受発注管理システムでDXを実現する生産性向上と属人化脱却のロードマップ|戦略的バックオフィスの実現へ

本記事は2026/03/31に更新しております。
受発注管理システムでDXを実現する生産性向上と属人化脱却のロードマップ|戦略的バックオフィスの実現へ

企業の受発注業務では、「手作業が多く残業が常態化している」「業務が属人化し、担当者がいないと業務が止まる」「受発注データを他のシステムと連携できず、活用が進まない」といった課題を抱える管理職も多いのではないでしょうか。DX推進の必要性は感じていても、「どこから手をつければよいのかわからない」と悩むケースも少なくありません。

こうした受発注業務の課題は、個人の努力だけでは解決が難しく、業務プロセスそのものを再設計する必要があります。受発注業務のDXを進めることで、業務効率化だけでなく、蓄積したデータをマーケティングや経営判断に活かすなど、「攻めの活用」も可能になります。

本記事では、受発注管理のDXがバックオフィスの「最重要課題」とされる理由と、成功へ導くためのロードマップ、システム選定のポイント、さらに導入事例をわかりやすく解説します。

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なぜ今、受発注管理のDXがバックオフィス部門の「最優先課題」なのか?

なぜ今、受発注管理のDXがバックオフィス部門の「最優先課題」なのか?

受発注管理システムを導入する目的は、業務効率化にとどまりません。ビジネス環境の変化に対応し、競争に勝ち抜くための経営戦略という目的も含まれます。そのため、受発注管理のDXはバックオフィス部門の最優先課題といえます。

ここでは、受発注管理のDXがバックオフィス部門の「最優先課題」とされる背景をみていきましょう。

迫りくる法令改正と制度変更への対応は万全か?

全国銀行協会は、「銀行間の紙の手形・小切手の交換(決済)システムを2027年3月末までに終了する」方針を公表しています。(出典:一般社団法人 全国銀行協会)これにより、今後の受発注における支払い手段を、銀行振り込みなど他の手段へ切り替える必要があります。現在も手形や小切手による決済を行っている企業は、代替手段の早急な検討が求められます。

また、インボイス制度(適格請求書等保存方式)や電子帳簿保存法など、会計・税務関連の法改正も相次いで施行されており、注文書を紙で受け取り、システムに手入力する方法は非効率で、法令対応の面でもリスクがあります。

注文内容をデータで送信できる環境を整えることで、入力ミスや工数削減につながるだけでなく、電子取引データの保存要件にも対応できます。DX化は単なる効率化ではなく、法改正に適応し、今後の事業継続を守るための「防衛策」としても重要なのです。

労働人口減少時代における「属人化」は事業継続のリスクに直結する

日本は、15歳から64歳までの生産年齢人口が急速に減少する時代に突入しています。(出典:総務省「令和4年版 情報通信白書 生産年齢人口の減少」)すでに、多くの企業で「欠員を迅速に補充できない」状況となっており、担当者の急な休職や退職が業務の停滞や事業リスクに直結します。特に、少人数で業務を回す中小企業の場合、欠員の発生による影響も大きくなるでしょう。

「この業務はあの人にしかできない」といった属人化は、企業の継続性を脅かす要因です。担当者がいなくなるだけで受発注処理が止まり、納期遅延や取引先とのトラブルにつながる恐れもあります。

こうしたリスクを防ぐには、業務の標準化とシステムによる可視化・自動化が不可欠です。誰でも同じ手順で業務を遂行できる体制を整えることで、欠員発生時の影響を最小限に抑え、持続的な事業運営を実現できます。

「守りのDX」から「攻めのDX」へ。経営がバックオフィスに期待する役割の変化

近年、経営層がバックオフィスに求めるDXは、単なる業務効率化などコスト削減の目的だけではありません。蓄積されたデータを活用して経営判断や新たな価値創出につなげる、「攻めのDX」が求められています。

受発注業務もその例外ではなく、「紙の注文書をデジタル化してミスを減らす」という程度では不十分です。蓄積されたデータを活用し、以下のような経営インサイトを導き出すことが重要です。

