業務効率化ツールの選び方と費用対効果(ROI)|自社に合う課金プランとエクセル脱却の判断

本記事は2026/08/24に更新しております。
業務効率化ツールの選び方と費用対効果(ROI)|自社に合う課金プランとエクセル脱却の判断

「ファイルが重くて開くのに待たされる」「前の担当者が組んだマクロの中身が誰にも分からない」「拠点から届いた表を、本部でもう一度入力し直している」。業務効率化ツールを探し始めるきっかけは、こうした日々の業務の課題であることがほとんどです。

 

業務効率化ツールとは、人が手で繰り返している作業を、システムの側に肩代わりさせるツールの総称です。申請の回覧、台帳への転記、月次の集計、担当者への通知などが対象になります。Excelのマクロで組んできた処理も、この範囲に入ります。

 

■業務効率化ツールを導入する主なメリット

 

  1. ケアレスミスの削減:手入力や転記を自動化することで、人的ミスをなくします。
  2. 情報アクセスの高速化:データが一元管理され、必要な情報をすぐに見つけられます。
  3. コミュニケーションの活性化:進捗や履歴が共有され、確認や共有の手間が省けます。
  4. 属人化の解消:特定の担当者しか分からない業務(ブラックボックス化)を防ぎます。

 

業務効率化ツールを導入する場合、製品の一覧を眺めても、自社のどの業務に当てはめるかまでは決まりません。見積やPoC(実際のデータを入れて行う導入前検証)を依頼する前に、決めておくべきことがあります。

 

「どの業務から手をつけるのか」「誰が作り、誰が直すのか」「費用の上限をいくらに置くのか」の3点です。これらの目的や条件があいまいなまま候補を集めると、比較の軸が定まらず、候補が増えるほど判断が遅くなります。

 

この記事では、Excelのままでよい業務との線引きから、選定基準、料金が変わる条件、ROIの出し方までを順に説明します。ROIとは、支払った費用に対して、手元にどれだけの効果が残るかを示す指標のことです。読み終えたときに、最初に着手する1本と、経営層へ示す試算の前提を、自分の言葉で書き出せる状態を目指します。

01

まずは結論!業務効率化ツールは料金が変わる条件から絞り込む

比較をスムーズに進めたい場合、機能一覧の突き合わせから始めるのは避けましょう。先に押さえるのは次の3点です。

 

  1. 業務の形で候補を分けます。仕分けの単位は「1人で完結する作業」「複数人の回覧がある作業」「社外の取引先が入る作業」「基幹システムへ転記している作業」の4つです。
  2. 料金が変わる条件を、見積を依頼する前に聞きます。金額を動かすのは「ユーザー数」「業務量」「社外ユーザーの扱い」「既存システムの改修費」の4点です。
  3. 効果額は「仮置き」であると先に伝えます。実測前の数字を確定値のように示すと、根拠を問われた時点で議論が止まってしまいます。

 

避けたい失敗も、あらかじめ3つに絞っておきます。

 

  1. 対象業務を広げすぎて要件が膨らみ、見積が想定額を超えて稟議が止まる状態
  2. 部署の一部で始めた運用を全社へ広げた段階で、ユーザー数に連動する月額が跳ね上がる事態
  3. 効果額の根拠を問われて答えられず、稟議が差し戻される展開

 

3つとも、検討の順番を入れ替えておくと避けやすくなります。料金が変わる条件を先に押さえ、効果額の扱いを先に共有し、そのうえで製品の比較に入るという順番です。

 

ここまでを決めておくと、候補が3つに増えても、比べる項目は同じままで済みます。

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02

Excelのままでよい業務と、ツールに移す業務を仕分ける

ツールを探す前に、いま動いているExcelを全部やめる必要はありません。移す業務と残す業務を先に分けておくと、要件が膨らまずに済みます。

Excelで足りている業務に共通する3つの条件

次の3つがそろっている業務は、当面Excelのままでも困りにくい業務です。

 

  1. 使う人が1人か2人で、2人以上が同時に開く場面がない
  2. 1年で増える行数が数百行にとどまり、ファイルを分けずに扱える
  3. 計算式が数式バーで読める範囲に収まっていて、マクロを使っていない

 

これら3つに当てはまる業務までツールへ移すと、入力の手間は変わらないまま、月額だけが増えてしまいます。ツール化に着手する優先順位としては、後回しにしても問題ありません。

移行を判断する4つのサイン

逆に、次のうち2つ以上に当てはまる業務は、ツールへ移す検討に入る段階です。

 

