業務フロー図の書き方|221人調査で実態と一致しているのは11.3%【テンプレート付】

本記事は2026/11/05に更新しております。
業務フロー図の書き方|221人調査で実態と一致しているのは11.3%【Excelテンプレート付】

業務フロー図とは、ある業務が始まってから終わるまでの流れを、担当者と順番がわかる形で図にしたものです。引き継ぎや新人教育、業務改善、システム化の検討など、さまざまな場面で使われています。

 

ところが、作った業務フロー図が実際の業務と合っていない、というケースは少なくありません。2026年10月、バックオフィス部門のリーダー・管理職221人に実施した当社の調査では、「ほぼすべての業務で業務フロー図を作成している」部署は63.8%でした。一方で、そのうえで実態とも一致していると答えたのは、全体の11.3%にとどまりました。

 

本記事では、業務フロー図の基本と記号、書き方の手順、見やすくするコツを解説します。そのうえで、作ったあとに実態とズレない更新の仕組みと、図からムダを見つけて改善やシステム化につなげる方法まで紹介します。スイムレーン形式の「業務フロー図テンプレート(Excel)」も無料で配布しています。

01

まずは結論!業務フロー図は「今のやり方どおりに描き、更新ルールとセットで保持する」

業務フロー図は、次の3つを押さえると、作ったあとも使い続けられる図になります。

 

  1. 理想の流れではなく、今のやり方をそのまま描く。分岐には「どちらへ進むかの判断基準」を書く
  2. 記号は基本の6種類に絞り、担当ごとに帯を分けるスイムレーン形式で1枚に収める
  3. 更新の担当・更新のきっかけ・版を図に書き込み、ムダを見つけて改善やシステム化に使う

 

今回の調査では、業務フロー図を「作る」ことより、「実態と合わせ続ける」ことに課題がある実態が見えました。

 

調査でわかったこと 数字
ほぼすべての業務で業務フロー図を作成している部署 63.8%(141人/221人)
そのうえで実態とも一致している部署 11.3%(25人/221人)
作成済み141人のうち、「実態と合っていない部分がある」部署 82.3%(116人)
実態と一致したフロー図が全業務にそろっていない部署 88.7%(196人/221人)

 

フロー図と実際の業務にズレが生じる一番の原因は、「図面(Excelなど)」と「実際に作業する場所」が別々に分かれているからです。これを解決するには、業務システムの中に直接フローを組み込んでしまう方法が有効です。

 

ノーコード・データベース「Slopebase(スロープベース)」なら、画面上で申請・承認ルートを設定するだけで、それがそのまま実際のシステムとして動きます。業務の手順が変わってもシステムの設定を変更するだけで済むため、「図を直したのに現場の動きが変わらない」といったズレがそもそも起きません。

 

まずは本記事の「業務フロー図テンプレート(Excel)」で、今の業務をひとつ描くところから始めてください。

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02

業務フロー図とは?目的と、似た図・文書との違い

「ワークフロー」や「マニュアル」など、業務フロー図と混同されやすい言葉は少なくありません。ここでは、業務フロー図の本来の意味と作る目的をおさらいし、似たような図や文書との役割の違いをスッキリと整理します。

業務フロー図とは

業務フロー図とは、業務の開始から終了までの流れを、記号と矢印を使って図にしたものです。「誰が」「何を」「どの順番で」「どの条件で分かれて」行うのかを、1枚で示します。

 

業務フロー図には、決まった書き方の規格があるわけではありません。ただし、多くの企業では、JIS規格のフローチャート記号をもとにした基本記号と、担当ごとに帯を分ける「スイムレーン」を組み合わせて描いています。本記事でも、この描き方を前提に説明します。

業務フロー図を作る4つの目的

業務フロー図を作る目的は、大きく次の4つです。目的によって、描く細かさや載せる情報が変わります。先に目的を1つ決めてから描き始めてください。

 

目的 具体例 図に必ず載せるもの
引き継ぎ・新人教育 経理担当の異動に備え、月次の請求業務を図にする 分岐の判断基準、例外のときの対応、使うファイルの場所
ムダの発見・業務改善 入金消込に時間がかかる原因を探す 部署間の受け渡し、承認や確認の待ち、差し戻し
システム化の検討 請求書発行をシステムに移す前に、関係者と流れをそろえる 入力・出力するデータ、システムと人の境目
内部統制・監査対応 購買の承認ルートを監査に説明する 承認者、承認の条件、記録が残る場所

