部門最適から全社最適へ!組織のサイロ化を打破するデータ統合アプローチ

本記事は2026/06/29に更新しております。
部門最適から全社最適へ!組織のサイロ化を打破するデータ統合アプローチ

営業部門はCRM、経理部門は会計ソフト、製造部門は生産管理システムというように、各部門が業務に最適なツールを導入するケースが増えています。一方で、部門ごとにデータが分散し、顧客情報や売上データの定義が統一されない課題も顕在化しています。経営会議の場で、売上や顧客数、利益率といった同じ指標が部門ごとに異なって報告され、経営陣が正しい状況を判断できないという深刻な問題に直面する状況も珍しくありません。

 

多くの情報システム(以下、情シス)部門では、連携されていない複数のSaaSとレガシー基幹システムの運用に追われ、CSVによる手作業でのデータ連携や個別のシステム改修が積み重なり、負荷が増大しています。また、管理職は「全体最適のDX」を掲げても現場の部門最適が止められない板挟みに直面しているのが現状です。

 

本記事では、部門最適と全体最適の違いを整理した上で、組織・評価制度・システムの分断によって生じるサイロ化の構造を解説します。また、既存環境を活かしたデータ統合やノーコードのクラウドデータベースによる段階的な打破策、情シス部門の負担を抑えつつ安全なDX基盤を構築するための実践的な進め方もご紹介します。

01

まずは結論!サイロ打破は「ビッグバン」より「データ統合ハブ+ガバナンス」

組織のサイロ化や部門最適の弊害を打破するために、すべてのシステムを一度に刷新する「ビッグバン導入」を選ぶ必要はありません。最も現実的で効果的な解決策は、既存のシステム環境を活かした「データ統合ハブ(中継基盤)の構築」と、運用のルールを定める「ガバナンス体制の確立」を組み合わせるアプローチです。莫大な予算と長期間のシステム停止リスクを伴う全面リプレースに頼らなくても、段階的かつ安全に全社最適のデータ活用環境をつくりあげることができます。

全社最適を実現するための具体的な結論の骨子は、次の4点にまとめられます。

 

部門最適の限界と全社リスク
部門最適によるIT投資は、特定の部門KPIの達成や、現場への導入のしやすさという点では短期的に高い成果をもたらします。しかし、全社でマスタデータやコード体系、データの定義が揃わなければ、中長期的には全社的な意思決定を遅らせ、情シス部門のデータ連携工数を激しく消耗させる要因となります。

 

サイロ化が発生する複合的な構造
組織のサイロ化は、単なる組織の縦割りという意識問題だけで起きるものではありません。部門ごとに独立したシステムの乱立、部門単位の業績評価制度、データの信頼性が不明確な状態が重なり合うことで発生します。

 

データ統合ハブによる段階的な連携
稼働中のレガシーシステムや現場が愛用する部門SaaSを、一括して廃止する必要はありません。ノーコードのクラウドデータベースをデータ統合のハブとして中央に据え、APIやファイル連携を用いて段階的にデータを接続していくことで、全社的なデータ統合と日々の業務プロセスの自動化を無理なく両立できます。

 

情シス部門と管理職の明確な役割分担
情シス部門の役割は、各システムとの接続設定やアクセス権限の管理、操作ログの監視、変更管理といったシステムガバナンスです。一方で管理職は、全社共通のKPI定義、マスタデータの正本の決定、投資の優先順位付けといったビジネス側の意思決定を担います。役割を明確に分担することが、安全で持続可能なDX基盤の構築につながります。

 

組織のサイロ化を打破し、データ統合ハブを安定して運用していくためには、構築後のプロセスをあらかじめ設計しておく必要があります。具体的なロードマップとして、現状のサイロ化の可視化から始め、全社で優先すべきデータの選定、統合ハブのデータモデル設計、一部の部門でのパイロット連携、そして全社的な自動化の拡張へと進むステップを順に提示します。

 

この記事を最後まで読み進めることで、管理職、業務部門、情シス部門の間で、具体的な合意形成を行うための論点を明確にすることができるでしょう。

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02

部門最適と全社最適の違いを押さえる

データ統合のプロジェクトを成功させる前提として、部門最適と全体最適の概念的な違いを正しく整理しておく必要があります。言葉の定義と企業経営に与える影響の差を明確に理解することで、現場への説明や合意形成がスムーズになります。

