引き継ぎ書の書き方と項目|221人調査で70.6%が「不十分」【テンプレート付】

本記事は2026/11/05に更新しております。
引き継ぎ書の書き方と項目|221人調査で70.6%が「不十分」【テンプレート付】

引き継ぎ書とは、異動や退職、休職などで担当者が代わるときに、前任者が後任者へ業務の内容と状態を伝えるための文書です。「引き継ぎ資料」「引継書」とも呼ばれます。

 

引き継ぎ書を作っても、結局は口頭で何度も説明することになった、という経験はないでしょうか。2026年10月、バックオフィス部門のリーダー・管理職221人に実施した当社の調査では、引き継ぎ書があったと答えた人は80.5%でした。ところが、「引き継ぎ書だけで業務を進められた」のは10.0%にとどまり、70.6%が「口頭での補足が多く必要だった」「内容が古く実態と違っていた」と答えています。

 

本記事では、引き継ぎ書に書く項目と書き方、引き継ぎのスケジュール、見やすくするコツを解説します。あわせて、口頭の補足が増える原因とその対策、受け取る側のチェックリスト、引き継ぎのたびに書き直さないための日常の記録の仕方まで紹介します。項目と記入例、受け手チェックリストをまとめた「引き継ぎ書テンプレート(Excel)」も無料で配布しています。

01

まずは結論!引き継ぎ書は「判断基準と最新の状態」を書き、日常の記録から作る

後任者が引き継ぎ書だけで業務を進められるようにするには、次の3つが鍵になります。

 

  1. 手順だけでなく、判断基準と例外のときの対応を書く。口頭の補足が必要になる情報の多くは、ここに集中している
  2. 進行中の案件や直近の変更など、「今の状態」を引き継ぎの直前に書き足す。古い内容のままの引き継ぎ書は、後任者を迷わせる
  3. 引き継ぎのたびにゼロから作らず、ふだんの業務の記録から引き継ぎ書をまとめられるようにしておく

 

今回の調査では、引き継ぎ書を「作る」ことより、「後任者が引き継ぎ書だけで業務を回せる内容にする」ことに課題がある実態が見えました。

 

調査でわかったこと 数字
引き継ぎ書があった 80.5%(178人/221人)
引き継ぎ書はあったが、口頭の補足が多い・内容が古いなど不十分だった 70.6%(156人/221人)
引き継ぎ書があった178人のうち、不十分だった人 87.6%(156人)
引き継ぎを経験した198人のうち、引き継ぎ書だけで業務を進められた人 11.1%(22人)

 

口頭の補足や内容の古さを防ぐ近道は、業務の手順や判断の経緯を、業務そのものと同じ場所に残しておくことです。ノーコード・クラウドデータベース「Slopebase(スロープベース)」では、業務データと申請・承認の流れをクラウド上で管理し、業務の背景や経緯を「ストーリー機能」に残せます。引き継ぎ書を作る前の段階から、日々の記録が後任者の手がかりになります。

 

まずは本記事の「引き継ぎ書テンプレート(Excel)」で、担当業務を1つ書き出すところから始めてください。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

02

引き継ぎ書とは?目的と、業務マニュアル・SOPとの違い

引き継ぎ書は、業務マニュアルやSOP(標準作業手順書)と似ていますが、目的と書く内容が異なります。ここでは、引き継ぎ書の意味と必要になる場面を確認したうえで、業務マニュアル・SOPとの違いを整理します。

引き継ぎ書とは

引き継ぎ書とは、担当者の交代にあたって、前任者が担当していた業務の内容、進め方、判断の基準、現在の状況を後任者に伝える文書です。「引き継ぎ資料」「引継書」「業務引継書」なども、ほぼ同じ意味で使われます。

 

引き継ぎ書の目的は、後任者が前任者に聞かなくても、同じ品質で業務を続けられる状態をつくることです。前任者が異動したあとも社内にいれば質問できますが、退職や休職の場合は、引き継ぎ書が唯一の手がかりになることもあります。

 

 

引き継ぎ書が必要になる場面

引き継ぎ書は、次のような場面で必要になります。

 

  1. 人事異動や部署の組織変更で、担当業務が変わるとき
  2. 退職するとき
  3. 産前産後休業・育児休業、介護休業、病気による休職などで、一定期間業務を離れるとき
  4. 部署内の担当替えで、業務の割り振りが変わるとき
  5. 業務の一部を、他部署や外部の委託先に移すとき

