車両管理表・車両管理台帳とは?記載項目とエクセルでの作り方|私有車の燃料費申請まで(テンプレート付)

本記事は2026/08/10に更新しております。
車両管理表・車両管理台帳とは?記載項目とエクセルでの作り方|私有車の燃料費申請まで(テンプレート付)

事業で使う車を管理する帳票を作りたい。ただ、何を記載すればよいのか、法令上どこまで求められるのかが分からない——総務や管理部門でよく聞く状態です。さらに、社員の私有車(マイカー)を業務に使わせている場合は、燃料費の精算まで発生します。

 

本記事は、車両管理表・車両管理台帳の基本(定義、記載項目、法令要件、Excelでの作り方)を整理したうえで、後半で私有車の業務利用と燃料費申請の設計を扱います。テンプレートはフォーム入力なしでダウンロードできます。

01

まずは結論!車両管理表は「車両単位」、燃料費申請は「運転者単位」。1つの表にまとめない

結論を先に述べます。車両管理表と燃料費の申請は、管理する単位が違います。車両管理表・車両管理台帳は「車両1台ごと」に車検・保険・点検の期限を管理する帳票で、更新頻度は年数回。一方、燃料費の申請は「運転者ごと・運行ごと」に発生し、更新頻度は月次です。この2つを1つの表にまとめようとすると、どちらかの単位が不自然になり、必ず設計が破綻します。

もう1点。私有車の燃料費申請で時間がかかっているのは、承認の待ち時間ではなく、申請1件ごとの入力そのものです。実案件で現場から挙がった要望は「氏名・所属の自動入力」「行き先のプルダウン化」「走行距離の翌月引継ぎ」の3つで、いずれも入力に関するものでした。承認を速くしてほしいという要望は含まれていません。ボトルネックを特定してから打ち手を選んでください。

 

この記事を読み終えると、以下のことが実現できるはずです。

 

  1. 車両管理表・車両管理台帳の必須項目と、法令上求められる記録を確認できる
  2. Excelでの基本構成(3シート)と、単価マスタの持ち方が分かる
  3. 社有車の台帳と、私有車の申請を分けて設計できる
  4. 申請1件あたりの入力項目を減らす設計が分かる

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02

車両管理台帳とは|車両管理表との違いと、作成する目的

車両管理台帳とは、事業で使用する自動車を1台ずつ管理する帳票です。車検・保険・点検の期限管理が主な目的になります。一方、車両管理表は、より広く運行の記録や費用の記録まで含めて使われることが多い言葉です。

厳密な定義があるわけではありません。実務では、次のように整理しておくと混乱が減ります。

 

呼称 管理単位 主に記録する内容 更新頻度
車両管理台帳 車両1台 登録番号、車種、使用者、車検・保険の期限 年数回
車両管理表(運行記録) 1運行 運転日、運転者、行き先、走行距離 日次〜月次

 

社内で「どちらが何を指すか」を先に決めておいてください。呼称が揺れたまま複数の様式が並行すると、同じ情報を2箇所に書く二重管理が発生します。

 

作成する目的

  1. 期限の管理:
    車検、自賠責・任意保険、法定点検の期限を切らさない
  2. 法令対応:
    安全運転管理者制度に該当する場合、運転者ごとの酒気帯び確認記録が必要になります
  3. 費用の把握:
    燃料費、修理費、リース料を車両別に集計し、保有台数の適正化を判断する
  4. 事故時の対応:
    誰がいつどの車両を運転していたかを、後から確認できる状態にする

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03

車両管理表に記載が必要な項目|法令上求められる管理

法令面で押さえるべきは、安全運転管理者制度です。

これは、一定台数以上の自動車を使用する事業所に対し、安全運転を確保するための責任者を選任させる制度です。道路交通法施行規則により選任義務が定められており、目安は自家用自動車5台以上(乗車定員11人以上の自動車は1台以上)となっています。

 

安全運転管理者の業務には、警察庁の通達にあるとおり、運転しようとする運転者および運転を終了した運転者に対する酒気帯びの有無の確認(目視等およびアルコール検知器による確認)と、その内容の記録および保存、そしてアルコール検知器を常時有効に保持することが含まれます。記録の保存期間は1年間です。

 

私有車の業務利用で見落とされやすい点

ここで注意が必要です。業務に使用している私有車が、台数の算定に含まれる場合があります。

 

「社有車が4台だから対象外」と判断していても、私有車を業務で恒常的に使わせていれば、その分を含めて5台以上になり、選任義務が生じる可能性があります。判断は使用実態によって変わるため、所轄の警察署へ確認してください。

