稟議とは?決裁との違い|221人調査で判明した稟議フローの各社の実態と、ワークフロー導入だけでは解決しない理由

本記事は2026/09/02に更新しております。
稟議とは?決裁との違い|221人調査で判明した稟議フローの各社の実態と、ワークフロー導入だけでは解決しない理由

稟議とは、会議を開かずに書面を回覧して関係者の承認を得る、日本企業に広く根づいた意思決定の手続きです。多くの会社で日常的に行われている一方で、「決裁と何が違うのか」「なぜこれほど時間がかかるのか」を明確に説明できる人は多くありません。

 

本記事では、稟議の意味と決裁との違い、稟議フローの基本を整理したうえで、業務・管理系部門のリーダーおよび管理職221名への独自調査から見えた各社の実態を公開します。押印欄の数、承認者の人数、決裁までの日数、そして「押されているハンコの76.0%は決裁ではなかった」という結果まで。最後に、ワークフローシステムを導入しても稟議が速くならない理由と、実際に効く5つの打ち手を解説します。

01

稟議とは?意味・読み方と、稟議が必要になる理由

稟議(りんぎ)の読み方と意味

稟議とは、担当者が起案した案件について、関係者を集めて会議を開くのではなく、書面を順に回覧して承認を得ていく手続きのことです。読み方は「りんぎ」です。「稟」という漢字の音読みは本来「ひん」であるため「ひんぎ」と読まれることもありますが、ビジネスの場では「りんぎ」が慣用的な正しい読み方として定着しています。

 

稟議のために作成する書面を「稟議書」と呼びます。会社によっては「起案書」「伺い書」「決裁申請書」など、別の呼称が使われることもありますが、指しているものは同じです。

稟議制度の目的――会議を開かずに合意形成する仕組み

稟議制度が果たしている役割は、大きく3つあります。

 

1つ目は、関係者を一堂に集めずに合意形成できることです。数万円の備品購入や定型的な契約更新のたびに会議を招集していては、意思決定のコストが案件の重要度に見合いません。書面を回すことで、それぞれの承認者が自分の都合のよいタイミングで判断できます。

 

2つ目は、意思決定の過程が記録として残ることです。誰がいつ何を承認したのかが書面上に残るため、後から経緯を追跡できます。内部統制や監査対応の観点からも、この記録性は重要な機能を担っています。

 

3つ目は、判断基準を標準化できることです。金額や案件の種類に応じて「誰の承認が必要か」をあらかじめ決めておくことで、担当者や部署によって判断がばらつくことを防げます。

稟議が必要になる代表的なケース

どのような案件で稟議が必要になるかは会社ごとに異なりますが、一般的には次のようなケースが挙げられます。

 

  1. 一定金額以上の物品・サービスの購入
  2. 取引先との契約締結、契約更新
  3. 新規人材の採用、人員配置の変更
  4. 接待・贈答・会食など対外活動の実施
  5. 社印・契約印の押印
  •  
  • 新規プロジェクトの立ち上げ、予算の執行

これらの多くは「決裁権限規程」や「職務権限規程」といった社内規程で、金額帯ごとに必要な承認者が定められています。

稟議のメリットとデメリット

観点 内容
メリット① 透明性 誰がいつ何を承認したかが記録に残り、意思決定の過程を後から追える
メリット② 合意形成 会議を開かずに関係部署の合意を取り付けられる
メリット③ 標準化 案件の種類・金額に応じた判断基準を組織として揃えられる
メリット④ 情報共有 回覧の過程で関係部署に案件の情報が伝わる
デメリット① 時間 承認者が多いほど決裁までの日数がかかる
デメリット② 作成負担 稟議書の作成そのものに手間と時間がかかる
デメリット③ 形式化 「押すこと」が目的化し、内容が十分に検討されないまま通ることがある
デメリット④ 停滞の不可視 承認者が処理しないまま止まっていても気づきにくい

 

本記事の後半で紹介する調査結果は、この「デメリット」が、多くの企業でどれほど深刻な形で表面化しているかを示すものです。

02

稟議と決裁の違い|承認・回覧・起案・根回しとの関係を整理

稟議まわりの用語は似ているものが多く、混同されがちです。まず全体を一覧で整理します。

 

用語 意味 主な行為者 責任の有無
起案(きあん) 稟議書を作成して提出すること。稟議の出発点 申請者
稟議(りんぎ) 書面を回覧して承認を求める手続き全体 申請者〜承認者
回覧(かいらん) 内容を「見た」ことを示す行為。情報共有が目的 関係者 なし
承認(しょうにん) 内容に同意を示す行為。決裁の手前にある 上長・関係部門 一部あり
決裁(けっさい) 最終的に可否を決定する行為。稟議の終点 決裁権者 あり
根回し(ねまわし) 正式に回す前の非公式な事前調整 申請者