業務フロー図とワークフローの違い

業務フロー図とよく混同される言葉に「ワークフロー」があります。業務フロー図は、業務全体の流れを図にした「書類」です。一方でワークフローは、主に申請・承認の流れや、それを電子化する仕組みを指して使われます。

 

たとえば「備品購入申請」の場合、申請から承認、発注、検収までの全体を描いたものが業務フロー図です。そのうち「申請→課長承認→部長承認」の部分を電子化して回す仕組みがワークフローです。

 

ワークフローの意味や種類はワークフローとは?社内申請の『待ち・漏れ・手戻り』をなくす方法で、システムについてはワークフローシステムとはで詳しく解説しています。

業務フロー図とフローチャート・システムフロー図の違い

図の種類 主に表すもの 主な読み手 バックオフィスでの使い方
業務フロー図 人や部署ごとの業務の流れ 現場の担当者、管理職、関係部署 引き継ぎ、業務改善、システム化の検討
フローチャート 処理の手順と条件分岐(人の区別がないことが多い) 作業者、プログラム設計者 1人で行う作業の手順を示す
システムフロー図 データがどのシステムからどこへ流れるか 情報システム部門、開発会社 システム間の連携や帳票の出力を設計する

 

業務フロー図とシステムフロー図は、システム化の検討で一緒に使われます。業務フロー図で人の動きをそろえてから、システムフロー図でデータの動きを設計する順番が基本です。

業務フロー図とマニュアル・手順書の違い

業務フロー図は「流れの全体」を1枚で見せるものです。マニュアルや手順書は、そのうち1つの作業を「どう操作するか」まで文章で説明するものです。

 

作成する順番は、先に業務フロー図で全体を描き、判断が難しい作業や例外の多い作業から手順書を作るやり方です。

 

手順書の作り方は標準作業手順書(SOP)とは?で解説しています。担当交代に備えて業務の内容を文書にまとめるなら、引き継ぎ書の書き方もあわせてご覧ください。

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03

【独自調査】221人に聞いた、業務フロー図の実態

ここからは、当社が実施した独自のアンケート調査の結果をもとに、バックオフィス部門で業務フロー図がどのような状態にあるのかを見ていきます。

調査概要

項目 内容
調査対象 経理・総務・人事・営業事務などバックオフィス部門で、直近3年以内に業務改善・システム導入・Excel業務の見直しに関わったリーダーもしくは管理職の方:221人(全国)
調査期間 2026年10月14日
調査方法 インターネット調査
調査主体 株式会社NTTデータビジネスブレインズ(自社調査)

※すべての回答データではなく、回答が有効なデータを集計しています。
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

業務フロー図を「ほぼすべての業務で作成済み」は63.8%、実態と一致しているのは11.3%

■あなたの部署の主要な業務について、業務フロー図(業務の流れや担当者を図にしたもの)の状態として最も近いものをお答えください。

 

業務フロー図の状態を聞いた設問の横棒グラフ。ほぼすべての業務で作成されているが実態と合っていない部分がある52.5%、一部の業務だけ作成されている28.1%、ほぼすべての業務で作成されており実態と一致している11.3%、作成されていない6.8%、業務フロー図がどのようなものか知らない1.4%。

 

最多は「ほぼすべての業務で作成されているが、実態と合っていない部分がある」52.5%でした。「一部の業務だけ作成されている」28.1%、「ほぼすべての業務で作成されており、実態と一致している」11.3%、「作成されていない」6.8%、「業務フロー図がどのようなものか知らない」1.4%と続きます。

 

「ほぼすべての業務で作成されている」と答えた人を合わせると63.8%(141人)。業務フロー図を作ること自体は、多くの部署で進んでいます。ところが、実態と一致した業務フロー図が主要な業務にそろっている部署は、全体の11.3%しかありません。残りの88.7%(196人)の部署では、一部の業務で図がないか、図があっても実態とズレています。

作成済みの部署の82.3%で「実態と合っていない部分がある」

「ほぼすべての業務で作成されている」と答えた141人に絞ると、構成は次のとおりです。

 

221人の回答を1本の帯グラフにした図。ほぼすべての業務で作成済みの63.8%のうち、実態と一致は11.3%、実態と合っていない部分があるは52.5%。作成済み141人のうち82.3%がズレていることを示している。

 