 

該当する場合、燃料費の申請とは別に、運転者ごとの酒気帯び確認記録が必要になります。日々の記録が発生するため、運用としては小さくありません。そこで、申請フォームを設計する際に、この記録と項目を共通化できるかを先に検討しておくと、二重管理を避けられます。運転者・運転日・確認者といった項目は、燃料費申請と酒気帯び確認記録で重複するためです。

 

車両管理表の基本項目

実務上そろえておきたい項目は、次の3グループです。

 

グループ 項目
車両 登録番号/車種/年式/使用者/使用の本拠/取得区分(社有・リース・私有)/車検期限/自賠責保険の期限/任意保険の期限と補償内容/法定点検の実施日
運行 運転日/運転者/所属/行き先/目的/出発時刻・帰着時刻/走行距離/同乗者
確認 酒気帯び確認の実施日時・方法(目視等/検知器)・確認者・結果

 

3つ目の「確認」は、前述の安全運転管理者制度に該当する場合に必要になる項目です。該当しない場合は不要ですが、将来的に台数が増える可能性を考えると、最初から欄だけ用意しておくのも一案です。

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04

車両管理表をエクセルで作る|基本構成とテンプレート

Excelで作る場合、シートは3つに分けます。1枚に詰め込むと、項目追加のたびに全体を触ることになります。
シート 内容
車両マスタ 車両ごとの固定情報。私有車の場合は使用者と登録番号
運行記録 1運行1行。日付・運転者・行き先・距離
単価マスタ 距離単価、改定日、適用期間

 

3つの確認

 

作成の手順(4ステップ)

  1. 車両マスタを作る:登録番号を主キーにし、車検・保険の期限列を設けます。期限列には条件付き書式で「30日前に色が変わる」設定を入れておくと、失念を防げます
  2. 運行記録シートの列を確定する:運転日・運転者・行き先・目的・走行距離を基本とし、酒気帯び確認欄が必要なら右側に追加します
  3. 単価マスタを別シートで作る:これが要点です(次項で詳述)
  4. 入力規則を設定する:運転者・行き先・車両の列はマスタ参照のプルダウンにします

単価マスタを別シートにする理由

1kmあたりの単価を運行記録の各行に直接書き込んでしまうと、単価を改定したときに困ります。単価を書き換えれば過去の行まで再計算されてしまい、すでに精算済みの金額と合わなくなるためです。

 

これを避けるには、単価マスタに「この単価はいつからいつまで有効か」という適用期間を持たせ、運行記録側は運転日に対応する単価を参照する形にします。こうしておけば、改定しても過去分は当時の単価のまま残ります。

 

ただし、この適用期間つきの単価マスタは、本記事で提案する設計であり、前述の企業の現行様式にあった仕組みではありません。現行の紙様式にあるのは、車両分類の区分と算出用の数値だけです。紙の様式には「いま適用されている単価」しか書けないため、いつ改定されたのか、改定前の申請はどの単価で精算されたのかは、様式のどこにも残らない構造になっていました。電子化の設計では、まずこの「時点の情報」を持たせられるかを確認してください。

様式の棚卸しを先に行う

設計を始める前に、現行の様式に、いま使われていない項目が残っていないかを点検してください。

 

後述する実案件の企業の申請書には、現在使われていない項目が残っていました。「月間走行メーター」の欄が設けられているものの、実際には記入されていない状態です。

 

紙の様式は、使われなくなった項目がそのまま残りやすい構造にあります。項目を消すには様式を刷り直す必要があり、その手間を考えると「空欄のままでいいか」となるためです。

 

移行前に、直近3ヶ月分の申請書を10枚ほど見返し、空欄が続いている項目を洗い出してください。電子化してから「この項目は要らなかった」と削るより、先に削ってから設計するほうがずっと簡単です。

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社有車の車両管理台帳と、私有車の業務利用申請を切り分ける

私有車の申請と社有車の管理を1つの台帳にまとめようとすると、設計が破綻します。目的が違うためです。

 

  社有車の車両管理台帳 私有車の業務利用申請
主目的 車検・保険・点検の期限管理 燃料費の申請と精算
管理単位 車両 運転者・運行
更新頻度 年数回 月次
管理部門 総務・管理部門 経理・給与担当

 

管理単位が「車両」と「運転者・運行」で異なります。この2つを同じテーブルで持とうとすると、どちらかの単位が不自然になります。

 