稟議と決裁の違い――「回す」手続きと「決める」行為

もっとも混同されやすいのが、稟議と決裁の違いです。両者の関係を一言でいえば、稟議は手続き全体を指し、決裁はその手続きの最後に行われる判断行為を指します。稟議のゴールが決裁である、という関係です。

 

言い回しにもその違いが表れています。稟議は「稟議を上げる」「稟議を回す」「稟議にかける」のように、プロセスを進める動きとともに使われます。一方の決裁は「決裁が下りる」「決裁を仰ぐ」「決裁を取る」のように、最終的な判断を得るという文脈で使われます。

 

決裁を行う権限(決裁権)は、決裁権限規程などによって金額帯や案件の種類ごとに定められているのが一般的です。たとえば「50万円未満は部長決裁、50万円以上は本部長決裁、500万円以上は社長決裁」といった形です。

稟議と承認の違い

承認は、稟議フローの途中で発生する行為です。決裁権者が最終判断を下すまでに、直属の上長、関連部署の責任者、管理部門などが順に内容を確認して同意を示します。この一つひとつが承認です。

 

つまり、1件の稟議には複数の承認が存在し、決裁は最後に1つだけ存在します。承認者が増えるということは、決裁に至るまでの経由地点が増えるということでもあります。

稟議と回覧の違い

回覧は、内容を「見た」ことを示す行為であり、本来は責任をともないません。決定に関与するのではなく、情報を共有することが目的です。

 

ところが実際の現場では、この境界が曖昧になっています。当社が業務・管理系部門のリーダー・管理職221名に実施した調査では、申請書類の押印欄・承認欄のうち「責任をともなう承認(決裁)」ではなく「内容を見たという確認・回覧」の意味で押されているものが半分以上を占めると答えた人が76.0%にのぼりました。詳細は本記事の後半で解説します。

稟議と起案の違い

起案は、稟議書を作成して提出する最初の行為を指します。「起案する」「起案者」という使い方をします。起案がなければ稟議は始まりません。

稟議と根回しの違い

根回しは、正式に稟議書を回す前に、キーパーソンへ非公式に内容を説明し、事前に理解を得ておく行為です。公式なプロセスではありませんが、日本企業の意思決定においては実質的に大きな役割を果たしています。

 

根回しが行われていない稟議は、回覧の途中で疑問や反対が生じて差し戻され、結果として決裁までの日数が延びやすくなります。

決裁と決済の違い(よくある誤変換)

「決裁」と「決済」は読みが同じため混同されますが、意味はまったく異なります。

 

表記 意味 使用例
決裁 権限を持つ人が案件の可否を決めること 稟議の決裁が下りた/部長決裁
決済 代金の支払いを完了させること クレジットカードで決済する/決済代行

 

稟議の文脈で使うのは「決裁」です。社内文書で誤変換されているケースは少なくないため、注意が必要です。

03

稟議フローの基本|起案から決裁・保管までの5ステップ

稟議フローとは、稟議書が起案されてから決裁され、保管されるまでの一連の流れのことです。会社によって細部は異なりますが、基本となるのは次の5ステップです。

ステップ1:起案(稟議書の作成)

申請者が稟議書を作成し、提出します。件名、目的、背景、金額、実施時期、期待される効果、想定されるリスク、そして根拠となる資料を揃えます。ここで情報が不足していると、後の工程で差し戻しが発生します。

ステップ2:回覧・事前確認

関係部署に内容を共有し、確認を得ます。たとえば購買稟議であれば経理部門や購買部門、契約稟議であれば法務部門が該当します。この段階は本来「情報共有」と「専門的なチェック」が目的であり、決定権を持つ工程ではありません。

ステップ3:承認

直属の上長から順に、内容に同意するかどうかを判断していきます。多くの企業では職位の低い順に承認が進み、上位者へと上がっていきます。ここで承認者が多いほど、稟議が経由する地点が増えます。

ステップ4:決裁

決裁権を持つ人が、最終的な可否を判断します。決裁が下りた時点で、組織としての意思決定が完了します。

ステップ5:保管・実行

決裁済みの稟議書を保管し、案件を実行に移します。稟議書は内部統制や監査の証跡となるため、社内規程で定められた期間の保管が必要です。一般的には5年から10年程度、契約関連であればそれ以上のケースもあります。

稟議フローは何段階が適正か

稟議フローの段階数に決まった正解はありませんが、少なければ意思決定は速くなり、多ければチェック機能は強くなります。重要なのは、案件のリスクの大きさに対して段階数が見合っているかどうかです。

 

実態としてはどうでしょうか。当社の調査では、「あなたの部署で最も件数の多い申請」について尋ねたにもかかわらず、承認・押印を行う人が3人以上という回答が64.4%を占めました。例外的に重い案件ではなく、日常的に発生する定型申請でこの数字です。詳しくは次章で見ていきます。