作成済みの141人のうち、82.3%(116人)が「実態と合っていない部分がある」と答えています。実態と一致しているのは17.7%(25人)です。業務フロー図は、作った時点では正しくても、業務の変更に図の更新が追いつかなければズレていきます。作成済みの部署が抱えている課題は、「作ること」ではなく「実態と合わせ続けること」だといえます。

調査からわかったこと:課題は「作ること」より「合わせ続けること」

同じ調査では、業務フロー図のほかに、業務棚卸しと引き継ぎ書の状態も聞いています。3つの結果を並べると、共通の傾向が見えてきます。

 

設問 「作った・実施した」の割合 「実態どおりに使えている」の割合
業務フロー図 ほぼすべての業務で作成:63.8% ほぼすべての業務で作成し、実態と一致:11.3%
業務棚卸し 直近3年で実施:92.3% 実施し、業務の削減・統合やシステム化につながった:10.9%
引き継ぎ書 引き継ぎ書があった:80.5% 引き継ぎ書だけで業務を進められた:10.0%

※割合はいずれも221人に対する比率です。

 

業務フロー図も、業務棚卸しも、引き継ぎ書も、「作ってはいる」部署が多数を占めます。一方で、実態どおりに使える状態まで届いているのは、どれも約1割です。本記事の後半では、業務フロー図を実態とズレない状態に保つための更新の仕組みを解説します。

 

業務棚卸しの結果を行動につなげる方法は業務棚卸しのやり方で、引き継ぎ書だけで業務を回せるようにする書き方は引き継ぎ書の書き方で紹介しています。

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04

あなたの業務フロー図はどの段階?5段階のセルフ診断

自部署の業務フロー図がどの段階にあるか、次の表で確かめてください。調査の選択肢と対応させているので、221人のうち何%が同じ段階にいるかもわかります。

 

段階 状態 同じ段階の回答者 次にやること
0 業務フロー図がどのようなものか知らない 1.4% 本記事の「業務フロー図とは」と「記号と意味」を読む
1 業務フロー図を作成していない 6.8% 件数が多い業務を1つ選び、書き方6ステップで描く
2 一部の業務だけ作成している 28.1% テンプレートで残りの主要業務を描き、凡例と書き方をそろえる
3 ほぼすべての業務で作成しているが、実態と合っていない部分がある 52.5% 担当者に見せてズレを直し、更新の担当・きっかけ・版を決める
4 ほぼすべての業務で作成しており、実態と一致している 11.3% 図からムダを見つけ、改善やシステム化の検討に使う
目標 更新ルールが決まっており、業務の変更と同時に図も変わる (調査の対象外) 図と実際の処理を同じ場所で管理する

 

最も多い段階3の部署は、図をゼロから作り直す必要はありません。今ある図を担当者に見せて直し、更新ルールを書き込むだけで段階4に近づきます。

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05

業務フロー図の記号と意味|基本の記号とスイムレーン、BPMNとの違い

業務フロー図を描き始める前に、使う記号と担当の分け方を決めておきます。ここでは、バックオフィスの業務を描くのに必要な基本の記号と、担当ごとに帯を分けるスイムレーンの描き方、BPMNとの違いを説明します。

基本の記号は6種類で足りる

業務フロー図には多くの記号がありますが、バックオフィスの業務を描くなら、次の6種類で足ります。JIS規格(JIS X 0121)のフローチャート記号をもとにした、一般的な使い方です。

 

業務フロー図で使う基本記号の一覧。端子(開始・終了)、処理、判断、書類、データ・システム、定義済み処理の6種類の形と意味、矢印と結合子の使い方を示している。

 

記号 名前 意味 バックオフィスでの例
角の丸い長方形 端子 業務の開始と終了 「受注データを受け取る」「請求書を送付して終了」
長方形 処理 人やシステムが行う作業 「請求書を作成する」「金額をチェックする」
ひし形 判断 条件によって流れが分かれる点 「請求条件に特別な取り決めがあるか」
下が波線の長方形 書類 紙やファイルの帳票 「請求書」「納品書」「請求データ(Excel)」
円柱 データ・システム データを保存・出力するシステム 「基幹システム」「会計システム」
両側に縦線のある長方形 定義済み処理 別の図で詳しく描く処理 「入金消込(別紙フロー参照)」

 

矢印は流れの向きを示します。線が長くなるときや、ページをまたぐときは、丸い「結合子」に同じ記号(A、Bなど)を書いてつなぎます。

 