 

バックオフィスでは、決算期や年度替わりに担当替えが重なりやすくなります。締め日のある業務が多いため、引き継ぎのタイミングによっては、後任者が最初の月末処理を1人で迎えることになります。引き継ぎ書には、そうした場面でも迷わない内容が求められます。

引き継ぎ書・業務マニュアル・SOPの違い

引き継ぎ書とよく比べられる文書に、業務マニュアルとSOP(標準作業手順書)があります。違いは次のとおりです。

 

文書 目的 書く内容 更新のタイミング
引き継ぎ書 担当者の交代を乗り切る 担当範囲、業務ごとの手順と判断基準、進行中の案件、関係者、ファイルの場所 担当交代のたびに作る・書き足す
業務マニュアル 誰でも同じやり方で業務ができるようにする 業務の手順、操作方法、ルール 業務のやり方が変わったとき
SOP(標準作業手順書) 作業の品質をそろえる 1つの作業の決められた手順と基準 標準の手順を見直したとき

 

業務マニュアルやSOPが「誰が担当しても変わらない手順」を書くのに対し、引き継ぎ書は「今の担当者が持っている情報と、今の状態」を書く点が大きな違いです。業務マニュアルやSOPが整っていれば、引き継ぎ書には「マニュアルの◯ページを参照」と書けるため、作る手間が大きく減ります。

 

SOPの作り方は「標準作業手順書(SOP)とは?」で解説しています。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

03

【独自調査】221人に聞いた、引き継ぎ書の実態

ここからは、当社が実施した独自調査の結果をもとに、バックオフィス部門の引き継ぎ書がどのような状態にあるのかを見ていきます。

調査概要

項目 内容
調査対象 経理・総務・人事・営業事務などバックオフィス部門で、直近3年以内に業務改善・システム導入・Excel業務の見直しに関わったリーダーもしくは管理職の方:221人(全国)
調査期間 2026年10月14日
調査方法 インターネット調査
調査主体 株式会社NTTデータビジネスブレインズ(自社調査)

※すべての回答データではなく、回答が有効なデータを集計しています。
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

「引き継ぎ書だけで業務を進められた」は10.0%

■直近3年間に、異動・退職・休職などで業務の引き継ぎを受けた(または行った)際、引き継ぎ書(引き継ぎ資料)の状態として最も近いものをお答えください。

 

引き継ぎ書の状態を聞いた設問の横棒グラフ。口頭での補足が多く必要だった43.9%、内容が古く実態と違っていた26.7%、引き継ぎ書だけで業務を進められた10.0%、引き継ぎ書はなくほぼ口頭だけ9.0%、引き継ぎの経験はない5.0%、引き継ぎ自体がほとんどなかった4.5%、わからない0.9%。

 

最多は「引き継ぎ書はあったが、口頭での補足が多く必要だった」43.9%でした。「引き継ぎ書はあったが、内容が古く実態と違っていた」26.7%、「引き継ぎ書だけで業務を進められた」10.0%、「引き継ぎ書はなく、ほぼ口頭だけで引き継いだ」9.0%と続きます。「直近3年間に引き継ぎの経験はない」は5.0%、「引き継ぎ自体がほとんどなかった」は4.5%、「わからない/答えられない」は0.9%でした。

 

引き継ぎ書があった人は、合わせて80.5%(178人)です。引き継ぎ書を作ること自体は、多くの職場で行われています。一方で、引き継ぎ書だけで業務を進められたのは全体の10.0%(22人)です。引き継ぎを経験した198人に絞っても、11.1%にとどまります。

引き継ぎ書があった人の87.6%が「不十分」と回答

引き継ぎ書があった178人の内訳は、次のとおりです。

 

引き継ぎ書があった178人の回答を1本の帯グラフにした図。引き継ぎ書だけで業務を進められた12.4%、口頭での補足が多く必要だった54.5%、内容が古く実態と違っていた33.1%。不十分だった人が87.6%を占めることを示している。

 

 

引き継ぎ書があった178人のうち、87.6%(156人)が「口頭での補足が多く必要だった」または「内容が古く実態と違っていた」と答えています。内訳は、口頭の補足が多かった人が54.5%(97人)、内容が古かった人が33.1%(59人)です。