04

稟議書の種類と書き方|承認されやすい5つのコツ

稟議書の主な5つの種類

稟議書は、案件の内容によっていくつかの種類に分かれます。代表的なものは次の5つです。

 

種類 対象となる案件 記載のポイント
購買稟議書 備品・機器・ソフトウェアなどの購入 複数社の相見積もり、選定理由、代替案との比較
契約稟議書 取引先との契約締結・更新・解約 契約期間、契約金額、解約条件、リスクの所在
採用稟議書 人材の採用、雇用形態の変更 採用の必要性、人件費、募集要件、配属先
接待交際稟議書 接待・会食・贈答などの対外活動 目的、相手先、参加者、予算、当日の想定
捺印稟議書 社印・契約印・代表者印の押印 押印する書類の内容、押印の必要性、相手先

稟議書に記載すべき項目

様式は会社ごとに異なりますが、次の項目はおおむね共通して求められます。

 

項目 記載内容
起案日・起案者 作成日と作成者の氏名・所属
件名 一読して内容が分かる簡潔なタイトル
目的 なぜこの案件が必要なのか
背景・現状の課題 何が問題で、放置するとどうなるのか
実施内容 具体的に何を行うのか
金額・予算区分 費用総額、内訳、予算の出どころ
実施時期 いつから、いつまで
期待される効果 定量的に示せるものは数値で
想定されるリスク デメリットや懸念点、その対策
添付資料 見積書、比較表、参考データなど

承認されやすい稟議書を書く5つのコツ

稟議が通るかどうかは、内容の妥当性だけで決まるわけではありません。読み手が判断しやすい形になっているかが、通過スピードを大きく左右します。

 

① 簡潔かつ正確に書く
承認者は1日に複数の稟議書に目を通します。結論を先に書き、詳細は添付資料に回すのが基本です。

 

② 背景と目的を明確に伝える
「何を買いたいか」ではなく「何を解決したいか」を先に示します。目的が伝わらない稟議書は、金額の妥当性を判断できません。

 

③ リスクや懸念点も先に書く
都合のよい情報だけを並べると、承認者から質問が来て差し戻されます。想定される懸念とその対策を先回りして書いておくほうが、結果的に速く通ります。

 

④ 根拠となるデータを添付する
相見積もり、比較表、現状の工数実績など、判断材料を揃えます。数字で示せる効果があれば必ず記載します。

 

⑤ 事前に根回しをしておく
特に金額が大きい案件や、複数部署にまたがる案件では、正式に回す前にキーパーソンへ説明しておくことで、回覧中の差し戻しを防げます。

稟議書の記載例(購買稟議書)

【件名】

業務システム導入に伴う稟議申請の件


【目的】

申請・承認業務の処理日数短縮および進捗の可視化

 

【背景】

現在、購買申請は紙の様式で運用しており、決裁までに平均5営業日を要している。承認者の不在時には10営業日を超えるケースも発生しており、発注の遅延が生じている。また、書類が現在どの承認者の手元にあるかを申請者が把握できず、催促に工数がかかっている。

 

【実施内容】

ワークフロー機能を備えた業務システムを導入し、購買申請の電子化を行う。あわせて、確認・回覧目的の押印欄を見直し、承認者を現行の4名から2名に削減する。


【金額】

初期費用○○円、月額○○円(年間総額○○円/予算区分:情報システム費)

 

【実施時期】

2026年○月〜(試行は○月より1部署で開始)

 

【期待される効果】

決裁までの平均日数を5営業日から2営業日へ短縮。催促・進捗確認にかかる月間約○時間の工数を削減。


【想定されるリスク】

現場の操作習熟に時間を要する可能性がある。対策として、まず1部署で試行し、運用手順を確立したうえで全社展開する。


【添付資料】

現行フローの実測データ、他社比較表、見積書

 


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05

【独自調査】221人に聞いた、稟議フローの各社の実態

ここからは、当社が実施した独自調査の結果をもとに、各社の稟議フローが実際にどうなっているのかを見ていきます。

調査概要

項目 内容
調査対象 業務・管理系部門のリーダーもしくは管理職の方:221人(全国)
調査期間 2026年8月21日〜8月22日
調査方法 インターネット調査
調査主体 株式会社NTTデータビジネスブレインズ(自社調査)

※すべての回答データではなく、回答が有効なデータを集計しています。
※設問によっては「紙・押印が残っている方」に限定して質問しており、その場合の回答者数はn=179です。

8割超の部署に、いまも紙・押印が残っている

■あなたの部署が関わる申請・承認業務のうち、紙の書類への押印(またはサイン)を必要とするものはどのくらいありますか。

 

 

「紙・押印は残っていない(すべて電子化済み)」と回答したのはわずか13.9%でした。裏を返せば、82.9%の部署にはいまも紙・押印が残っていることになります。

 