  1. 複数人での同時編集により、ファイルの競合や順番待ちが起きている状態
  2. 行数が増えてファイルが重くなり、保存のたびに待たされる、または破損が心配になっている状態
  3. 作った人が異動や退職でいなくなり、計算式の意図を誰も説明できない状態
  4. そのファイルの内容を、別のシステムへ人が手で入力し直している状態

 

導入前検証(PoC)とは、本格導入を決める前に、実際の業務データを使ってシステムを構築できるか試行する取り組みです。当社が実際に9社と進めているやり取りのなかでも、同じ状態がいくつか見られました。

 

従業員約100名の建設業(リフォーム)は「Excelがマクロ使いすぎて重くなっており、脱エクセルを検討開始」という状況でした。従業員約220名の学習塾運営からは「Excelでの二重入力が手間、Excelマクロで対応しているが年度ごとに変わったりファイルが破損する恐れあり」という声が挙がっています。

 

マクロが読めなくなる理由と、そこから抜けるまでの手順は、エクセルマクロはもう限界?属人化・ブラックボックス化から脱却するクラウド活用術で詳しく扱っています。

業務の形でツールの種類を分ける

移す業務が決まったら、次はツールの種類を業務の形に合わせます。機能の多さから比べ始めると、判断が止まりやすくなります。

 

1人で完結する作業(データベース型)
エクセルの表をそのまま置き換えられるデータベース型が向いています。代表的な製品として「kintone(キントーン)」や、手軽に始められる「Slopebase https://slopebase.pandora-climber.jp/」などがあります。

 

複数人の回覧がある作業(ワークフロー型)
申請と承認の経路を設定できるワークフロー型が向きます。「ジョブカンワークフロー」や「コラボフロー」などが挙げられます。

 

社内コミュニケーションを円滑にする作業(チャット・情報共有型)
連絡事項やファイル共有を素早く行うには、「Slack」や「Chatwork」などがよく使われます。タスク管理も含む場合は「Backlog」も選択肢に入ります。

 

顧客情報を一元化する作業(CRM・SFA型)
営業部門などで顧客とのやり取りを記録し、売上予測を立てるなら「Salesforce」などの専用システムがあります。

 

基幹システムへ転記している作業(RPA)
既存の画面を変えずに複数のシステム間でデータを転記する場合は、「WinActor」などのRPA(パソコン上の決まった操作を、人の代わりにソフトが実行する仕組み)が向いています。ただし、画面の仕様が変わると動かなくなる点は見込んでおきます。

 

 

この4つの分類は、後の見積比較でもそのまま使えます。なぜなら、社外の人が入るかどうかで費用が変わるからです。ここまでの整理で、最初に着手すべき業務を1つに絞り込めるようになります。

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03

失敗しない業務効率化ツールの選定基準

対象業務が決まったら、次は候補の絞り込みです。ここでは4つの基準を順に見ていきます。

変えない業務と合わせる業務を先に仕分ける

製品に自社の業務を合わせるのか、製品を自社の業務に合わせるのかは、契約前に決めておくと迷いが減ります。おすすめは、現行フローを3つに色分けする進め方です。

 

  1. 変えられない業務は、法令や取引先との取り決めで手順が決まっているもの
  2. 変えたくない業務は、変えると現場の作業量が増えるもの
  3. 変えてよい業務は、慣習で続いているだけで、理由を説明できないもの

 

「変えてよい業務」に分類できた工程が多いほど、製品の標準機能で足ります。「変えられない業務」が多い場合は、設定で対応できる範囲をデモの場で確かめておきます。

現場の担当者が触れるかどうかを、デモのどこで見るか

デモを見る際は、営業担当の操作を眺めるより、自社の帳票を1枚渡して作ってもらうほうが判断しやすくなります。見る箇所は3つです。項目を1つ足すのに何回の操作が要るか、入力の途中で保存できるか、間違えた申請を取り消せるかを確かめます。

 

現場が使えるかという不安は、IT部門が主導する企業でも挙がります。従業員約400名の化学メーカーからは「IT部門としては良いツールだが、現場が使えるかどうか」という声がありました。従業員約150名のソフトウェア開発(金融系)でも「営業担当が使ってくれるか?総務部が使い切れるか?」が、検討を進めるうえでの論点になっています。

 