 

この2つの答えは、引き継ぎ書の弱点を別々の角度から示しています。口頭の補足が多いのは、引き継ぎ書に書かれていない情報があるためです。内容が古いのは、引き継ぎ書が業務の変化に追いついていないためです。本記事では、この2つの弱点をそれぞれ解消する書き方を、後半で詳しく解説します。

引き継ぎ書が不十分になる背景:手順が1〜2人の頭の中にある

引き継ぎ書が不十分になる背景には、ふだんの業務の手順が、そもそも文書になっていないことがあります。同じ調査では、部署で最も重要なExcel・紙の業務について、手順を説明できる人が2人以下の部署が62.4%(n=221)ありました。また、業務の手順やルールの記録場所として最も多かったのは「Excelファイル内のメモ・コメント欄」で、57.5%(n=221、複数回答)でした(詳しくは「業務可視化ツールの選び方」)。

 

また、営業事務でのExcelによる属人化も発生している調査もあります。(詳しくは弊社調査の【2026年調査】営業事務のExcel属人化の実態|221人中64.2%が「前任者の謎マクロ・関数」に苦労をご覧ください)

 

手順が1〜2人の頭の中や、Excelのメモ欄に分散していると、引き継ぎの直前にそれを一気に書き起こすことになります。限られた期間で書き起こすため、判断基準や例外の対応が抜け、口頭の補足が増えていきます。

 

前任者が作ったExcelファイルも、引き継ぎの壁になります。当社が営業事務経験者221人に行った別の調査では、「誰が作ったか分からない謎のマクロ・複雑な関数」の解読や修正に苦労した経験がある人が64.2%(「よくある」「たまにある」の合計)にのぼりました(詳しくは「営業事務のExcel属人化の実態」)。

 

マクロで動いている管理簿は、引き継ぎ書に手順を書いても、後任者が中身を読み解けなければ使い続けられません。マクロで書類を連動させていた管理簿を、データの構造に置き換えた事例を以下の業務カタログで公開しています。

 

業務カタログへのリンク

調査からわかったこと:課題は「作ること」より「引き継ぎ書だけで回せる中身」

同じ調査では、引き継ぎ書のほかに、業務フロー図と業務棚卸しの状態も聞いています。3つの結果を並べると、共通の傾向が見えてきます。

 

設問 「作った・実施した」の割合 「実態どおりに使えている」の割合
引き継ぎ書 引き継ぎ書があった:80.5% 引き継ぎ書だけで業務を進められた:10.0%
業務フロー図 ほぼすべての業務で作成:63.8% ほぼすべての業務で作成し、実態と一致:11.3%
業務棚卸し 直近3年で実施:92.3% 実施し、業務の削減・統合やシステム化につながった:10.9%

※割合はいずれも221人に対する比率です。

 

引き継ぎ書も、業務フロー図も、業務棚卸しも、「作ってはいる」職場が多数です。一方で、実態どおりに使える状態まで届いているのは、どれも約1割でした。

 

業務フロー図を実態とズレない状態に保つ方法は業務フロー図の書き方で、担当業務の一覧を作る方法は業務棚卸しのやり方で紹介しています。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

04

あなたの職場の引き継ぎはどの段階?セルフ診断

直近の引き継ぎがどの段階だったかを、次の表で確かめてください。調査の選択肢と対応させているので、221人のうち何%が同じ段階にいるかもわかります。

 

段階 直近の引き継ぎの状態 同じ段階の回答者 次にやること
0 引き継ぎ自体がほとんどなかった 4.5% 担当業務の一覧を作り、誰が何を担当しているかを決める
1 引き継ぎ書はなく、ほぼ口頭だけで引き継いだ 9.0% テンプレートの「業務シート」で、件数の多い業務から1枚ずつ書く
2 引き継ぎ書はあったが、内容が古く実態と違っていた 26.7% 引き継ぎの直前に「進行中の案件」「直近の変更」を書き足す工程を決める
3 引き継ぎ書はあったが、口頭での補足が多く必要だった 43.9% 判断基準と例外の対応を書き足し、受け手チェックリストで確認する
4 引き継ぎ書だけで業務を進められた 10.0% ふだんの業務記録から引き継ぎ書をまとめられるようにする
目標 日常の記録が整い、引き継ぎ書をほぼ作り直さずに済む (調査の対象外) 手順と記録を業務の仕組みの中に残す

