ここからは、当社が実施した独自調査の結果をもとに、各社が実際にどのような費用構造のもとで業務システムを使っているのかを見ていきます。
調査概要
| 項目 |
内容 |
| 調査対象 |
業務・管理系部門のリーダーもしくは管理職の方:221人(全国) |
| 調査期間 |
2026年8月21日〜8月22日 |
| 調査方法 |
インターネット調査 |
| 調査主体 |
株式会社NTTデータビジネスブレインズ(自社調査) |
※すべての回答データではなく、回答が有効なデータを集計しています。
※業務システムを利用している方に限定した設問では、回答者数はn=154です。
費用形態は4つに分裂。しかも19.0%が「自社の形態がわからない」
■あなたの会社で使っている業務システム(ワークフロー・グループウェア・販売管理など)の費用について、当てはまるものをすべてお答えください。

費用形態は「利用量課金」31.0%、「定額」25.9%、「買い切り」23.1%、「ID課金」22.2%と、きれいに4つに分かれました。業界標準と呼べる単一の形は存在していません。
そのうえで見過ごせないのが、「わからない/答えられない」が19.0%にのぼったことです。業務・管理系部門の管理職の、およそ5人に1人が、自社で使っている業務システムの費用形態を把握していない可能性があります。
費用の構造が見えていなければ、「なぜこの金額なのか」「どうすれば下げられるのか」を検討することができません。最適化の議論以前の段階にとどまっている企業が、一定数存在しているのではないでしょうか。
判断基準は「初期費用」と「年間総額」。1人あたり単価はわずか8.4%
■業務システムの導入可否を判断するとき、費用面で最も重視する見方はどれですか。

ここに、売り手と買い手のあいだの大きなズレが表れています。多くのクラウドサービスは「1ユーザーあたり月額◯◯円」という単価で提示されます。ところが、費用面で1人あたり単価を最も重視すると答えた買い手はわずか8.4%でした。
買い手の9割以上は、「初期費用」(26.6%)と「年間総額」(24.0%)という、かたまりとしての金額で判断しています。
この非対称は、単なるコミュニケーションのすれ違いではありません。単価で提示されたものを総額で判断しようとすると、「実際にいくらになるのか」を自分で組み立て直す必要が生じます。その計算に、後述する「見積書に載らない費用」が抜け落ちる。ここに、想定外費用が生まれる構造的な原因があります。
60.4%が「費用を理由に、使うべき人に使わせていない業務がある」
■「本来は全社員(またはほぼ全員)が使うべきだが、費用を理由に業務システムの利用対象者を絞っている、または業務システムを導入していない」業務はありますか。

「本来は全社員(またはほぼ全員)が使うべきだが、費用を理由に利用対象者を絞っている、または導入していない」業務があるかを尋ねたところ、「複数ある」56.5%、「1つある」3.9%を合わせ、60.4%が現在進行形でそうした業務を抱えていると回答しました。「過去にあったが、いまは解消している」19.5%を含めると79.9%にのぼります。
注目すべきは、「1つある」3.9%に対して「複数ある」が56.5%と圧倒的に多い点です。費用を理由とした利用制限は、特定業務での例外的な措置ではありません。複数の業務にまたがって常態化しています。
88.3%が、ID課金を理由に運用を歪めていた
■利用者数(ID数)に応じた課金を理由に、次のような対応をとった経験があるものをすべてお答えください。

「特にない」と答えたのはわずか8.4%。裏を返せば、88.3%が、ID数に応じた課金を理由に、何らかの「本来とは違う使い方」を経験しています。
一つひとつを見ていくと、その深刻さがわかります。
最多の「1つのIDを複数人で共有した」39.6%は、多くのサービスで利用規約に抵触する行為です。誰が操作したのかというログが意味をなさなくなるため、内部統制上のリスクも生じます。
「承認者だけがIDを持ち、申請は代理で入力した」32.5%は、より根深い問題を含みます。申請者が誰なのかという記録そのものが失われるためです。承認の証跡を残すためにシステムを導入したはずが、その証跡が正確でなくなります。
「IDを持たない人の分は紙・メール・Excelで運用した」31.2%は、システムを導入したのに紙が残るという、最も典型的なパターンです。電子と紙の二重運用は、どちらか一方だけの状態よりも手間が増えます。
「部署単位・拠点単位で導入を見送った」24.7%は、費用を理由とした部分導入が、新たなデータのサイロを生んでいることを示しています。
本調査データは、出典を明記いただければ引用・転載いただけます。
出典表記例:株式会社NTTデータビジネスブレインズ「業務・管理系部門221名への業務システムの費用に関する調査」(2026年8月実施)
58.4%が、費用を理由に社外との連携を制限している
■取引先・協力会社・グループ会社など、社外の相手と業務システム上でやり取りする際の費用について、あなたの会社に最も近いものをお答えください。

取引先・協力会社・グループ会社など、社外の相手とのやり取りについて尋ねました。
「費用がかさむため、やり取りする社外の相手や業務を限定している」31.2%、「費用が見合わないため、社外とはシステム上でやり取りしていない(紙・メール・FAX等で対応している)」27.3%。合わせて58.4%が、費用を理由に社外との連携を制限していました。
一方、「社外の相手の分も費用を負担し、必要な相手とやり取りできている」は14.3%、「社外とのやり取りに追加費用がかからない仕組みのため、費用は課題になっていない」は16.2%にとどまります。
サプライチェーン全体でのDXが語られる一方で、その入口である「社外を巻き込む」段階が、ID単位の課金によって費用の壁に阻まれている――そうした構図が浮かび上がります。
87.0%が、導入後に「想定していなかった費用」を経験
■業務システムの導入後に「想定していなかった費用」が発生した経験があるものをすべてお答えください。

「特にない」は7.8%にとどまり、87.0%が導入後に想定していなかった費用を経験していました。想定外費用は例外ではなく、むしろ標準的に発生していると考えるべき数字です。
1位の「既存システムとの連携開発費」39.0%と、2位の「帳票や入力画面のカスタマイズ費用」37.0%は、性質が共通しています。いずれも「そのシステムを自社の業務で実際に使えるようにするための費用」です。カタログに記載された月額料金には含まれず、要件を詰めた段階ではじめて姿を現します。
3位の「利用人数の増加に伴う追加ライセンス費用」29.9%は、前述のID課金の問題とそのまま地続きです。人が増えれば費用が増える構造が、結果として「増やさない」という判断を招いています。