Excelは進捗管理に決して適していないツールではありません。少人数で業務を管理する場合には、使い慣れたExcelで十分対応できるケースも多いでしょう。問題は、業務の規模や関係者が増えても同じ管理方法を使い続けることです。Excelだからダメと考えるのではなく、現在の運用でどのような問題が起きているかを見て判断することが重要です。
Excelで続けてよい状態と、移行を検討すべき5つのサイン
更新者が数名程度に限られている、案件数がそれほど多くない、社外とのやり取りがない、報告先が一つである、最新情報がどこにあるか全員が把握できている。こうした条件がそろっているなら、Excelでの管理を続けても問題ない可能性が高いでしょう。Excelを手放すことだけが正解ではなく、脱Excelが失敗する理由と活Excelという考え方にあるように、使い慣れたExcelを活かしながら管理方法を整える道もあります。
一方、次のような状況が増えてきたら、管理方法そのものを見直すタイミングです。
| サイン |
確認ポイント |
次のアクション |
| 担当者ごとにシートやファイルが分かれる |
全体を横断して確認できるか |
全体を俯瞰できるマスターシートに統合する |
| 最新版がどれか分からない |
最新情報を1か所に集約できているか |
ファイルの保存場所とバージョン管理のルールを一本化する
(参照:最新版はどれ?を防ぐExcelファイルのバージョン管理) |
| 同じ情報を複数の表へ入力している |
二重入力をなくせないか |
入力元を一つに絞り、他はそこを参照する形式にする |
| 更新が遅れがちになる |
更新作業そのものを減らせないか |
入力項目や手順を見直し、入力の手間を減らす |
| 進捗の相談がメールやチャットに分散している |
進捗とやり取りを関連付けられるか |
進捗の記録とコミュニケーションを同じ場所に残せる仕組みを検討する |
ひとつ当てはまったからといって、すぐにExcelをやめる必要があるわけではありません。担当者別のシートがあるだけなら、全体を把握するマスターシートを作ることで解決できる場合もあります。しかし複数のサインが見られるなら、Excelをどう改善するかではなく、情報をどのように管理するのが適切なのかを考える段階に来ています。
ファイルの送り合いとメールに埋もれ始めたときの見直し方
特に注意したいのが、進捗管理表そのものは存在しているのに、業務推進に関する判断や指示の情報が別の場所へ散らばっている状態です。担当者がExcelを更新してメールで送り、別の担当者が確認して修正し、修正版を再び送る。その過程で、なぜこのタスクが遅れているのか、誰からどのような指示を受けたのかといった情報がメールやチャットに残っていきます。こうなると、Excel上は着手中と書かれていても、現在の状況を正確に把握するためにはメールやチャットまで確認しなければなりません。
例えば、日々の予実管理における見込みのやり取りでファイルを送り合うことが常態化し、作業指示に関するやり取りが記録として残らず、担当者の頭の中にしかナレッジが蓄積されない、といったケースは業種を問わず見られます。
ここで起きている問題は、ファイルサイズやセル数ではなく、進捗の記録とそれに関するコミュニケーションが別々の場所に存在していることです。別のツールへの移行を検討するときは、単にExcelより高機能かどうかだけでなく、進捗とやり取りを同じ場所で関連付けて残せるかという観点も必要になります。
上司や関係部署に見直しを説明するときの論点
Excelではもう限界ですと伝えるだけでは、社内説明としては説得力に欠けます。ツールの好みではなく、業務上の問題として説明することが重要です。
- 更新がどれくらいの期間止まっているか
- 管理表と実態の乖離が何回起きているか
- 報告資料の作成にどれくらいの時間がかかっている
こうした事実を積み上げれば、Excelをやめたいからシステム化したいという主観の話ではなくなります。現在の管理方法では最新情報の把握や報告のために追加の確認や集計の作業が発生しており、それを解消するために管理方法を見直したい、といった説明ができます。Excelが嫌だから変えるのではなく、業務上の負担やリスクを減らすために変える。この順番で説明すれば、ツールの使い勝手の問題から業務改善の問題へ議論を移せます。