・今後重点的に仕入れるべき商品はどれか
・発注頻度が高い製品と金額の傾向
・取引先別の利益率や支払い傾向

このようにデータを分析し、今後の施策とともに経営層に提示できるようになれば、バックオフィスは単なる「コストセンター」ではなく、企業の利益創出に貢献する「プロフィットセンター」へと進化できます。

DXによって受発注データを「経営資源」として活かすことこそ、今、バックオフィスに求められている新しい役割です。

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【ロードマップ】受発注管理DXを成功に導く4つの戦略的ステップ

受発注管理DXは、適切な準備を行い、明確な目的を持って進めることが重要です。目的や課題が曖昧なままシステムを導入しても、業務とのミスマッチが生じ、結果的に現場で使われなくなるケースも少なくありません。

ここでは、受発注管理DXを確実に定着させ、経営成果へと結びつけるための4つ戦略的ステップをご紹介します。

ステップ1:現状分析フェーズ「課題の解像度を上げる」

受発注管理DXを成功に導く第一歩は、現状の正確な把握です。まずは、業務の流れを「BPMN(業務プロセスモデル図)」などを用いて可視化し、各業務の関係性を整理しましょう。これにより、どの工程がボトルネックになっているのか、どこに属人化のリスクがあるのかを明確にできます。

現状分析フェーズ

さらに、ボトルネックの箇所や属人化する業務を特定することも重要です。ボトルネックを見つけるためには、「PERT図(Program Evaluation and Review Technique)」を活用するのがおすすめです。各タスクの所要日数を可視化し、全体の中でもっとも時間を要する経路(クリティカルパス)を特定することで、改善すべき優先度を判断できます。

最近では、プロジェクト管理システムに「ボトルネック分析ツール」機能が搭載されたものもあり、効率的な可視化が可能です。PERT図の例を、以下に示します。

PERT図

PERT図

属人化する業務の特定には、「RACIチャート」の活用が有効です。RACIチャートとは、役割を「実行責任者(R)」「説明責任者(A)」「相談先(C)」「報告先(I)」に分ける手法です。

R(実行責任者)がひとりだけに集中している業務は、属人化のリスクが高い業務といえます。以下は、RACIチャートの一例です。

タスク 課長 主任 担当者 他部門の技術者
役員会議に提出する技術的な事項の調査・報告 A/I R   C
トラブル報告書の作成 A/I C/I R  
日報の作成   C/I R/A  

このように可視化することで、属人化リスクを定量的に把握し、標準化・自動化の優先順位を決めることができます。

ステップ2:システム選定フェーズ「機能比較だけで選ばない」

受発注管理DXを実現する上で、適切なシステムの選定は重要なステップのひとつです。しかし、「機能が多い」「知名度が高い」という観点だけでシステムを選ぶことはおすすめできません。自社の業務に適応できず、宝の持ち腐れになる恐れがあるためです。

システムを選ぶ際には、以下の項目も重視しましょう。

チェック欄 チェック項目
  自社の業務フローに対応できるか
  将来の事業拡大に耐えうる拡張性はあるか
  会計や在庫管理システムとの連携はスムーズか
  自社と同じ業種・業務内容での実績は豊富か
  運営会社はISMSなどのセキュリティ認証を得ているか
  疑問点を迅速に問い合わせ解決できるサポート体制が構築されているか
  トータルでのコストに優位性があるか

これらを確認することで、「導入して終わり」ではなく、「長期的に成果を生み出すDX基盤」として機能するシステムを選ぶことができます。

ステップ3:導入・実行フェーズ「現場の抵抗を推進力に変える」

新しい受発注管理システムを導入する際には、現場から不安や抵抗の声が上がることは少なくありません。「今のままでうまくいっているのに、なぜ変えるのか」「新しいシステムに慣れる自信がない」といった声です。一方で、こうした反応は、現場が変化に関心を持ち、改善を意識しているサインでもあります。

管理職として重要なのは、現場の抵抗を回避するのではなく、真摯に向き合い、理解を得ることです。具体的には、以下のような施策が効果的です。

・説明会などの場を設け、導入メリットを丁寧に説明する
・先行導入する部門や業務を選び、スモールスタートを図る
・研修会やトレーニングを実施して、新しい業務に慣れる場を設ける