部門最適(部分最適)とは、「特定の部門や特定の業務における効率化、およびその部門が追いかけるKPIの最大化」に焦点を当てるアプローチです。これに対して全体最適(全社最適)とは、「顧客との最初の接点から、商品の供給、最終的な会計処理に至るまで、企業全体の価値連鎖(バリューチェーン)全体の成果を最大化すること」を目指す考え方です。

 

区分 部門最適(部分最適) 全体最適(全社最適)
焦点 特定部門の効率・個別KPIの最大化 価値連鎖全体の成果・全社利益の最大化
短期的な影響 現場の導入が容易で、素早く成果が出る 調整が必要となり、立ち上がりに時間を要する
中長期的な影響 マスタ不一致や二重入力などのコストが増大する データの一貫性が保たれ、経営判断が迅速化する

 

短期的には、現場のニーズに直結した部門最適のほうが、導入のハードルも低く、現場レベルの作業時間を削減するといった効果を出しやすい性質があります。しかし、中長期的な視点で見ると、部門ごとにデータが孤立することで、マスタの不一致、異なるシステムへのデータの二重入力、部門間での数字のすり合わせといった見えないコストが肥大化します。結果として、経営陣が企業の現状をリアルタイムに把握できなくなり、重要な経営判断を遅らせる要因となりかねません。

 

ここで、企業のデジタル化における発展段階の位置づけを確認しておきましょう。一般的に、特定の部門や単一の業務プロセスをデジタルツールに置き換えて効率化する取り組みは、デジタイゼーションやデジタライゼーションの段階に留まりやすい傾向があります。

 

これに対してDX(デジタルトランスフォーメーション)が目指す姿は、部門の壁を越えた横断的なデータ活用を行い、企業全体のビジネスモデルや業務プロセスそのものを再設計することです。部門ごとのデジタル化を進めるだけ真正なDXを達成したとはいえません。

 

管理職が現場に対して、「なぜ部門としては素晴らしい取り組みであるのにもかかわらず、全社視点では足を引っ張ることになってしまうのか」を説明する際に、「たこつぼ型組織」の弊害という比喩が用いられることがあります。それぞれの部門の中には、部門にとっての正しい数字が存在しているためです。

 

しかし、隣の部門にある数字と結合できない状態では、企業全体として正しい方向へ進むためのナビゲーション機能が働かなくなってしまいます。現場の効率化を尊重しつつも、全社のデータが繋がらなければ企業全体の競争力が損なわれるという視点を、社内の共通認識とすることが不可欠です。

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03

組織のサイロ化がデータ連携を難しくする理由

なぜ多くの企業で組織のサイロ化が進み、データの連携が困難になってしまうのでしょうか。その背景には、組織面・データ面・システム面という3つの要因が複雑に絡み合っています。

組織面における要因
古くから続く組織の縦割り文化に加え、部門ごとに完全に独立したKPIや予算の権限が与えられていることが挙げられます。自部門における目標や予算達成が最優先されるため、他部門とのデータ共有や全社的なIT投資に対する協力体制が生まれにくい構造になっています。

 

データ面における要因
企業内にデータが散在することで、どれが最新で正しい情報なのかという「正本(信頼できる唯一の情報源)」が不明確になっていることも要因のひとつです。顧客名や取引先コードの項目定義、表記ルールが部門ごとにバラついているため、経営層が数値を集計しようとするたびに、手作業による複雑な突合作業が発生します。

 

システム面における要因
業務部門が情シス部門に相談をせず、クレジットカード決済などで独自に導入した「部門主導のSaaS」が乱立するケースもあります。さらに、社内には外部との連携を想定していない、あるいはAPIに対応していないレガシーな基幹システムが残存しており、未確認の「シャドーIT」と化すことで、システムの分断はさらに深刻化します。

 

情シス部門が日々直面している典型的なトラブルの多くは、このようなサイロ化の結果として発生しています。例えば、新しいツールが導入されるたびに発生する「周辺システム連携のための都度設計」「システムごとに異なる認証やアカウント運用の乱立」「障害切り分けの困難さ」などです。

 

また、システムの分断は、企業のセキュリティレベルを低下させ、監査証跡(ログ)が追えなくなるというコンプライアンス上の大きなリスクにも直結します。内部統制の不備や、情報漏洩などのインシデントが発生した際の迅速な状況把握を妨げる深刻な要因になりうると認識することが重要です。