内訳は「一部だけ紙・押印が残っている」25.9%、「半分程度が紙・押印である」24.5%、「ほとんど紙・押印で行っている」23.6%、「すべて紙・押印で行っている」8.8%。半分以上が紙・押印である部署が56.9%と過半数を占めており、「一部だけ例外的に残っている」という限定的な状態にとどまっていません。

押印欄は3個以上が63.1%――書類が止まりうる場所の数

■紙・押印が残っている方にお聞きします。現在お使いの申請・承認書類のうち、最も押印欄(承認欄)が多い書類には、押印欄がいくつありますか。

 

 

紙・押印が残っている方に、最も押印欄が多い書類の押印欄の数を尋ねました。最多は「3個」34.6%で、「2個」22.3%、「4〜5個」15.1%、「6〜9個」8.4%、「1個」6.1%、「10個以上」5.0%と続きます。

 

3個以上が63.1%、4個以上でも28.5%にのぼりました。押印欄が1つ増えるということは、単に押す回数が1回増えるということではありません。書類が止まりうる場所が1か所増えるということです。

承認者は3人以上が64.4%。しかも「最も件数の多い申請」で

■あなたの部署で最も件数の多い申請について、1件が決裁されるまでに実際に承認・押印を行う人はおよそ何人ぐらいですか。

 

 

「3人」26.9%が最多で、「2人」16.7%、「4人」15.7%、「5人」11.1%、「6〜9人」6.0%、「1人」5.6%、「10人以上」4.6%という結果でした。3人以上が64.4%、4人以上も37.5%を占めます。

 

ここで重要なのは、この設問が「あなたの部署で最も件数の多い申請について」尋ねている点です。例外的に重い決裁ではなく、日常的に発生する定型申請ですら、3人以上の承認を要するのが多数派だということになります。

決裁まで2日以上が61.1%、当日完結はわずか6.0%

■あなたの部署で最も件数の多い申請について、申請してから最終決裁が下りるまで、実際には平均してどのくらいの日数がかかっていますか。

 

 

「2〜3日」32.4%が最多で、「4〜7日」21.3%、「1日」17.6%、「8〜14日」6.5%、「当日中」6.0%、「15日以上」0.9%という分布になりました。

 

当日中に終わるのはわずか6.0%。2日以上かかるものが61.1%を占め、1週間近く、あるいはそれ以上を要するものも28.7%あります。前問の「承認者3人以上が64.4%」と重ね合わせると、承認者1人あたりおよそ1日弱の滞留が発生している計算になります。

 

この日数は、最も件数の多い申請についての回答です。年に数回の重要案件ではなく、毎日のように発生する業務が、この速度で流れているということになります。

押印欄の76.0%は「決裁」ではなく「確認・回覧」だった

■紙・押印が残っている方にお聞きします。申請書類の押印欄・承認欄のうち、「責任をともなう承認(決裁)」ではなく「内容を見たという確認・回覧」の意味で押されているものは、どのくらいの割合を占めますか。

 

 

本調査でもっとも興味深い結果となったのが、この設問です。

 

「すべてが確認・回覧である」9.5%、「ほとんどが確認・回覧である」28.5%、「7割程度が確認・回覧である」19.0%、「半分程度が確認・回覧である」19.0%。これらを合わせると、76.0%が「押印欄の半分以上は、決裁ではなく確認・回覧のために押されている」と回答しました。一方、「ほとんど/すべてが責任をともなう承認(決裁)である」と答えたのは合計12.3%にとどまります。

つまり、いま現場で押されているハンコの大半は、意思決定のためではなく「読みました」という記録のために押されています。

 

本記事の前半で整理したとおり、回覧は本来、責任をともなわない情報共有の行為です。情報を共有することが目的であれば、書類が物理的にその人の手元へ移動し、押印されるまで次に進めないという設計である必要はありません。この76.0%こそが、稟議が遅くなる最大の温床だと言えます。

 


本調査データは、出典を明記いただければ引用・転載いただけます。
出典表記例:株式会社NTTデータビジネスブレインズ「業務・管理系部門221名への稟議・承認業務に関する調査」(2026年8月実施)


 

「いま誰のところで止まっているか」すぐ分かるのは16.2%

■申請中の書類が「いま誰のところで止まっているか」を、あなたはどの程度把握できますか。

 

 

「いつでもすぐに分かる」と答えたのはわずか16.2%。最多は「調べれば分かる」51.9%で、「担当者や承認者に聞かないと分からない」19.0%、「わからない(止まっていること自体、催促されて気づく)」9.3%が続きました。

 

「調べれば分かる」という回答は一見前向きですが、裏返せば「調べなければ分からない」ということです。合わせて8割超の管理職が、自部署の申請がいまどこにあるのかを即座には把握できていません。

 

管理職自身が状況を掴めていないということは、遅れの検知が常に事典型的になるということです。「そういえばあの申請どうなった」と気づいたときには、すでに数日が経過しています。