※「直近3年間に引き継ぎの経験はない」5.0%と「わからない/答えられない」0.9%は表から除いています。

 

最も多い段階3の職場は、引き継ぎ書の「型」はできています。足りないのは、判断基準と例外の対応という中身です。次の章で、書く項目を確認してください。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

05

引き継ぎ書に書く項目と書き方

引き継ぎ書は、「全体」と「業務ごと」と「今の状態」の3つに分けて書くと、抜け漏れを防げます。

 

引き継ぎ書の項目構成を示した図。全体(基本情報、担当業務の一覧、年間スケジュール、関係者・連絡先)、業務ごと(目的、手順、判断基準、例外のときの対応、ファイル・データ・システム権限の場所、よくあるトラブル)、今の状態(進行中の案件、未解決の課題、直近の変更)の3グループに分かれている。

 

区分 項目 書き方のポイント
全体 基本情報 引き継ぎ日、前任者と後任者、引き継ぎ後の前任者の連絡先、担当範囲
全体 担当業務の一覧 業務名、頻度(毎日・毎週・毎月・随時)、締め日、1回あたりの作業時間、優先度
全体 年間スケジュール 月ごとに発生する業務(決算、年末調整、監査、契約更新など)を一覧にする
全体 関係者・連絡先 社内外の相手、何をやり取りするか、連絡手段、やり取りの注意点
業務ごと 目的 その業務が何のためにあるか、誰が結果を使うかを1〜2文で書く
業務ごと 手順 番号付きで、1ステップに1つの作業を書く。マニュアルがあれば参照先を書く
業務ごと 判断基準 「どんなときに、どう判断するか」を条件の形で書く
業務ごと 例外のときの対応 よくある例外と、その対応、相談先を書く
業務ごと ファイル・データ・権限の場所 使うファイルの保存場所、システム名、必要な権限と申請方法
業務ごと よくあるトラブル 過去に起きたミスや問い合わせと、その対処を書く
今の状態 進行中の案件 案件名、現在の状況、次にやること、期限、関係者
今の状態 未解決の課題・直近の変更 検討中の事項、最近変わったルールや取引先の条件

 

とくに大切なのは、業務ごとの「判断基準」と「例外のときの対応」、そして「今の状態」の3つです。調査で多かった「口頭での補足が多く必要だった」と「内容が古く実態と違っていた」は、主にこの3つが抜けていることで起こります。

 

業務ごとの項目は、1業務につき1枚(Excelなら1シート、または1ブロック)にまとめると、後任者が探しやすくなります。業務の流れが複雑な場合は、業務フロー図を添付すると全体の把握が早くなります。業務フロー図の描き方は業務フロー図の書き方を参考にしてください。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

06

口頭の補足が増える原因と、引き継ぎ書に書いておく対策

調査で最も多かったのは「引き継ぎ書はあったが、口頭での補足が多く必要だった」43.9%でした。口頭で補足することになる情報は、大きく4つに分けられます。

 

口頭の補足が必要になりやすい情報を4つに分類した解説図。判断基準、例外のときの対応、人とのやり取りの決まりごと、今の状態の4つについて、具体例と引き継ぎ書に書く場所を示している。調査データではなく解説図。

※図4は、口頭の補足が必要になりやすい情報を整理した解説図です。調査データではありません。

判断基準が書かれていない

「請求書を確認する」とだけ書かれていても、後任者には何を見て何を判断すればよいかがわかりません。前任者が頭の中で行っている判断を、条件の形で書き出します。

 

たとえば入金消込であれば、「入金額と請求額の差額が1,000円以内なら振込手数料とみなして消し込む。1,000円を超える場合は営業担当に確認する」のように書きます。数字や条件が入っていれば、後任者は1人で判断できます。バックオフィス特有の判断基準を言葉にするコツは業務ルールを文書化して標準化する実践ガイドで詳しく紹介しています。

例外のときの対応が書かれていない

いつもの手順は書いてあっても、例外の対応が書かれていない引き継ぎ書は少なくありません。バックオフィスの定型業務では、取引先ごとの個別条件や月末の駆け込み案件など、例外は日常的に起こります。例外が起きるたびに前任者に連絡することになり、口頭の補足が増えます。

 