現場の抵抗をどう扱うかについては、「脱Excel」はなぜ失敗するのか?現場の抵抗をゼロにする「活(かつ)Excel」という新しい考え方が詳しく扱っています。

クラウドを候補に入れてよいかの前提を確かめる

社内にサーバーを置く形と、クラウドで借りる形のどちらにするかは、社内で意見が分かれやすい論点です。判断材料として、公的な調査を1つ挙げます。

総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」を見てみましょう。2026年5月29日に公表された資料です(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」 )。クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は83.5%でした。内訳は、全社的に利用が60.0%、一部の事業所または部門で利用が23.5%です。

 

この83.5%は、メールやファイル保管を含むクラウドサービス全般の利用率です。業務のツールをクラウドに置くこと自体は珍しくない、という程度の裏づけとして読むのが安全です。社内で合意を取る場面では、この範囲を添えて示すと話が早くなります。

 

総務省データ

(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)

制度改正とサポートを何年先まで求めるか

制度の改正にベンダーが対応し続けるかどうかは、契約前に確認しておく項目です。帳票を扱う業務では、電子帳簿保存法(国税関係の帳簿や書類を電子データで保存するときの決まりを定めた法律です)への対応方針を聞いておきます。

国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の令和7年6月版を見てみましょう。同資料は電子取引を「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」と定義しています(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)。つまり、メールやウェブでやり取りした請求書や見積書も、この決まりの対象に入ります。

 

見る年数の目安は、既存システムの更改時期に合わせます。たとえば従業員571名の小売業(釣具・26店舗)は、現行のPOSシステム(店舗のレジで、売れた商品と数量をその場で記録する仕組み)を2029年3月末まで利用する予定です。更改の提案が社内で決裁されれば、2027年度後半から次の検討に入る計画になっています。あわせて、契約する製品のサポート期限も、この更改時期と並べて確認しておきます。

 

 

これら4つの基準を事前に整理しておくことで、製品デモで検証すべき具体的な操作内容や、ベンダーへの確認事項が明確になります。

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04

見積を取る前に確かめる、料金が変わる4つの条件

同じ製品でも、使い方によって支払額は変わります。料金が変動する要因を以下の4つのポイントに分けて確認しておくと、届いた見積書を横に並べて正確に比べられます。

ユーザー数で増えるのか

1人あたりの単価が決まっている製品は、部署単位で使ううちは安く見えます。金額が跳ね上がるのは、全社へ広げた段階です。一方、ユーザー数が無制限の定額でも、費用の話が終わるとは限りません。正社員約520名の食品製造業では、有給申請のワークフローをユーザー数無制限の製品で運用し、月額10万円を支払っています。

 

担当者からは「使い勝手が良くないし、10万円/月支払っている」という言葉が出ています。金額そのものより、金額に見合う使い勝手かどうかが論点になっている例です。


全社員が使う前提で、費用を抑えられるかを先に置いている企業もあります。従業員約70名の食品製造業は「全社員がワークフローを使用したくシステムにお金を掛けられない」という前提で検討に入りました。人数で増える契約か、人数と無関係な契約かは、この段階で分かれ目になります。

 

ユーザー課金が固定費として積み上がる仕組みは、クラウドのコスト削減はユーザー課金の見直しから|SaaSの固定費が膨らむ企業がとるべき対策で整理されています。

業務量で増えるのか

人数ではなく、処理した件数やデータ量で金額が決まる製品もあります。月末に処理が集中する業務では、繁忙月の件数で試算しておくと、後から驚かずに済みます。年間の平均ではなく、いちばん多い月を基準に置く進め方です。

社外の取引先を含めるとどうなるか

申請の経路に社外の取引先が入ると、費用の構造が変わる製品があります。従業員約400名の化学メーカーは、社内にすでにある製品での実装も選択肢に挙げていました。ただ「取引先を巻き込むとコスト高になりすぎる」という判断から、別の方法も並べて検討しています。社外の人が何人入るのか、その人数が課金の対象になるのかは、早い段階で確認しておきます。

既存システムの改修費が乗るか

新しいツールの月額だけを見ていると、既存システム側の改修費が抜け落ちます。従業員571名の小売業(釣具・26店舗)は、店舗の発注、仕入、商品の移動、廃棄、中古買取のデータをすべてPOSシステムに組み込んでいます。そのため「変更するのに費用がかかる」ことが、検討を進めるうえでの前提になっていました。見積を依頼するときは、既存システム側の見積も同時に取ると、総額が把握できます。

予算の上限が先に決まっている場合の進め方

使える金額が先に決まっている場合は、対象業務を1本に絞り、その1本で収まる製品から見ていきます。全体像を描いてから削るより、収まる範囲で始めて広げるほうが、決裁は通りやすくなります。

 