 

業務部門の視点では、システムの分断が原因となり、「同じ顧客を相手にしているはずなのに、営業の画面とサポートの画面で情報が異なっている」「経営ダッシュボードに表示される数値の根拠が信じられない」といった具体的な不満として表面化します。データ不一致の修正対応や連携の要望は、最終的に情シス部門へのシステム改修の依頼として積み上がり、長い順番待ちの行列を作ることになります。

 

こうした状況を打破するために、全面的なERPの刷新や、すべてのシステムを一括でクラウドへ移行することだけが正解とはいえません。なぜなら、莫大な投資規模となる上に、稼働中の業務を長期間停止させるリスクが高く、何より情シス部門のリソースが不足しているためです。

 

既存のシステム環境を活かしたまま、データ統合のための現実的な解決策を模索することが、多くの企業にとって現実的かつ効果的な選択肢といえるでしょう。

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04

レガシーと部門SaaSが併存する環境でのデータ統合の論点

既存のレガシー基幹システムの老朽化と、現場で増え続ける部門SaaSの併存は、データ統合を進める上で避けては通れない技術的・運用上の課題です。

レガシー基幹システムには、「最新のAPIによる外部連携に対応していない」「定期的な夜間バッチ処理やCSVファイルの出力に依存している」「システムの開発仕様書が紛失している」「すでにメーカーのサポートが終了している」といった多くの制約が存在します。

 

さらに、個別に契約した部門SaaSが加わることで、データがそれぞれのシステムに二重に保持される構造が生まれ、手作業による連携処理や夜間バッチの仕組みが肥大化し、システムの運用が複雑化します。

 

情シス部門と管理職は、このような環境において自社が取るべき進路を、以下の4つの選択肢から評価し、選択していくことが不可欠です。

 

選択肢 投資規模 業務停止リスク 情シス部門の工数負担
1. 全面リプレース 極めて大きい 極めて高い 非常に重い(長期化)
2. ラップ(包摂) 大きい 中程度 重い
3. 段階マイグレーション 中〜大 低〜中 継続的な負担
4. 既存維持+統合ハブ 最小限に抑制 極めて低い 軽微(ノーコード活用)

 

本記事が推奨するのは、現状のシステム資産をそのまま有効に活かしながら、上位のデータ統合レイヤーに「横断ビュー」を構築する、4番目の「既存維持+統合ハブ」というアプローチです。

 

これは費用対効果が最も高く、限られたリソースで確実に成果を出せる方法です。データ統合ハブを採用する場合、具体的なデータ連携方式の特徴を正しく理解し、適材適所で使い分けることが重要になります。

API連携

主に、最新の部門SaaSや新しく導入するクラウド基盤同士を接続する場合に適した方式です。方式を設計する際には、認証情報の管理方法、データを同期させる頻度、通信エラーが発生した際の再送処理ルール、どちらのデータをマスタの正本とするかの定義、検証用の環境(Sandbox)の確保、および詳細な通信ログの設計など、情シス部門が主導して決定すべき項目が論点となります。

 

API連携の仕様を標準化することで、将来的なツールの追加や変更にも柔軟に対応できるようになります。

ファイル連携と検証ルール

レガシーシステムが残る環境では、CSVファイルなどを利用したファイル連携が最も現実的で採用しやすい方式です。ファイル連携を行う際は、データの項目定義や文字コードの統一、自動取り込み処理の構築、データの重複チェック機能をあらかじめ組み込んでおくことで、現場の手作業と入力ミスを大幅に削減できます。

 

また、ファイルの命名規則や格納先の配置ルールを標準化することで、運用の属人化を防ぐことも重要です。

RPA・ミドルウェアの位置づけ

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション/ロボットによる業務自動化)やデータ連携ミドルウェアは、短期間で手軽に自動化の効果を得られる一方で、接続先ツールの画面レイアウト変更によって処理が停止しやすいという脆弱性があります。

 

そのため、最初からRPAに頼り切るのではなく、まずは「CSV出力とデータの検証ルールを確立」し、次に「可能な部分からAPI連携へ移行」させ、どうしても自動化できない手作業の隙間を埋めるために「必要に応じてRPAを導入」という段階的な導入手順が推奨されます。