過去半年から1年の間に起きた例外を思い出し、「どんな例外が」「どのくらいの頻度で」「誰に相談して」「どう処理したか」を書いておきます。全部を書き切れなくても、よくある例外を3〜5つ書くだけで、問い合わせは大きく減ります。

人とのやり取りの決まりごとが書かれていない

業務には、社内外の相手とのやり取りに関する暗黙の決まりごとがあります。「この取引先は請求書の到着を15日までに求めている」「この部署への依頼は課長にも写しを送る」といった情報です。文書に書かれないまま、前任者の経験として蓄積されていることが多い情報です。

 

関係者・連絡先の一覧に、「やり取りの注意点」の欄を設けて書き残します。後任者が最初に連絡する前に読んでおけば、相手との行き違いを防げます。

今の状態が反映されていない

調査で2番目に多かったのは「引き継ぎ書はあったが、内容が古く実態と違っていた」26.7%でした。以前作った引き継ぎ書を使い回したり、早めに作ったまま更新しなかったりすると、内容が古くなります。

 

引き継ぎ書の作成スケジュールに、「引き継ぎの最終週に、進行中の案件と直近の変更を書き足す」工程を必ず入れてください。最終日に後任者と一緒に「進行中の案件」を1件ずつ確認すれば、古い情報のまま引き継ぐ事態を防げます。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

07

引き継ぎ書の作り方|期限から逆算する6ステップ

引き継ぎ書は、引き継ぎの期限から逆算して計画的に作ります。ここでは、約1か月前から準備する場合のスケジュールの例を紹介します。期間が短い場合は、各ステップの期間を縮めて同じ順番で進めてください。

 

引き継ぎ日から逆算したスケジュールのガントチャート。約4週間前から担当業務の一覧づくり、業務ごとの引き継ぎ書の作成、後任者と一緒に処理、後任者が主担当になり前任者が補助、受け手チェックリストでの確認と今の状態の書き足し、最終日の連絡先の周知までを並べている。

 

※図5は、約1か月前から準備する場合の一例です。

ステップ1:引き継ぎ日から逆算して、スケジュールを決める

最初に、引き継ぎを完了する日と、後任者が決まる日を確認します。そのうえで、図5のように各ステップの期間を割り振ります。締め日のある業務は、後任者が引き継ぎ期間中に一度は経験できるように、日程を調整してください。

 

スケジュールは、前任者・後任者・管理職の3人で共有します。管理職が進み具合を確認することで、引き継ぎが前任者任せになるのを防げます。

ステップ2:担当業務を一覧にする

担当している業務を、頻度や締め日とあわせて一覧にします。毎日・毎週の業務だけでなく、年に1回の決算対応や監査対応、契約の更新なども忘れずに書き出してください。年間スケジュールの形で並べると、抜けに気づきやすくなります。

 

担当業務を洗い出す方法は「業務棚卸しのやり方」で詳しく解説しています。業務棚卸しの一覧があれば、それをそのまま引き継ぎ書の業務一覧に使えます。

ステップ3:業務ごとに、項目に沿って書く

業務一覧の中から、件数が多い業務、締め日が近い業務、例外が多い業務の順に、業務ごとのシートを書きます。項目は前の章の「業務ごと」の6つです。

 

以下は、入金消込の記入例です。

 

項目 記入例(入金消込)
目的 取引先からの入金を請求データと照合し、売掛金の残高を正しく保つ。結果は月次決算と督促に使われる
頻度・締め日 毎営業日(10時に前日分)。月末は最終営業日の15時までに当月分を完了する
手順 1. 銀行の入金明細をダウンロードする 2. 請求一覧と照合する 3. 一致したものを会計システムで消し込む 4. 不一致を「要確認リスト」に記入する
判断基準 差額が1,000円以内なら振込手数料とみなして消し込む。1,000円を超える場合は営業担当に確認する
例外のときの対応 複数の請求をまとめて入金された場合は、請求一覧の取引先別合計で照合する。名義が違う入金は、取引先マスタの「別名義」欄を確認する
ファイル・権限の場所 請求一覧:共有フォルダ>経理>売掛金。会計システムの「入金処理」権限が必要(情報システム部へ申請)
よくあるトラブル 月末の入金が翌月1日に反映されることがある。月末処理では前日分の明細を必ず再確認する