予算が限られる場面での進め方は、低予算から手軽に始めるDX推進ツールの活用法|予算がない中小企業向け!が参考になります。

 

 

これら4つの変動条件(ユーザー数、業務量、社外利用の有無、改修費)を事前に確認しておけば、見積書が届いた際に、製品ごとの金額差がどこから生じているのかを明確に説明できるようになります。

 

ユーザー数で増える費用なのか、業務量で増える費用なのかは、見積書を並べる前に確認しておくと比較が早くなります。Slopebaseで自社の業務をどこまで扱えるかは、資料請求ページからご確認いただけます。

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ROIの出し方と、経営層への説明の組み立て方

ROIは、効果額から費用を引いた金額を、費用で割って求めます。難しいのは計算ではなく、分母と分子をどこまで確からしく作れるかです。

分母をつくる:5年分の費用を洗い出す

分母にあたる費用は、見積書と契約書から拾えるため、実額で書けます。並べる項目は、初期費用、月額または年額、追加ユーザーの単価、既存システムの改修費、社内で運用する人の工数の5つです。工数は時間のままでは足せないため、時間単価を掛けて金額に直します。金額に直した5項目を5年分足した合計が、TCO(買うときの費用だけでなく、使い続ける間にかかる費用を全部足した金額)にあたります。

 

年数を5年に置く理由は、既存システムの更改周期と合わせやすいためです。3年で見ると初期費用の重みが大きく出ますし、7年で見ると製品の入れ替えが視野に入ります。

分子をつくる:効果額は「仮置き」として提示する

分子は、効果額から費用を引いた金額です。このうち効果額は、導入前には実測できません。当社が9社と進めている導入前検証でも、工数の削減時間やコストの削減額は、いずれも計測していない段階です。検証中の企業について、導入後の効果を数字で示すことはできません。


そこで、効果側は「仮置き」のシミュレーションであると先に伝えてしまう進め方が有効です。たとえば「申請1件あたりの処理時間を15分と仮置きする」「対象は月120件と仮置きする」と書き、根拠の欄に「実測した日付」または「担当者の申告」と添えます。数字そのものより、どこから来た数字かが分かることが、差し戻しを防ぎます。

幅で出し、前提を1行ずつ添える

仮置きの数字を1つの値で出すと、その値が正しいかどうかだけが議論になりがちです。先ほどの例なら、処理時間15分のうち削減できる分を「1件あたり5分から10分」と幅で置き、低いほうと高いほうの2通りで計算します。低いほうでも投資が回収できるなら、その1点だけで説明が成り立ちます。


前提は、表の下に1行ずつ並べます。対象業務、対象件数、単価の出どころ、計測した期間の4つを書いておくと、後で数字を差し替えるときに手戻りが出ません。

説明資料に並べる指標を選ぶ

削減額だけを並べても、経営層の関心と噛み合わないことがあります。当社が実施した調査を見てみましょう。情報システム部門の管理職221人に、2025年10月6日から7日にかけて聞いた調査です(出典:DXを推進している企業は81.5%!~情シス部門の管理職221人に"経営層が掲げるDX戦略"についてアンケート調査を実施~)。

 

KPIとは、目標に近づいているかを測るために、あらかじめ決めておく数値の指標です。設問は「設定されているKPIは、主にどのような領域を評価するものですか?」でした。複数回答での結果は、業務効率化関連指標が65.7%、新規事業成果指標が41.0%、コスト削減が34.3%です。

 

■設定されているKPIは、主にどのような領域を評価するものですか?

ROI

 

効率化の指標が上位に来ている点は、社内や上司への説明資料の組み立てに使えます。削減額に加えて、処理日数や差し戻し件数といった効率化の指標を並べておくと、話が噛み合いやすくなります。

 

効率化の領域が成果につながりやすいという見方は、公的な報告書にもあります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX動向2026」を見てみましょう。2026年7月に公表された報告書です(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」)。同報告書は、データのデジタル化や業務の効率化では成果が出ている一方、企業価値の創出につながる領域では成果が限られる、と述べています。

 

ここまでの手順を踏むと、効果額の根拠を問われたときに、どこまでが実額でどこからが仮置きかを答えられます。

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導入前検証の現場で、9社が何を見て前へ進めたか

当社は現在、9社と導入前検証を進めています。検証を終えた企業、検証中の企業、これから検証に入る企業、試用の申し込みを待っている企業が含まれます。導入後の効果は、いずれの企業でもまだ計測していません。ここでは、各社が何を材料にして次へ進んだのかを紹介します。

 

