実務において「管理された自律」へ移行するには、段階的な取り組みが重要です。ここでは、具体的な実行手順を4段階で解説します。
ステップ1:ペナルティを伴わない可視化
まずは現状を把握することが不可欠ですが、従業員を責めたり罰したりするような対応は避けなければなりません。アンケートやヒアリングを通じて、なぜそのツールが必要だったのかという経緯や現在のツールへの不満を収集すると良いでしょう。
これに加えて、CASB(Cloud Access Security Broker)などのツールを用いて客観的なアクセスログを分析し、利用実態を事実に基づいて把握します。こうした「非難なき可視化」によって、現場の協力を得ながら実態を明らかにすることが可能です。
ステップ2:現場のニーズに適合した代替ツール・環境の選定
調査結果に基づき、シャドーITを利用する動機を解消するための「サンクションドIT(公式ツール)」を用意します。現場が求めている機能を満たし、かつ操作性が高いツールを選定することが定着の鍵となります。
また、ログインのしやすさと管理の容易さを両立するため、ID管理システムと連携できるツールを優先的に導入することが望ましいでしょう。
ステップ3:柔軟で現実的なガイドラインと運用ルールの策定
一律の禁止ではなく、データの機密度や利用目的に応じた柔軟なガイドラインを策定します。例えば、公開情報の処理には承認済みツールの利用を推奨し、個人情報を扱う場合は個別の申請を求めるなど、リスクに応じた基準を設けます。
また、現場が自分の判断で導入して良い範囲を明確にし、実際の事故事例を共有することで、リスクを自分ごととして捉えてもらう啓発活動を継続することも重要です。
ステップ4:CASBやMDMなどセキュリティツールの導入と監視
最後に、技術的な対策を導入し、ルールが守られていることをシステム的に担保しましょう。従業員のクラウドサービスの利用を監視し、適切なセキュリティ対策を行うCASBを活用することで、クラウド利用の可視化や機密データの持ち出し制御、脅威の検知が可能になります。
さらに、MDM(モバイルデバイス管理)を導入することで、端末(デバイス)の紛失時に遠隔ロックやデータ削除を行えるようになり、物理的な情報流出リスクを抑えることができます。