※上の記入例は、書き方を説明するための仮想のモデルケースです。

ステップ4:後任者と一緒に、実際に処理する

引き継ぎ書ができたら、後任者と一緒に実際の業務を処理します。前任者が処理するのを後任者が見るだけでなく、後任者が引き継ぎ書を見ながら手を動かし、前任者が横で確認する形が効果的です。

 

このとき、後任者が引き継ぎ書を見ても迷った箇所は、その場で引き継ぎ書に書き足します。口頭で説明して終わりにすると、その情報は引き継ぎ書に残りません。

ステップ5:後任者が主担当になり、前任者は補助に回る

引き継ぎの後半は、後任者が主担当として業務を回し、前任者は質問に答える補助役に回ります。締め日のある業務を、後任者が主担当として一度経験できると理想的です。

ステップ6:受け手チェックリストで確認し、今の状態を書き足す

最終週に、後任者が受け手チェックリストで確認します。あわせて、前任者は進行中の案件と直近の変更を書き足し、引き継ぎ書を最新の状態にします。最後に、引き継ぎ後の前任者の連絡先と、困ったときの相談先を関係者に周知して完了です。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

08

見やすい・わかりやすい引き継ぎ書にする6つのコツ

後任者が実際に読み、使い続けられる引き継ぎ書にするために、次の6つを意識してください。

 

  1. 1業務1枚にまとめる:業務ごとにシートやページを分け、目次に業務名と頻度を並べる
  2. 結論から書く:各業務の冒頭に「目的」と「締め日」を書き、詳しい手順はそのあとに書く
  3. 手順は番号付きで、1ステップ1作業にする:「確認して入力し、送付する」のような書き方は分ける
  4. 判断は条件の形で書く:「適宜」「必要に応じて」ではなく、金額や日付などの条件を書く
  5. 社内の略語や固有の呼び名に説明を付ける:「例の件」「A表」など、前任者しかわからない言葉を使わない
  6. ファイルの場所はパスで書く:「共有フォルダにある」ではなく、フォルダの階層まで書く

 

見やすさは、文章の量よりも構成で決まります。後任者が「今月の締め日に何をするか」を1分で探せる構成を目指してください。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

09

受け手側のチェックリスト|抜け漏れなく引き継ぎを受けるために

引き継ぎ書は、受け取る側が確認しなければ抜け漏れに気づけません。後任者は、次の項目を引き継ぎ期間中に確認してください。管理職がこのチェックリストで進み具合を確かめるのも効果的です。

引き継ぎを受ける側が確認する項目のチェックリスト。担当範囲と業務、判断と例外、データと権限、人と状態の4つのグループに分けて、確認項目を並べている。

 

区分 確認すること
担当範囲と業務 担当する業務と、担当しない業務の境目がわかる
担当範囲と業務 年間スケジュールで、次に来る締め日と年1回の業務がわかる
判断と例外 業務ごとの判断基準を、自分の言葉で説明できる
判断と例外 よくある例外と、そのときの相談先がわかる
データと権限 使うファイルを開ける。保存場所と最新版がわかる
データと権限 必要なシステムの権限が付与されている
人と状態 主な関係者に、担当交代のあいさつを済ませた
人と状態 進行中の案件それぞれについて、次にやることと期限がわかる
人と状態 引き継ぎ後の前任者の連絡先と、困ったときの相談先がわかる
実務 締め日のある業務を、引き継ぎ期間中に一度は主担当として処理した

 

チェックが付かない項目は、引き継ぎ期間中に前任者に確認し、答えを引き継ぎ書に書き足してください。本記事のテンプレートには、チェックの進み具合が自動で集計される受け手チェックリストを入れています。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

10

引き継ぎ書テンプレート(Excel)

本記事の内容をもとに、そのまま使える「引き継ぎ書テンプレート(Excel)」を用意しました。

 

シート名 内容
使い方 記入の手順、色の意味、作成スケジュールの目安
引き継ぎ書(全体) 基本情報、担当業務の一覧、関係者・連絡先、進行中の案件
業務シート 1業務1枚で書く項目(目的、手順、判断基準、例外のときの対応、ファイル・権限の場所、よくあるトラブル)
年間スケジュール 月ごとに発生する業務の一覧
記入例(入金消込) 業務シートの記入例
受け手チェックリスト 後任者が確認する項目。進み具合を自動で集計
引き継ぎスケジュール 引き継ぎ日を入れると、各ステップの開始日の目安を自動で計算