分けたうえで、共通化できるのは2つだけです。運転者マスタ(誰が運転するか)と、酒気帯び確認の記録です。この2つは車両の所有形態にかかわらず必要になるため、共通のテーブルで持つと二重管理を防げます。

 


本記事の設計を反映した車両管理表・燃料費申請書テンプレート(Excel・4シート)です。

 

車両管理表・燃料費申請書テンプレート


車両管理表、申請書様式、単価マスタ(適用期間つき)、承認ルート設計シートの4点セット。項目を「自動で入る/選ぶ/入力する」に分類した状態から検討を始められます。
▶ 車両管理表・燃料費申請書テンプレートをダウンロード(Excel/フォーム入力不要・そのまま保存できます)

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私有車の業務利用(マイカー業務使用)で追加になる管理項目

ここからは、私有車を業務に使わせている場合の設計に入ります。

社有車と私有車では、管理すべき項目が異なります。同じ「車の管理」でも、会社が所有していないことで発生する論点があるためです。

 

項目 社有車 私有車
車検・点検の期限管理 会社が管理 本人が管理(会社は確認のみ)
任意保険の付保状況 会社が契約 本人の契約内容を確認・記録する必要がある
燃料費 会社のカードで給油 申請と精算が発生する
走行距離 車両単位で管理 運転者単位で管理する
使用の許可 不要 業務使用の許可申請が必要な場合がある

 

このうち、私有車で最も重要なのは、任意保険の付保状況の確認です。

 

業務中に事故が起きた場合、会社が使用者責任を問われる可能性があります。ところが、車両は従業員個人の所有であり、保険契約も個人が結んでいるため、会社は補償内容を把握していないことがあります。補償額が不足していたり、そもそも業務使用が補償の対象外になっていたりすると、問題が生じます。

 

したがって、対人・対物の補償額と、業務使用が補償対象に含まれているかを本人に申告させ、記録してください。そして、保険は1年ごとに更新されるため、年1回の更新確認を運用に組み込む必要があります。1回確認して終わりにすると、翌年には実態が分からなくなります。

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燃料費申請のどこに時間がかかっているか|運用を4工程で点検する

ここから、実際の記録に基づく話に入ります。

食品製造業1社の記録を出発点にします。当社が2026年から進めている導入前検証(9社/PoC=本格導入前に実データでシステムに載るかを試す取り組み)の1件で、対象9社の業種は製造・卸売・小売・建設・商社・ソフトウェア開発・教育、従業員規模は15名から2,300名です。

 

この企業の現場から挙がった要望は、次の3つだけでした。

 

  1. 申請画面にユーザー情報(氏名・所属など)を自動で入れてほしい
  2. 行き先をプルダウン(選択肢から選ぶ形式)で選ばせてほしい
  3. 走行距離を翌月に自動で引き継いでほしい

 

3つとも、入力の手間に関する要望です。承認を速くしてほしい、という要望は含まれていません。実際、差し戻しも基本的に発生していない運用でした。

 

まず、自社のボトルネック(最も時間がかかっている工程)を特定してください。燃料費申請の流れは、次の4工程に分かれます。

 

工程 主な作業 時間がかかる原因
① 入力 申請者が氏名・所属・日付・行き先・距離を記入 毎月同じ内容を書き直している
② 計算 距離×単価、または実費の集計 単価が変わると全件やり直し
③ 承認 上長承認、担当部署の決裁 不在時に滞留
④ 支給 給与システムまたは経費精算へ連携 転記が発生する

 

前述の企業では、③承認は問題になっていませんでした。時間がかかっていたのは①入力と④連携です。①については、氏名・所属・従業員番号といった毎月変わらない情報を毎回書いていること、④については、申請データを給与や経費精算のシステムへ手作業で転記していることが負担でした。

 

ボトルネックが③にない場合、ワークフローシステムを入れても効果は限定的です。まず①の入力を減らす設計を検討してください。

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ガソリン代の精算方法|距離単価か実費か、単価改定の決め方

燃料費の計算方式は、大きく2つです。

 

方式 計算 向いている場合 注意点
距離単価 走行距離 × 1kmあたり単価 対象者が多い。車種がばらばら 単価の根拠と改定ルールが必要
実費 給油額の実額(領収書ベース) 対象者が少ない。長距離が多い 私用分との按分が必要になる

 

「按分(あんぶん)」とは、業務で使った分と私用で使った分を、一定の基準で分けて計算することです。私有車は業務以外にも使われるため、給油額の全額を会社が負担するわけにはいきません。