標準処理日数を2割以上超過が58.8%、そもそも期限がないが12.5%

■社内で定められた標準処理日数(目安の期限)を超過する申請は、どのくらいの割合で発生していますか。

 

 

「2割程度」23.1%、「3〜4割程度」20.4%、「半分程度」11.6%、「半分以上」3.7%を合わせると、58.8%が「2割以上の申請で期限を超過している」と回答しました。「ほとんどない(1割未満)」は18.1%にとどまります。

 

あわせて見逃せないのが、「そもそも標準処理日数が定められていない」が12.5%あった点です。期限が定義されていなければ、遅延は遅延として認識されません。遅れが可視化されていない部署では、改善の起点そのものが存在しないことになります。

稟議が止まる原因ランキング

■承認・押印が滞る原因として、思い当たるものをすべてお答えください。

このランキングで最も重い意味を持つのは、1位の項目ではありません。「特に滞ることはない」がわずか7.4%にとどまったという事実です。9割超の部署で、承認・押印はどこかで必ず止まっています。

 

 

1位「承認者が多忙で後回しにされる」41.2%と、2位「承認者が不在である」35.2%。この2つを合わせると76.4%に達します。

 

ここが本調査の重要なポイントです。この2つは、いずれも紙が原因ではありません。承認者が忙しいこと、承認者が席にいないこと。これらは書類の媒体を紙から電子に変えても、そのままの形で残ります。

 

3位以下に並ぶ「書類がいまどこにあるのか分からない」24.1%、「承認者が別拠点におり、紙の移動に時間がかかる」22.2%、「押印のためだけに出社・移動が必要になる」15.7%は、たしかに電子化で解消される性質の課題です。しかし、上位2つはそうではありません。

紙・押印が残っている理由の1位は「社内規程や様式」

■紙・押印が残っている方にお聞きします。紙・押印での運用が残っている理由として、当てはまるものをすべてお答えください。

 

 

1位は「取引先など社外の相手が紙・押印を求めるため」20.7%ではなく、「社内規程や様式が紙を前提にしているため」38.0%でした。紙が残る最大の理由は社外都合ではなく、自社の内側にあります。

 

「取引先が紙を求めるから仕方がない」という説明は、実態としては4番目の理由にすぎません。様式に押印欄が印刷されている限り、その欄は埋められることを求め続けます。

 

あわせて注目したいのが6位と8位です。「既存の承認システムでは自社の承認フローを再現できないため」17.3%は、ワークフローシステムを導入してもなお紙が残っている層の存在を示しています。「対象人数が多く、利用人数分の費用が見合わないため」11.2%は、費用を理由に導入対象から外された層です。

この2つは、「ツールを入れれば解決する」という前提が必ずしも成立していないことを示す、重要なシグナルです。

06

【PoC事例】現場で実際に起きていた稟議フロー

当社では、ノーコード・クラウドデータベース「Slopebase」の実証検証(PoC)を通じて、複数の企業から申請・承認業務の実態を伺ってきました。そこで語られた内容は、前章までの調査結果と驚くほど一致していました。
※各社の許諾の範囲で、企業名は非開示とし、業種・規模のみ記載しています。

事例1:14役職の押印欄を1枚の紙で2周、完了まで31日(製造業/従業員約70名)

この企業では、トラブル発生時の報告書を紙で運用していました。1枚の報告書に並ぶ役職欄は、社長・常務・品証部長・社長室長・製造部長・業務次長・製造次長・総務課長・営業課長・物流課長・品管課長など、14にのぼります。

 

さらに特徴的だったのは、同じ14役職について「日付記入欄」と「押印欄」が別々に設けられていた点です。つまり1枚の紙が、社内を2周する構造になっていました。

 

実際の運用サンプルを確認したところ、トラブル発生が5月29日、記載が6月1日と6月5日、管理職全員の確認完了が6月29日。発生から完了まで31日を要していました。

 

現場からは「1枚の紙で2回回覧する手間をなくしたい」という声が挙がる一方で、「上長自身での回覧で押印の代わりとすることは可能か」という問いも示されました。押印そのものが目的化していないことがうかがえます。

 

→ 調査結果のQ5(押印欄3個以上が63.1%)、Q7(押印の76.0%は確認・回覧)、Q8(決裁まで2日以上が61.1%)を、極端な形で体現している事例です。

事例2:4段階承認+基幹システムへの二重入力(商社/従業員約400名・全国20拠点)

この企業では、取引先との協力費確認書について「上長 → 支店長 → 仕入責任者 → 本社仕入業務部」という4段階の社内承認を経る運用が行われていました。

 

担当者は現状を「基幹システムを中心とした業務のため、紙帳票、紙伝票の回覧、紙伝票の内容を基幹システムへパンチ入力するのが当たり前だった」と表現しています。承認のための回覧と、システムへの再入力が二重に発生している状態です。

 