 

テンプレートダウンロード

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

11

引き継ぎ書を毎回作り直さないための日常の記録

調査では、引き継ぎ書が「内容が古く実態と違っていた」人が26.7%いました。引き継ぎのたびに引き継ぎ書をゼロから作る、あるいは古いものを使い回すやり方では、この問題はくり返されます。引き継ぎ書を作り直さずに済むよう、ふだんの業務の中で記録を残しておくことが大切です。

 

引き継ぎ書の扱いを3段階で示した図。段階1は引き継ぎのたびに引き継ぎ書を作る、段階2は日常の記録から引き継ぎ書をまとめる、段階3は手順と記録が業務の仕組みに組み込まれ引き継ぎ書をほぼ作り直さずに済む状態。

引き継ぎ書を「作る」ものから「まとめる」ものに変える

引き継ぎ書の中身のうち、業務の目的、手順、判断基準、ファイルの場所は、担当者が代わっても大きくは変わりません。これらをふだんから業務マニュアルや業務シートとして整えておけば、引き継ぎのときは「今の状態」を書き足すだけで済みます。

 

本記事のテンプレートの「業務シート」は、引き継ぎのときだけでなく、ふだんの業務の記録として使う前提で作っています。業務のやり方が変わったときに書き換えておけば、次の引き継ぎで慌てずに済みます。文書を最新版に保つ版管理や、改訂を確実に伝える段取りは社内規程とは?種類一覧と作り方の管理方法の章も参考になります。

日常の記録で残す3つの情報

ふだんの業務の中で、次の3つを記録する習慣をつけると、引き継ぎ書の大部分がそろいます。

 

判断の理由:

いつもと違う判断をしたときに、「なぜそう判断したか」を1行残す


例外の対応:

例外が起きたときに、「何が起きて、誰に相談し、どう処理したか」を残す


進行中の案件:

案件ごとに、現在の状況と次にやること、期限を残す

 

記録する場所は、個人のメモやメールではなく、チームの誰もが見られる1か所に決めます。業務の流れ全体は、業務フロー図として同じ場所に置いておくと、後任者が全体と細部の両方をたどれます。業務フロー図の更新ルールは業務フロー図の書き方で紹介しています。

 

個人の経験や判断の理由を、チームの知識として蓄積していく考え方はナレッジマネジメントとは?で解説しています。

 

進行中の案件の状況を、担当者ごとの管理表ではなく1か所で見られるようにしておけば、引き継ぎ書に書き写す手間もなくなります。複数の管理表を1つにまとめた設計を以下の業務カタログで公開しています。

 

業務カタログリンク

その先は、引き継ぎ書に頼らない仕組みへ

さらに進めると、業務の手順や判断の記録が業務の仕組みそのものに組み込まれ、引き継ぎ書をほぼ作り直さずに済む状態になります。申請・承認の流れや入力画面が決まっていれば、後任者は画面に沿って処理するだけで、手順を大きく外れることがありません。

 

異動や組織変更でも業務を止めない仕組みづくりは引き継ぎを最小化するプロセスの仕組み化で、退職リスクに備える考え方は退職リスクに備える業務の仕組み化で解説しています。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

12

引き継ぎ書に頼らなくても業務が回る状態をつくるなら

引き継ぎのたびに引き継ぎ書を作り直す負担を減らすには、業務の手順と記録を、業務そのものと同じ場所に残す方法があります。ノーコード・クラウドデータベース「Slopebase(スロープベース)」は、プログラミングの知識がなくても、Excelや紙で管理していた業務を、自社の流れのままクラウド上に組み立てられるサービスです。

 

引き継ぎ書の3つの区分に沿うと、次のように置き換えられます。

 

業務の手順:
申請・承認の流れや入力画面を、自社の業務に合わせて設定できます。誰から誰へ承認を回すかを定義でき、所属や職位による分岐など、例外の多い流れも自社仕様で設定できます。後任者は画面に沿って処理できます。詳しくは「申請フロー機能」をご覧ください

 

判断の理由と経緯:
業務の背景や経緯、マニュアルや運用ルールを「ストーリー機能」に残せます。キーワードで検索できるほか、質問を入力すると、蓄積された内容をもとにAIが回答します

 