 

対象者が数十人を超えるなら、距離単価をおすすめします。実費方式は、領収書の回収と按分の妥当性確認が発生し、事務負担が件数に正比例して増えるためです。

単価の決め方と改定ルール

距離単価は、「想定燃費(1リットルあたり何km走るか)」と「燃料単価(1リットルあたりいくらか)」から算出します。決めておくべきは次の3点です。

 

  1. 想定燃費を何km/Lとするか(車種区分ごとに分けるか、一律にするか)
  2. 燃料単価の参照元(全国平均か、地域の実勢価格か)
  3. 改定の頻度と決裁者(年1回か、一定幅の変動があったときか)
  •  

改定の決裁者を決めていない企業は少なくありません。決めていないと、燃料価格が動いたときに誰も改定を起案せず、何年も前の単価が使われ続けることになります。社員から見れば実費に足りず、会社から見れば実態と乖離した支給になります。

 

対策は単純です。単価マスタに「次回見直し予定日」を持たせ、期日が来たら通知する運用にしてください。判断そのものは人が行うにしても、思い出すきっかけを仕組みで作っておきます。

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燃料費申請の手入力を削る|自動入力・行き先マスタ・前月引継ぎ

前述の企業から挙がった3つの要望に対する、設計時の検討結果は次のとおりです。

 

要望 検討結果
申請画面にユーザー情報を自動入力してほしい 実現可能。ログイン情報から氏名・所属・従業員番号を自動セット
行き先をプルダウンで選べるようにしてほしい 条件付き。申請1件に複数の行き先を持たせる構造(サブレコード)を採用した場合のみ実現可能
走行距離を翌月に自動で引き継いでほしい 要検証。実現しても運用負担が残る可能性がある

 

「サブレコード」とは、1件の申請に対してぶら下がる明細行のことです。1回の申請のなかに「4/1 A社訪問 30km」「4/3 B社訪問 15km」といった行を複数持たせる構造を指します。

 

1申請=1レコードの構造では、複数の行き先を1つの欄に書くしかなく(「A社、B社、C社」のように)、選択肢から選ぶ形式にできません。

申請フォームの2案と、その差

 

  案1:1画面完結 案2:サブレコード方式
構造 1申請=1レコード。行き先は自由記述 1申請=1親レコード+複数の明細行
入力のしやすさ 単純だが、複数の行き先を書きづらい 行き先ごとに1行を追加できる
プルダウン化 しづらい 可能
データ構造 単純 やや複雑
メンテナンス性 項目追加時に画面全体を修正 明細の項目だけを修正すればよい

 

行き先のプルダウン化を優先するなら、案2を選ぶことになります。案2は構造がやや複雑になるぶん、設計と初期構築に手間がかかります。しかし入力項目を減らす効果は案2のほうが明らかに大きく、月に何度も申請する社員ほど恩恵を受けます。

入力項目を半減させる考え方

申請書の項目を次の3つに分類してください。

 

  1. 自動で入る項目(氏名・所属・従業員番号・申請日)——ログイン情報や日付から自動セットできるもの
  2. 選ぶ項目(行き先・目的・車両)——選択肢をマスタとして持たせ、選ばせるもの
  3. 入力する項目(日付・走行距離)——どうしても人が数字や文字を打つ必要があるもの

 

そのうえで、現行の申請書で「入力する項目」に分類されるものが5つ以下になることを目標にしてください。

 

前述の食品製造業の企業の現行様式で数えると、手で入力していた項目は9つでした。申請月・所属・氏名・車両分類・月初メーター・月末メーター・日付・走行距離・行き先です。このうち、氏名・所属・申請月のように毎月変わらないものを自動入力へ、車両分類と行き先を選択式へ振り分けると、残る「入力する項目」は4つ(月初メーター・月末メーター・日付・走行距離)になります。項目数そのものを減らしたわけではありません。同じ項目を、人が打つ側からシステムが埋める側へ移しただけです。

 

申請項目の種類

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月をまたぐ走行距離の扱い

走行距離をメーター値(車の積算走行距離計の数値)で管理している場合、月をまたぐ処理が必要になります。前月末のメーター値と当月末のメーター値の差が、当月の走行距離になるためです。

前述の企業の要望「走行距離を翌月に自動で引き継ぐ」は、実現しても運用負担が残る可能性があると評価されました。理由は次の3点です。

 

