企業が特定できない形に加工して紹介しています。

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よくある質問

Q. クラウドコスト削減は具体的にどれくらいの効果が見込めますか。

A. 契約の棚卸しによる削減効果は企業やSaaSの利用状況によって異なりますが、未使用ライセンスの解消や重複ツールの統廃合だけでも、月額費用の1〜2割程度を圧縮できたという企業の声は少なくありません。加えて、ユーザー課金型から従量課金型のシステムへ業務を移行した場合は、本記事で紹介したシミュレーションのように、利用者数が多い企業ほど削減余地が大きくなる傾向があります。

 

Q. ユーザー課金と従量課金(業務量課金)はどちらがコスト削減に有利ですか。

A. 一概にどちらが有利とは言えず、業務の性質によって向き不向きがあります。利用者一人ひとりが個別の作業を継続的に行うツールであればユーザー課金がわかりやすい一方、申請・承認・データ登録といったフロー実行型の業務が中心で、かつ利用者数が多い場合は、業務量に応じた従量課金の方が総コストを抑えられるケースが多い傾向にあります。

 

Q. SaaSの棚卸しは何から始めればいいですか。

A. まずは契約中の全SaaSを一覧化した台帳を作ることから始めます。契約プラン、月額料金、契約人数、契約更新日を一覧にまとめ、各SaaSの管理画面から直近の利用状況を確認することで、不要なライセンスや重複ツールが見えやすくなります。

 

Q. 何名程度の企業から本格的なコスト管理が必要になりますか。

A. 明確な基準があるわけではありませんが、従業員数が50名を超えるあたりから、ユーザー課金の合計額が経営上無視できない規模になり、部門を横断した契約の可視化が必要になるケースが増えてきます。組織の拡大スピードが速い企業ほど、早い段階で契約管理の仕組みを整えておくことをおすすめします。

 

Q. 点在する業務システムを統合すると、既存システムはすべて置き換える必要がありますか。

A. 必ずしもすべてを置き換える必要はありません。既存のシステムを残しながら、周辺のデータをつなぐ形で段階的に統合を進める方法もあります。まずはコスト増や非効率が顕著な業務領域から着手し、効果を確認しながら対象を広げていくアプローチが現実的です。

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まとめ

クラウドサービスの利用が前提となった今、ユーザー課金型のSaaSは社員数の増加や機能追加、SaaS乱立といった構造的な要因によって、気づかないうちにコストが膨らみやすい性質を持っています。実際の営業現場でも、SaaSのコスト増を課題に挙げる企業は少なくありません。まずは契約の棚卸しで即効性のある削減を進めつつ、300名規模の試算で見たようにユーザー課金と従量課金の構造の違いを理解し、点在する業務システムをデータ統合基盤に集約することで、根本的にコスト構造を見直すという二段構えの取り組みが有効です。

こうしたユーザー課金と従量課金の構造の違いや、部門をまたいだ業務データの統合に関心がある方は、Slopebaseのコラムでも、ERP周辺のデータ統合やコスト最適化に関する実務情報を継続的に発信しています。自社の業務にどこまで当てはめられるか気になった方は、資料やお問い合わせページもあわせてご覧ください。

 


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Slopebaseとは

バックオフィス業務の
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※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

 

 

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、記載しているコスト試算はあくまで一定の条件を置いた参考値です。個別の導入判断、契約内容の比較検討、料金プランの詳細については、必ず各サービスの最新の公式情報をご確認いただくとともに、必要に応じて専門家や各社の営業担当者へご相談いただくようお願いします。

この記事を書いた人

Slopebase編集部
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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