一方で、押印の扱いについては「印鑑などではなく、システム上の“承認”がわかればOK」との回答でした。


→ Q6(承認者3人以上が64.4%)に一致します。同時に、押印は必須要件ではなく「証跡が残れば足りる」ものとして現場に認識されていることが分かります。

事例3:「紙運用・ハンコだと、どこで止まっているかわからない」(製造業/従業員15名)

従業員15名という小規模な企業でも、同じ課題が語られました。導入検討のきっかけは「紙運用/ハンコだと、どこで止まっているかわからない」ことであり、「ワークフローの回覧がどこで止まっているか不明なことがある」という声が挙がっています。

 

あわせて「社内規定は社長の席の後ろに紙で置いてあるので確認しにくい」という状態も課題として示されました。申請のルールそのものが紙で保管され、参照しづらい状況です。


→ Q9(すぐに分かるのは16.2%)、Q10(書類がいまどこにあるのか分からない24.1%)を裏づけます。進捗が見えないという課題は、組織の規模に関係なく発生しています。

事例4:既存ワークフローでは自社の承認ルートを再現できなかった(製造業/グループ正社員520名・準社員1,850名)

この企業では、私有車を業務で利用した際の燃料申請をExcelへの手入力で運用していました。申請書には「SCM事業部」「総括」の押印欄が設けられ、承認ルートは「上長承認 → 担当部署決裁」の2段階です。ただし、所属や職位によってルートが分岐する必要がありました。

 

注目すべきは、この企業がすでに別のワークフロー機能を保有していた点です。有給申請については既存システムで運用していましたが、燃料申請に適用しようとしたところ「申請フローが分岐できない」「求めていた画面部品を申請画面に出せない」という理由で、要件を満たせませんでした。


→ Q12の6位「既存の承認システムでは自社の承認フローを再現できないため」17.3%の実像です。ワークフローシステムを持っていても、自社のルートを再現できなければ紙やExcelが残ります。

事例5:押印はすでに「ひな型に入れておく運用」へ(化学メーカー/従業員約400名)

この企業では、社内の承認は既存のグループウェアで完結させたうえで、帳票上の押印については「社内承認システムが既にあるため、押印類はひな型に入れておく運用でOK」との判断がなされていました。

押印を「意思決定の手段」から切り離し、帳票上の形式として残すという整理です。


→ 押印と決裁を分離するという発想が、すでに現実解として選ばれはじめていることを示しています。

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なぜワークフローシステムを導入しても、稟議は速くならないのか

ここまでの調査結果とPoC事例を踏まえると、ひとつの結論が浮かび上がります。稟議の課題は「紙を電子に置き換える」だけでは解決しない、ということです。理由は4つあります。

理由1:滞留の主因は「紙」ではなく「承認者の多忙・不在」(合計76.4%)

滞る原因の1位は「承認者が多忙で後回しにされる」41.2%、2位は「承認者が不在である」35.2%。この2つは、書類の媒体を変えても消えません。

 

紙の書類が机の上に積まれている状態が、電子の未処理一覧に積まれている状態に変わるだけです。通知が届いても、多忙な承認者はやはり後回しにします。出張中の承認者は、やはり承認しません。これを「電子の未処理箱」問題と呼んでもよいでしょう。

 

電子化によって確実に改善するのは、3位以下の「書類の所在が分からない」「拠点間の移動」「押印のための出社」といった、物理的な移動に起因する課題です。これらは重要ですが、上位2つには届きません。

理由2:紙が残る最大の理由は社内規程・様式(38.0%)=ツールの外側にある

紙が残る理由の1位は「社内規程や様式が紙を前提にしているため」38.0%でした。これはシステムの機能で解決できる問題ではありません。

 

実際に起きるのは、こういうことです。紙の様式に押印欄が10個あったので、電子化にあたって10段階の承認ルートをそのまま設定する。結果として、承認の経由地点は1つも減らないまま、媒体だけが電子に変わります。処理時間はほとんど短縮されません。

 

システムを導入する前に、様式そのもの、そして様式を定めている社内規程を見直す必要があります。

理由3:既存ワークフローで自社のフローを再現できない層が17.3%いる

「既存の承認システムでは自社の承認フローを再現できないため」紙が残っていると答えた人が17.3%いました。PoC事例4で見たとおり、分岐ルート、職位別の経路、申請画面に必要な入力項目――これらがパッケージの型に収まらないと、現場はExcelや紙に戻ります。

 

ツールを導入するかどうかではなく、自社の承認設計を再現できるツールかどうかが問われています。

理由4:人数分の費用が見合わず、そもそも導入対象から外される層が11.2%

「対象人数が多く、利用人数分の費用が見合わないため」紙が残っていると答えた人も11.2%いました。

 