大切なのは、記号の正しさよりも、社内の全員が同じ意味で読めることです。図の隅に凡例を入れ、部署内のすべての図で同じ凡例を使ってください。

スイムレーンとは

スイムレーンとは、担当者や部署、システムごとに横(または縦)の帯を作り、その帯の中に作業を置いていく描き方です。プールのコースに似ていることから、この名前で呼ばれています。

 

スイムレーン形式で描くと、帯をまたぐ矢印がそのまま「担当の受け渡し」を表します。受け渡しの回数が多い業務ほど、待ち時間や転記が生じやすくなります。図を見るだけで、改善の候補が見つけやすくなる点が大きな利点です。

 

レーンには、社内の担当だけでなく、取引先や顧客、基幹システムなどのシステムも入れてください。システムをレーンにしておくと、人が手でデータを打ち直している箇所が見つけやすくなります。

BPMNは必要か

BPMN(ビー・ピー・エム・エヌ)とは、業務の流れを描くための国際的な表記法です。イベントやゲートウェイなど細かい記号が決まっており、システム開発やBPM(業務プロセス管理)の現場で使われます。

 

部署内で業務を整理し、引き継ぎや改善に使う目的であれば、BPMNを覚える必要はありません。基本の6記号とスイムレーンで十分です。システム開発会社からBPMNでの提出を求められたときに、合わせれば足ります。

 

BPMについては【図解】BPMとは|3分でわかる意味・実践5フェーズ・ワークフローとの違いを参考にしてください。

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06

業務フロー図の書き方6ステップ|請求書発行の記入例

ここからは、業務フロー図の書き方を6つのステップで説明します。例として、営業事務と経理が関わる「請求書発行」の業務を描きます。

 

請求書発行業務をスイムレーン形式で描いた記入例。顧客、営業、営業事務、経理、基幹システムの5つのレーンがあり、受注データの出力、Excelへの転記、特別条件の有無の判断、請求書作成、経理の金額チェック、承認、送付までの流れを示している。

※上の記入例は、書き方を説明するための仮想のモデルケースです。

ステップ1:目的と範囲を決める

最初に、何のために描くのかと、どこから始まりどこで終わるのかを決めます。「請求業務」のままでは広すぎるため、「月末に受注データを受け取ってから、請求書を顧客に送付するまで」のように絞ります。

 

目的が引き継ぎなら判断基準まで、ムダの発見なら受け渡しや待ちまで、という具合に描く細かさも決まります。1枚に収まらないほど広い場合は、範囲を分けてください。目安は、処理の箱が20個以内です。

ステップ2:登場人物をレーンにする

その範囲に関わる担当・部署・社外の相手・システムを、すべて書き出します。請求書発行の例では、顧客、営業、営業事務、経理、基幹システムの5つです。書き出したものが、そのままレーンになります。

 

レーンは5本程度までに抑えると、1枚で読みやすくなります。6本以上になる場合は、範囲が広すぎないかを見直してください。

ステップ3:今のやり方をそのまま書き出す

担当者に聞き取りながら、作業を順番に書き出します。この段階では記号を使わず、付箋や表に「誰が」「何をするか」を1行ずつ書くだけで構いません。本記事のテンプレートにも、書き出し用の「工程一覧」シートを用意しています。

 

ここで最も大切なのは、「本来はこうあるべき」という理想の流れではなく、今実際に行っている流れを書くことです。理想の流れを描いた図は、現場の実態と合わないため、すぐに使われなくなります。聞き取りでは「決まりではどうなっているか」ではなく、「先月はどう処理したか」を聞くと、実際の流れが出てきます。

ステップ4:記号で並べ、レーンに置く

書き出した作業を記号に置き換え、担当のレーンに並べます。流れの向きは、左から右か上から下のどちらかに統一してください。開始と終了の端子を最初に置くと、全体の配置が決めやすくなります。

 

請求書発行の例では、基幹システムから受注データを出力し、営業事務がExcelに転記して請求書を作ります。そのあと経理が金額をチェックし、承認されたら営業事務が送付します。

ステップ5:分岐に判断基準を書き、例外処理を描く

ひし形の判断記号を置いたら、横に必ず「何がどうなっていたら、どちらへ進むか」を1行書きます。「確認OK?」だけでは、その業務を知らない人は判断できません。

 