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ノーコードのクラウドデータベースで全社データを統合する設計

一括でシステム刷新することなくデータ統合を実現する具体的な方法が、ノーコードのクラウドデータベースをデータ統合ハブとして中央に配置するアプローチです。既存の部門SaaSやレガシーシステムのデータを、中央のハブへ段階的に集約していくことで、全社的なデータ活用基盤を構築できます。

データ統合ハブへ集約すべき具体的なデータの例としては、以下のような項目が挙げられます。

 

  1. 部門横断共通マスタ(社員コード、取引先コード、商品・サービスコードなど)
  2. 予算対実績管理データ(各部門から集まる予算数値と実際の執行実績)
  3. トランザクションのサマリ情報(販売、購買、経費、在庫、生産などの実績集計値)
  4. 経営KPI用指標(全社的な意思決定に直結する主要なパフォーマンス数値)

 

データ統合においてノーコードツールを採用することは、情シス部門の負担の軽減につながります。現場の業務に密着したデータ画面のデザインや、簡易的な業務フローの設定、プロトタイプ(試作)の作成といった作業を、業務部門の担当者が自ら進めることができるためです。

 

その結果、情シス部門のプログラム開発の負担を減らし、セキュリティ認証の設計、ネットワーク経路の確保、全社的な本番運用ガバナンスの監視、監査ログの確認といった、専門性の高い統制業務にリソースを集中できるようになります。

 

NTTデータビジネスブレインズの「Slopebase」は、支出管理クラウド(ノーコード・クラウドデータベース)として、予実管理、購買・販売、経費精算といったバックオフィス領域の業務データを、ひとつの基盤上で統合管理できます。在庫や生産などの実績データについても、データテーブルとして柔軟に取り込み、全社のデータ統合ハブに集約していくことが可能です。部門ごとに横断するマスタデータと、日々の業務データを同じシステム環境の中で一元的に扱うことで、既存の主要な会計システムや、現場で広く使われている各種SaaS・ノーコードツールと、APIやファイル連携を介してスムーズに接続する柔軟なシステムモデルを構築できます。

 


既存システムを活かしながら組織の壁を越える具体的なアプローチについては、ノーコードで実現できるDXの基本から実践までを体系的にまとめたこちらのページもぜひご参照ください。
➡小さく始めて、大きく育てる失敗しない全社的DX


 

ここで重要なのは、データをただ集めるだけでなく、「データ統合」と「業務プロセスの自動化」をセットで設計することです。ハブにデータが登録されたことを起点として、関係者への承認ワークフローの実行、チャットツールへの通知、異常値のアラート発信、経営ダッシュボードのリアルタイム更新などを自動化することで、データ統合の価値をさらに高めることができます。

マスタ統合と「正本」の決め方

データ統合を進める上で重要なのは、部門・商品・取引先・勘定科目・従業員IDといった各種コードの「対応表(マッピングテーブル)」を作成することです。

 

その上で、複数のシステムに存在するデータのうち、どのシステムが持つデータを正本として扱うのか、更新頻度と情報の変更責任者を明確に定義します。管理職や業務部門は、正本に関するビジネスルールの策定や、例外的なデータ処理の承認といった運用面を主導します。

 

一方で情シス部門は、ルールに沿ったデータの実装や、システム間の物理的な接続設定を確実に担保するという、役割分担を明確にすることが成功に導くポイントです。

連携と自動化の優先順位

社内にあるすべてのデータを一度に連携しようとすると、プロジェクトは複雑化し、失敗のリスクが高まります。

 

優先順位を決める際は、次の3つの観点から対象領域を絞り込むことが有効です。

 

  1. 情シス部門のデータ処理工数が特に大きい業務
  2. 万が一入力ミスが起きた場合に致命的な影響が出る処理
  3. 経営層の素早い判断に直結する重要な経営指標

 

まずは特定の限定された領域から小さく始めて効果測定を行い、削減できた工数や障害の発生率、データの鮮度などの成果を確認しながら、全社的なロードマップに沿って連携範囲を徐々に広げていく手順が推奨されます。

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情シス部門と管理職が主導するサイロ打破の進め方

サイロ化を打破し、実効性のあるデータ統合基盤を構築するための具体的な実践手順を、5つのステップに整理して解説します。

ステップ1:部門・システム・データの流れの棚卸し

各部門で使われているシステムや、日々発生しているデータの流れを徹底的に洗い出します。データの入力元、出力先のシステム、追いかけているKPIの種類に加え、ソフトウェアの契約主体がどこか、どのような認証方式でログインしているかといった現状を、すべて可視化しましょう。