申請・承認業務は、その性質上ほぼ全社員が関わります。ところが利用者数(ID数)に応じて課金されるシステムでは、全社員分のIDを用意すると費用が跳ね上がります。結果として「一部の部署だけ導入する」「承認者だけがIDを持ち、申請は代理で入力する」といった運用になり、IDを持たない人の分は紙のまま残ります。

 

費用構造がどのように業務の形を歪めているかについては、別記事「従量課金とは?ユーザー課金(ID課金)との違いと選び方」で、同じ221名の調査データをもとに詳しく解説しています。

失敗パターン:電子化したのに、承認者の数が変わっていない

最も多い失敗が、これです。紙の様式をそのまま電子フォームに置き換え、押印欄の数だけ承認ステップを作る。承認者は減らず、確認・回覧目的の押印も温存されたまま、システムの利用料だけが新たに発生します。

 

「電子化したのに、思ったほど速くならなかった」という声の多くは、ここに原因があります。

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稟議フローを実際に短くする5つの打ち手

では、何をすればよいのか。調査結果から導かれる打ち手を5つ挙げます。

打ち手1:確認・回覧目的の押印欄を棚卸しして削る

対象は押印欄の76.0%です。まず、既存の様式にある押印欄を1つずつ次の基準で仕分けます。

 

 

  1. その人は、案件の可否を判断する立場にあるか
  2. その人が「否」と言った場合、案件は止まるか
  3. 止まらないのであれば、それは決裁ではなく情報共有である


情報共有が目的であれば、押印欄そのものを廃止し、決裁後の通知や共有フォルダでの閲覧に切り替えます。どうしても関与が必要な場合は、直列の承認から「並列の回覧」に変えるだけでも、待ち時間は大きく減ります。
この打ち手の利点は、システム導入を伴わずに着手できることです。様式の改訂だけで実行できます。

打ち手2:承認者を3人以下にする――決裁権限規程と金額基準の見直し

現状は3人以上が64.4%です。承認者の数を減らすには、決裁権限規程における金額基準を見直すのが最も効果的です。

 

金額帯 見直し前(例) 見直し後(例)
10万円未満 課長 → 部長 → 本部長 課長のみ
10〜100万円 課長 → 部長 → 本部長 → 管理部 課長 → 部長
100万円以上 課長 → 部長 → 本部長 → 管理部 → 役員 部長 → 本部長 → 役員

 

少額案件の承認者を減らすことへの抵抗は、多くの場合「万一の不正が心配」という点にあります。これに対しては、事後のモニタリング(一定金額以上の全件レビュー、抜き打ちの監査)で代替できないかを検討します。全件を事前承認で止めるコストと、事後チェックで発見するコストを比較する視点が有効です。

打ち手3:標準処理日数を定義し、超過を可視化する

12.5%の部署では、そもそも標準処理日数が定められていません。期限が定義されていなければ、遅延は遅延として認識されず、改善の起点が生まれません。


まずは申請の種類ごとに「起案から決裁まで何営業日を目標とするか」を定めます。次に、実際にどれだけかかっているかを測ります。目標と実績の差が見えて初めて、どの工程を短縮すべきかが判断できます。

打ち手4:不在時の代理承認・自動エスカレーションを設計する

滞る原因の1位・2位(多忙41.2%/不在35.2%)に対する直接的な処方箋です。

 

 

  1. あらかじめ代理承認者を設定し、一定日数を超えたら自動的に代理者へ回す
  2. 承認待ちが規定日数を超えた案件を、上位者へ自動でエスカレーションする
  3. 承認者ごとの平均処理日数を可視化し、ボトルネックになっている人を特定する


3つめは特に重要です。「承認が遅い」という漠然とした課題を、「誰のところで何日止まっているか」という具体的な事実に変換できます。

打ち手5:自社の分岐ルートを再現できる仕組みを選ぶ

17.3%が「既存の承認システムでは自社の承認フローを再現できない」と答えています。システムを選ぶ際には、次の点を必ず確認してください。

 

 

  1. 申請者の所属・職位によってルートを分岐できるか
  2. 承認者の不在時に代理へ自動で回す設定ができるか
  3. 金額によって承認者が変わる設計ができるか
  4. 申請画面に自社の業務に必要な入力項目を配置できるか
  5. 外部の取引先や協力会社を、費用を跳ね上げずに参加させられるか
  6. 既存の基幹システムとデータ連携できるか

 

パッケージの型に業務を合わせるのではなく、業務にツールを合わせられるかどうかが分かれ目です。

打ち手の優先順位

すぐに着手でき、かつ効果が大きいのは打ち手1(押印欄の棚卸し)と打ち手3(標準処理日数の定義)です。いずれもシステム導入を必要とせず、様式とルールの見直しだけで実行できます。

 

打ち手2(権限規程の見直し)は効果が大きい一方、関係者の合意形成に時間がかかります。打ち手4・5はシステムの選定・導入を伴うため、打ち手1〜3で承認設計を整理してから着手するのが順序として適切です。

 