今の状態:
Excelで管理していた業務データをクラウド上のデータベースに置き換え、チームで同じデータを見られます。承認者は承認待ちの申請を一覧で確認できます。WebAPI連携にも対応しており、既存の基幹システムとのデータ連携も視野に入れた構成が組めます

 

料金は月額30,000円〜の従量課金制です。まずは引き継ぎで口頭の補足が多かった業務を1つ選び、自社の実際のデータを使った無償PoC(導入前の検証)で試し、効果を確かめてから広げていくことができます。

 

PoC相談

 

資料請求

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

13

引き継ぎ書に関するよくある質問

Q. 引き継ぎ書には、何を書けばよいですか?

A. 「全体」「業務ごと」「今の状態」の3つに分けて書きます。全体には基本情報、担当業務の一覧、年間スケジュール、関係者・連絡先を書きます。業務ごとには目的、手順、判断基準、例外のときの対応、ファイル・権限の場所、よくあるトラブルを書きます。今の状態には、進行中の案件と直近の変更を書きます。

Q. 引き継ぎ書と引き継ぎ資料は違うものですか?

A. ほぼ同じ意味で使われます。会社によっては、業務全体をまとめた文書を「引き継ぎ書」、補足のために添付するファイル一覧や業務フロー図を「引き継ぎ資料」と呼び分けることもあります。社内で呼び方を1つに決めておくと、後任者が迷いません。

Q. 引き継ぎの期間が短いときは、何から書けばよいですか?

A. 次の締め日が近い業務と、件数が多い業務から書きます。そのうえで、進行中の案件の一覧と、関係者の連絡先を先にそろえてください。手順の細部はあとから後任者と一緒に書き足せますが、進行中の案件と連絡先が抜けると、後任者は最初の対応で止まってしまいます。

Q. 見やすい引き継ぎ書にするには、どうすればよいですか?

A. 1業務1枚にまとめ、各業務の冒頭に目的と締め日を書きます。手順は番号付きで1ステップ1作業にし、判断は「金額が◯円以上なら」のように条件の形で書きます。ファイルの場所はフォルダの階層まで書き、社内の略語には説明を付けてください。

Q. 引き継ぎ書が古くならないようにするには、どうすればよいですか?

A. 引き継ぎの最終週に、進行中の案件と直近の変更を書き足す工程をスケジュールに入れます。さらに、ふだんから判断の理由・例外の対応・進行中の案件を記録しておけば、引き継ぎ書を作り直す必要がなくなります。2026年10月の当社調査では、引き継ぎ書があった178人のうち33.1%が「内容が古く実態と違っていた」と答えています。

Q. 引き継ぎ書はExcelとWordのどちらで作るべきですか?

A. 業務が複数ある場合は、Excelがおすすめです。業務ごとにシートを分けられ、業務一覧や年間スケジュール、チェックリストも同じファイルで管理できます。文章の説明が多い業務や、社外に渡す場合はWordでも構いません。本記事のテンプレートはExcel形式です。

TRIAL

まずは無料で
お試しください。
最大2か月トライアル可能
無償トライアル
導入に関するお問合せ 資料請求

14

まとめ|引き継ぎ書は「判断基準と今の状態」で決まる

本記事では、引き継ぎ書に書く項目と書き方、口頭の補足が増える原因と対策、期限から逆算する作り方、見やすくするコツ、受け手チェックリスト、日常の記録の仕方を解説しました。

 

2026年10月、バックオフィス部門のリーダー・管理職221人への調査では、引き継ぎ書があった人は80.5%でした。一方で、引き継ぎ書だけで業務を進められたのは10.0%にとどまり、引き継ぎ書があった人の87.6%が「口頭での補足が多く必要だった」「内容が古く実態と違っていた」と答えています。

 

後任者が引き継ぎ書だけで業務を進められるかどうかは、手順の量ではなく、判断基準と例外の対応、そして今の状態が書かれているかで決まります。まずは本記事のテンプレートで、件数の多い業務を1枚書いてください。そして、ふだんの業務の中で記録を残し、次の引き継ぎで作り直さずに済む状態を目指しましょう。

 

テンプレートダウンロード

 

PoC相談

 

資料請求

15

Slopebaseとは

バックオフィス業務の
支出管理を支援する、
ノーコード・クラウドデータベース

Slopebase スロープベース

※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

この記事を書いた人

Slopebase編集部
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

人気記事

カテゴリ