ステップ2:優先連携データの要件定義

次の工程は、棚卸ししたデータの中から、サイロ化が経営に与えているマイナスの影響が大きいと思われるデータを特定することです。特定したデータを最初の対象として、どのような頻度で、どの項目を連携させるかの要件を定義する必要があります。

ステップ3:統合ハブのデータモデル試作

ノーコードツールの特性を活かし、仮のデータモデルを素早く画面上にプロトタイプとして作成します。業務部門が使い勝手を確かめている間に、情シス部門が裏側の接続経路やアクセス権限の設計を進めると効率的です。

ステップ4:パイロット部門での連携テスト

特定の部門を対象に選定し、実際のデータを用いた連携テストを実施します。データが正しく取り込まれるかだけでなく、エラー発生時の通信ログの出力や、システムが停止した際の代替運用が正常に機能するかを確認しましょう。

ステップ5:自動化・ダッシュボード拡張と定期見直し

パイロット運用で問題がないことを確認した後、他の業務プロセスへの自動化の適用や、経営用ダッシュボードの範囲を拡張します。周辺環境の変化に合わせて、連携ルールが最適であるかを定期的に見直すサイクルを確立します。

 

なお、この進め方においては、管理職と情シス部門の役割を対比させ、それぞれの責任範囲を明確にしておくことが重要です。

 

  • 管理職が担う役割:
  • 全社共通KPIの定義、部門間の調整、投資判断、現場による独自のシステム導入を抑えるルールの策定
  •  
  • 情シス部門が担う役割:
  • 全体セキュリティ方針の策定、アクセス権限管理、個人情報保護、監査ログの適切な保管

 

その上で、情シス部門から業務部門にデータ連携を依頼する際は、作業の丸投げを避ける配慮が求められます。現行の業務フロー図やサンプルCSV、データ定義、締め日をまとめた「情報提供チェックリスト」を事前に用意して提示し、確実な協力を引き出すと良いでしょう。

 

また、データガバナンスを維持するための仕組みとして、本番環境とは別に必ずテスト環境を用意する必要があります。検証が完了した設定のみを本番へ反映する手続きを厳格に定め、万が一のシステム障害に備えた一時的な手動運用ルールを管理職と情シス部門の間であらかじめ合意形成を図っておきましょう。

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データ統合でサイロを改善した企業の事例

従業員約200名の中堅製造卸売業B社では、部門ごとに異なるシステムを運用していました。営業はクラウド型CRM、物流は独自の在庫管理、製造は生産管理パッケージ、経理はオンプレミス会計システムを利用していたため、営業の受注予測、物流の出荷、経理の確定売上の数値が一致しない状態が続いていました。

その結果、情シス部門には連携改修の依頼が集中し、現場ではCSV出力とExcelマクロによる突合作業が日常化していたといいます。また、情シス部門が把握していないシャドーITの存在も課題となっていました。

 

そこでB社は、システムの一括刷新ではなく、ノーコードのクラウドデータベースをデータ統合ハブとして活用する方針を採用します。まず、経営への影響が大きい予実データを対象に、主要SaaSと基幹システムのデータを段階的に集約。あわせて、管理職間で取引先コードや顧客情報の「正本ルール」を明確にしました。

 

導入後は、経営層がダッシュボード上で日次の全社予実を確認できるようになりました。CSVやExcelによる手作業はなくなり、属人化も解消しています。情シス部門は個別対応に追われる状態から脱し、標準連携テンプレートの整備、アクセス権限管理、本番ガバナンスに集中できるようになりました。

 

現在では、業務部門がノーコードで画面を試作し、情シス部門が検証して本番反映する協働体制が定着しています。

 

※本事例は実際のケースを基に、特定できない形に加工して紹介しています。

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よくある質問

 

