ここからは、Excelとメールに依存しがちな5つの代表的な業務タイプについて、業務フローシステムを導入した場合にどのような改善が見込めるかを、業務フロー設計の知見をもとにしたシミュレーションとして紹介します。実在する特定の企業の事例ではなく、よくある業務パターンを類型化した改善イメージです。自社の業務に近いタイプがないか、参考にしてみてください。
請求書・領収書の受領から支払い依頼までを仕組み化するケース

営業担当者が受け取った請求書や領収書をExcelの支払い伝票に記入し、原本やPDFを上長へメールで通知するところから経理処理が始まる、という業務は珍しくありません。その後、経理担当者が過去の稟議を照会したうえで経理部長が承認し、最後に経理担当者が会計システムと電子帳簿保存法対応システムへ二重に入力するという流れになりがちです。
2024年1月以降、電子的にやり取りした請求書・領収書などの取引情報は電子データのまま保存することが義務化されており(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」、二重入力を放置すれば法対応の負担も増すばかりです。
これを業務フローシステムで仕組み化すると、担当者がPDFの内容を確認して起票・申請するだけで、上長承認、経理担当者確認、経理部長承認までが自動で進むようになります。承認後はWeb APIで連携した会計システムと電帳法対応システムへそのままデータが連携され、どの申請がどの段階で止まっているかも履歴からすぐに把握できるようになります。
見積書の作成から送付までを一気通貫にするケース

Excelの見積管理台帳で見積番号を採番し、見積書をPDF化して台帳に概要を記入したうえで、メールで上長承認をもらうという流れになっているケースは少なくありません。
承認後は顧客へ送付し、そのうえで改めて案件一覧台帳へ記入する必要があり、複数のExcelファイルを行き来する手間が生じます。これを業務フローシステムで一気通貫にすると、担当者が見積情報を入力すると同時にワークフローシステムへ登録され、申請から上長承認・決裁者承認までが自動で進行するようになります。
承認完了後は送付指示ひとつで顧客にメール送付できる仕組みに変わり、申請ルートはあらかじめ設計されているため、担当者が申請した後は人の手を介さずに進んでいきます。
契約情報管理を自動化するケース

Webサイトから申し込まれた契約情報を扱う業務では、担当者がExcelの契約一覧へ内容を転記したうえで、社内担当者と申込者双方へ個別にメールを送るという運用になりがちです。
さらに、受注稟議への手動起票と販売管理システムへの二重登録も発生しやすくなります。データベースへの登録を起点に自動化すると、契約受付内容の通知や契約期限・更新の通知といった各種メールの自動発信、受注情報の自動稟議、販売管理システムへの自動連携までがひとつながりになります。
解約が発生した場合の契約情報のステータス変更も、データベース上で完結できるようになります。
商談管理と売上予実管理をリアルタイム化するケース

商談管理と売上予実管理を複数のExcelファイルで行っている場合、問い合わせのたびに案件管理ファイル、売上管理ファイル、原価管理ファイルへそれぞれ記入し、そのうえで週次で損益管理ファイルへの転記と集計レポートの作成まで行うことになり、手間が重なりがちです。
データベースへの一括登録に切り替えると、使い回せる情報は自動で反映されるようになり、ファイルごとの表記ゆれや「読み取り専用」による作業中断もなくなります。週次で行っていた集計作業を経ることなく、ダッシュボード上でリアルタイムに予実を確認できるようになる点が、大きな改善ポイントです。
作業実施報告書の回収から支払処理までをつなぐケース

取引先・協力会社から提出される作業実施報告書を扱う業務では、月初になるとフォーマットの異なる報告書が取引先ごとにばらばらに送付され、営業担当者が目視で確認したうえで取引先へ個別に請求書発行を依頼し、メールで請求書を受領してから上長承認を経て経理へ支払依頼をするという流れになりやすいものです。
取引先がシステムに直接ログインして作業報告書を入力する運用に切り替えると、営業担当者への自動通知、画面上での確認、請求書発行依頼、請求書の受領までがシステム上でつながります。取引先ごとの金額も自動で集計され、その後は上長・経理担当者への承認フローに自動で進み、支払処理まで完結する仕組みに変わります。
これら5つのタイプに共通しているのは、いずれも「担当者が一度入力すれば、その後は人が介在しなくても自動で進んでいく」状態を目指せるという点です。業務の内容は経理・営業・契約管理とそれぞれ異なりますが、二重入力と手作業をなくすという発想は共通しています。
※本章で紹介した内容は、実在する特定の企業の事例ではなく、業務フロー設計における代表的な改善パターンを類型化して整理した仮想的なイメージです。