  1. 月末時点のメーター値を、誰がいつ記録するのか(月末が休日の場合、いつの値を使うのかも決める必要があります)
  2. 私用での走行が混ざる場合、業務分をどう切り分けるのか(メーター値は業務と私用を区別しません)
  3. 車両を変更した場合、連続性が切れる(買い替えれば、メーター値はゼロから始まります)

現実的な設計

推奨したいのは、メーター値の連続管理をあきらめる方向です。「1運行ごとの走行距離」を申請単位にするほうが、運用は安定します。

 

「A社まで往復30km」という形であれば、月末に誰かがメーターを見に行く必要も、私用分を切り分ける必要もありません。メーター値は車両マスタに参考値として持ち、月次で入力を促す程度にとどめてください。

 

メーター値の連続性にこだわると、月初に必ず未入力者への督促が発生します。その督促にかかる手間が、得られる正確性に見合うかどうかを先に検討してください。多くの場合、見合いません。

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申請ルートを所属・職位で分岐させる設計

前述の企業の申請ルートは、所属(管理部門・営業部門)×職位(一般社員・主任)で分岐し、上長承認 → 担当部署の決裁という2段構成でした。

分岐条件の決め方

 

分岐の軸 使いどころ 注意点
所属 承認者が部門ごとに違う 組織変更のたびに設定を直す必要がある
職位 申請者本人が上長の場合の迂回 「主任は課長へ、一般社員は主任へ」のように段が変わる
金額 一定額以上で決裁者が上がる 燃料費では使わないことが多い

 

「迂回」とは、申請者本人が承認者になってしまうケース(主任が申請すると、承認者も主任になる)を避けるため、職位に応じて承認先を1段上げる設定のことです。

 

そして、設計上の原則が1つあります。組織変更に耐える設計にしてください。

 

承認者を氏名で直接指定すると、異動があるたびに全ルートを修正することになります。役職または組織階層で指定し、名前は持たせないのが原則です。「営業部の課長」と指定しておけば、誰が課長になっても設定を直す必要がありません。

 

承認ルートの分岐設計については、部門をまたぐ複雑な承認ルートを柔軟に設計・変更できる活用法、申請フローの仕組みについては申請フロー機能で扱っています。

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対象者の線引きと、人数が増えても費用が跳ねない形

私有車の業務利用を認める範囲は、雇用区分によって扱いが分かれます。そして、この線引きが費用に直結します。

前述の企業は、正社員が500名規模、準社員が1,800名規模という構成でした。対象者をどこまでとするかは、2026年8月時点で未確定です。

 

なぜこれが重要かというと、正社員のみなら500名分、準社員を含めれば2,300名分のアカウントが必要になるからです。4倍以上の差です。

先に決める3点

  1. 業務使用を認める雇用区分(正社員のみ/準社員を含む/個別許可制)
  2. 申請できる人の範囲(対象者全員か、月1回以上使用する人のみか)
  3. 承認者に必要なアカウント数

 

2について補足すると、業務使用を認められている人と、実際に毎月申請する人は一致しません。年に数回しか使わない人にまでアカウントを配るかどうかは、料金体系によって判断が変わります。

費用の試算は「総額と、その総額が何人分か」で行う

比較すべき料金体系は3つあります。

 

課金体系 費用の決まり方 有利になる条件
ユーザー課金 利用者の人数 × 単価 対象者が少なく、全員が日常的に使う
定額(ユーザー数無制限) 人数・利用量にかかわらず一定額 対象者が非常に多く、利用も頻繁
従量課金 データ量や処理件数など、使った量 対象者は多いが、1人あたりの利用が少ない

 

前述の9社のうち、別の企業(製造業・50〜100名規模)では、全社員にワークフローを使わせたいという要望がありながら、費用を理由に導入が進んでいませんでした。判断基準にしていたのは1人あたりの単価ではなく、総額の上限でした。

 

一方、同じ食品製造業の企業では、ユーザー数に依存しない料金体系のツールを月額二桁万円台で利用しているが、使い勝手が良くないため別のツールを検討しているという状況がありました。

 

この2つの事例から言えることがあります。ユーザー数無制限だから安い、とは限りません。人数に関係なく一定額がかかるため、対象者が少ない場合はむしろ割高になります。逆に、ユーザー課金でも対象者が少なければ総額は小さく収まります。

 

私有車の燃料費申請は、対象者が数百人から数千人規模になる一方、1人が出す申請は月に1件程度にとどまることが多い業務です。この条件では従量課金が有利になりやすいのですが、申請頻度が高い企業や、対象者が数十名にとどまる企業では試算結果が変わります。対象人数を先に決めてから、3つの体系すべてで試算してください。順序を逆にすると、比較の土台が揃いません。

 

アカウント数に比例して固定費がふくらむ構造の見直し方についてはSaaSの固定費が膨らむ企業がとるべき対策、具体的な料金体系については料金ページをご確認ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 車両管理台帳の作成は法律で義務づけられていますか?