新しいシステム導入の取り組みを適切に行うことで、現場の抵抗を推進力に変えることが可能です。

ステップ4:効果測定・改善フェーズ「投資対効果を証明する」

受発注管理DXは、導入後に効果を測定し、可視化することも重要です。導入効果を定量的に示すことで、経営層や現場への説明責任も果たせます。

まずは、KPI(重要業績評価指標)を設定し、以下のような項目を数値化すると良いでしょう。

・短縮された処理時間、または短縮率
・入力ミスの削減数
・担当者あたりの処理件数
・Webを使った受発注の比率
・受注から発送までに要した時間
・発注から納品までに要した日数

尚、受発注管理DXを用いた改善・改革は、一度実施しただけで完了しないケースも多いです。取り組みの結果を経営層に報告した上で、さらなる改善に向けて計画を立てることも求められます。このPDCAサイクルを回すことで、より良い受発注業務を実現できます。

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失敗しない受発注管理システムの選び方|3つの比較軸

受発注管理システムは、製品ごとに異なる特徴があるため、自社の業務に適合する製品を選んで導入することが重要です。

ここでは、受発注システムを選ぶ際に考慮しておくべき3つの比較軸をご紹介します。自社にマッチするシステムの選定にお役立てください。

比較軸1:提供形態「クラウド型 vs オンプレミス型」

システムが提供される形態は、受発注管理システム選定の基本となる比較軸です。クラウド型とオンプレミス型の相違点は、以下の通りです。

項目 クラウド型 オンプレミス型
システムの保有者および提供方法 ・運営会社がシステムを保有
・契約する企業は、インターネットを介して接続する
・企業が保有
・自社のネットワーク内のみで(インターネットにつながなくても)接続できる
初期費用 ・ハードウェアが不要となるため、オンプレミス型よりは低い
・数万円から数十万円で済むケースも多い
・初期費用無料のサービスもある
・ソフトウェアの代金や開発費用に加えて、サーバなどのハードウェアも必要
・数百万円以上の支出となる場合が多い
ランニングコスト ・契約を続ける限り、一定額の費用を支払い続ける必要がある
・サービスによっては無料の場合もある
保守契約がなくても、自社での運用管理コスト(人件費やハードウェア維持費)が発生する
製品のカスタマイズ性 ・オンプレミス型よりも低い
・カスタマイズに対応しない製品もある
アドオンやカスタマイズに対応する製品が多い
セキュリティ 運営会社のセキュリティレベルに大きく左右される 自社のセキュリティレベルに大きく左右される
リモートワークへの対応 特に設定変更を行わなくても対応できる VPNなど、外部からの接続に対応するネットワークの整備が必要
インターネットに接続できない場合のシステム活用 ・不可
・接続できる状況になるまで待つ必要がある
LANや専用線でつながっている端末から使うことは可能

「初期費用を抑制したい」「リモートワークの使い勝手を向上したい」「管理の手間を省きたい」といった場合は、クラウド型が適しています。一方で、「自社に適合するシステムを構築したい」「インターネットにつながらない状態でも使いたい」という場合は、オンプレミス型を選ぶと良いでしょう。

比較軸2:対応範囲「BtoB特化型 vs BtoC対応型 vs 汎用型」

受発注システムは、取引先の属性に応じて大きく3つに分けられます。それぞれの特徴は、以下の表の通りです。

タイプ 特徴
BtoB特化型 ・事業者への販売に対応
・取引先ごとの価格設定や取引方法、掛け売りなどに対応可能
・数量の多い注文にも対応できる
BtoC特化型 ・消費者への販売に対応
・多数の消費者から寄せられる注文にも対応できる
汎用型 ・BtoBとBtoCどちらにも対応可能
・製品の選択肢が少ない

取引先が企業中心か、個人中心か、また両方に対応する必要があるかによって、適したタイプを選ぶことが重要です。

比較軸3:連携性「API連携の豊富さと柔軟性」

受発注管理システムは、社内ですでに使用されている会計システム・在庫管理システム・CRM/SFAなど、さまざまなシステムと連携する必要があります。他のシステムとシームレスに連携できることは、受発注管理システムを選ぶ比較軸のひとつです。

以下の機能が搭載されているシステムは、バックオフィスの生産性向上に役立つため、選定の重要なポイントとなるでしょう。

・受発注管理システムそのものに、他システムと連携する機能が備わっている
・API連携に対応する

他システムとの連携を柔軟に行いたい場合、API連携に対応するシステムを優先的に選ぶことが、長期的な運用効率を高めるポイントです。

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【導入事例】バックオフィスはこう変わった!

