業務プロセス改善を効果的に進めるには、場当たり的な見直しではなく、課題を整理し、改善の優先順位や着手ポイントを明確にするためのフレームワーク活用が欠かせません。フレームワークを活用することで、現状の業務を客観的に把握でき、関係者間の認識ズレを防ぎながら改善を加速させることができます。
ここでは、バックオフィスの業務プロセス改善を進める上で、特に有効な3つのフレームワークをご紹介します。
ECRS(イクルス):改善の優先順位を決める
ECRSは、もともと製造業の生産管理手法として生み出され、現在ではあらゆる業務改善に応用されている強力なフレームワークです。以下の4つの視点の頭文字を取っており、E→C→R→Sの順に検討を行うことが、改善効果を最大化するためのポイントです。
- Eliminate(排除):
そもそも、その作業が本当に必要なのかを根本から問い直します。目的が曖昧な慣例的業務や、形骸化した二重チェックなどを徹底的に削ぎ落とします。
- Combine(結合):
別々の作業を一緒にできないかを検討します。入力作業の一元化や承認工程の統合により、手戻りや確認工数を減らすことが可能です。
- Rearrange(再配置):
作業の順序や担当者の入れ替えを検討します。工程の前後を入れ替えるだけで、情報の待ち時間が解消されることがあります。
- Simplify(簡素化):
業務をよりシンプルにできないかを追求します。作業手順を単純化した上で、生成AIやRPAによる自動化を検討します。
業務改善では、排除できるはずの無駄な作業を、そのままITで自動化してしまうケースがよく見られます。まずは「排除」から着手するというECRSの手順を守ることが重要です。
バリューストリームマップ:情報の流れを可視化する
バリューストリームマップは、業務の開始から完了までの一連のプロセスを可視化し、無駄を特定する手法です。バックオフィス業務における、書類やデータがどの部門を経由し、どこで滞留しているのかを一枚の図に書き出します。
図解にすることで、作業が停滞している箇所や手戻り、承認待ちなどの課題を抽出しやすくなるでしょう。どこで作業が止まっているか、誰が過剰に時間を費やしているか、無駄な重複タスクは何か、といった問題点を浮き彫りにし、将来のあるべき姿(理想のプロセス)を設計するための土台を作ります。
ロジックツリー:課題の本質を深掘りする
ロジックツリーは、表面化している問題に対して「なぜ?」という問いを繰り返し、原因を論理的に分解していくフレームワークです。
例えば、「月次決算の確定が遅い」という課題に対してツリーで分解することで、原因が拠点からの書類到着の遅れにあるのか、それとも経理部内の確認ミスによる差し戻しにあるのかを論理的に切り分けることができます。感覚や経験に頼らず、解決すべき真因を特定できる点が大きなメリットです。