車両管理台帳そのものを義務づける規定はありません。ただし、安全運転管理者の選任義務がある事業所(自家用自動車5台以上、乗車定員11人以上の自動車は1台以上が目安)では、運転者ごとの酒気帯び確認の記録と1年間の保存が求められます。この記録を管理する土台として、実質的に台帳が必要になります。

Q2. 私有車を業務で使わせている場合、台数の算定に含まれますか?

含まれる場合があります。「社有車が4台だから対象外」と判断していても、私有車を業務で恒常的に使わせていれば、その分を含めて5台以上となり選任義務が生じる可能性があります。判断は使用実態によって変わるため、所轄の警察署へ確認してください。

Q3. 酒気帯び確認の記録は、どれくらい保存する必要がありますか?

1年間です。記録すべき内容は、確認者名、運転者名、自動車登録番号、確認の日時、確認の方法(目視等/アルコール検知器の使用)、酒気帯びの有無、指示事項などです。燃料費申請と運転者・運転日の項目が重複するため、様式を設計する段階で共通化できないか検討しておくと、二重管理を避けられます。

Q4. マイカーの業務利用で、ガソリン代はいくら支給すればよいですか?

法令上の基準はなく、各社が定めます。距離単価方式が一般的で、「想定燃費(km/L)」と「燃料単価(円/L)」から算出します。重要なのは金額そのものより、単価の根拠と改定ルールを決めておくことです。決裁者を定めておかないと、燃料価格が変動しても誰も改定を起案せず、実態と乖離した支給が続きます。

Q5. 私有車の任意保険は、会社が確認する必要がありますか?

確認してください。業務中の事故で会社が使用者責任を問われる可能性がある一方、保険契約は従業員個人が結んでいるため、会社は補償内容を把握していないことがあります。対人・対物の補償額と、業務使用が補償対象に含まれているかを本人に申告させ、記録してください。保険は1年ごとに更新されるため、年1回の更新確認を運用に組み込む必要があります。

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まとめ|車両は台帳、燃料費は申請。分けたうえで運転者マスタだけ共通化する

車両管理台帳は「車両1台ごと」に車検・保険・点検の期限を管理する帳票、車両管理表は運行記録や費用まで含めて使われる言葉です。記載項目は車両・運行・確認の3グループで整理し、Excelでは車両マスタ・運行記録・単価マスタの3シートに分けてください。単価マスタには適用期間を持たせ、改定しても過去分が変わらない構造にします。

法令面では、安全運転管理者制度を確認してください。業務使用の私有車が台数算定に含まれる場合があり、該当すれば酒気帯び確認の記録と1年間の保存が必要になります。

 

社有車の台帳と私有車の申請は、管理単位が「車両」と「運転者・運行」で異なるため、分けて設計してください。共通化できるのは運転者マスタと酒気帯び確認記録の2つだけです。

 

私有車の燃料費申請では、ボトルネックが入力・計算・承認・支給のどこにあるかで打ち手が変わります。実案件では承認は問題になっておらず、時間がかかっていたのは入力と連携でした。入力を減らす設計は、項目を「自動で入る/選ぶ/入力する」の3つに分類し、入力するものを5つ以下にすること。承認ルートは役職・組織階層で指定し、氏名は持たせないこと。費用はユーザー課金・定額・従量課金の3体系で試算してください。

 

まずは直近3ヶ月の申請書を10枚見返し、空欄が続いている項目を削るところからです。

 


車両管理表・燃料費申請書テンプレート(Excel・4シート)をご用意しています。

 

車両管理表・燃料費申請書テンプレート
 

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▶ 車両管理表・燃料費申請書テンプレートをダウンロード(Excel/フォーム入力不要)

 


 

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※本記事の実案件に関する記述は、当社が2026年から実施している導入前検証(9社・2026年8月時点で完了1社)のヒアリング記録および設計資料に基づきます。社名・具体的な金額は伏せています。検証の完了報告ではありません。


出典:警察庁 安全運転管理者による運転者に対する点呼等の実施及び酒気帯び確認等について(通達)

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Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

この記事を書いた人

Slopebase編集部
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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