判断記号の書き方を比べた図。悪い例は「確認OK?」とだけ書かれた分岐。良い例は「請求条件に特別な取り決めがあるか」と問いの形にし、取引先マスタの特記事項欄を見るという判断基準と、例外のときは営業に確認するという担当と処理を書いている。

 

例外処理も、図から省かずに描きます。例外のときに「誰が」「どの情報を見て」「どう処理するか」を書いておくと、担当者以外でも対応できます。2026年10月の当社調査では、定型業務の3割以上で例外処理が発生している部署が74.2%(n=221)ありました(詳しくは業務可視化ツールの選び方)。

 

例外を描かない業務フロー図は、多くの部署で実態とズレる原因になります。

分岐が3つ以上に分かれる場合は、ひし形を2つ並べて「はい・いいえ」の2択を2回にすると読みやすくなります。

ステップ6:担当者に見せて直し、更新ルールを書き込む

描いた図を、実際にその業務を行っている担当者に見せます。ほぼ確実に「この作業が抜けている」「ここは順番が違う」と指摘が出ます。指摘を反映して直すまでが、作成の工程です。

 

最後に、図の余白に「更新の担当」「更新のきっかけ」「版と更新日」を書き込みます。この3つが空欄の図は、半年もたたずに実態とズレていきます。更新ルールの決め方は、後半の「作ったあとも実態とズレない業務フロー図にする更新の仕組み」で詳しく解説します。

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07

見やすい業務フロー図にする7つのコツ

読まれる図と読まれない図の差は、見た目で決まることが多くあります。次の7つを守ると、初めて見る人にもわかりやすい業務フロー図になります。

 

  1. 流れの向きを統一する:左から右、または上から下のどちらかに決め、図の中で混ぜない
  2. 1枚に収める:印刷して1ページに収まらないなら、範囲を分ける
  3. レーンは5本程度まで:多すぎる場合は、部署単位でまとめるか図を分ける
  4. 色は2色まで:通常の処理と、注目してほしい箇所(例外や課題)の2色に絞る
  5. 線の交差を避ける:交差が多いときは、作業の並び順やレーンの順番を入れ替える
  6. 細かさを階層で分ける:全体図は10個程度の処理で描き、詳しい部分は「定義済み処理」で別の図にする
  7. 凡例と更新日を入れる:記号の意味と、いつの時点の業務かを図の中に書く

 

箱の中の文字は、「請求書を作成する」のように「何を+どうする」の短い形にそろえます。社内でしか通じない略語は使わず、初めて読む人を基準に書いてください。

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08

業務フロー図をExcel・PowerPointで作る方法

業務フロー図を描くツールは、ExcelかPowerPointで十分です。社内の全員で共有でき、追加の費用もかかりません。

Excelで作る手順

Excelで描く場合は、次の手順で進めます。

 

  1. すべての列の幅を狭くし、行の高さとそろえて方眼紙のようにする
  2. 左端の列にレーン名(担当・部署・システム)を縦に並べ、行の境目に罫線を引いて帯を作る
  3. 「挿入」→「図形」から長方形やひし形を選び、レーンの中に置く
  4. 図形どうしは「コネクタ」の線でつなぐ(図形を動かしても線がついてくる)
  5. ひし形の横にテキストボックスを置き、判断基準を書く
  6. 「ページレイアウト」で印刷範囲を1ページに設定し、はみ出していないかを確かめる

 

本記事のテンプレートには、セルに作業を書き込むだけでスイムレーン形式の図ができる「スイムレーン図」シートを入れています。図形を使わずに描けるため、更新の手間も小さくなります。

PowerPointで作る場合と、Excelとの使い分け

PowerPointは図形を並べやすく、見た目を整えやすいのが利点です。会議で画面に映して説明する図には向いています。

 

一方で、作業の一覧を管理したり、あとから項目を追加・修正したりするのは、Excelのほうが向いています。説明用はPowerPoint、日々の更新と管理はExcelと使い分けるのがおすすめです。

作図ツールを使う場合

共同編集や記号のそろった作図ツールもあります。描く図の数が多い場合や、複数人で同時に編集したい場合は検討の余地があります。ただし、ツールを決めても、描く範囲と分岐の判断基準が決まっていなければ図は完成しません。まずはExcelで1本描き、必要になってからツールを検討してください。

 