従業員約100名の建設業(リフォーム)は、情報システム部門を置いていません。検証の対象は業務部門の数名です。売掛管理や工事進捗管理をエクセルで扱っており、関数を多数埋め込んだ状態で運用してきました。ファイルが重くなったことをきっかけに、インターネットで製品を探して試用を申し込み、当社から導入前検証を提案しています。

 

従業員約400名・全国20拠点の商社は、基幹システムに紙伝票の内容を人が入力しています。すでにグループウェアに付いているワークフロー機能を使っていますが、機能が足りないという評価でした。担当者からは「やりたいことが1つの製品で本当にできるのか?やりたいことが増えると高額になって頓挫するのではないのか?」という言葉が出ています。紙から電子への切り替えが社内で浸透しそうかを、検証の確認項目に置いています。

 

従業員15名の製造業(建設機械)は、紙とハンコで申請を回しています。「紙運用/ハンコだと、どこで止まっているかわからない」という声から検証に入りました。社内規定が社長の席の後ろに紙で置かれていて確認しにくい、という課題も併せて試しています。規模が小さくても、止まり位置が見えないことは同じように起きます。

 

前任者のファイルが読めないという状態は、個社の事情ではありません。当社が実施した調査を見てみましょう。営業事務の経験が3年以上ある221人に、2026年7月3日から4日にかけて聞いた調査です(出典:【2026年調査】営業事務のExcel属人化の実態|221人中64.2%が「前任者の謎マクロ・関数」に苦労 )。

設問は「現在使用しているファイルで『誰が作ったか分からない謎のマクロ・複雑な関数』の解読や修正に苦労し、困惑した経験はありますか?」でした。単一回答で、「よくある」が12.1%、「たまにある」が52.1%、合わせて64.2%です。

 

マクロ

 

9社の多くが持ち込んだのは、効果額の見通しではなく、いま手が止まっている場面です。挙げられた課題が1つの企業もあれば、7つの課題を並べて対応可否を確かめている企業もあります。最初の1本を選ぶときの参考になります。

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07

よくある質問|業務効率化ツールの選定とROIについて

まず1本だけ選ぶとしたら、どの業務がよいですか

毎月必ず発生し、関わる人が5人前後で、社外が入らない業務が向いています。申請書1枚、台帳1つといった単位です。件数が多すぎる業務から始めると、設定を作り直したときの影響が大きくなります。

無料や低価格のツールから始めても大丈夫ですか

対象が1業務で、扱うデータが社内に閉じているなら、低価格の製品から始める進め方もあります。確認しておきたいのは、入れたデータを後から取り出せるかどうかです。書き出し機能の有無と、出力できる形式を契約前に聞いておきます。

効果額の根拠を聞かれたら、どう答えればよいですか

実額と仮置きを分けて答えます。費用は見積書の実額、効果はシミュレーションであると先に伝えたうえで、仮置きの根拠として計測した日付と件数を示すのが基本です。低いほうの試算でも回収できるかを添えると、議論が前に進みます。

情報システム部門がいない場合、誰が作ればよいですか

業務を毎日回している担当者が作り、別の1人が中身を説明できる状態にしておく形が現実的です。当社が検証を進めている9社のうち、いくつかの企業は情報システム部門を置いていないか、置いていても本件には関与していません。作る人と直す人を先に決めておくと、異動があっても止まりません。

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まとめ

業務効率化ツールの比較は、機能一覧からではなく、業務の形と料金が変わる条件から入ると早く終わります。エクセルのままでよい業務を残し、移す業務だけを対象にすると、要件が膨らみません。

 

費用は、ユーザー数、業務量、社外ユーザーの扱い、既存システムの改修費の4つで動きます。見積を依頼する前に聞いておくと、届いた見積書の差がどこから来ているかを説明できます。

 

ROIは、分母の費用を実額で、分子の効果を仮置きとして幅で示す形が現実的です。前提を1行ずつ添えておけば、根拠を問われても答えられます。最初の1本を決め、そこから広げる進め方が、結果として早道になります。

 

PoCのご依頼や業務効率化ツールのお問い合わは、お問い合わせページよりご連絡ださい。

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この記事を書いた人

金田サトシ
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
監修
佐藤大輔

長年、経理業務に携わり、毎年の店舗の水道光熱費の使用料や過剰に使用している店舗への注意喚起などを促し赤字店舗の改革に努めた。また、企業のDX導入にも携わり、職員勤怠の電子化など、業務効率化を積極的に推進。現在は、企業コラム記事などを中心に年間100記事ほど執筆・監修を行っている。

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