ここまで整理した課題と連携手段を踏まえたアプローチを紹介します。全社一括のERPに置き換えるのではなく、既存の部門システムやレガシー基幹を残したまま、ノーコードのクラウドデータベースをデータ統合のハブとして据える設計です。
【データ統合ハブのイメージ】

このハブには、2種類のデータを集約します。ひとつは各システムに散在するマスタや業務データの正本、もうひとつは部門別売上・経費実績・予算対実績、債権債務のサマリなど、単一システムでは把握できない全社視点の集計データです。これらをハブ上で整備することで、経営ダッシュボードや部門アラートといった出力へつなげることができます。
このような統合ハブの設計をベースとしたプラットフォームのひとつがノーコード・クラウドデータベースSlopebaseです。予算・販売購買・経費・在庫といったERP周辺のデータを一基盤で統合管理しながら、既存の会計ソフトや外部SaaSとのAPI連携も柔軟に設計できます。
ノーコード環境を選ぶ理由は情シス部門の負担軽減にもあります。画面レイアウトや承認フローの試作は業務部門が担い、情シス部門は認証基盤・アクセス権限・本番リリース統制・監査ログの設計というコア業務に集中できる運用モデルが実現します。
データ連携とセットで、承認フロー・異常値アラート・ダッシュボード更新といった業務プロセスの自動化を組み込むことで、現場の利便性はさらに向上します。
既存システムを活かしつつ、情シス部門の負担を最小限に抑える「ノーコードで実現できるDX」の全体像とは?データ連携やガバナンス強化に役立つ、情シス向けの実践的なノウハウはこちらをご覧ください。
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マスタ統合の設計ポイント
ハブ構築で最初に直面するのがマスタ統合の壁です。部門・商品・取引先・勘定科目・従業員IDなど、システムごとに異なるコード体系を統合ハブ内で紐づける対応表(コード変換マッピング)の設計が必要になります。例えば営業側の商品コードと会計側の商品コードが異なるままでは、集計時に必ずデータの不整合が生じます。
【データ種別と正本システムの対応表(例)】
| データ種別 |
正本システム |
更新責任部門 |
主な連携先 |
| 顧客 |
CRM |
営業部門 |
販売管理・会計 |
| 勘定科目 |
会計システム |
経理部門 |
統合ハブ・各部門 |
| 従業員 |
人事システム |
人事部門 |
勤怠・経費管理 |
| 商品 |
販売管理 |
商品管理部門 |
在庫・会計・CRM |
| 取引先 |
会計システム |
経理部門 |
購買・販売管理 |
情シス部門は実装を担いますが、どのシステムを正本とするか、更新頻度とタイミング、更新責任者の3点は管理職や業務部門が決定すべき事項です。例外が発生した際の承認フローも含めて、運用ルールを実装前に確定させることが成功の鍵になります。
連携の優先順位の決め方
すべての連携を一度に実装しようとすると頓挫します。まずは、情シス部門の手作業工数が最も大きい処理、障害や入力ミスがビジネスに致命的な影響を与える処理、経営判断に直結する重要指標の3軸から優先度を判断することです。例えば毎月のCSV加工に半日以上かかっている処理は、改善効果が数値で見えやすく、投資判断の根拠としても示しやすいでしょう。
ロードマップは、優先度の高い連携から小さく始め、効果を測定しながら段階的に広げる構成にします。具体的には、第1フェーズで工数削減効果が最も大きい1〜2本の連携をパイロット実装し、工数削減時間・障害件数の減少・データ鮮度の向上を指標として記録します。
その結果をもとに次の投資判断の根拠とし、第2フェーズ以降で連携対象を広げていく流れです。成功体験の積み重ねが、情シス部門と管理職・業務部門の合意形成を継続的に支える土台になります。