業務の整理に使うツールの選び方は、業務可視化ツールの選び方で解説しています。

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業務フロー図テンプレート(Excel・スイムレーン形式)

本記事の内容をもとに、そのまま使える「業務フロー図テンプレート(Excel)」を用意しました。書き方6ステップの順番に沿って記入できます。

テンプレートのシート構成

シート名 内容
使い方 記入の手順、色の意味、更新ルールの書き方
工程一覧 作業を1行ずつ書き出す表。レーン、記号、次の工程、判断基準、受け渡し・待ち・差し戻しの有無を記入する
スイムレーン図 セルに作業を書き込むだけで描けるスイムレーン形式の図(空欄)
記入例 請求書発行の記入例(工程一覧とスイムレーン図)
凡例 記号の意味と、セルで描くときの書き方
更新履歴 版、更新日、更新者、変更点、更新のきっかけを記録する表

テンプレートに入れている項目

テンプレートの冒頭には、次の項目を記入する欄があります。とくに「更新の担当」と「更新のきっかけ」は、空欄のまま使い始めないでください。

 

項目 書き方
業務名 何の流れを描いた図かを書く(例:月次の請求書発行)
範囲 どこから始まり、どこで終わるかを書く
目的 引き継ぎ・ムダの発見・システム化の検討・監査対応から選ぶ
関連ファイルの場所 業務で使うExcelや帳票の保存場所を書く
更新の担当 図を直す責任者を書く(業務の責任者が望ましい)
更新のきっかけ 業務の変更、システムの変更、担当の交代、規程の改定、年1回の見直しから選ぶ
版・更新日 直したら版番号を上げ、更新履歴シートに変更点を書く

 

業務フロー図テンプレート(Excel)を無料でダウンロードする

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業務フロー図からムダを見つける3つの見方|転記・待ち・差し戻し

業務フロー図は、描いて終わりではありません。図を見ながら「どこにムダがあるか」を探すことで、改善やシステム化の打ち手が見つかります。見るポイントは、転記・待ち・差し戻しの3つです。

 

請求書発行のスイムレーン図に、ムダの印を付けた図。基幹システムからExcelへの転記(1)、経理の承認待ち(2)、営業への確認と差し戻し(3)の3か所に印がある

レーンをまたぐ矢印で「転記・再入力」を探す

レーンをまたぐ矢印は、担当の受け渡しを表します。とくに、システムのレーンから人のレーンへデータが移る箇所では、出力したデータをExcelに打ち直す「転記」が起きていないかを確かめてください。

 

2026年10月の当社調査では、他部署とのデータのやり取りで転記・再入力が発生している部署が93.7%(n=221)ありました(詳しくは業務可視化ツールの選び方)。

 

転記は入力ミスの原因になるうえ、どのデータが最新かもわかりにくくします。図4の記入例でも、基幹システムから出力した受注データを営業事務がExcelに転記している箇所が、最初の改善候補になります。

承認や確認の「待ち」を探す

承認や確認の処理の前後では、担当者が手を止めて待つ時間が生じます。図の上で承認の段数を数え、「この承認は本当に必要か」「金額によって省略できないか」を検討します。

 

たとえば、すべての請求書を経理が1件ずつ承認している場合、「定型の取引は承認を省き、特別条件の取引だけ承認する」と決めるだけで、待ちが大きく減ることがあります。承認ルートの決め方は承認ルートの設計で解説しています。

右から左へ戻る矢印で「差し戻し」を探す

流れと逆向きに戻る矢印は、差し戻しや確認のやり直しを表します。戻りの矢印が多い業務は、入力の段階で必要な情報がそろっていないことが多くあります。

請求書発行の例では、特別条件の取引で営業に確認し、回答待ちになる箇所が差し戻しです。受注の段階で特別条件を入力する欄を設ければ、請求の段階で確認する手間を減らせます。

見つけたムダを、改善やシステム化につなげる

見つけたムダは、「やめる」「まとめる」「順番を入れ替える」「簡単にする」の順に打ち手を考えます。この考え方はECRS(イーシーアールエス)と呼ばれ、詳しくは業務効率化フレームワーク実践ガイドで解説しています。

 

転記や差し戻しが多く、件数も多い業務は、システム化の候補になります。部署全体の業務からシステム化の候補を選ぶ方法は業務棚卸しのやり方を参考にしてください。

 

システム化を進める段階では、業務フロー図がそのまま要件の土台になります。要件のまとめ方は要件定義書の書き方、導入前に自社のデータで試す方法はPoC設計の進め方で解説しています。