Q. 部門最適と全体最適の違いは何ですか?

A. 部門最適は特定部門の効率やKPI最大化を追うのに対し、全体最適は企業全体の価値連鎖の成果や利益の最大化を目指すという違いがあります。

Q. サイロ化とは何ですか。データ統合だけでは解決しませんか?

A. サイロ化とは、組織やシステムの孤立でデータが分断する状態を指します。システムのデータ統合だけでなく、マスタの正本ルール策定など運用面の改善も必要です。

Q. 部門ごとに最適なシステムを入れたまま、全社のデータ統合はできますか?

A. 可能です。ノーコードのクラウドデータベースをデータ統合ハブに据え、APIやファイル連携で段階的に繋ぐことで実現できます。

Q. レガシーシステムを残したままサイロ化を打破できますか?

A. 可能です。レガシーのCSV出力を活かし、統合ハブ側で自動検証やコード対応表を構築することで既存資産を活かせます。

Q. データ統合の推進は情シス部門と管理職のどちらが主導すべきですか?

A.どちらか一方ではなく、両者が連携して推進することが重要です。管理職が共通KPIや正本ルールの策定を担い、情シス部門はセキュリティ管理やシステム連携の実装、運用ガバナンスを担当することが推奨されます。

Q. ノーコードツールを導入すると、かえってシャドーITが増えませんか?

A. 統制設計を伴わない部門単位の導入では、その懸念があります。本記事が推奨するのは、ノーコードのクラウドデータベースを「全社共通のデータ統合ハブ」として情シス部門の管理下に置くアプローチです。画面や業務フローの試作は業務部門が担い、アクセス権限・認証・監査ログ・本番反映の承認は情シス部門が一元管理することで、現場の自走とガバナンスを両立できます。

Q. データ統合ハブの構築には、どのくらいの期間がかかりますか?

A. 全社一括ではなく、経営影響の大きい特定領域(例:予実データ)から小さく始めるため、最初のパイロット連携は比較的短期間で着手できます。本記事のロードマップ(棚卸し→要件定義→データモデル試作→パイロット連携→拡張)に沿って、効果を測定しながら段階的に範囲を広げる進め方を推奨します。具体的な期間は、対象データの数や既存システムの連携方式(API/ファイル連携)によって変動します。

Q. スモールスタートする場合、最初にどの領域から着手すべきですか?

A. 「情シス部門のデータ処理工数が特に大きい業務」「入力ミスが致命的な影響を及ぼす処理」「経営判断に直結する重要指標」の3つの観点で対象を絞り込むのが有効です。多くの場合、全社の意思決定に直結する予実データやマスタデータが、最初の対象として効果を実感しやすい領域となります。

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まとめ

企業の持続的な成長には、組織・データ・システムの3層に潜むサイロ化を解消し、部門最適から全社最適へと舵を切ることが不可欠です。すべてのシステムを一度に刷新するのではなく、レガシー基幹や部門SaaSを有効に活かしながら、ノーコードデータベースによる「データ統合ハブ」を構築するアプローチが極めて現実的な選択肢となります。

また、データ統合を成功させるためには、システムの連携だけでなく、マスタデータの正本ルールや運用ガバナンスの整備も欠かせません。情シス部門がガバナンスを担い、管理職がビジネスルールを主導する強固な連携体制を築くことで、安全かつ変化に強い全社DX基盤の確立を実現できます。

 


全社最適への第一歩を踏み出すなら、大がかりな開発を伴わない手法が鍵です。本記事で解説したノーコードで実現できるDXの全体像や、サイロ化打破のさらに詳しいステップはこちらをご覧ください。
➡小さく始めて、大きく育てる失敗しない全社的DX


 

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Slopebaseとは

バックオフィス業務の
支出管理を支援する、
ノーコード・クラウドデータベース

Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

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この記事を書いた人

金田サトシ 
国立大学を卒業後、外資系IT企業でSaaSアプリケーション(ERP/SCMなど)やセキュリティ系コンサルタントとして約15年の実績あり。ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士の情報処理資格を取得済み。自身の経験と体系的な知識をもとに、IT系全般をカバーするテクニカルライターとして、リアリティがありつつわかりやすい記事を多数執筆。
監修
北川 希

デジタルマーケティングやIT領域を中心に、年間200本超のライティング、100本以上の編集を担当。特に基幹業務系ソリューションやITインフラ、情報セキュリティに関する技術解説や導入メリット、導入事例に精通し、企業のDX推進や業務効率化に関する専門記事を多数執筆。行動経済学の知見をベースに、専門的なテーマでも初心者から専門職層まで伝わる記事作成・編集を実施。

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