受発注管理システムの導入により、バックオフィス業務は大きく変化します。実際に、業務時間の大幅削減や属人化の解消などを実現している事例も多くあります。

ここでは、受発注管理システムの導入により、生産性向上や属人化から脱却した3つの事例をご紹介します。導入後の成功イメージを描く際の参考にしてください。

事例1:受注方法をFAXからシステムに変え、受注業務の時間を75%削減した食品製造業

A社は食品の製造・販売を行う企業です。以前はFAXで注文を受けており、受注担当者はFAX複合機から一日中離れられない状況でした。受注後は速やかに製造部門へ加工指示書を回す必要があるため、担当者が小休憩さえ取れない日もあったといいます。さらに、発注書の内容には以下の課題がありました。

・急ぎの発注が頻繁に発生する
・発注書の書式が統一されていない
・納品日が異なる発注書がまとまって届く

これらの課題を解決するため、A社は受発注管理システムを導入。導入開始後、日々の受注業務にかける時間は、8時間から2時間と、75%の削減に成功しています。

受注業務が簡素化されたことで、担当者4人で分担できるようになり、業務負荷が大幅に軽減されました。

また、締め切り後の発注が減り、受注データを基幹システムに取り込めることでデータ活用の効率化も実現しています。今後は、空いた時間を営業活動に充てるなど、人材の有効活用も検討しているとのことです。

事例2:発注システムの導入で発注作業時間を75%削減。新任も1カ月で戦力となった製造業

B社は、食品容器を製造する企業です。過去に不動在庫が天井まで積み上がる経験から、集中購買による発注に切り替えましたが、発注数量の判断に時間がかかり、欠品や在庫過多が多発する課題を抱えていました。また、発注判断や在庫管理の方法が属人化しており、業務の偏りも生じていました。

受発注管理システムの導入により、発注作業の時間は75%削減され、業務の標準化により新任者も1カ月で一部の仕入先を担当できるようになりました。さらに、アラート機能の活用により、欠品や在庫過多となる状況を事前に検知し、迅速な対策が可能になっています。

事例3:受発注システムの導入で月次決算の確定を15日も繰り上げた飲食業

飲食業を営むC社は、納品書や請求書を紙でやり取りしていました。全店舗分の請求書は毎月500枚、納品伝票は1日1,000枚にも上り、納品書と請求書のチェックや、請求書の内容を会計システムに入力する作業も労力を要していました。取引先ごとに請求書が到着する日が異なることから、月次決算が翌月下旬になる状況で、経営判断の迅速化を阻む要因となっていました。

C社は、受発注システムを導入することで、受発注データを会計システムに直接読み込めるようになり、手入力の手間から解放されました。FAXや郵送の手間もなくなり、郵送費も削減。結果として、月次決算の確定が翌月5日と、従来よりも15日以上前倒しできるようになりました。

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まとめ

受発注管理のDXは、単なる業務効率化にとどまらず、法令改正や制度変更への対応といったリスク管理にもつながります。現状分析を行い業務フローや属人化の箇所を把握することで、改善すべきポイントが明確になります。

システム選定では、自社の業務に適合する機能や他システムとの連携性を重視することがポイントです。また、導入・運用では現場と協働し、抵抗感を推進力に変える取り組みが重要です。

バックオフィス管理者は、これらのステップを参考に、受発注管理システムを通じてDXを実現し、生産性向上と属人化脱却を目指しましょう。

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Slopebaseとは

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Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

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この記事を書いた人

稗田恵一
大学ではAIの基盤となるニューラルネットワークについて学び、その後、IT業界14年、設備管理業務2年の経験を有する。うち10年間は会計・人事・給与業務のパッケージ企業において、企業向けのカスタマーサポートやシステム提案業務、自社のシステム管理業務に携わる。2017年より執筆業務を始め、BtoBの分野を中心に多数執筆。記事のわかりやすさには定評がある。 
北川 希
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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