 

業務プロセス改善については、業務プロセス改善の実践フレームワーク|現状分析から改善施策まで完全ガイドをご覧ください。

 

業務フローを見える化してコスト削減につなげることも可能です。「業務フローの見える化」をコスト削減につなげる、バックオフィス管理職の次の一手もあわせてご覧ください。

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作ったあとも実態とズレない業務フロー図にする更新の仕組み

調査では、ほぼすべての業務で業務フロー図を作成している部署の82.3%が「実態と合っていない部分がある」と答えていました。図がズレる原因は、描き方よりも、作ったあとの扱いにあります。次の4つを決めておくと、図が実態とズレにくくなります。

 

業務フロー図を実態とズレない状態に保つ更新サイクルの図。更新のきっかけが起きる、業務の責任者が図を直す、版・更新日・変更点を記録する、関係者に共有する、年1回の定期見直しの5つが循環している。

更新の担当は、図を作った人ではなく業務の責任者にする

図を作った人が更新し続ける形にすると、その人が異動したり忙しくなったりした時点で更新が止まります。更新の担当は、その業務を実際に回している部署の責任者(課長やリーダー)にしてください。

 

責任者がすべてを自分で直す必要はありません。担当者が直した図を責任者が確認し、版を上げる、という役割分担でも十分です。大切なのは、「誰が更新の責任を持つか」が図に書いてあることです。

 

業務フローを整理するならカオスな業務フローを整理する!業務の属人化を解消するワークフローとナレッジ共有もあわせてご覧ください。

更新のきっかけを決めておく

「気づいたら直す」では、図は更新されません。次のような出来事が起きたら必ず図を見直す、と決めて、図とテンプレートに書いておきます。

 

  1. 業務のやり方が変わったとき(承認者の変更、締め日の変更など)
  2. システムや帳票が変わったとき(基幹システムの改修、請求書の様式変更など)
  3. 担当者が交代するとき(引き継ぎのたびに図を開く)
  4. 社内規程や法令の対応が変わったとき(電子帳簿保存法やインボイス制度への対応など)
  5. 年に1回の定期見直し(予算策定や期初の業務計画にあわせて行う)

 

とくに担当者の交代は、図を見直す絶好の機会です。後任者に図を見せながら説明すると、ズレている箇所がその場で見つかります。

版番号・更新日・変更点を残し、ファイルは1か所に置く

図を直したら、版番号を上げ、更新日と変更点を記録します。本記事のテンプレートには、そのための「更新履歴」シートを用意しています。

 

また、図のファイルは1か所に置き、個人のフォルダやメールの添付で別の版が出回らないようにします。どれが最新の版かわからなくなると、古い図を見て業務を進めてしまうためです。ファイルの版管理の考え方はExcelファイルの最新版がわからない問題で解説しています。

図と実際の処理を、同じ場所で管理する

ここまでの3つを決めても、図と実際の業務が別々の場所にある限り、ズレのリスクは残ります。業務はExcelとメールで回り、図は共有フォルダにある、という状態では、業務が変わっても図は自動では変わらないためです。

 

根本的な対策は、業務の流れそのものをシステム上で組み立て、図と処理を一致させることです。申請・承認の流れをシステムで設定しておけば、流れを変えた時点で実際の処理も変わります。業務フロー図で整理した流れを、そのまま仕組みとして動かす考え方です。

 

システム化のメリットは業務フローシステムとは|導入で、Excelの弊害が解消し、「見える化・自動化」される6つのことで解説しています。

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業務フロー図の流れを、そのまま仕組みとして動かすなら

業務フロー図で整理した流れを、Excelとメールではなく、システム上で動かす方法があります。ノーコード・クラウドデータベース「Slopebase(スロープベース)」は、プログラミングの知識がなくても、Excelや紙で管理していた業務を、自社の流れのままクラウド上に組み立てられるサービスです。

 

業務フロー図の要素に沿うと、次のように置き換えられます。

 

流れ(処理と判断):

申請・承認の流れを、自社の業務に合わせて設定できます。誰から誰へ承認を回すかを定義でき、所属や職位による分岐など、例外の多い流れも自社仕様で設定できます。申請に必要な項目も自由に決められます。詳しくは「申請フロー機能」をご覧ください

 

データ(書類・システム):