順序を逆にすると、前章で述べた失敗パターン――「押印欄10個をそのまま電子承認10段階に移植する」――に陥ります。

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稟議フローの見直しを、ノーコードで実現する

打ち手1〜3で承認設計を整理したうえで、それを実際の仕組みに落とし込む段階になったとき、選定の基準になるのは「自社の設計をそのまま再現できるか」です。

 

ノーコード・クラウドデータベース「Slopebase(スロープベース)」は、プログラミング知識がなくても業務データベースと承認フローを構築できるサービスです。所属や職位による分岐ルート、金額帯による承認者の切り替え、自社の業務に必要な入力項目の配置を、パッケージの制約に合わせることなく組み立てられます。

 

申請がいま誰のところにあるかは画面上で常時可視化されるため、「調べないと分からない」状態を解消できます。取引先や協力会社と必要な範囲だけ情報を共有できる「ゲストユーザー機能」、業務の背景や経緯を残せる「ストーリー機能」によるAIプロンプト検索も備えています。

 

料金は月額30,000円〜の従量課金制のため、利用人数を理由に対象者を絞る必要がありません。まずは1つの申請書から試し、運用を確立してから広げていくことも可能です。

 

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稟議に関するよくある質問

Q. 稟議と決裁は、どちらが上ですか?

A. 上下関係ではなく、包含関係です。稟議は書面を回して承認を得る手続き全体を指し、決裁はその最後に行われる最終判断を指します。稟議のゴールが決裁である、という関係になります。

Q. 稟議の読み方は「りんぎ」ですか、「ひんぎ」ですか?

A. 「りんぎ」が正しい読み方です。「稟」の音読みは本来「ひん」ですが、ビジネス上は「りんぎ」が慣用として定着しています。

Q. 稟議書は誰が書くのですか?

A. 原則として、その案件を必要としている担当者本人(起案者)が作成します。上長が代わりに作成するケースもありますが、背景や必要性を最もよく理解しているのは担当者であるため、担当者が起案するのが一般的です。

Q. 稟議はいくら以上の支出から必要ですか?

A. 法令で定められた基準はなく、各社の決裁権限規程によります。数万円から稟議が必要な会社もあれば、10万円以上を基準とする会社もあります。自社の決裁権限規程を確認してください。

Q. 稟議書の保存期間はどのくらいですか?

A. 社内規程によりますが、一般的には5年から10年程度です。契約関連や税務に関わるものは、法定保存期間に合わせてより長く保管するケースもあります。監査の証跡となるため、廃棄基準は文書管理規程で明確にしておくことが望まれます。

Q. 稟議に平均何日かかりますか?

A. 当社が業務・管理系部門の管理職221名に実施した調査では、最も件数の多い申請について「2〜3日」が32.4%で最多、次いで「4〜7日」21.3%、「1日」17.6%という結果でした。当日中に完了するのは6.0%にとどまり、2日以上かかるものが61.1%を占めています。

Q. 稟議が通らないときは、どうすればよいですか?

A. 差し戻される理由の多くは、判断材料の不足です。目的と背景が明確か、金額の根拠(相見積もりや比較)が示されているか、想定されるリスクとその対策が書かれているかを確認してください。加えて、正式に回す前にキーパーソンへ内容を説明しておく(根回し)ことで、回覧中の差し戻しを大きく減らせます。

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まとめ|「紙を電子にする」前に、「承認設計を見直す」

本記事では、稟議の意味と決裁との違いを整理したうえで、業務・管理系部門の管理職221名への調査から各社の実態を見てきました。

 

押印欄は3個以上が63.1%、承認者は3人以上が64.4%、決裁まで2日以上が61.1%。それでいて、押されているハンコの76.0%は責任をともなう決裁ではなく「確認・回覧」でした。いま書類がどこにあるのかを即座に把握できている管理職は16.2%にとどまり、「特に滞ることはない」と答えられた部署はわずか7.4%です。

そして紙が残る最大の理由は、取引先でも法令でもなく「社内規程や様式が紙を前提にしているため」38.0%という、自社内の事情でした。

 

滞る原因の1位・2位が「承認者が多忙」41.2%、「承認者が不在」35.2%である以上、紙を電子に置き換えるだけでは書類は止まり続けます。

 

まず着手すべきは、

 

①確認・回覧目的の押印欄を削ること

②標準処理日数を定義して遅延を可視化すること

③承認者の数そのものを見直すことです。

 

そのうえで、整理した承認設計を再現できる仕組みを選ぶ。この順序を守ることが、稟議フローを実際に短くする最短ルートになります。

 

調査データの利用について

本記事に掲載した調査データは、出典を明記いただければ引用・転載いただけます。
出典表記例:株式会社NTTデータビジネスブレインズ「業務・管理系部門221名への稟議・承認業務に関する調査」(2026年8月実施)

この記事を書いた人

Slopebase編集部
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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