属人化の問題は、ツールを導入すれば解決するものではありません。見える化・ルール化・仕組み化の3つのステップを順番に進め、情シス部門と管理職が役割を分担しながら取り組むことが重要です。
【属人化解消の3ステップ】

ステップ1:見える化(属人化ポイントの特定)
まず取り組むべきは、対象業務の選定です。影響範囲が大きく、発生頻度が高く、引き継ぎリスクが顕在化している業務から着手するのが基本です。経費承認、購買申請、取引先マスタ更新、問い合わせ対応などは部門横断になりやすく、属人化の影響が広がりやすい領域として優先度が高くなります。
対象が決まったら、管理職による現場ヒアリングと、情シス部門が抽出したシステムログや実データを突き合わせます。設計上のフローと実運用のギャップを確認しながら、以下のような観点でラベルを付けていきます。
| 属人化の種類 |
現場の事例 |
| 手順 |
担当者ごとに入力方法やファイルの置き場所が異なる |
| 判断 |
例外処理の可否をベテランが経験則で判断しており、基準が明文化されていない |
| データ |
個人のExcelファイルが実質的な正本になっている |
| 承認 |
上長不在時の代理承認ルートが定められていない |
この段階で同時に改善ゴールも設定します。処理速度を優先するのか、内部統制を強化したいのか、引き継ぎを容易にしたいのか、目的によって次のルール化・仕組み化の設計が変わります。ゴールを曖昧にしたまま進むと、後工程で優先順位の判断ができなくなります。
ステップ2:ルール化(標準手順と判断基準の明文化)
見える化で特定した属人化ポイントに対し、誰もが同じように業務を遂行できるルールを定めます。判断基準を明文化し、必須入力項目を定義し、例外発生時の扱いやエスカレーション先を文書で示します。
ナレッジとして共有する際は、単なる手順の羅列にならないよう、以下のような構成の型を設けておくと更新しやすく実用的なドキュメントになります。
- 対象業務
- 目的
- 前提条件
- 標準手順
- よくある例外とエスカレーション先
- 更新日と更新責任者
ただし、どれだけ丁寧にルールを整備しても、それだけでは現場に定着しません。忙しい現場では参照されないまま形骸化するのが現実です。ルール化はあくまで次の仕組み化を前提として設計する必要があります。
ステップ3:仕組み化(ワークフローとナレッジの連動)
ルール化で定めた基準を、自然と守れる・必要な時にすぐ参照できる状態へ落とし込むのが仕組み化です。金額や条件に応じた承認経路の自動分岐、マスタの一元管理、操作ログの自動取得といったシステム的な統制をかけることで、ルールが形骸化しにくくなります。
さらに重要な点が、業務の導線上にナレッジを組み込む設計です。経費申請画面から勘定科目のルールを参照できる、差戻し発生時に関連ナレッジが自動で表示される、問い合わせフォームからFAQに誘導されるといった形で、現場が疑問点を調べる作業で迷わない状態を作ります。
この段階では役割分担の明確化が成否を分けます。情シス部門は権限設定・システム連携・変更管理を担い、管理職は運用ルール遵守の確認とナレッジの鮮度維持を担います。この分担が曖昧なままだと、システムはあるが誰も更新しないという状態に陥りやすくなります。
属人化の解消には、現場主導で柔軟に改善できるシステム環境が不可欠です。ノーコードで実現できるDXを通じて、ワークフローとナレッジ共有を一体化させる具体的な仕組みづくりの詳細はこちらをご覧ください。
➡『あの人しか知らない』をなくして業務プロセスとナレッジを統合する方法