Excelで管理していた業務データをクラウド上のデータベースに置き換え、部署をまたぐ受け渡しも同じデータで行えます。転記・再入力を減らせます。WebAPI連携にも対応しており、既存の基幹システムとのデータ連携も視野に入れた構成が組めます

 

判断基準と経緯:

業務の背景や判断の経緯は「ストーリー機能」で残せ、AIプロンプトで検索できます。例外のときの対応も、業務の画面のそばに残せます

 

量と状況:

登録された業務データを、ダッシュボードでグラフや表に集計できます。承認者は、承認待ちの申請を一覧で確認できます

料金は月額30,000円〜の従量課金制です。まずは業務フロー図を描いた業務のうち、転記や差し戻しが多い1つの業務から、自社の実際のデータを使った無償PoC(導入前の検証)で試し、効果を確かめてから広げていくことができます。

 

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業務フロー図に関するよくある質問

Q. 業務フロー図は、どれくらいの細かさで描けばよいですか?

A. その業務を知らない人が読んで、次に何をすればよいかがわかる細かさが目安です。全体図は処理を10個程度に絞り、判断が難しい部分だけを別の図で詳しく描くと、細かすぎて更新が追いつかない事態を防げます。迷ったら「異動してきた人にこの図を渡して、1人で業務を進められるか」で判断してください。

Q. 業務フロー図とフローチャートの違いは何ですか?

A. 業務フロー図は、人や部署ごとの業務の流れを表す図で、スイムレーンで担当を分けて描くのが一般的です。フローチャートは処理の手順と条件分岐を表す図で、担当の区別をしないことが多くあります。バックオフィスの業務を引き継ぎや改善に使うなら、担当がわかる業務フロー図が向いています。

Q. 業務フロー図はExcelとPowerPointのどちらで作るべきですか?

A. 日々の更新と管理を考えるとExcelがおすすめです。作業の一覧と図を同じファイルで管理でき、行の追加や修正もしやすいためです。会議で映して説明する場合は、PowerPointで清書すると見やすくなります。本記事のExcelテンプレートは、セルに書き込むだけでスイムレーン形式の図が描けます。

Q. 経理の業務フロー図は、どの業務から描けばよいですか?

A. 件数が多く、部署をまたぐ業務から描くのがおすすめです。経理であれば、請求書発行、入金消込、支払処理などが候補になります。月次決算のように範囲が広い業務は、「請求データの締め」「売掛金の照合」のように範囲を分けて、1枚ずつ描いてください。

Q. 業務フロー図を作ったのに、使われなくなるのはなぜですか?

A. 主な原因は、図が実態とズレてしまうことです。2026年10月の当社調査では、ほぼすべての業務で業務フロー図を作成している部署(141人)のうち82.3%が「実態と合っていない部分がある」と答えました。理想の流れを描いた、分岐の判断基準が書かれていない、更新の担当ときっかけが決まっていない、の3つが典型的な理由です。

Q. 業務フロー図は、どのくらいの頻度で更新すればよいですか?

A. 期間で決めるより、「業務・システム・担当・規程が変わったとき」というきっかけで更新するのが確実です。そのうえで、年1回は定期的に全体を見直します。担当者の交代時は、後任者に図を見せながら説明すると、ズレている箇所がその場で見つかります。

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まとめ|業務フロー図は「描く」より「合わせ続ける」

本記事では、業務フロー図の基本と記号、書き方6ステップ、見やすくするコツ、ムダの見つけ方、実態とズレない更新の仕組みを解説しました。

 

2026年10月、バックオフィス部門のリーダー・管理職221人への調査では、ほぼすべての業務で業務フロー図を作成している部署が63.8%ありました。一方で、実態と一致しているのは全体の11.3%にとどまり、作成済みの部署の82.3%で図と実態がズレていました。

 

業務フロー図で大切なのは、きれいに描くことではありません。今のやり方どおりに描き、分岐に判断基準を書き、更新の担当ときっかけを決めて、実態と合わせ続けることです。まずは本記事のテンプレートで、件数の多い業務を1本描くところから始めてください。そして、描いた図から転記・待ち・差し戻しを見つけ、改善やシステム化の一歩につなげましょう。

 

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※バックオフィス業務とは経理や総務、人事、法務、財務などといった直接顧客と対峙することの無い社内向け業務全般を行う職種や業務のこと

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この記事を書いた人

Slopebase編集部
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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