ツールを探す前に、いま動いているExcelを全部やめる必要はありません。移す業務と残す業務を先に分けておくと、要件が膨らまずに済みます。
Excelで足りている業務に共通する3つの条件
次の3つがそろっている業務は、当面Excelのままでも困りにくい業務です。
- 使う人が1人か2人で、2人以上が同時に開く場面がない
- 1年で増える行数が数百行にとどまり、ファイルを分けずに扱える
- 計算式が数式バーで読める範囲に収まっていて、マクロを使っていない
これら3つに当てはまる業務までツールへ移すと、入力の手間は変わらないまま、月額だけが増えてしまいます。ツール化に着手する優先順位としては、後回しにしても問題ありません。
移行を判断する4つのサイン
逆に、次のうち2つ以上に当てはまる業務は、ツールへ移す検討に入る段階です。
- 複数人での同時編集により、ファイルの競合や順番待ちが起きている状態
- 行数が増えてファイルが重くなり、保存のたびに待たされる、または破損が心配になっている状態
- 作った人が異動や退職でいなくなり、計算式の意図を誰も説明できない状態
- そのファイルの内容を、別のシステムへ人が手で入力し直している状態
導入前検証(PoC)とは、本格導入を決める前に、実際の業務データを使ってシステムを構築できるか試行する取り組みです。当社が実際に9社と進めているやり取りのなかでも、同じ状態がいくつか見られました。
従業員約100名の建設業(リフォーム)は「Excelがマクロ使いすぎて重くなっており、脱エクセルを検討開始」という状況でした。従業員約220名の学習塾運営からは「Excelでの二重入力が手間、Excelマクロで対応しているが年度ごとに変わったりファイルが破損する恐れあり」という声が挙がっています。
マクロが読めなくなる理由と、そこから抜けるまでの手順は、エクセルマクロはもう限界?属人化・ブラックボックス化から脱却するクラウド活用術で詳しく扱っています。
業務の形でツールの種類を分ける
移す業務が決まったら、次はツールの種類を業務の形に合わせます。機能の多さから比べ始めると、判断が止まりやすくなります。
1人で完結する作業(データベース型)
エクセルの表をそのまま置き換えられるデータベース型が向いています。代表的な製品として「kintone(キントーン)」や、手軽に始められる「Slopebase https://slopebase.pandora-climber.jp/」などがあります。
複数人の回覧がある作業(ワークフロー型)
申請と承認の経路を設定できるワークフロー型が向きます。「ジョブカンワークフロー」や「コラボフロー」などが挙げられます。
社内コミュニケーションを円滑にする作業(チャット・情報共有型)
連絡事項やファイル共有を素早く行うには、「Slack」や「Chatwork」などがよく使われます。タスク管理も含む場合は「Backlog」も選択肢に入ります。
顧客情報を一元化する作業(CRM・SFA型)
営業部門などで顧客とのやり取りを記録し、売上予測を立てるなら「Salesforce」などの専用システムがあります。
基幹システムへ転記している作業(RPA)
既存の画面を変えずに複数のシステム間でデータを転記する場合は、「WinActor」などのRPA(パソコン上の決まった操作を、人の代わりにソフトが実行する仕組み)が向いています。ただし、画面の仕様が変わると動かなくなる点は見込んでおきます。
この4つの分類は、後の見積比較でもそのまま使えます。なぜなら、社外の人が入るかどうかで費用が変わるからです。ここまでの整理で、最初に着手すべき業務を1つに絞り込めるようになります。